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SkyrimとFallout4・76の二次創作メインブログです。 たまにMODの紹介も。
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05.08.16:59

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  • 05/08/16:59

04.27.21:37

誰の為でもないと言えるか?(後)

(前)部分呼んでから読んでください。あと後編はかなり長いのでご注意をば。

 えっ、と頭が疑問符に満たされる。何か俺悪い事したか? と考えようにも酒精にきっちりやられた俺の頭は思考をするどころか拒むように考えを受け付けてくれない。
「何が駄目なんだ? 駄目といえば、さっきの話──」
「私のことはいいんですの。問題はジュリアン、あなたでしてよ? ご自分で分かっておりませんでして?」
 話を逸らそうとした行為さえ遮るように言葉をかぶせてくる。俺? 俺の何処が問題なんだ、と考えようにもやはり頭は受け付けてくれず。
「毎晩毎晩酒を嗜んでいらっしゃるようですけれど? それで二日酔いになって毎日薬を飲んでいるのは何処のどなたでして? 前はそんな事なさらなかったのにいきなり酒を飲むようになった理由、ご自分で分かっておりませんの?」
 ずきん、と胸が痛む。図星を指されたせいだというのは考えなくたって分かっていた。誤魔化そうと思っても、酔漢の言う事なんて嘘としか受け取ってもらえはしないだろう。
「ホワイトランに戻って、その後首長に長期の不在を報告した後から……いえ、あの時ドラゴンと戦って魂が入らなかったときから、ジュリアンの様子がおかしくなっていくのを傍で見ている私が気づかないと思いまして? あなたから聞いた、ミラークが魂を奪っていったことを私が信じていないとでも?」
「そんな事思っちゃいねぇよ」と、それだけしか言えず。
 彼女は少し溜飲を下げたのか、やや声のトーンを下げてぽつりぽつりと俺に話しかけてくる。
「それから再びここに来て、ミラークの事を調査するかと思いきや、あなたは何もしやしない。町の人の手伝いをしたり、収集の手伝いをしたりとか、そんな事だけしかしておりませんわよね? 何故ミラークの事を調査しませんの? 何に怯えているんですの?」
 ぐさぐさと、矢を頭から突き刺されるような感覚だった。彼女は俺にこう言いたいのが痛いほど分かる──お前は何を畏れているのか、と。
 怖いのではない、恐怖は感じてはいなかった。じゃあ何が怖いのか? 自分でもよく分からない。
 けど唯一、俺が恐れたものがあった。……俺の、ここにいる、理由。
 何故自分がドラゴンボーンになったのか、何故自分がアルドゥインを倒したのか、何故ミラークが現れたのか、何故彼は俺から奪うように魂を持って去っていったのか……そしてそれに付随するであろう、俺の命を狙う行為。
 何もかもが分からず仕舞いの中、はっきりと分かるのは、ミラークは常に俺を監視しているであろう事と、確実に俺より優位の立場に居る事。
 ミラークの存在は俺の存在を脅かす理由になったのを知った時、俺は自分自身の立場が分からなくなった。何故一傭兵としてシロディールやモロウウィンドを駆け回ってた時代に戻れない? 何故神々は俺に龍脈を与えたりしたんだ?
「……自分でもよくわからない。けど……酒に逃げてた訳じゃないぜ」
 嘘だ、と自分を責める。酒に逃げていたのは事実だ。そしてまた、そんなちっぽけな逃げの方法をとる事しか出来ない自分が嫌だった。嫌なのに俺はそれを止める事が出来ずにいた。分かっているのに。
「……私は、別に逃げるのは悪い事じゃないと思っておりましてよ。父の陰謀を阻止しようと、母が私を遺跡に眠らせ、自身をソウル・ケルンに逃げ込んだ事だって、賢明な判断でしたと思っておりますわ。
 けど、ジュリアンは違う。あなたは見たくない物から目を背けているだけに過ぎませんわ。わかりません? それが──今手にしたモノで誤魔化しているということを」
 手にしたモノ──右手に握られている、先程までスジャンマの液体が入っていたジョッキに自然と目が移る。
 ……セラーナは分かっていたのだ。俺が不自然に酒に逃げるようになった意味を、俺が何を畏れているのかを。だから、あんな目で俺を見ていたのだろう、嫌悪感を滲ませた、他者を見つめるような目つきで……。
「……セラーナから見て、俺は怯えているように見て取れたのか」
 何も言わず、黙って首肯するセラーナ。なら……そうなのだろう。人は自分のことを一番自分自身がよくわかっていると豪語しても、実のところ自分自身が分からなくなる時なんて何度もあるイキモノだ。
 そういう時はどうすればいい? ──その答えだって持っている。何故ならヒトは言葉という感情を伝える手段を持ち合わせているのだから。
「──そうだな、セラーナの言うとおりだ。酒で誤魔化してた……んだろう。情けない事に自分の感情押し殺して酔い潰れるに任せてた。
 ミラークが怖いとか、恐れてるとかじゃない。ソリチュードでミラークの狂信者に襲われた時なんてちっとも怖くなかったし、むしろ俺の命を狙う奴なんて、って意気込んでたのも事実だ。……けど、何でだろうな。
 あの時──セラーナが言ったように、ホワイトランに戻ろうとした道中でドラゴンに襲われ、その魂をミラークが分捕って行っちまった時、得体の知れない恐怖心に襲われた。うまく言葉に言えないが……俺がここにいる理由がわからなくなったって言うか。ミラークは何度も俺の事を『中途半端なドラゴンボーン』と言った上で、彼の力は俺のそれより強かったんだ。ドラゴンソウルが俺じゃなくミラークに持ってかれたのが何よりの証拠さ」
 一旦言葉を切り、テーブルに置かれてある、すっかりぬるくなった水の入ったコップを手に取って一気に飲み干す。酒でやられた頭の回路を正しくしようとするが如く。
「……自惚れてたとは思いたくないけど、実際自惚れていたのかもしれない。ミラークが現れるまでは、俺がドラゴンの魂を“食う”のが当たり前だったから。……それによって、一般人や衛兵から驚嘆や拍手をもらう事に慣れていて、いっぱしに英雄気取っていたんだろう、って言われたら反論は出来そうにないな。
 だからか、な……ミラークが俺の倒したドラゴンの魂を持ってった事実がすごくショックだった。それはまるで──倒したドラゴンが、お前なんかの体内に吸収される位ならミラークに奪われたほうが余程いい、って言われてる気がしたりして、さ。そんな事、死んだドラゴンが思う訳ないとは頭で分かっていても。
 そんな事ばっか思うようになっちまって、自分なんかもうこの世に必要とされてないんじゃないかなー……って、思ったら目の前が真っ暗になっちまってさ、はは……、おかしいよな」
 自虐的に笑ってみせるも、セラーナはにこりともせず、じっと俺を見据えていた。相変わらず黙ったままで。
 それはまるで、俺に対して「思うこと全てぶちまけて欲しい」と暗に言っているかに思えた。いつもどおりのセラーナだったら確実に横槍を入れる筈であろうなのに。
「……ここに戻ってきたはいいが、ミラークの事なんて考えたくなかったな。だから手伝いばかりこなして、くたくたになるまでやって、頭が考える事を放棄するくらいに酒を浴びるほど飲んで、忘れるように努めた……
 けど、何でかな……忘れようにも忘れられないんだ。あの一瞬の出来事が忘れられない。その都度俺は自分の立場を呪ったり、忘れようとしたり、全て酒で誤魔化した。
 けど……こうやって話していくうちに自覚したよ。セラーナの言うとおりだと。俺は誤魔化してたんだな、酒で……己の弱さを、恐怖心を」
 言葉で伝えてみて、今になってはっと気づかされる。ずるずると酒に溺れて、逃げ道を見つけたくても見つけられなくて。
 こんな自分が嫌だと分かっているのに、けど逃れられない……逃れられる勇気が無かった。真実を追究することが怖かった。
 それによって俺の存在理由が一つ一つ奪われてしまうんじゃないかというのが一番──
「それは間違っておりましてよ、ジュリアン」
 え、と思わず彼女の顔を仰ぎ見る。
「私だって知ってますわ、人間はかくも脆く、危うい存在だという事を。間違った道を侵しやすく、簡単に逃げに走る、繊細で、傲慢で、けれど自分の事しか考えてない弱い存在だという事を。
 ……でも、先程も言いましたけど、あなたは他の人間とは違いましてよ? 自分の弱さ、脆さを自覚しても、そんな自分を否定しようとはしない。酒で誤魔化している事を自覚し、それが何からきているかも分かっていても尚、逃げようとはしてませんですもの」
「え? でもさっき俺に対して──」
「誤魔化している、とは言いましたわ。でもあなたは酒を飲んで自分を誤魔化すだけで、逃げたりなんかしてませんわよ? 逃げるならとっくにこの島から出てってスカイリムに戻ってホワイトランなり何処へなりとも行くでしょう? 違いまして?」

“己を否定するな。お前の中には龍脈が流れている。それは誰にでも与えられし力ではない。お前は選ばれたのだ。そして、その力はいずれ、アルドゥインと戦う運命を孕んだものだということも”
 グレイビアードが居る世界のノドの頂手前にある寺院「ハイ・フロスガー」へ初めて赴いた時、そう言われた事を思い出す。この力は強大なものだ、間違えればヒトを傷つける武器になりえる、それをどう使うかはお前次第だ──
 正しく扱ってきた……とは必ずしもいえない。けれどアルドゥインを倒し、スカイリムが再び平穏を取り戻した時、町行く人々が俺に感謝を述べるようになった時。俺は自分が誇らしく感じた。この力を正しく使ったからこそ、人々を助けられたのだと。
 それまでは、シャウトを街中で使おうものなら人々から畏怖されたり、怪訝そうに眉を顰めて遠くからぼそぼそと陰口同然な言い方されたり、衛兵から注意されたりと散々だったのに対し、アルドゥインという脅威を排除できた事によって初めて認められた気がした。それなのに。
 ミラークに中途半端なドラゴンボーンと言われるのはまだ、いい。
 しかし、魂が奪われた時──また再び、ヒトから奇異の目を差し向けられた。兜越しにでも伝わってくる、ウインドヘルムの衛兵達の、俺を見る“目”──何故ドラゴンボーンなのに魂を吸い取らないんだ、という疑問、畏怖──
 そそくさと立ち去るのが精一杯だった。本当ならば、そういう目で再び俺を見ないでくれ、そう言いたかった。所詮俺はヒトではなく、ヒトの中に龍脈を持つ“何か”でしかないのか──そういう目から“逃げて”再びソルスセイムに来たのかもしれない。誰も俺の事を知らない場所に行きたかった。……でもそことて、逃げ場になる事は決してなくて。
 ミラークがこの島の何処かで何か恐ろしい事を実行しようとしているのは明らかで、俺がそれを探せば、再びミラークと対峙するのは自明の理だった。それすら恐れた俺は、うだうだと考えあぐねながらこの島で島民の生活を脅かす存在を退治したり収集したりして“誤魔化し”ていたのだ──
 つくづく自分の弱さに涙が出そうだった。そんな事を考えていると知ってか知らずか、
「……ジュリアンは分かっているんですのよ。ただ、そのきっかけが掴めずずるずる酒で誤魔化し続けていただけですわ。決して自分の弱さを否定したり、見て見ぬフリをしたりはせず。それが大切な事なのだと、あなたは知っているから」
 セラーナが取り成すようにぽつりと言う。そのまま続けて話し出す。
「弱さや限界を知っている人間は、本当の強さの意味を知っている、と私は以前身をもって知りましたわ。……かなり前にあなたが私に話した事を覚えていまして? ご自分の両親の事、自分の今までの経緯とか私に話して、最後にあなたはこう言いましたわ、『俺がハルコンを倒す事になっても、私に後悔してもらいたくはない、どんな事があっても彼は君の父親であることに変わりはないのだから』と。
 そんな事なかなか言える人は居ませんでしてよ? 父親を殺すことが世界を救うことに繋がるとはいえ、いずれ私が悲しんだりして欲しくないと考えた上であなたは私にそう話してくれた。それはジュリアンが、ヒトの弱さを知っているから。それでも尚、刃向かう事を止めない──それが強さの意味だと知った時、己の弱さを強さに転換させる事が本当の強さの意味だと知るに至ったんですの。
 だから、あなたは弱くても、逃げたりしない時点で強いんですのよ。ミラークになんか負けていませんわ」
 ぽつりぽつりとは言え、長く喋りすぎたせいかセラーナはカウンターに回り、水差しに入ってる水をジョッキに移し変えてごくごくと飲み干す。
 正直、予想外だった。相当長い間共に旅を続けてきたとはいえ、彼女がここまで俺を見ていた事が。そしてまた、そこまで俺を見てくれた人がすぐ目前に居るのにも関わらず、弱さをさらけ出そうとせず一人で思い悩み、酒で誤魔化していた自分がますます情けなくなった。けどまたそれを言うと、彼女との意見が堂々巡りになるため言わないでおく。
「……ああ、それと」
「それと? ……何だ?」
 ようやく声を出す自分。しかしセラーナの言い始めた事はさらに予想の範疇を超えていた。
「さっき、自分が必要とされなくなるんじゃないか、なんて仰ってましたけど、その点に関しては問題ありませんでしてよ。何故ならあなたは私に誓ったじゃありませんの、『私の剣と命を以ってあなたを守る。私はあなたに永遠の忠誠を誓う』と。私はあなたを必要としますし、これからも忠誠を守っていただければそれでよろしくてよ?」
 言ってる自分が恥ずかしくなったのかどうかは分からないが、セラーナはぷいと顔を背けながら言い捨てた。やや尊大な物言いにぽかんと口を半開きにしてた俺だったが、彼女の真意が分かった途端、思わずぷっと噴出して大声で笑ってしまう。
「はっ、はははは……セラーナ、それで俺を慰めてるつもりなのか? だとしたらおかしいや……ははは」
 小ばかにされたと勘違いしたのか、セラーナがやや頬を紅潮させてくるりと再びこちらを向き、「あ、あなたが自分が必要とされなくなるって言うから敢えて言っただけに過ぎませんでしてよ!!」と金切り声を上げてからいたたまれず立ち去ろうとしたため、慌てて彼女の手を掴む。
「っと……待てよ、最後に言わせてくれないか?」
 掴まれた手をぱっと離すも、足を止め再びこちらを向くセラーナ。しかし眉間に皺を寄せ、何を言ってくるのかと待ち構えてる様子。
 笑ってしまったのは逆効果だったかな。と思いながら俺はスツールから降りて立ち上がる。スジャンマの酔いはまだ若干残っている為足元がふらついたが、倒れこむまでには至らなかった。
「そう身構えるなよ、セラーナ。お礼が言いたかったんだ。俺の事をよく見てくれてたんだなって思って、嬉しかったよ。
 本当ならば、君に話すべき事だったんだろうなって思う。さっさとそうしておけば俺は一人で追い込まれずに酒で誤魔化す事も無かったんだろうな、ってさ。けどなかなか出来なくてさ」
「……そういう変なプライドで自らを追い込むのが男だと、聞いたことがありましてよ? だから弱さを見せられず、自分から破滅に向かってしまうと」
 破滅ね。……そうなる手前だったのか、と俺も省みる。俺もセラーナにこうして言われなければ、まだきっとスジャンマに溺れる日々が続いていたに違いない。
「ああ、俺もそうだった。……けどセラーナに話しておいてよかったよ。俺の境遇の事とかさ。君に救われたんだ。ありがとう」
 言って手を差し出す。勿論今度は掴むためではない。セラーナも黙って手を伸ばしてくれた。
 指が絡まり、握手を交わす。セラーナのひんやりとした手が気持ちよかった。華奢な指が折れそうなくらい細くか弱く、改めて自分が交わした約束を思い出させる。
「おっと……お邪魔だったかな?」
 タイミングを見計らったかのように、サドリが倉庫から出てきた。彼は両手に抱えるようにしてスジャンマの瓶を持っていたが、重そうにそれをテーブルに置いたあと、飲むかと聞いてきた。が、勿論俺は断った。
「スジャンマの味は十分楽しませてもらったよ。けど暫くはお預けだ。やる事があるんでな」
 言うとサドリは残念そうに肩をすくめて見せる。しかし彼は俺達の話を聴いていた様子で、それ以上勧めてはこなかった。カウンターに金貨を数枚置いてから、俺は借りっぱなしの部屋に戻った。
 扉を閉め、しつらえてあるベッドに倒れこむ。身体がようやく休めると分かったのか、目を閉じればすぐに睡魔が意識を奪っていった。

「まったく、人騒がせな英雄ですこと。……でもそれが人間らしさですわよね、……父さん」
 寝息を立てている横で、セラーナがぽつりと言う。
 夜明けはまだ遠く、世界は黒に塗りつぶされていたが、眠る事を必要としない彼女は一人、黙って彼の寝顔を見つめていた。

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ちょっと、というかかなり長すぎましたorz
まさかここまで長くなるとか予想もしてなかったorz

ドラゴンボーンは超人的な力ですけど、こういうことで少しでも弱さとかでたっておかしくないと考えて出来た話です。前の前のブログで書いた一本小説を、ってのがどうやらコレで完成した感じですね。

 ちなみにこの小説のタイトル、某格闘ゲームの映画化した主題歌のB面(今B面って言うのかな……古)の歌の名前をパクっちゃいました(笑)

 最近のジュリアンさん。ノルド刻印防具を装備してリテクスチャMODも入れてご満悦。でも騎士プレイは続けてます。相当ノロノロでクエ進めてますけどw
 ブラッドスカルだったかな、の剣はかっこいいですね。シャイフォのソニックウェーブみたいな攻撃出せるのがかっこいい。振り回すのが楽しいですw

 ……とはいえこの小説書くのでここ数日ぜんぜんマトモにスカイリムしてませんでしたorz
 今日からまたぼちぼち再開していきますw

 とりあえず約束どおり日曜にアップできてよかった。ダレるくらいの文章量でほんとすいません;;是非とも感想とかくれると涙流して喜びます。
 好評ならPixiv辺りに乗せたいけど・・これ読むヒトいるんだろうか。

 ああ、それと、ESOですが……
 この一週間マトモにやってない上に、色々考えたんですが、一ヶ月のみで引退する事にしました(爆死
 いや、とても楽しかったんですよ、英語が出来る出来ない如何に関わらず、長く続けていけるならやっていきたいんですが、やはりネトゲってオフゲと違ってマイペースで出来るものじゃない上に、自分のペースでやるものではないと気づいて、俺の中では絵を描く事も大事だしゲームも大事なので、マイペースで出来るSkyrimならまだしも、ネトゲじゃどうしてもそれを乱される事に気づいたので、引退する事にしましたorz
 俺の中ではゲームも創作も大事で、その両立を目指すにはネトゲはやっぱり無理だというのに至ったのでorz

 なのでまだまだスカイリムばかりやっていくと思いますが、どうぞ宜しく。

 ではまた今週の定期更新日に^^

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04.25.01:41

誰の為でもないと言えるか?(前)

「お前さんの連れ、聴きなれない言葉を操るな。古語……っていうのか、あれ?」

 ソルスセイム島の南西、海沿いにある島の唯一の玄関口、レイブンロック。
 その小さな港町に一軒だけある、宿屋兼酒場であるレッチング・ネッチ・コーナークラブが、スカイリムからやってきた俺みたいな奴の寝床兼食事処といったものだった。
 ホワイトランから戻った俺は、まだ半月程度ではあるが、鉱山の再開や砦の掃討等を行った事もあって、レイブンロックの連中とはだいぶ親密な関係になりつつあった。殆どの住人はダークエルフ──通称ダンマー──だが、レドラン家の者達等ノルドも若干、混じっているのもあって俺が居ても別段、特別扱いする者はおらず、俺も長年傭兵稼業をやってきたのもあって交渉術には長けていたから、打ち解けるのも短かったのかもしれない。
 今日もまた、レイブンロックが頭を抱える問題の一つ、アッシュスポーンという、灰の塊がヒトの姿を模った化け物……をレドラン家の衛兵と共に掃討するという作業に追われ、くたくたになってレッチング・ネッチに戻ってきたその夜のこと──

「連れ? ……ああ、セラーナか」
 いつもの席、カウンターで一人ちびちびとスジャンマを嗜んでいた俺だが、カウンター越しに突っ立っているこの宿屋兼酒場の主人、ゲルディス・サドリに声を掛けられて、思わず一瞬、何のことだ? と理解できなかった。スジャンマの効力はすさまじく、エールやミードなどと比べ物にならないくらい度数が高い酒で、何回飲んでも俺はこの酒に馴染めそうにない。それでも飲んでるのは、サドリが自分のスジャンマを飲んでいけとしつこく誘ってくるからに過ぎないのだが。
 言いながら、セラーナの姿を頭だけ動かして探すと、背後にちらっと彼女の着ている服が目に飛び込んできた。セラーナは不思議な事に、俺と食事をしたり酒を飲んだりしようと言っても俺の傍に寄って来ない。最初こそ嫌われているのかと思ったりもしたが、単に彼女が食事の際見られる事が嫌だという理由が分かってそれからは特に何かある時以外は、互いに離れて飲食をするようになっている。家では例外こそ、こういう酒場では、だ。
「セラーナって言うのか? ダンマーの中にも赤い目を持つ者が居るが、ノルドで赤い目を持つ者を見たのは初めてだな」
 サドリが俺と彼女を交互に見やりながら話しかけてくる。まあ、そりゃ、そうだろう、彼女はノルドのくせに吸血鬼だからな──などと言えば店主や町人を脅かす要因の一つになるのは違いない。ぐっとこらえておく。
「……まあ、彼女はちょっと珍しい出身だからな」
 それだけ言って、ぐいっ、とスジャンマの入ったジョッキを呷る。ごくりと飲み込めば、じりじりと胸焼けがするような感覚。ミードなら数杯飲んでも酔わない自分がここまでくらくらさせられるとは、と内心舌打ちを打ちながら毎日飲み続けていた。慣れるものかと思っていたが一向に慣れず、最近は飲みすぎが祟って二日酔いが続いている。その場合は疾病退散の薬に厄介になるしかないのだが、それを知ってか知らずか、最近のセラーナは俺を怪訝そうに見る事が多かった。
「珍しい、って誰の事ですの?」
 飛び込んできた声に思わず身をびくっと震わせてしまう。声が聞こえてきた方向を見れば、セラーナがカウンターの傍まで来ていた。……俺、呼んだっけ? と思わず行動を振り返る。
「あ、いや……というかセラーナ、呼んだりしてないよな?」
 伺うように言うと、ふん、と彼女は微かに鼻をならし、
「ええ、呼んでませんでしてよ。ただ、主人がしきりに私とジュリアンを交互に見てるんで、何か私に対して話しているんだろう、と察するに余りある行動でしたからやって来ただけですわ」
 店主はそういわれて、所在なさげに後ろで束ねている髪をいじりながら頭を下げた。
「ああ、失礼したね。別に大したことを話してた訳じゃないんだが」
「セラーナの言葉遣いが古めかしいって話してたんだよな、サドリ?」
 店主はそうとうぎくりとしただろう、慌てた様子で再び交互に俺とセラーナを見ていたが、諦めたようにやれやれと声を洩らし、
「わ、私は別にご婦人を悪し様に言うつもりはなかったんだが──」
 弁解してきた。あまり店主をいじめると今後スジャンマを奢ってもらえなくなるかもしれない。
「……まあ、俺もサドリの言う意見には一理あると思うんだ。セラーナの口調は丁寧だがやや古めかしいぜ。もう目覚めてから長い時間経ってるんだしさ、そろそろ新しい言葉遣いに変えてみたらどうだ?」
 口元をにやりと歪ませながら言うと、彼女はまた、最近俺を見る目つきに変わった。あの嫌悪感がにじみ出た、怪訝そうな目。
 サドリは俺のフォローにあやかろうと思ったのか、「そうそう、ちょっと酒倉から追加のスジャンマを取って来なくては」とか何とか言ってそそくさと立ち去ってしまった。
 気が付けばレッチング・ネッチの店内には俺とセラーナだけしか居ない事に気づく。時計を見れば既に夜半を過ぎていた。寝ようか、と思ったがもう少し飲んでもいいと思い足り、スジャンマの入ったボトルを傾けてジョッキに移そうとした矢先のことだった。
「駄目ですわよ、ジュリアン」
 言いながら俺の手からスジャンマのボトルをひったくるように奪うセラーナ。何をするんだ、と彼女を再び見ると、怒っているのかと思いきや、表情は悲しげだった。

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 すいません、、、続きも書いてるんですが、寝る時間を大幅中の大幅に過ぎてるので、今週のブログは前後編ということで(どんなブログやねん!
 続きは日曜日辺りにアップします;;いやーあいも変わらず小説仕立てプレイ日記ですが、今回は8割ほど自キャラの感情入り乱れて書いてるんで、少し二時創作的な部分多しです。ご面倒をおかけしますが、宜しくお願いします。
(言えない……日記の絵を描いてただけで3時間位掛かったせいだなんて……)

 その時また改めて近況とかESOとかの話をできたら^^
 ではまた三日後にw

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04.21.00:25

Raison d'etre

「……嘘、だろ?」

 ずきり、と、痛みを伴いながら身体の中に入ってくるモノが──入って、こない。
 俺の体内の血と交わらない。
 ──いや、違う。交わらないんじゃない。交われないのだ。

 モロウウインドの北東に位置する小さな島、ソルスセイム。
 そこで出会った──いや、まだ出会った段階ではない──かつてドラゴンボーンと呼ばれ、しかし竜教団に身を背けた人物が居る。
 しかし、それは勲の物語。遥か昔、そういう人物が居た、という記述が残っているのみ──だった。つい最近までは。
 それが復活を遂げようとしているのだ……彼の意思なのかそれとも第三者が介入しているかはまだ、分からない。けれど間違いなく彼は──ミラークと呼ばれるドラゴンボーンは、この世に再び舞い戻る。そしてソルスセイムを手中に入れるとはっきり言ったのだ……俺の見た、次元の違う場所のどこかで。
 そこでようやく俺は出会ったのだ──ソリチュードで、俺を殺そうと切りかかって来た信者達の口走っていた、ミラーク卿と呼ばれた男に。 
 島に着いたとき、奇妙な光景を何度も目にした。
 ぶつぶつ何かを言いながら遺跡らしき岩を再建しようとしている者。彼等の目はうつろで、焦点が合わない視点をぐらつかせたまま、ただぶつぶつ訳が分からない
 独白を垂れ流し続けていた。俺が話しかけても返事すら返さない。
 その岩は尖塔のように細長く尖っており、奇妙な事に緑色の発光体がその岩全体を包み込んでいた。
「なんだ、この岩は──」
 発光しているその岩に触れようとした矢先、頭の中に誰かの声が飛び込んできた。まったく予想もせず、その声は耳を介してではなく直接頭に入り込んできたのだ。
 直後──突然足がすっ、と前へと伸び、
「……っ?!」
 操られているかの如く、こちらの意思を無視してすたすたと歩き出すではないか。そして何をやるかと思ったら──岩の辺りに崩れた遺跡の残滓を取り除き、そこらにいる者達同様、手を動かし始めた。
「ジュリアン? 何やってるんですの?」
 セラーナの声が耳に入ってくる。が、勿論身体は無視して──何かぶつぶつ言っていた。そう、周りに居る者達と同じ──
「………や、やめろ!!」
 叫んだ途端、頭の中に巣くっていた何かが払拭されたように消えた。
 見回すと、きょとんとした様子でこっちを見つめるセラーナと、辺りで相変わらずぶつぶつ呟きながら作業する者達だけだった。

 誰も俺に……俺の頭に直接語りかけてくる奴なんかいなかったのだ。
 それがミラークの仕業だと気づいた時、俺は既に無力だった。
 既にミラークの術中に嵌っていたのか? それとも──

 ホワイトランの従士として、長期間砦を留守にするのは──前に色々あった事もあるので──なるべく控えるようにしている。
 だから俺は一旦、ソルスセイムからスカイリムへ戻ってきた。
 ウインドヘルムの港に戻り、ホワイトランへ向かう街道を歩いてた矢先のこと……
 風がざわっ、と強く凪いで、辺りに低音の咆哮がごぉぉ……と響いてきた。それが何を意味するかは何度も戦っているからよく分かる──ドラゴンの咆哮だと。
「ちっ、スカイリムに戻ってきて早々これかよ、セラーナ、気をつけろよ」
 振り向くと、彼女は既に臨戦態勢だった。杖を持ちながら呪文の詠唱に入っている。さすがというかなんというか。時々俺が守る理由があるのだろうかと不思議に思う事があるが、ドラゴンと戦うときの彼女は山賊のそれと相手する以上に好戦的になってる気がする。気のせいだろうか?
 ウインドヘルムを出て間もないのもあって、衛兵が数人、ドラゴンに向かって矢を射掛けている。心強いが彼らの命を無駄にさせる訳にはいかない。さっさと終わらせるしかなさそうだ。
「じゃ、いっちょ行きますか──」
 背中に背負った両手剣を鞘から一気に抜いて、俺はドラゴンに向かって叫んだ──Joor Zah Frul.
 叫びは青白い光を纏い、それは滑空しながらこちらに向かってブレスを放とうとしていたドラゴンに当たると、光はいくつにも分裂し、その翼や身体に纏わりついた。
 ドラゴンは人間にはない翼を持つ者だ、彼らが空に居る間、俺達地上の者にとって攻撃する手段は矢か魔法しかない。それを一時的に飛べなくさせるようにするのがドラゴンレンド──彼等の翼を役立たずにさせる為のスゥーム。僅かな間しか効力は得られないしドラゴンにダメージを与えるものでもないが、翼を操り自由に飛びまわれる能力が封じられるのは、翼を持たない人間にとって対抗手段なのだ。
 放った“叫び”によって生み出されたものに身を封じられ、きりもみ状態になりながら耐え切れず、ドラゴンがどすん、と地上に降り立った──正確には倒れこんだ、のが合ってるが──直後、衛兵達が一斉にその身に向かって剣を突き立てる。
「ドラゴンめ、死ねぇぇっ!」
 衛兵の一人が鬨の声を上げながら鱗に刃を食い込ませた。剥がれ落ちた鱗の間から血が流れ落ちる。シャウトは一時的拘束しか出来ない故に、ドラゴンは何度か再び上空に舞い上がったりしたものの、その都度叫んで地上に降りては総攻撃されるうち、体力が尽きてきたのか、飛ぶ事をやめて首を回しながらブレスを吐きかけるだけになった。ここまでくればあと少しだ! 
 俺は剣の抜き身を水平に持ち変え、右手で柄を、左手は柄頭に添えて押し出すような格好にし、一気に走り出した。
「これで終わりだ……っ!」
 所々剥がれ落ちた鱗の間に一気に剣を食い込ませる。叫びとも怒りともとれるドラゴンの咆哮。強靭すぎる体力に一気に致命傷を与えようと、尚も剣を食い込ませた。鮮血があふれ出し、顔や鎧に返り血を浴びる。
 突き刺される痛みに対してなのか、ドラゴンはオォォ……と地響きに近い咆哮を上げ、ふっ、と力尽きたように首の力を失った直後、ずどん、と地面に叩きつけて絶命した。
 倒したと分かった衛兵達が、喜ぶように声を上げる。やれやれ。やっと終わったか。あとは魂を吸い込むだけ……?
 なのに、目の前のドラゴンの死体に変化がない。いつもならドラゴンの鱗や肉体が、燃え上がりつつ無数の光の矢となって俺の身体の中に入っていくのに、入っていかないのだ。
「えっ……?」
 周りに残っている衛兵も、俺の傍らに立っているセラーナも、奇妙な顔をしていた。ドラゴンが肉体のまま倒れているからだろう。しかしこの中で一番俺が驚いていた。思わず自分の手を見つめる。
「な……何で、魂が」
 その時だった。
 ぞくっ、と悪寒が走った直後、俺と、死んだドラゴンの中間に黒ずんだ光が現れたかと思うと、みるみるうちにそれが人の形になっていく。やがて現れたのは──
「……ミラーク?」
 奇妙な仮面、目にしたことないローブを纏った姿で──あの時、別次元に行ったときと同じ姿だ──“ミラーク”は現れたのだ。しかしそれは俺だけにしか見えないようで、セラーナも、衛兵も突如現れた彼に対して何も言ってこない。
「くっくっく……ドラゴンボーン、お前が刈り取った魂、我が貰い受けよう。お前は最早、ドラゴンボーンでも何でもない。ドラゴンボーンは、我なのだからな」
 言いながら、片手をドラゴンの亡骸に向けると、肉体が瞬時に骨と変わり、無数の光は俺ではなく、ミラークの体内に入っていくではないか。
「てめぇ、何しやがる!」
 言いながら、俺は手にした両手剣をミラークに向かって一気に振り下ろした──のに。
 剣は彼の身体をすかっ、と貫通した。大きく振りかぶった為、体勢を崩した俺はよろめきながら剣と同時に地面に倒れこんでしまう。
「って、っ……な、何で……」
 重装鎧を着込んでいるため、簡単に立ち上がることは出来ない。倒れこんだままなおも俺は剣を突きつけるが、ミラークは涼しい顔(実際に顔は見えないのだが)で、
「ふん、お前みたいな中途半端のドラゴンボーンに何が出来る。魂は無駄にはさせん。大事に使わせてもらう……またドラゴンを狩った時も宜しくな」
 そういい残し、現れた時の行動を逆再生するように消えていった。彼が消えると、続いていた悪寒がすっと消えてなくなる。

「ジュリアン、何故倒れてるんですの?」
 セラーナの声に振り向くと、彼女は俺を見下ろしていた。彼女も、衛兵達も怪訝そうな様子だった。どうしたんだ?
「……ドラゴンの姿が一瞬にして骨になったのは見たんですけど、あなたの身体に魂は入っていきませんでしたし、あなたは地面に倒れていますし……何かあったんですの?」
 セラーナの疑問で、衛兵達も訝しげに俺を見ている理由が分かった。
 いつもなら「ドラゴンの魂を吸い取ったの?」とか「こんな光景は初めてだ」とか言う衛兵が黙ってこっちを見ているだけなのは、彼らもまた、俺がドラゴンボーンだからその魂を吸い取る瞬間を目にしたかったのもあるのだろう。
 でもそんな事どうだってよかった。
 胸に痛みを伴いながら、俺の身体で息づく魂が入ってこない。
 それはつまり、俺がドラゴンボーンとしての存在すら否定される事に成りかねないのだ。
 何でこんな事になっちまったんだ……あいつは一体何者なんだ? 何故俺から魂を奪う?
 ソルスセイムに行っても分からなかった答、そしてまた今現れたミラーク、勝手に奪っていったドラゴンの魂。
 答えが何一つ分からないまま、俺は驚愕していた。
 自分自身の存在理由が分からなくなるほどに───……


 というのがどーしてもどーしても書きたくて日曜夜中にブログを更新しちゃいましたw
 ども。ドラゴンボーン、面白いですね。いやーめっちゃ面白いです。相変わらずまだ何もしてないんですけど(ぉ
 でもまあ、メインは1章終わって次のほうにはいってます。スコール村にも行きました。でもそっから先のはまだやってませんwとりあえずレイブンロックのクエを地道に細々とやってますw
 
 こう、魂が吸い取れなくなるとか二次創作意欲が沸き立つネタ投下で中の人大喚起(オイ
 まあ自キャラどばきんさん(ジュリアン)はドラゴンボーンと呼ばれることに面映さを感じて逃げ出したくなると設定してますけど、それでもやっぱり今まで魂を肉体に取り入れながらシャウトを開放してきた身分ですから、吸い取れなくなる=開放できなくなるという事も成り立ちますし、ドラゴンを倒してそれを糧と出来る唯一の定命の者(現世では)ですからして、やはり喰うこと出来なくなれば彼の存在意義は無くなる訳です。そうなれば自ずと世界は彼を必要としなくなります。
 勿論ドラゴンが居なくなって全てが眠りについてしまったときでも在り得ることではありますが、それとは別で、この場合だとミラークが分捕ってしまう訳で、彼の手柄を横取りされるみたいなもんですから、しかも目前で誰もが見てる所で魂を食うというパフォーマンスなくなれば、やっぱりどばきんさんも焦るとは思うんですよ。「あれ? 俺、魂食べられないよ?」って。
 しかもアルドゥイン倒して(倒したと前提してやってます)ますから、一応英雄扱いではあるのに突然その能力を失うとか、二次創作的には面白い部類には入るわけですよ。いやーベセスダさんさすがですね。
 まあこの魂分捕られたってのがいつまで続くのは全く分かりませんけど、
 これをネタに一本くらい小説を書いてみたいもんですなあ。漫画でもいいけど。

 そういう中の人の喚起(どばきんにとっては絶望してグリーフシードに変わってもいい位かもしれんが)が少しでも伝わっていただけたら本望です。

 ではまた次のブログ更新日に。

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04.11.02:07

寝覚めは最悪? それとも最高?

久しぶりに呼ばれたと思ったらこれだ……
 一人内心でごちりながら、踵を返す。
 そのままドラゴンズリーチを辞し、外に出てみると既にとっぷりと夜が更けていた。……とりあえず今夜はブリーズホームに泊まった方がよさそうだ。明日は朝早い。遅刻する訳にもいかない。
 それに、今彼女はそこで俺の帰りを待っているだろうしな。

「あら、お帰りなさい。急ぎの用…って、何でしたの?」
 ブリーズホームの扉を開けると、目に飛び込んでくるのは煌々と燃え続ける暖炉と、その脇に置かれてある調理用のポット。そのポットの中身を掻き回しながらではあるが、セラーナが俺の帰還をねぎらってくれた。鍋の中身はなんだろう。鍋といってもスイートロールから肉のグリルまで出来るシロモノだから、掻き回している様子でも実際は作っているのはシチューとかではないかもしれないが。
「ああ、明日……従士としてやって欲しい仕事があるんだとよ、この時期はほら、農家はいっせいに種まきやるだろ? それで首長も毎年参加するってんだけど、従士も参加して欲しいって、そういうことさ。めんどくせーな」
 苦笑を浮かべながら、俺はセラーナの背後に回ってしつらえてある背の低い椅子に腰を下ろす。椅子は暖炉の火であたたまっており、腰をおろすとじわりとその暖かさが鎧越しにも伝わってきた。
「ああ、そういえば、今月は蒔種の月でしたものね。──で、ジュリアンは何をするんですの?」
 鍋を掻き回しつつ、セラーナが顔を背後に向けて声をかけてきた。俺はサイドテーブルに置かれてあったミードの瓶を取り、蓋を指で弾き飛ばしてそのまま直接口に含む寸前だったので若干お預けを食らった気分になる。
「……さあ? 俺も種まきやれっていうのかね。そんな訳でさ、明日は朝早いんだ、だから今夜はヘリヤーケン・ホールじゃなくてここで一泊していくつもりだけど、いいか?」
 セラーナに反対意見など出るはずもなく、彼女はすんなりいいですわ、とだけ言ってから掻き回していた鍋の中身を器によそって寄越してくれた。中身は何かというと、ホーカーの煮込みのようだった。勿論ホーカーの肉なぞホワイトランの肉屋で売ってる筈もないため、荷袋かどっかから漁ったのだろうが、食べても大丈夫か、これ?
 試しにずずっ、と啜ってみると肉の出汁が効いてるのと味がやたら塩気が効いていたのもあってむせてしまう。……こりゃ塩漬けしたままの肉を直接鍋に放り込んだ気がしなくもないな。やはりセラーナに台所仕事は務まりそうもなさそうだ。お姫様だから仕方ないけど。
「と、とりあえず明日は朝早いんだ、そういうことだからさセラーナ、指定の時間になったら俺を起こしてくれないか?」
 さりげなく器をサイドテーブルに置いて、手で持ったままのミードを一気に喉へと流し込む。塩気でひりひりしていた口内にミードの味は逆効果だったようで、ひりひりがじりじりへと変わるのにそう時間はかからなかった。
「ええ、かまいませんわよ、私は寝る必要ありませんもの」
「じゃあ、どんな方法でも構わないから起こしてくれ、……どんな方法でも、って言ったけど吸血攻撃だけは勘弁な」
 一応、念を押してみると、どうやら心外だったようでセラーナはややむっとした顔を浮かべ、
「寝込みを襲うとでも仰りたいんですの? あなたならともかく、私は寝込みを襲うような教養受けておりませんの。勝手に決め付けないでいただけますこと?」
「ちょっと待て、俺ならともかく、って何だ。俺がいつ寝込みを襲った? というか、寝ないセラーナをいつ襲うというんだ?」
 至極当たり前の意見を言ったつもりだったが、
「あら、数ヶ月前に私の寝顔をじっと見ていたのは何処の誰ですの?」(※)
 思わぬ事実を突きつけられた。勿論うろたえない筈がない。──ちょっと待て! 何でそれを知っている!!
「……と、とにかく、明日は朝6時に起こしてくれ、分かったな?」
 反論が見つからず、うろたえた状態のまま俺は捨て台詞のようにそういい残し、逃げるように二階へと階段を駆け上がった。どたどたと大股で歩きながら寝室に入り、そのまま鍵をかける。扉を閉めたところでようやく自分のしでかした過ちに気がついた。別に逃げなくてもよかったんじゃないか、と言うことに。
「何やってんだ、俺……」
 ……まあ、思わぬカウンターを食らった感はある。けどそれはつまり、セラーナは寝るといっても横になるだけで意識は起きたままって訳か。あの時何もしないでよかった。
 こんな事になっちまったけど、明日はセラーナ起こしてくれるだろうか……
 考えても仕方ないと思い至り、やや早い持間ではあるが俺はベッドに横たわった。塩気の効いたシチューを一口しか飲んでないせいもあって、寝付けるまでに時間がかかったが。

 まどろみながら浅い眠りを繰り返していたせいで、意識はぼやけているものの、身体はしっかり休めておらず起きられそうになかった。
 やがて、がちゃがちゃと扉を弄る音、そしてそのすぐ後に開く音が耳に入ってくる。セラーナか? ちゃんと起こしにきてくれたようだった。でも俺は寝ていたいし、昨日の事もあってセラーナに意地悪をしたい気分でもあった。あんな事がなければ素直に起きれたかもしれないから尚更。
「ジュリアン……時間ですわよ」
 控えめがちに言うセラーナ。やや小声だったため起こす為に呼んだのではないのでは、と錯覚する。勿論これで起きる(俺は目が覚めてはいるのだが)筈もないと踏んでいたのだろう、
「ジュリアン、朝ですわ」
 ややトーンを上げて呼んでくる。勿論起きない。セラーナがじれったそうにしているのを想像すると思わずにやけてしまいそうだった。
 声じゃだめだと判断したらしく、彼女のひんやりした手が服越しではあるが俺の胸に触れた。どきりとする。いかんいかん、寝たフリをしなければ。
「起きないと遅刻してしまいますわよ、ジュリアン」
 ひんやりした手が胸から腕へとずれ、掴むように動かすものの勿論起きない。彼女がどういう表情しているかを見れないのはもったいない気もする。
 すると、セラーナの手が俺から離れた。どうしたんだ? と思うものの勿論目を開けるわけにもいかず、じっとしていると、それは突然飛び込んできた。直接俺の耳に。
「……私をこんなところに置きざりにして何処に行ってるんですの? いつまでも置いていけると思わないでもらいたいですわね。母の元に帰ってもいいんですのよ?」
 彼女の吐く息が俺の肌に触れ、直接声が耳に飛び込んできたせいもあって俺は思わず飛び起きた。飛び起きるしかなかった。
「な、何……言って」
 顔が赤くなるのを止める事はできず、昨夜同様うろたえる俺に、セラーナは意地悪そうににっこり笑みを浮かべ、
「あら、起こしてといったから起こしたまででしてよ? それよりも急いだほうがよろしいんじゃありません?」
 言いながらちらり、と時計のほうへ視線をずらす。つられて俺も見ると──赤らめていた顔が一気に青ざめる。とっくに6時をすぎており、分針はやや下へ傾きかけていた。
 今から慌てて支度して飛び出しても間に合うか……? いや、それよりも遅刻した事で従士剥奪されたりやしないだろうな? などと最悪の事態が次々頭に浮かんでは消えたが……それよりも、言うべき事がひとつあった。
「さっき言った事、本心じゃないよな? ……何処にも行くなよ」
 ベッドサイドにおいておいた鎧下に腕を通しながら、彼女のほうには顔を向けず、ぽつりと言う。それが精一杯だった。
 しかし……そんな俺の内心を見透かすかのようにセラーナは困ったような笑みを浮かべ、
「あら、そんな事言って、私を置いていくのはいつもあなたの方でしてよ?」
 言われて初めて、そこではたと気がついた。
 ──ゆうべ俺がドラゴンズリーチに呼ばれてた間、彼女はこの家で一人きりで居たのだ。仕方ないとは思っていても置いていかれたと内心感じていたのだろう。だとしたら彼女が昨夜、あんな事を口走って挑発してきたのもそういう気持ちの裏返しだとしたら。
 やれやれ、と苦笑を浮かべるしかなかった。俺もまたそれに釣られてしまい、彼女の内心を汲んでやる事をしなかった。さっきだって──結果自分の首を絞める事とはいえ──意地悪してしまったし、このままここにまた置いて出かけるわけにもいかないな。
 俺はセラーナに向かってすっ、と手を差し伸べた。
「置いてなんかいかないさ……姫君。俺と一緒に行こう」
 今度はじっと彼女を見据え、本気なんだと伝わるように彼女の瞳を見つめながら伝えた。
 セラーナは最初驚いた様子だったものの、そこまで言うなら仕方ありませんわね、とぶつぶつ照れくさそうに言いながら、目の前に立っている、彼女を守ると誓った一人の騎士の手を取った。
 

※14年1月辺りに書いた「寝るときもあるのだと」を参照。
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 乙でした。あああああああああああもう寝る時間杉まくって何書いてるんでしょーね。
 毎回毎回毎回毎回小説もどきでプレイ日記とか書いてますけど、今回はちょっと趣向が違います。
 この話の元ネタはツイッターのフォロワーさんとセラーナたんの話で盛り上がったとき、フォロワーさんが目覚ましのアラームをセラーナの台詞にしていると朝苛々せずに起きれた、って話から膨らんで出来たものです。なかなかに朝から興奮しますねウヒャヒャと変態まるだしで話してましたが(笑)こうやっていいネタがひとつできました。この話はフォロワー様にささげようと思います。まあ相手がジュリアンさんで申し訳ないですけどorz

 で、相変わらず騎士プレイのジュリアンさんですが、ちょっと騎士装備を変えてみました。

 この鎧MODも中世騎士っぽくてかっこいいです。前に導入はしてたんですけど、した当初は首が埋もれて嫌だったんですけど、前まで使ってた鎧も似たようなもんだったので慣れました(笑)

 等身でぱちり。
 この方の鎧MODはどれもかっこよくて好きです。次回の日記にMOD紹介とかできたらと思います。今日はもう寝る時間大幅に過ぎてるのでご容赦ください(涙

 久々のSkyrim日記でした。やっぱスカイリムは楽しい。ESOも楽しいけどESOにはないものがある分スカイリムに戻れるとほっとします。ネトゲは色々敷居が高くて人と滅多に関わりたがらない(コレには理由があるのですが……)中の人には辞めた方がいいんじゃねーのと思いますが、一人黙々と今後もやっていくと思います^^;

 ではまた来週。

4/11 若干加筆・修正を加えてあります。

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03.30.00:28

小説仕立てでMODを紹介してみる ─It beats for Her─

「ずっと探してたんだ、あんたに直接渡したいものがあってね」
 その言葉は、いつも俺をトラブルへと直接繋げさせてくれる、きっかけの言葉だった。
 そしてそれは今回も違わず、俺をトラブルへと差し向けてくれる──

「ちょっと待ってくれ」
 渡そうとする配達人の手を止めるように俺は手を翳した。相手は何だ、と不満そうに眉を顰めてこちらを見る。
「本当に、俺宛なのか?」
 配達人は、何だそんな事、とでも言いたそうに肩をすくめて見せる。
「……間違いなくあんた宛だよ。こっちは早いところ仕事済ませて戻りたいんだ。さあ、受け取ってくれ」
 荷袋から封書を取り出し、翳したままの俺の手にぐい、とそれを押し付けた。配達人というのは何でこうも乱暴なのが多いのか。前にもこんな事をさせられた気が──
 仕方なく封書を受け取ると、じゃあもう行く、と言って配達人はそそくさと立ち去っていった。
 ……で、今回もあっけなく受け取っちまった訳だが。開けないで放っておくべきか、開けて中身を確認するべきか──
「どうしてジュリアンはすぐ手紙の中身を改めないんですの?」
 横からセラーナが俺の思考に割り込むように口を挟んでくる。彼女は知らないのだ、俺が過去何度となく配達人の手紙で翻弄されてきたか。
 ここで黙って抱えてる荷袋に封書を放り込む事だってできた、しかし彼女はそれについてすぐ咎めるだろう、何故見ないのか、と。
 しばし逡巡した後、諦めて俺は封書を開けた。
 それが──後味の悪い結果を招く事と知らずに。
※今回の小説仕立てシリーズは完結まで書いております。なのでこのクエストMODをやりたい方は最後まで読まないほうがいい事をオススメします。

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