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SkyrimとFallout4・76の二次創作メインブログです。 たまにMODの紹介も。
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05.07.23:58

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  • 05/07/23:58

05.23.00:21

溺れる者(承前)

 ……意外なものをいただいてしまったな。
 鍵を開け、中へ入る。部屋の構造は知っていた。何故なら俺はここに一度忍び込んだ事があるから──

「よくやってくれた。あなたは私を、ひいてはレイブンロックをも救ってくれた者なのだ。心からお礼を言わせてもらいたい。本当にありがとう」
 椅子に座ったままではあるが、レイブンロックの顔役としての立場であるレリル・モーヴァイン──一般的にはモーヴァイン評議員と呼ばれているらしい──が俺に対して深々と頭を下げてくれた。
 何故この町の首長といっても変わらない相手から頭を下げられたか、というのは勿論理由があって、彼の補佐役のエイドリル・アラーノから頼まれた一件がきっかけだった。
「モーヴァイン評議員の命が狙われている。ウレン家の者がここ、ソルスセイムに入り込んでいるらしい」──
 ウレン家ってのは、モーヴァイン家にとっては因縁の相手だそうで、それは現評議員が来る前からの間柄らしい。獅子身中の虫に他ならない相手がレイブンロックにいるらしい、それを探して暗殺を阻止せよ、というものだった。
 で、それを俺が──正確に言えば俺とセラーナが──解決して見せたわけだ。ウレン家の事が気になって夜も殆ど眠れずじまいだったエイドリルも評議員も、これで安心して眠れる、と軽口叩いて笑えるくらい、俺が報告した後に彼等の顔は晴れやかだった。相当ウレン家の事が気がかりだったのだろう。
「そこで、君への報酬なのだが……」
 評議員が報酬の話をしてきたところで、きたきた、と内心待ってましたとばかりに思うが勿論口には出さない。
「お金でもいいと思ったんだが、命を救ってくれた恩人にそれもどうかと思って、例の……セヴェリン邸だったか、彼等の私物は全て処分しようと思っていたのだがな……それよりも前に、君は確かスカイリムから来たとかエイドリルから聞いたが……?」
 そうだ、と言うと彼の顔はぱっと明るくなった。そして言ってきた事は予想外もいいところで。
「なら、あの家──セヴェリン邸を君に預けようじゃないか。中にあるものは好きにしてくれて構わない。レイブンロックの住人として、この町に末永く住んでいただけたら幸いだがね」
 え?
 思わず目を丸くした。報酬が家一軒? てっきり現金で、って思ってたからややがっかりはしたが、レイブンロックで寝泊りする手段はレッチング・ネッチしかなかったから、ずっとあそこを定宿にしていた。宿代はこれから払わずに済む分、路銀が減らなくなるだけましか、と心の中で納得した。
 報告に戻ったのが夜も更けた頃だったため、話はそこで打ち切られた。評議員は俺にセヴェリン邸の鍵を渡したのち、久しぶりの安眠を貪るべく、上階へと上がっていってしまったため、やむなく評議員の家を辞する事となった。

「あの家が俺の持ち家になったって訳か。意外なものをいただいちまったな」
 鍵を指で弄びながら、誰とはなしに話しかけるとセラーナがその後を引き取るように、
「よかったんじゃありません? ジュリアンの働きが認められたって訳ですわよね?」
 まぁそういうことも考えられるか。とりあえず今夜は遅い。せっかくだからこのままセヴェリン邸に向かった方が賢明だろう。
 モーヴァイン評議員の家を出て、そのまままっすぐ市街地を進み、やがて市街地を離れると外れの方に家──一軒家というよりシェルターのような言い方のがあってるかもしれないな──が見えてきた。ここがかつてウレン家の一族の一人が隠れ住んでいたセヴェリン邸だ。
 鍵を鍵穴に差込み、ぱちんと音を立てて錠を下ろすと、扉は難なく開いた。
 一人では住むのはやや広すぎだな──などと思いながら俺はセラーナと共に屋内へ入っていく。


-------

 すいません、今回イベント前でかつかつですけぢゅーるがもういっぱいいっぱいで、コレくらいしか書けませんでしたorz
 でも定期更新日に穴を開けるのはどうしてもできず、またこないだ同様承前形式でお送りしてしまいましたがorz

 今回書いた部分に続きの部分の伏線が少し張られてます。果たしてどこが伏線なのか楽しみにお待ちください(誰も待たないよ・・・

 ラミカ絵がまだ完成しておらずそんな中週末突入するのできつい><;
 日曜日には無事に完成していると思われますので、興味がある方は是非遊びにきてやってください^^
 遠くていけないよ、って方はもし買いたいとかでしたらご要望は受け付けます(そんな奇特な方がいるとは思いませんが・・・。)w

 では今回は短くてすいませんがここまで。
 続きは早めに書きます。どうぞよろしく。

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05.18.23:40

出会いそれを運命とは呼びたくない

「お前は……お前の道を往け。決して後ろを見るな。後ろを振り返るな。
 決して親父さんの仇を討とうなんてなんて考えるな。お前が無駄死にしちまったら、俺はあの世でジェイムズになんて顔して会えばいいんだ? いいな?」

 ……そして、その言葉を最後にして数日後、俺の養父は亡くなった。
 第四紀、帝国の権威が失墜し始め、タムリエル全土が不安定になりつつあった最中、ヴァレンウッドのボズマーと手を組んだアルトマー──俗にハイエルフと呼ばれる種族──がアルドメリ自治領を形成し、帝国に白金協定を結ぶために起こした大陸中の小競り合いの一つに巻き込まれて──

「……ァン、……リアン」
 誰かの声が微かに耳に入ってくる。目は開けないまま、その声に耳をそばだてていると、今度は間近で発したようですぐ上のほうから聞こえてきた。
「ジュリアン、起きないんですの? いつまで寝ているんですの?」
 目は開けなくても、その声が誰のものかはすぐ察しがついた。しかしこのまま狸寝入りを決め込んでも俺を起こそうとしてくるだろう、仕方なく俺は目を開けた。
 開けてすぐ目に飛び込んできたのは、宿屋兼酒場の「レッチング・ネッチ」の無味乾燥な天井だった……がすぐに、ひょい、と身を屈めるようにしてこちらを見下ろす女性の姿が視界に入ってくる。逆光でやや顔は暗くなっているがそれが誰かはすぐ分かった。
「……セラーナか」
「セラーナか、じゃありませんでしてよ? 何日寝れば気が済むんでして? もうとっくに朝過ぎておりますわよ?」
 言ってから呆れた様子でふん、と鼻をならしてくれる。相変わらずの口調に俺は苦笑を浮かべるしかなかった。
「そうはいってもしょうがねぇだろ、ハルメアス・モラの本の世界を旅して戻ってきた時には瀕死状態だったんだからさ」
 正確に言えば瀕死といっても体力が限界まで消耗してたとか、傷だらけだったとかではない。オブリビオンの異質な世界を歩き回ったのと、ハルメアス・モラの世界は歩くだけで気力を消耗させてくれる罠がいくつもあった。あのどろどろした怪しい水に触れるだけでスタミナが減り、そんな状態で触手が襲ってきては体力と気力を一気に持っていかれる。手持ちの薬が底を尽きかける所でようやく最奥部まで辿り着けたのだ。もっともそこで待ち構えていたのは、そこまで相手してきた奴とは段違いの強力なモンスターだったが。
 そんな状態で本の世界から戻ってすぐ、俺は倒れた。いろんなことがあって精神的にもやられていたのだろう。フリアが戦士だったおかげもあって、俺の図体を持ち上げ、スコール村まで運んでくれた。しかしそこでは満足に休めなかった──何故なら村人ほぼ全員が、ミラークの術中に嵌り、日夜関係なく神殿の復興に狩り出されていたからだ。
 目が覚めた俺はセラーナと共に一旦レイブンロックへ戻って、定宿にしているレッチング・ネッチへ戻ってすぐ再び寝込んで今に至る──というのがこれまでの経緯だった。本の世界から戻って既に三日は経っていた。
「……けど、二日もあなたは寝てましてよ? そろそろ何か食べないと身体が悲鳴を上げる頃じゃありません?」
 二日も寝てたのか、と思うと同時に腹が催促するかのように低い音を鳴らす。身体は正直だ、俺の心とは裏腹に。
「言わないことありませんわね」
 セラーナがくすっと笑うと、俺はばつが悪い顔を浮かべながら身を起こしてベッドから起き上がった。
 ベッドサイドに置かれている小ぶりのテーブルには器の上に既に冷め切ったクリーム煮が置かれてある。その隣には牛肉か何かを焼いたロースト数枚と小分けに切られたパンが、違う器に盛り付けられてあった。彼女が置いてくれたものだろう。
「気が利くな、ありがとう」
 椅子に座ってパンを齧ると、待ってましたとばかりに身体が食欲を訴えかけてくるので、そのまましばし食事にありついた。起きてすぐに飯を食べるってのも行儀が悪いような気もするが。
「恐らくそういうだろうと思ってのことですわ。長い付き合いですもの」
 事も無げにさらりと言って、彼女は水差しからジョッキに水を注いでテーブルにおいてくれる。給仕のような事をさせてしまって申し訳ないな、と心の中で謝った。

「本の世界で何を見たか、何を得たか話してなかったよな?」
 一通り腹ごしらえを済ませ、脱いでいた装備を整えた後、黙って装備を整える俺を見ていたセラーナに顔を向けて話しかける。
 彼女は黙って首肯してみせ、「ええ、本から再び姿を現したかみなかであなたは倒れてしまったから」
 その通り。部屋を出て、宿屋を出るまでに俺はアポクリファに入り込んだ事、そこでハルメアス・モラが俺に話しかけてきた事を話した。
「力の言葉──それはシャウトだったんですのね?」
「ああ、そうだ。そこに行き着くまでに色々見たんだ、そりゃもう、俺の出生から今までの経緯、全てをね──」

 アポクリファの中には書籍が渦を巻いていたり、本が無造作に地面に投げ落ちてあったり、不気味に薄暗かったり、全ての建物は本と紙で形作られてたりと、とても奇妙で、異様だった、
 通る道に無造作に落ちている本を手に取れば、背表紙も題名もない本で、それを開くと頭の中に記憶が飛び込んできた。
 今までの俺の経緯、スカイリムに来る前、俺が親父に連れられて世界中を旅していた時、名前も知らない母親と一緒に居た時──
「最初は気味悪くてさ、うわって思ってすぐ本を手放したよ。けど、一度手から離れると本を勝手に消えちまうんだ。地面に落ちる事もなく、な。不思議な光景だった。本の中は文字が躍ってるし、それなのに開くと頭の中に光景がばって浮かんでくるんだから」
 過去と未来、ありとあらゆる知識をたくわえておく無尽蔵の書庫──それがアポクリファ。探せばどんな事も調べられるだろう。無限の知識、金銀財宝の在り処、そして未来──星霜の書、エルダースクロールも同じ要素を持っていた筈だが、あれは読むのと同時に目をやられたり何らかの代償を伴う。その点、アポクリファは誰でも知識を得る事が出来るだろう。探す気力があれば、だが。
「そこでさ、記憶の中の親父に会ったんだ。俺がまだガキの頃……」
 父親は得体の知れない化け物に殺され、養父が俺の手を引いて、俺をいっぱしの傭兵に育て、そして──死んでいった所まで鮮明に。
「一人でシロディールを回ってた頃のことも、スカイリムに来たときのことも、冤罪で俺が斬首されかけた時のことも、しっかり見せてくれたぜ……なんたってそんなの見せるのかね、ハルメアス・モラは」
 さあ、と言う風にセラーナが肩をすくめて見せ、
「……で? 記憶の中の父に会えてどうでしたの?」
 予想外の事を聞いてきた。どうって言われてもな、と返答に逡巡するが、一つだけ思い出したことがあった。さっきも見ていた夢の事──
「親父よりも、養父との付き合いのが長かったからかな、養父が死ぬ数日前に話してくれたことを思い出したよ、親父が何故死んだのか、そして俺にどう生きて欲しいか、って」
「どう生きる?」鸚鵡返しに問いかける。
「親父の仇を討とうとするな、無駄死にするな。ってさ。でも……養父のアランはそう言って数日後に戦死しちまったけどさ。
 俺はその遺言を守らなかった。守らないで、仇を探し続けていた。それがスカイリムに居るんじゃないかって話を聞きつけてやってきたら、ストームクロークを一網打尽にしようとすべく待ち構えていた帝国軍に捕らわれちまったけど」
「何故守らなかったんですの? 遺言なら尚更守るべきではありません?」
 当然の質問だ。彼女が聞き返すのは無理もなかった。勿論俺はその答えを持っている。
「仇を討つのが俺の人生だと思ってたから」
 今は違うがな。と心の中で付け加えておく。
 レイブンロックを出て、そのままあてどなく海沿いを歩いていた。黙ってセラーナも後に続いてくる。
「……じゃあ仮に仇を討ったら、ジュリアンは死んでしまうつもりでしたの?」
 声のトーンをやや下げて問いかけてくるセラーナ。今もそう考えているのか、というニュアンスが込められた感じだった。それは違う、と俺は首を横に数回振ってみせる。
「それはない。今となっては俺が定命の者に関わらず龍脈を持つ者、ドヴァーキンとしての力を覚醒させてしまったけど、それがあろうと無かろうと、俺は仇を討ったら死ぬなんて考えはなかったよ。まあその後の事は考えてなかったし今も考えちゃいないけどさ。
 養父は後ろを向くな、って言ったけど、俺は後ろを向いて生きていたおかげでスカイリムに着いたんだし、そうじゃなかったらアルドゥインに遭う事も、ドヴァーキンとしての力を得る事も無かったんだ。勿論セラーナ、君を目覚めさせる役にもなれなかっただろう。
 ──そう思うとさ、養父は親父の仇を討とうとなんて考えるなって言ったけど、あれは多分、自分が死ねば俺がそうするだろうと踏んで念を押してきたんだと思う。その時から……親父が得体の知れない何かに殺された時から、俺が傭兵として生きる道を選んだ時から、全てにおいてスカイリムに、アルドゥインと対峙する道が敷かれたような気がするな。──ミラークと出会う事も」
 風がざあっ、と凪ぐ。灰を混じらせた風は風上に顔を向けるだけで灰の細かい粒子が飛んでくる。俺もセラーナも海側へ顔を向けて、混濁した海のせせらぎを見ていた。
「……俺の宿命なんだ、って気づいたよ。過去を見せる事は、原因を思い出させる為じゃない、目的を再び思い出させる為じゃないか、と」
「あら、そんな事も気づかなかったんですの? ジュリアンはドヴァーキンとしての自覚が随分足りないんですのね」
 痛い所を突いてくる……、所在なく頭をがりがり掻くしか出来なかった。
「ウルフリックが、別れる間際にあなたに言った事を覚えていまして?
『どこかであなたの力を欲している場所があるはずだ、そこへ向かうがいい』とか言いましたわよね。
 ジュリアンの力は一人の力じゃないんですのよ。今この時で、あなただけしか持っていない大きな力。ウルフリックもシャウトを得た人でしたけど、彼はあなたのようにドラゴンの魂を力に変える能力もないし、瞬時にシャウトを放てる力もない。
 一人だけでは押し潰される位の力をジュリアンは持っているんですのよ。忘れないでいただきたいですわ」
「忘れてなんかいないさ」再びざあっと風が凪いだ。声を掻き消そうとデモするかの如く。
「忘れちゃいけないんだ。だから俺は力を得た。ミラークに抗する力を得る段階に来れたんだ。セラーナ、見ていてくれよ」
 え、と彼女がこちらを見る。俺は静かに息を吸い込み、吐くようにして“叫んだ”──Mul Quh Diiv.
 叫びと同時に見えない力がぶわっ、と俺の身体に纏わりつき、それはやがてドラゴンソウルを吸収するときのように輝くと、赤く、青く光は収束し形を形成していった。頭にはドラゴンの角のような突起物が二本ついて、身体の部分は鎧のような形へと変わったところで輝きは収まったが、なお身体に纏わりつく光は動きを変えて守ろうとするように動いている。
 セラーナは目を丸くして俺の容貌が変わるのを見ていた。やがて変化が止まった所でようやく口を開き、
「……てっきりドラゴンにでも変身するのかと思いましたわ」
 と、にべもない返事。相変わらずだな、と俺は苦笑を浮かべながら、
「でもミラークもまた、コレと同じものを使ってた。俺は彼を見たんだ。アポクリファの中で……まあ、見失っちまったけど」
 そう、見失った。ドラゴンに乗ってどこかへ飛んでいったのだ。俺を相変わらず中途半端な奴と言い捨てて──
「けど、もう中途半端なんかじゃないさ。そして俺の宿命からも逃げたりはしないよ。もしここで逃げたりしたら、ハルメアス・モラに何言われるか分からんしな」
 ははっ、と笑うと、目の前に居る彼女は安心したように口元だけを歪ませて笑った。
 忘れてはいけない事はたくさんある。親父の仇を討つ事だってそうだし、養父に言われた事を破って今ここにいるという事も忘れちゃいない。
 けど、俺には戦わなければならない宿命が出来た。守るものを守らなければならない運命が掛かっている。俺の双肩に。
 逃げる事も出来た、けどこの力は俺だけのものじゃないんだ。セラーナも居る。スカイリムに住む人も居る。ソルスセイムに住む者達も。
 ミラークは言っていた。いずれソルスセイムを支配し、タムリエルをも、と。そんな事を許してはいけない。ドヴァーキンの力は強大だ。セラーナが言ったようにヒト一人の力では有り余る強大な力をコントロールするのは並大抵の事じゃないし、強大さ故に押し潰されてしまう。
 ミラークが何故、ドヴァーキンとしての力を支配に使おうとなったのかは分からない。けどそれが如何なる理由であれ、支配する側にさせてはいけない。持つ者と持たざる者の溝が深くなれば、世界は混沌に陥るだろう。
 ならどうすればいいか。──持つ者が止めればいい。それが俺の宿命。導くものとしてあれ、決して支配しようと考えるな──
「……見ててくれ、父さん」
 常に腰にさしている、小ぶりのダガーの柄を指で擦りながら、俺はぽつりと風に乗せてその言葉を送った。
「何か言いました? ジュリアン」
 聞こえたのか、と内心舌打ちしながら俺はにやっと笑って、
「いいや。……そろそろ行こうぜセラーナ。スコール村へ」
 促して先に歩き出すと彼女は黙ってついてくる。そんな姿を見ながら、俺は心の中でセラーナに呟いていた。
「君と会えたことは、宿命だとか運命だとか陳腐な言い方で形式ぶるより、必然だったと思いたい」と。

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 はいはいはいはい。長かったですね。軽く書くつもりが割かし長かったです。毎回毎回×100変な二次創作書いてすいませんorz
 タイトルは最後のジュリアンの台詞に全て集約されてます。ちなみに某音楽のタイトルです。でもそのタイトルを知ってる人は読む人の中に居るかどうかはものすごく難しいですが。

 なんとかこないだの埋め合わせブログがかけました。勿論こないだの話の続きです。本から戻ってきた形ですね。創作部分がそこかしこに出てます(過去が見えるとか)。二次創作なのでユルい感じで読んでいただければ幸いです。

 何気に小説仕立てのプレイ日記ばっかり書いてますが、まあこれも個性をアピールするにはいいんじゃないかなあ、と勝手に決めて勝手に書いてます(笑)
 ただ単にこういうのがあってああいうのを見たとかじゃつまらんので、右脳だけが発達してる俺にはこうやって小説仕立てプレイ日記のほうが楽しいです。色々詰め込めるし(ただその分、自キャラと好きなキャラが全面的に押し出しててそれ以外好きな人には全くウケないってのもありますが)。
 他にないモノを作ってるつもりですw読み手も書き手も楽しんでくれればいいなあ、と。

 ではがらりと変えまして。
 こないだのブログで言ってた「アミュレット云々」をご紹介。

 作っちゃいました、マーラのアミュレット(笑)。
 作っちゃいましたといってますが、海外の業者が作ってくれてるのを知って、そこで頼んで形部分(石とかチェーンとか以外)を作って届いたのに石を嵌めたりして完成したものです。
 すごいですよねえこういうの作れるって。まあ今色々賑している3Dプリンターで作ってるみたいですが。
 来週のイベント(ゲームレジェンド20)でも身に着けて売り子ってるんで、探してみてくださ・・ってスカイリムサークル一つしかなかった(涙

 イベント用のラミカ絵はまだ現在も製作中(遅いよ
 これ無事に完成するのかな・・とりあえずセラーナたんまでは完成したので載せておきますw

 え? どばきんはって? どばきんも完成してますけど載せるのもアレだったのでセラーナたんだけで(笑)
 俺のタンブラーとかツイッターでも載せてるので興味ある方はぜひ。

 この後もスカイリムる時間を忘れて続き(後残りはムアイクとシセロ)塗らなければ・・・あと一週間後ですが、埼玉県や近場に住んでる方、ぜひ遊びにきてやってください。ノベルティチョコも用意してお待ちしております。

 では今回も長くなったのでこれまで。また木曜日に。

※5/19 若干加筆・訂正を加えてあります。

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05.16.00:26

Livre de noir

 ………ぱしゃ、ぱしゃと水が跳ねる音がする。……水? 水の音?
 いつの間にか気を失っていたようだ。けど気を失う前──俺は何処に居たんだっけか。……遺跡、そうだ、ミラークの聖堂の奥に居たんだ。そこで黒い装丁の本を手にして、それから──
 記憶がない。
 本を手にしたのは覚えている。開いたのも……そして再び気づいたら耳に入ってくる音は水の音。
 目を開ければ全てが分かるだろう。開けてみれば。……そう思っているのに目を開ける事が何故か躊躇われた。しかしここで倒れたままでいる訳にも──倒れてる? 何故? 本は何処にいったんだ?
 そう思ったらもう目を開けない訳にはいかなかった。えいっとばかりに瞼を開く。

 目の前に広がる光景は、勿論先程まで居た聖堂でもなければ、海や川の近くでもなかった。
 薄い、濁ったような緑色で覆われた空、太陽はなく、緑色の雲で空全体が包まれている。太陽は見えないのに、不思議とあたりは暗くなく、ぼんやりと明るかった。
 空から視線をずらして、俺が倒れている近くに目を移す。俺が倒れているのは硬い金属で出来た床の上だ。そこには奇妙なことに、無造作に落ちた紙切れが何枚も落ちていて、床が見えるのは一部分といったところだった。
 紙切れを拾って見てみると、全く読めない文字が書かれていて中身はさっぱり判読がつかないが、どうやらそれは書籍の紙が破り取られたかのようで、四方ある辺の一辺だけ、破かれた痕跡が見受けられた。
 更に身を起こして辺りを見回すと、通路の両側から先は床そのものが無く、濁ったコールタールのような海が水平線まで伸びている。水平線の先を見ると、よく見えないが海から垂直に伸びた黒い何かが蠢いていた。
 遠くを見ると、よくわからない塔のようなものが建てられてあるが、それらは奇妙なことでこぼこしていたり、傾いていたり、アーチ状になっていた。通路も一直線ではなく、いくつか分岐されているようだが、上半身だけ起き上がった状態のままではよく見ることが出来ない。
 とりあえずこの世界が何なのかを知るためにも立ち上がろうとした時、微か前方に何者かの姿がちら、と見えた気がした。異質の世界で人の姿を見るなんて事あるはずがない。警戒すべく両手に背負った剣を思わず引き抜き、
「誰だ!」
 と叫ぶ。しかし──声が響くだけで何の反応もない。しかし一体ここは何処なんだ?
 空も地面も、何もかもが異質な世界。恐らくここはオブリビオンなのだろう。だとしたらここは誰が支配する世界なのか、が問題だが……まてよ、本を読んだだけでオブリビオンの中に入れるだとしたら、それはもしや──
“察しがいいな、勇者よ”
 突然頭に飛び込んできた“声”──に思わずびくっと身を震わせ、素早く辺りに目を配るも、誰の姿も見えない。察しがいい、だって? つまりそれって、俺の推測があながち間違って無かったってことか?
「……お前、ハルメアス・モラ、だな?」
 油断なく辺りに目を配らせながら言うと、“声”はすぐさま返答を返した。
“いかにも。我の支配する世界、アポクリファへようこそ、ドヴァーキン”
 アポクリファ──聞いた事がある。ハルメアス・モラの所有するオブリビオンの世界で、そこにはありとあらゆる知識が詰まった世界だとか謳われていたな。
 ハルメアス・モラと対峙したのは一度だけあった。このデイドラの王子が所有するアーティファクト「オグマ・インフィニウム」をめぐる一連の事件で依頼人の変わりに俺が選ばれ、その本を手にした。けどその本は読めばすぐに消えてしまった……ハルメアス・モラの手に戻ってしまったのだ。
 それが最後だと思っていたにも関わらず、まさかオブリビオンにまで入り込んでしまうとは。──いや、違う。
「……あの黒い本は、あんたの本か?」
“そうだ。手にし開く事の許されたお前だけがこの世界へと続く扉を開く事が出来る。ここには過去、未来、そしてそなたの運命、辿ってきた道──全てが網羅し、書き記されておる。存分に知識欲を満たすといい”
 心なしか誇らしげに言うデイドラの王子。機嫌がいいかは分からないが、いつまでも俺との会話をするとも限らない。彼等の真意は誰にも汲み取れないのだから──
「教えてくれないか。何故俺だけに扉を開けるようにしたんだ? 何故俺をここに呼んだ?」
 問いかけに対して“声”は数秒、逡巡するかのような沈黙の後、
“わからないのか? 勇者よ、先程お前は何者かの姿を見なかったのか?”
 含みを持たせたその言い方に、得体の知れない恐怖を突きつけられたかのようにぞくり、となにかが這い上がる感覚が沸き起こった。知っている。俺はそいつを知っているのだ。俺の目前で魂を奪い、消えていったあいつを。
「──ミラーク……」
 独白とも取れる言葉に、ハルメアス・モラは肯定も否定もせず、
“ここにはありとあらゆる知識があるのだ。勿論──彼の者と互角に渡り合えるであろう『力の言葉』もな。勇者よ、お前はそれを見つける事が出来るか?”
 そう言い残して……頭に響いていた声が突如ふっ、と消えるのを感じた。
「待ってくれ、力の言葉って何だ? シャウトなのか?」
 慌てて声を掛けるものの、その問いに対して答えはいつまでも返ってはこなかった。肝心なときにさっさと姿をくらますとか、いかにもデイドラの王子がやりそうな事だ。
 しかしいくつか情報は揃った。つまり──ハルメアス・モラが俺をアポクリファに招いたのは、ミラークに対抗する力の言葉──恐らくそれはシャウトだろうが──を俺が得るため。ミラークが俺の事を散々“中途半端なドラゴンボーン”と言っていたのはここらへんに理由があるのあろうか。だとしたら、この世界……無限の知識が詰まったアポクリファで、ミラークへの対抗手段を得られれば、俺も中途半端とか言われなくなる、ってことか?
「……けど結局、ハルメアス・モラが俺を助ける意味が分からずじまいなんだよな……裏がなけりゃいいんだけどさ」
 手助けをしておいて手のひらを返す、なんて行為はデイドラの王子達なら朝飯前もいいところだろう。ほいほいと軽い気持ちで彼等の手を取ればしっぺ返しが膨大なものになってしまった、なんてのを俺は何度もこの目で見てきた。迂闊に信用していい相手ではないのだ。
 ──けど、今の俺には他の選択肢など持ち合わせていないのも事実。
「進むしかないか……」
 剣を手に取り、前に進み始める。歩いてみて気づいたが、床の下は地面かとおもいきや、地面そのものすらなく、水の上に通路が浮いた上体で敷かれてあった。もっとも、水と言うには申し訳ないくらいで、底が見えずてらてらと妖しく光る水面は見ていて気持ちのいいものではない。
「オブリビオンってのは何処もこんな崩れた感じだもんなぁ……」
 両手剣を片手で持ちながら、通路の際を歩きつつ水面を見ようとした矢先のことだった。
 突如水中から現れた黒い触手が俺に襲い掛かってきたのだ。はっと気づいた時には、思わず身を守るようにして剣を構えたその刀身に触手がぶつかっていた。剣を離さまいとしっかり握っていた手にぶつかった振動がじん、と伝わる。
「つっ……!」
 衝撃に耐えられず、たまらず手から剣を離してしまった。かしゃん、と金属音を立てて剣が落ち、その場に膝をついてしまう。この状態でもう一度触手が襲ってきたらひとたまりもないな、と半ば覚悟を決めていたが──二度目はこなかった。
「……え?」
 何だったんだ今のは……そう思った時点ではたと気づいた。水面に近い通路の際を歩いていたせいで出てきたのだとしたら? あの触手の長さからして、通路の真ん中まで届く長さではない。
「つまり、水際は歩かないほうが良いってコトだな……そういや、ハルメアス・モラの見た目は蟹の鋏を持ちながら蛸のような触手があったような……」
 嬉しくねぇな、と内心舌打ちしながら落とした剣を手に取り立ち上がる。思った以上に癖のある場所だ、“力の言葉”を得るまでの道中はそう簡単ではないらしい。ミラークの居る場所まで追いつけるかどうかも怪しいだろう。
 しかし、こんな事で折れる訳にはいかない。もう逃げないと約束したんだ、セラーナと。負ける訳にはいかねぇんだ!
「待ってろ、ミラーク。次会う時は中途半端なドラゴンボーンなんて言わせてやらねぇからな!」
 地面を蹴って走り出す。歩いてる事さえ今はまどろっこしかった。


-----------------------

 難産でした。想像以上に難産でした。
 いやー本当はシャウトを取るところまでって思ってたんですけど、今回はここで切る感じになるかなあ。もう少し早く上げるつもりでしたが、イベント用の絵を描いてるせいでぜんぜん書けずじまいでした。お詫び申し上げます<(_ _)>

 ……なのでまた最近スカイリムをマトモにプレイしてませんorz

 ちょっと前回と今回の間が開いちゃったので、白けちゃったかと思います。今回は時間が無くてコレだけになっちゃうと思うので、土曜か日曜あたりにお詫びブログでも書けたらなあ、と思います。恐らくその頃にはアミュレットも完成しているだろうし。
 アミュレットって何ぞや? と思うでしょうがそれは次回までのお楽しみで^^;

 しかしアポクリファの世界を文章で書き起こすのは若干きつかったなぁ・・・もう少し長く書ければ詳細書いたんだろうけどorz

 では土曜か日曜にまた^^

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05.08.23:30

Livre de noir(承前

「黒い本」
 それを手にしたのは偶然ではなかった。
 ミラークを追って彼の聖堂に着いたとき、最奥部の祭壇に置かれてあった「本」──辺りを見回してもそれしか見当たらない。他には何もない部屋にぽつんと置かれてあったのはそれだけだったのだ。
 祭壇には、傍らに立つフリアと、同行しているセラーナ、そして俺──三人だけしかいない。見開かれた形で置かれてあるそれは、俺達に読んでみろといわんばかりに中身を広げていたが、読もうにも判読不能な文字がびっしり書き込まれているため、不可能だしそれがまた不気味さを一層醸し出していた。
 手にするだけで何か起きそうな気すらしたため、触れる事すら躊躇われる。
「……手に取らないんですの? ジュリアン?」
 硬直した中で漂う緊張感を破ったのはセラーナだった。俺もフリアも躊躇う感じで突っ立っていただけだったので、不審に思ったらしい。
「………手にとっていいもんかどうか……」
 たかが本ごときで、と傍から見たら怖気づく俺達は奇妙な姿に写るだろう。俺だってその場にではなく、第三者の視線で見たらそう思うかもしれない。
 けど──その場に立った者でないと分からない、おぞましい感じが本から渦巻いていたのは事実だった。目には見えないが、手にすればよからぬことが起きる、と第六感が訴えているのだ。
「でも……最奥部にあるのがこれしかないんだし、取ってみてくれないかしら、ジュリアン」
 先程出会ったばかりのフリアが、促すように言ってくる。……結局嫌な役を押し付けられるのは俺かよ、と毒づきたくなるがやむを得まい。
 恐る恐る、と言った様子で俺はその本を手に取った──直後だった。
 本を持ち上げたかみなかで、見開かれた本から蔦のような細長い触手が突如現れてそれは瞬時に俺の全身に這い回っていくではないか。抵抗しようにも抵抗できる間すら与えず、それは首へ回り、一気に俺の呼吸を締め上げていく──しまった、殺される!
「たっ………たす、け……」
 本を持つ手を離そうにも触手は身体全体に巻きついて離れない。抗う事すらできないまま、俺はその中へ吸い込まれていく感覚に耐え切れず──
 そして、闇が訪れた。


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 ごめんなさい今回めちゃ短い上にただ単にクエストなぞって書いただけじゃんって言われそうなので先に言っておきますごめんなさいorz
 承前としているのは、勿論続きがあるからです(笑)DBやってる人なら分かるであろう、黒い本の中を旅する(?)クエがありますが、面白いですねえ。とはいえまだ1冊目しか攻略していませんwドラゴンアスペクトは気づいたら全部取ってましたが(笑)

 若干フォトショで加工。
 全部開放させると角が生えた感じになるんですねw知りませんでした。なので使ってみたらカッコいい!w
 けどこれパワー扱いなのが若干残念ですね。ここぞと言うときに使わないともったないないのが悔しいです。
 DBのシャウトはまだコレだけしか取ってませんけど、他にも色々あるんだろうなあ。

 え? 話の続きはどうなるんだって? まあアスペクト取る話になりますけど、何せ本の中に入れるのはどばきんさんだけなので、描写が主観になりがちになりそーですが、なるべく早めに上げますw


 黒い本の中で撮った一枚。これまたフォトショで加工。
 書物というか、紙がばらばらと渦を巻いている場所がなかなかよかったのでそういうところで撮ってみました(笑)
 ただ、アポクリファの世界は怖いっすね。あちこち触手がいるし。触手プレイはジュリアン(自キャラどばきん)ではなくてセラーナたんにお願いしますってそういう事言わせちゃだめでしょうが。
 黙示録の世界とかなかなか中二病全開なオブリビオンをお持ちなのですねえ、ハルメウス・モラはw


 そしてまたセラーナたんの服MODを変えてみましたw
 オブリのMODを移植ったもんですが、かわいいです。やっぱりセラーナたんはゴスロリ系の黒衣装が似合いますw
 白服もかわいかったんだけどねー・・黒には負けました(ぁ

 そんな今回のイミフな日記でした。今回は色々と投げやりですいませんorz
 おまけといっちゃなんですが、最後まで読んでくれた方だけに当ブログ限定ではありますが、現在鋭意製作中のイベントグッズ(?)をご紹介。


 途中までペン入れ(どばとセラ)完成してるんで、右側の一匹と一人はまだ下絵段階ではありますが、
 ゲームレジェンド20で持っていく、ラミカ栞(?)の下絵です。本当はノベルティグッズを作るつもりでしたが、時間が無くてラミカ栞にしましたorz
 ノベルティはコミケ受かったときということで・・・
 デフォルメしてみたどばきんとセラーナとシセロとムアイクさんです。なんだかよくわからねーとか思うでしょうが、デフォルメしてあるのでご容赦くださいませorz
 中の人はこういうのあまり描かないので、色々他から出てるものとか参考にして作ってみました。完成はまだ先ですがイベントが25日なので必死こいてやらなくては;;
 欲しい! と言う方、ぜひイベントにお越しください^^
 売るつもりはない(売れると思ってない)ので、当サークルの本をご購入者限定に限るかと思いますが、買いたいとか言う人がいたら考えます(ぁ

 久々のごった煮すぺしゃるな感じでお送りいたしました。
 続きは近々載せますので気長にお待ちください、どうぞ。

 ではまた次回。

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05.01.22:50

灰にまみれてまみられて(マミられてはいません)

 ……何で俺がこんな目にあわなきゃいけねぇんだ?
 頭のてっぺんから爪先まで肺まみれになった俺の姿を見て、傍らに立っているセラーナが近寄りがたく思えたのか、僅かに数歩、下がったのを俺は見逃さなかった。
 倒された相手は跡形もなく消えたが、残された俺は全身灰まみれで、遠巻きから見れば突っ立ったホーカーにも見えなくもない。
 内心ため息をつきながら、俺は踵でターンして、先程まで居た家──正確に言えば、巨大茸の家──に向かって一目散に駆け出した。
 そんな事が起きる、つい数時間前のこと──

 ソルスセイム南東の端に位置する小さな集落、テル・ミスリンに着いた俺とセラーナは、そこに辿り着きしな、神妙な面持ちで話しかける女性と、彼女を無視して本を読みながらたどたどしく呪文を唱えるダンマー二人に出くわした。なにやら二人は俺達を無視して口論していたが、
「集中したいんだ、ほうっておいてくれよ、ヴァローナ」
 男がやや念を押すようにして言うと、ヴァローナと呼ばれた上等な服を着たダンマーの女性は、取り付く島がなさそうに肩をすくめて立ち去ろうとした矢先、
「あら? 珍しいわねお客人がくるなんて」
 俺とセラーナの姿を見つけ、気さくな様子でにこやかにこちらに近づいてきた。先程彼女を鬱陶しく追い払った男性は相変わらず本を読んだまま。
「ああ……初めまして。ここは、誰が住んでるんだ?」
 軽く挨拶を交わしてからたずねてみると、ここはネロスという者の住む家で、彼はモロウウインドのマスターウィザードを持つ一族の一人で、菌学者でもあるのよ、と語ってくれた。彼女はそいつに仕えている執事らしい。
 それだけ言うと彼女は足早に立ち去った。「ネロス様は風変わりなところがあって、自分ひとりじゃ何もできないのよ」と言い残しながら。
 後に残されたのは俺達と、相変わらずこっちを無視して本と格闘しているダンマーの男だけになった。他に誰が居るわけでもないので話しかけてみる。
「よっ、あんた、何やってるんだ?」
「さっき話を聴いてなかったのか? 召喚魔法の練習をしてるんだ。ネロス様に黙って借りてきたこの本の通りやれば、うまくいく筈なんだが……」
 何度か呪文を唱え、手を翳すも彼の手が光もしなければ目標の場所に召喚獣が出てくる様子もない。
「……あんた、ネロスって人の何なんだい?」
 茶々を入れられるのが気に食わなさそうな態度で、舌打ちしてから彼は再び俺の問いに答えてくれた。
「私はネロス様の弟子だ。こうして毎日魔法の練習に励んでいるんだが……
 なあ、集中したいんだ、邪魔しないでくれないか?」
 言い捨ててぷい、と俺に背を向けた。言葉は丁寧だがぞんざいに扱われたのでいらっとしながらも、俺は彼の言葉に従う事にした。ネロスって奴にも話を聞いてみたいしな。
「……分かったよ。邪魔者はさっさと退散させてもらうぜ」
 せいぜい頑張りな、と手をひらひらさせて、俺はテル・ミスリンの中央にある一番巨大な建物──正確には茸なんだが──に向かうことにした。

「何の呪文を唱えようとしていたんですかしらね、あの人?」
「さあな、邪魔すんなって言われたからな、余計な詮索は厄介事の元だぜ、セラーナ」
 言いながら扉を開けると、中は薄暗く、そして狭かった。扉を開けたすぐ先が行き止まりだったのだ。
「なんだこりゃ……」
 予想外の展開にあんぐり口を開けてしまった俺だが、セラーナはすぐ見抜いたようだった。
「ジュリアン、足元見ると分かりますわ。魔力を湛えた魔方陣がありましてよ。
 これを発動すれば何かが起きるんじゃありません?」
 セラーナに促されて下を向くと、青白く光った魔方陣が輝いていた。俺はマジカ量も少ないし魔法レベルも低いから全く気づかなかったが、セラーナはこの中に入ってすぐに足元の魔方陣に目がいったらしい。持つべき従者は反対の能力に長けた者に限る、って奴だな。
「これを発動すればいいのか、ってどうやってやるんだ?」
 こと魔法に関しては疎い俺に代わって、セラーナが先に魔方陣の上に立った。……直後に彼女はすっ、と音もなく真上に向かって飛んでいくではないか。
「ちょっ……セラーナ、今何をした?!」
 彼女は上に着いたらしく、「心の中で念じればよろしくてよ」とかろうじて声が飛んできた。心の中で念じるだと? どうやって念じるんだ? 囁き、祈り、詠唱、念じろってか?
 とりあえず魔方陣に立つが、内心若干見えないものに連れて行かれるような気がしなくもなくて、念じる事がうまくできない。飛べ、というのか、それとも上がれ、というのか? それとも……
「だあああっ! わからねえ! セラーナ、俺はどう念じればいいんだ!!」
 まさか家の中でこんな事になるとか予想もしてなかった故に、頭がどんどん混乱する。こんな事ならもうちょっとウインターホールド大学で魔法の勉強しておくんだった。それなのになんで俺ごときマジカ量も少なく魔力も低い俺がマスターメイジなんかになっちまったのか、デイドラの王子ですら分かる筈があるまい。
 すると痺れを切らしたのか、セラーナが再び音もなく降りてきた。ただし、苦虫噛み潰したような表情で。
「だから、念じろと言ったじゃありませんの、ジュリアン。ただ念じればいいだけですわ。それだけで何ぎゃーぎゃー喚いているんですの? ネロスって人がさっきから私をあきれた表情で見てたので、いたたまれずに降りてきてしまいましてよ?」
「……上がれ、とかでいいのか?」
 我ながら自分の浅薄な知識に愕然とする。彼女は呆れた様子で溜息一つついてから、「……そうですわよ」とだけ言い捨てた。
 これ以上何かしようものならセラーナから軽蔑の眼差しを数日向けられるのは間違いない。再び魔方陣の上に立ち、今度はしっかり上がれ、と念じた。
 直後、念に反応してふわっ、と重力に反したかみなかで一気に身体が上へと持ち上げられる。このまま天井にぶち当たったらどうしようかと思ったが、そんな事はなく、加速が止まって再びふわりと浮いたまま、突き出した板きれに乗っかると、再び一気に重力が戻った。思わずがくん、と膝をついてしまう。
 着いた所は茸の傘の部分をくりぬいて作られた巨大な居住区画になっていた。マスターウィザードなだけあって、アルケイン符呪器や錬金器具も一通りそろってある。
「……やれやれ、上がれないと喚いていた奴はあんたかね?」
 待っていたのか、痩身の男が怪訝そうな表情を浮かべながら近づいてきた。彼がネロスだろうか?
「いかにも。……あんたはノルドか? 冒険者か? ……私は偉大な魔法使いでもあり菌学者でもあるが、お前みたいな脳筋には私が魔術を教えたところで体得できる筈もあるまい」
 などとネロスが話している間、セラーナが再び上がってきた。随分な言われ様に再び苛々しつつも、セラーナもいるしネロスの後方に先程話しかけてきたヴァローナが居たのでここは我慢するしかなさそうだった。
 何なんだこいつらは。師匠も弟子も上から目線で口利きやがって。……と思っていると、外のほうからどぉん、どぉんと何かを叩くような音が響いてきた。
「何の音だ……?」
 俺の独白に、答える必要もないだろうにネロスが耳ざとく聞きつけた様子で、
「多分弟子の……タルヴァスの仕業だな。魔法の練習をしてるんだろう。
 それよりお前、魔法の方に関しては役に立ちそうもないが、私の手伝いをするなら私が直々に教えてやってもいい。どうだ? 取引をしないか?」
 さっきまで人を馬鹿にしたような態度をとってたネロスが、急に猫なで声に変わった。……こういう時は裏があるものだ。長年の経験から体得してた俺は、
「いや……今別件で頼まれてる事があるからさ、またにするよ。じゃあ、失礼したな」
 さくっと丁重に断って、俺は下へ降りた。一度やり方を覚えれば二度目は失敗はしない。
 暫くテル・ミスリンには近づかないほうがよさそうだ……などと内心思いながら俺は扉を開けた。
 ──しかしその決意は、数十分後覆される事になるのだが。

 扉を開けて外に出た途端、先程室内から聞こえていたどぉん、という音がさらに耳に響いてきた。何が音を立ててるんだ……と思いながら音のする方向へと目を向けると、見慣れぬ何かが暴れている。茶色い、岩で出来た……
「た、……助けてくれ!」
 岩で出来た何かに目を取られていたせいで、近くに誰かがいるなんて全く気づかなかった俺は思わず身をびくっと震わせてしまう。誰だ、と視線をずらすと、先程本を読んでいた男──確か、タルヴァスだったな──がこちらに向かって走ってくるではないか。前のめりの格好で走ってくる様子は、ひどく怯えた態度のそれに見える。
「どうしたんだ? 一体」
 走ってくる彼を抱えるようにして止めると、彼はぜいぜい息をあえがせながら通路に倒れこみ、
「しょ、召喚獣……呼び出すことに成功はしたんだ……けど、暴走しちゃったんだ。このままだとネロス師匠に怒られてしまう!」
 タルヴァスは恐怖と絶望がない交ぜになった表情を浮かべていたが、俺を見てこう付け加えてきた。
「あれを倒してくれないか……? 師匠にばれたくないんだ。頼む」
 ……先程と打って変わった態度に、俺は胸の内がすっとする気分ではあった……と思う。
「助けてあげたほうがよろしいんじゃなくて? あのままにしててもいずれ自然消滅するでしょうけど、暴走して関係ない人を傷つけたら彼の立つ瀬がどんどん無くなっていくのは自明の理でしてよ?」
 セラーナがぽつりと言ったので、タルヴァスは懇願するかの如くセラーナに近づいたので、慌てて彼を持ち上げるように引っぺがす。
「分かった。何とかする」
 本当はもう少しいじめたかったが、そうも言ってる猶予もないだろう。
 彼は立ち上がって何度もお礼を述べ、そのまま逃げるようにしてテル・ミスリンに入っていった。
「しょうがねぇな、さっさと終わらせようぜ、セラーナ」
 彼女はこくりと頷いて、背中に背負っていた杖を手にした。俺も同様に背負った両手剣を引き抜いてから一気に間合いを詰めるべく走り出した。
 敵が近づいてきたのを見逃すはずもなく、召喚獣がこちらに向かって吐き出してきたのは──なんと、灰。
 間合いを詰めようと走っている俺に向かってそれは一気に放たれ──こちらもまた、止まる余裕もなくその灰の中に突っ込んでしまう形になる。……ちょっと待て!!
「げほっ! げほへっ!」
 突っ込んだため口の中にも目の中にも灰が入り込む。涙目になりながら慌てて相手との間合いを少し離そうと思いつつ後退しかけたが、この島は灰まみれの島だ、あたり一面灰が積もり積もっている為──灰に足をとられてしまい、尻餅を着いた状態で倒れてしまう。
「セラーナ、何とかしろ!」
 俺が言うまでもなく、セラーナのアイス・スパイクが放たれる音が耳に入ってくるが、目が潰され口も灰でじゃりじゃりの中、声がうまく聞こえたかどうかすら怪しかったが、
 灰を噴きつける召喚獣は俺にだけターゲットを絞り込んでくれたおかげで、セラーナは遠巻きに攻撃をするだけでよかった。結局俺はいい所一つもなく、彼女が何度目かのアイス・スパイクを放った後、召喚獣はようやく力尽きたのかがらがらと音を立てて崩れ落ちた。
「ジュリアン、大丈夫です……の……」
 セラーナが駆け寄ってきたが、その直後思わず後ずさりしたのを俺は見逃さなかった。
 無理もない。延々と灰を噴きかけられたせいで、俺の頭から爪先まで灰まみれだったのだから。相変わらず気管に入った灰を押し出そうと咳き込み、目は異物を洗い流そうとするが如く涙が流れている。要するにぐちゃぐちゃだった。
「……ぁんのやろぅ………っ!」
 踵を返してテル・ミスリンに戻る俺。扉を開けて、魔方陣を作動させて上に戻ってきた時、ネロスは驚いた様子で俺に向かってこう言った。
「……あんた、いつの間にダンマーのような肌色になったんだね? これは興味深い。是非とも調べさせてもらいたいものだ」
 勿論俺が怒り爆発したのは言うまでもない。

 後々セラーナは俺のこの態度に対して「大人げないですわ」とにべもなく言いのけたのは……また別の話だ。


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 ども。毎週定期更新に今日はちょっと早く更新できましたw
 ちょろちょろやって、今回のプレイ日記仕立て小説はテル・ミスリンのクエの一つです。
 アッシュガーディアンでしたっけか。まさか灰で攻撃してくるとは思いませんでしたwなかなか面白かったので今回こういう風に書き起こしてみましたけど。
 いやー、、、だいぶ要らないシーンが多すぎましたね。こういうロールプレイしているんだ、って思っていただけたら幸いです。

 では今回のブログのもう一つ、MOD紹介。

 ソルスセイムは家がないんで、家MODどうしようかなーと思ってたんですが、前々から気になってた家MODがあったのでそれを導入しました。
スノーグローブハウスですw

http://www.nexusmods.com/skyrim/mods/50170

 家MODって入れたのはコレが初(前に何回か入れたりはずしたりはしてたけど)です。
 こぢんまりとした隠れ家的家に入れるというMODです。ただし、どばきんだけ。
 フォロワーは入れられないのが残念ですね。

 指輪を使うとこのスノードームを持っている状態に限り、スノードームの中に入れます。
 家の中はこぢんまりとしていて、ベッドや窯、錬金と符呪台、お風呂があります。
 殆どのアイテムは固定されてるので家の中が乱れる心配は無い・・と思う。

 お風呂はこんな感じ。
 男の入浴シーンなんて見ても面白くもへったくれもないのですが(笑)

 風呂場の屋根がこんな風になってて、空(ガラスだけど)が見える仕様になってるのが粋ですねえ。


 最近のジュリアンさんとセラーナたん。
 セラーナたんは前と変わらずMOD装備ですが、灰色だらけの島の中で白い服はとても映えますね。
 おパンツも白だから尚映えます(爆死

 ソルスセイムに着いて気がついたのが、このネッチ。
 ESOでもエボンハート(モロウウィンド)を駆け回ってる頃、同じ奴がいたなあと思い出しました。
  しかし、このレッドマウンテンも、ESOで駆け回ってた頃見ていた山と似てるんで、使いまわししてるんですかね(爆死
 
 現在テル・ミスリン付近でうろうろしている中の人ですが、上のほうはぜんぜん行ってませんw
まだまだ何かありそうなこの島、じわじわ攻略していきますw

 最後に、中の人の近況ですが、
5/25の川口フレンディアで行われるゲームレジェンド20にサークル参加しますw
 新しく作る予定のノベルティグッズとか(間に合えば)持っていく予定です。
 サークルはスカイリムで取ってるので分かりやすいと思います。公式サイトはこちら。
http://www.geocities.jp/zed_gamelegend/
 興味ある方はぜひお越しください^^スカイリム話が出来る人大募集w

 では本日の更新はこれにて。
 また来週^^

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