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スカイリムの攻略とかあまり役に立たない日々のプレイ日記をだらだらかいていくつもりです。

雪と氷とドラゴンと。

   
カテゴリー「スカイリム 二次創作」の記事一覧

あとがきなのに、あとがない

えーーー・・・お疲れ様でした。
 今回長すぎる上に実にあまあまシーンが多かったため食傷気味な中の人です。
 長い文章お読みいただきありがとうございました。本気で最後はきつかった・・なぜかって、そりゃ、エロいシーンあったから(え? たいしてエロくない?

 何はともあれこれで結婚話は終わりました。いやーお疲れ様でした。
 今年の目標だったセラーナとの結婚も、結婚に向けての話も一通り終わったので、しばらくまたこっちで小説は打ち止めしておきますww
 まぁ次の話もちゃんと頭にはあるんだけどね、あるんだけどちょっと別の作業が溜まってきてるため、暫くこっちでは打ち止め、と。

 で、すいません。エロいシーンあるよ! とかいっておいてあんなのしかなくて(笑)
 いやーだって、中の人がそういうの表立って出すの苦手な訳でして・・今時珍しいくらいエロを同人に持っていく奴じゃありませんwww エロを書けば同人は儲かるなんていわれてますが、俺は全くエロ方面は不得手ですww だからこんな拙い文章が精一杯なだけですww

 なのでこっからちょっとチラ裏なシーンの裏話を。エロ方面多し。

 えーと、ジュリアンはセラーナに中田氏したのか、って話ですが、してます。一応。俺の中ではセラーナはモラグ・バルとコールドハーバーで犯されてしまったせいで彼女に妊娠する能力は失われている(!)と勝手に決め付けてます。なのでヤりまくっても妊娠はしない、と(なんて自己都合!w
 スカイリムのゲームじゃ結婚してもそういう営みはできんし、子作りも出来ないという有様ですけど、二次創作ならいくらでもできますからね・・・w

 まぁ何度も言ってますが、これでそういう話は終わります(笑)
 またいつか時間が経ってから何かしらそういう話を書くかもしれないし、しれないかもしれないし(笑)
 
 セラーナの胸が(ジュリアンが)手でつかめるくらいとかいうのはまぁ平均的な大きさかなぁ、と。大きさでいうとUNPあたりですね(笑)

 そんなところかな。……あー恥ずかしかった。
 是非感想感謝叱咤激励金貴金属樹木希林をコメント欄に書いてやってくださいww
 エロが足りないでもぜんぜんOKです。。。足りないと俺も自覚してますorz

 ではまた次の更新日に。最近更新が遅くてほんとごめんなさいでした;;

※今回使ったBGMは主にDAIのロマンスシーンの音楽(ごめんこの曲サントラに入ってないからタイトルわからねぇ)でしたww


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Happier(二次創作版)そのSAN値

※スカイリム二次創作小説第2チャプターですが、前の話から続いているため、ここから読み始めると若干面食らう点が多いかと思います。なので最低限前シリーズ(rude Awakening)から読み始めるといいかもしれません(それでもまだ分からない点が多いと思いますので一連の流れが知りたい方はカテゴリ「スカイリム二次創作」の2014年初頭辺りから読むといいかもしれません)
苦手な方はブラウザバックでお戻りを。
※2 今シリーズは結婚の過程があるため、若干18歳以上推奨的なシーン、文章、写真(SS)等がちょろっと出てくると思いますので、ドヴァーキン×セラーナに耐性の無いどばきんさんはこれまたブラウザバックでお戻りした方が幸せかもしれません。
※3 これは第三話です。最初から読みたい方は「Happier(二次創作版)そのいち」からお読みください。(今回はかなり長いよ!)


 夕闇が訪れ始める少し前──午後3時50分過ぎ。
 リフテンのマーラ聖堂はいつにも増して人でごった返していた。そこかしこから談笑や話し声が聞こえてくる。
 聖堂の入り口の扉は未だ閉ざされており、ドヴァーキンの結婚式を一目見ようと集まっている人は仕方なく聖堂に入れないまま、マーラ聖堂の敷地内にあるアプローチで密集していた。そこにすら入れず門からはみ出てもなお人が通路に集まっている。何事も起きなければ梃子でも動かないリフテンの衛兵はそんな聖堂近くの賑わいを冷めた目で見ながら通り過ぎていた。
 ドヴァーキンはまだか、と人々が待ち構える中──俺はその様子ビー・アンド・バルブの建物の陰からこっそり見てみて……げんなりしていたのだった。
 なんだあの人だかりは? おかしいだろ……さっき集まってた人だかり以上に増えてるんじゃないか?!
 辺りを見てみると、町の中心部の商業施設には誰もおらず店頭には何も陳列されてはいない様子からして、式の時間に合わせてさっさと店を閉めたのが見て取れた。
 客は全員聖堂に向かうからにしろ、たかだか俺一人のためにここまでする理由があるのかと疑問だけが残る。……待てよ、リフテンで結婚式を挙げた奴なんて俺はついぞ目にした事が無い。もしかしたらこれがリフテンの日常で、結婚式がある日だけはこうやって営業を停止するとか……無いな。
 考えてみてすぐその間違いに気づく。たかが他人の結婚式で営業を停止する程景気がいいとは思えない。只でさえ治安がよくないと言われてるリフテンだ、そんな所でモノを売ったりする奴が結婚式一つで仕事を休む性分とはどうにも思えないな。
「だとすると、やっぱ俺だから、か……。あーーーーくそっ! ドヴァーキンなんか好きでなったんじゃねぇのによ」
 毒づく。あの人まみれの状況の中聖堂に入っていくなんて公開処刑もいいところじゃないか。恥ずかしくてたまらない。神父にやっぱり一言何か言っとかねぇと腹の虫が収まりそうにないが……。
 このままこの場所にいたらそれこそまた遅刻して、今度はセラーナを待たせる事になる。あの芋洗い状態の場所を再三、突っ切らないといけないのかと思うと気が重い。それでさえ膝が若干笑ってるっていうのによ。
 そう、俺の両膝は少しがくがくしていた。緊張していたのだ。結婚式なんて初めてで、どうやったらいいのかさっぱり分からない。前線に立って戦場を駆けるのは得意のくせに、こういう畏まった事は全く経験がないため、武者震いならぬ膝が笑っている状況に自分自身が呆れていた。
 情けねぇぞ、俺! と自分の頬を両手で挟むようにぴしゃりと叩き、ビー・アンド・バルブの陰から表へと出た。リフテンの中心部を突っ切っていけばすぐに聖堂の門前だ。俺の姿を目ざとく見つけた人々にわかに活気付く。
「おめでとう、ドラゴンボーン! 幸せになれよ!」
「ドラゴンボーン、ばんざーい!」
 などと声援なのか祝福なのかよくわからない声が飛び交う。黙ったまま聖堂に近づいていく──話したくても緊張して心に余裕が無かったんだ──のを見計らってか、アプローチにごった返していた人々が頼んでも無いのに入り口までの道を開けてくれた。歩く道の両脇にずらっと物見客が並ぶ中歩いていくのはとても勇気がいるし、しかもその物見客が全員、虎視眈々と俺の一挙一投足を見ているのだからたまらない。
 恥ずかしさと緊張で顔が赤くなりそうだった。いつもの悪い癖を出さないように必死で努めているというのに。
 見ると子供の姿もちらほらいた。オナーホールの子供たちだろうか。彼らは俺を遠慮なく指差しながらクスクスと笑っている。どうせ俺の姿がいつもと変わらないって言ってるんだろうな。
 一旦ハニーサイドに戻ってから一時間じっくり鎧を磨いてはみたのだが、研磨剤もろくにもっていないためほとんど変わり映えはしていない。それでも俺の一張羅だからな。セラーナに忠誠を誓った時もこの装備だった。
 かつっ、とブーツが小気味よい音を立てて聖堂の扉へと繋がるステップを上がっていく。この先にセラーナがいると思うと、心音が跳ね上がる音が外にまで聞こえているんじゃないかとさえ思う。ステップを上がりきって、扉の前に立ったとき、俺は静かに深呼吸をした。
 ジャスト16時。──行くか。俺は両手をドアノブに掛け、観音扉を勢いよく一気に開いた。

 聖堂内は静かだった。身支度を整えたマラマル神父がマーラの像の前に立っているのが見える。その前には教壇があり、さらにその手前に──俺を待っていたであろうセラーナが立っていた。
 彼女はいつも身に着けている吸血鬼王族の鎧ではなく、純白のドレスを身に着けていた。肩は大胆にもあらわになっていて、胸から下を隠すように覆っている。ウエストから下は薄布で作られたドレープが幾重にも縫い合わされており、豪華さと華やかさを併せ持っていた。頭には摘んで来たのだろうか、新鮮な花を髪に結い合わせ、そこから流れるようにヴェールが肩あたりまで下がっている。
 その姿に瞬間、俺は見とれてしまった。──つまりいつも見ているセラーナは黒い服に身を包んでいるのに、白いドレスに変わっただけなのに……こんなに化ける(失礼)ものなのかと目を奪われていたといった方が当たってるかもしれない。
 吸血鬼らしい衣服から変わっただけで清楚で華奢な感じに見えてしまう。……いや違うな、元々清楚で華奢だったのだろう。それに今更ながら気づかされただけなのだ。
 聖堂内の中心の通路を分けるようにして長椅子が数脚並んで置かれてあったが、その椅子にはリフテンの首長であるライラ・ロー・ギバー、メイビン・ブラック・ブライアなどがいるだけでほとんど空いている。何で首長がわざわざ俺なんかの結婚式に来てるんだ? と思いかけてすぐその理由に気づかされた。……俺はリフテンの従士でもあったという事を。
 でもたかだが従士一人のために首長わざわざご足労かける理由には程遠い気もする。……やはりメイビン同様、一日ではあるがリフテンの町を潤してくれた俺に感謝の義でもあったりするからだろうか。
「ああ、誇らしげな花婿が来たな。式を始めるとしよう。……新郎ジュリアン、新婦セラーナの隣に。……一般客は椅子に座らず壁に沿って立ち見してくれ」
 俺に、次に俺の後ろで室内を覗き込むリフテン市民や各都市からやってきた面々や旅人に向かってマラマル神父が声を張り上げた。
 セラーナが顔だけ動かして俺を見る。……が、すぐにぷい、と顔を正面に戻してしまった。照れ臭いのか、はたまたいつもと同じ格好で来やがってとでも思っているのか。
 呼ばれた以上入り口で突っ立ってる訳にもいかず、一歩足を聖堂内へ踏み入れた──が、力が入らずがくっ、とよろけてしまう。自分自身の心臓が飛び上がるほど驚いた。何やってるんだ俺、情けねぇ……
「何緊張してるんだ、ジュリアン! この期に及んで怖気づいたのか?」
 などと野次が飛んできたので誰が言ったのか、と見ればなんと──盗賊ギルドの兄貴分、ブリニョルフが人ごみの中から顔を覗かせているではないか。……畜生、あいつにはいつもボウズだとかガキ扱いされてばかりだというのに、また一つボウズだといわれる理由が増えちまったじゃねぇか! 
 いつもの性分で耳まで真っ赤になるのが嫌でも分かった。しかし反面、これが功を奏したのか入り口で待っている一般客がどっと笑い出した。さっきまで緊張感に漂っていた聖堂内の空気が、にわかに和やかなそれに変わっていく。少しばかり、心に余裕が持てるようになった。ありがとなブリニョルフ、と心で呟く。
「……そうじゃねぇよ。ちょっと武者震いしただけさ」
 ブリニョルフの方は向かず、正面を向いたまま俺はぽつりとそう呟き──次の一歩を踏み出す。通路にしかれた赤い絨毯──ほとんど人の足跡だらけで赤黒く変色しているのだが──にくぐもった音を響かせて俺はゆっくり歩き始めた。
 それに伴って入り口にたむろしていた一般客も室内に入ってくる。しばし足音だけが響く中、俺はセラーナの隣に着いた。彼女の顔をそっと窺うと、セラーナもまたこちらの顔を窺うように見てくる。
「綺麗だよ」
 ぼそっと呟くとセラーナは返事すらせず、頬を赤らめ顔をぷいと顔を横に逸らす。近くで見れば見るほど華奢な体つきだった。いつも着ている王族の鎧は胸を若干つぶす感じでぎゅっとウエストを絞っており、細く美しく見せる効果もあったが、胸が大きいのか小さいのかすらよく分からなかったのだが、片手で揉むにはちょうどいい大きさだというのを今更ながら改めて知った。……って何言ってるんだ俺! 思考が変な方向に行こうとするのを必死で振り払った。
 待っていた一般人が全員入ったのを見計らったところで、マラマル神父が俺の内心を他所に再び声を張り上げる。
「全員入ったようだな。……では式を始めよう。聖女マーラは……」
 マラマル神父の声が聖堂内に響き渡ると、辺りはしん……と静まり返った。神父はマーラの創造物がやがて互いに愛する事を学び、独り身の人生が全うなものではないと語っている。
 独り身か。今まで全くそんな事気づきもしなかった。ずっと一人で生きていくものだと思っていたし、父親の仇敵を探すためにスカイリムに訪れていたのに冤罪で捕まってから、俺の人生という歯車が狂っちまったのかと何度も思ったりもした。
 ドヴァーキンとしての覚醒、アルドゥインとの対峙、そして人を守るという道を俺は選びアルドゥインの恐怖を退けた俺は、この世界では英雄だった。こちらの意思に関わらず。
 そんな中、俺はセラーナと出会ったのだ。……長い眠りから覚めた彼女が俺を見た時、まさか結婚相手になるなんて誰が予想できただろうか。そしてまた俺も彼女に惚れてしまうなんてその時は想像もつかなかったのは事実だ。
 マラマルが語る中、俺はこっそりセラーナの手を握った。顔はまっすぐ神父の方を向いたまま。セラーナも指を絡めてくる。
「新郎ジュリアン、セラーナとの永遠の愛を誓うか?」
 突然神父が問いかけてきたので内心慌てた。全く話を聞いていなかったため、前後の話がさっぱりだったのだが、愛を誓うかと言われれば勿論とはっきり頷いてみせる。
「……ああ、これからもずっとだ。永遠の愛を誓います」
 言いながらぎゅっと彼女の手を握る。本心だと伝わるように。
 マラマル神父は頷きながら、今度はセラーナの方へ顔を向けて、
「新婦セラーナ、ジュリアンとの永遠の愛を誓うか?」
 同じように問いかけた。……セラーナはどう言うのだろう。ちら、と彼女の方を目だけ動かして見ると、黙ってセラーナは頷いてから、
「未来永劫に。……ジュリアンへの永遠の愛を誓います」
 セラーナの口から言われると嬉しくて、胸からなんともいえないものがこみ上げてくる。
 しかしマラマル神父は畏まるように両手を俺達のほうへと手を翳しながら、とんでもない事を言ってきた。
「よろしい。では二人の愛が永遠であるように、誓いのキスを」
 え。
 思わず目を見開いた。相当間抜けな表情だったのだろう、神父が意外そうな表情を浮かべた。
「……聖女マーラは汝らを試すのだ。たった今交わした言葉が真であり続けるために。さあ、二人共」
 そうは言われても……俺はセラーナの方を向くも、彼女は照れるように目を逸らしたままだった。観衆(?)がざわめいている中、人前でキスをするなんて恥ずかしいにも程があるぜ。
 こんな事があるなんて全く知らなかった。しかしそれはセラーナも同様だったようで、しばしお互い、途方に暮れてしまう。……がここで止めるわけにもいかない。
 俺は意を決して、握っていたセラーナの手を一旦離し、彼女の方へ一歩近づいてから今度はその手を彼女の頬にそっとあてた。ぎくりとした様子でセラーナがこちらを見つめてくる。
「ジュリアン、だめですわ」か細い声で抵抗してくるが、俺は首を僅かに横に振った。誓えというなら誓ってやるさ。何度でも。
「セラーナ。君は俺のものだ」
 あの時彼女に伝えた言葉を再び口にした。そう、痛いほど手に入れたかった“魔法の言葉”。
 ──変わるとしたら一つだけかな、そう言ってから伝えた言葉は、彼女にとって俺の心は君だけのものだという意味だった。誰にも渡さないし、誰も君の変わりにはなれないから。
 セラーナにだけ聞こえるように、俺はこっそり囁いてから──くっ、と彼女の顎をもう片方の手で傾け、吸い込まれるように彼女の唇に俺のそれを重ね合わせた。──温かい。彼女の頬も唇も温かかった。……照れているせいかもしれないが。
 ずっとこのままでいたいなどと思ったが、さすがにそれは無理だし俺も恥ずかしい。僅か数秒ではあったが口を重ねて離してみると、セラーナは呆けた表情で、目がとろんとしている。人前でキスなんぞされて茫然自失状態になっているようだった。
「これで二人の結婚は許された。ジュリアンとセラーナのの新しい門出に祝福を! おめでとう!」
 マラマル神父の声が響き渡る。それと同時に周りから祝福の拍手が沸きあがった。ひゅーひゅーと口笛まで聞こえてくる。
 セラーナの肩を抱き寄せた。彼女は頬を赤らめながら笑みを浮かべこちらを見る。これから俺達は夫婦なんだ。……そんな実感まだ沸かないけどさ。
「二人には揃いの結婚指輪を渡しておく。互いを守る力になってくれるであろう。大事にされよ」
 マーラの像の両脇に座っていた司祭のブライヘルとディンヤ・バリュが立ち上がり、俺とセラーナに指輪を手渡した。セラーナには既に婚約指輪を与えていたから少々面食らってしまう。
「これはこれでちゃんと身に着けておきますわ。……勿論、婚約指輪の方も」
 セラーナが俺が考えている事に対して察したかのように返答してきたので驚いてしまう。
「……俺が何考えてるか分かったのか?」
「まぁ、大体は。……長く一緒にいるんですもの、これ位は分かりましてよ」
 自慢げな表情を浮かべる彼女がいとおしくて、彼女の首筋にキスをしてしまった。それを見て周りからはさらに口笛と歓声が飛んでくる。セラーナの顔が真っ赤になっているのがかわいかった。
「従士ジュリアン、結婚おめでとう。二人が永く幸せに過ごせるように首長としても祈っているわ」
 間を見計らって、立ち上がった首長ライラが握手を求めてきたのでこちらも自然と応対する。
「ありがとう……ございます」
 首長相手にありがとうだけじゃ無遠慮だなと思って付け足したが、かえって不自然な返事になっちまったかもしれない。首長はそれだけ述べ、お幸せにと言いながら手早く聖堂から自身の砦へと帰っていった。
 聖堂の扉が開け放たれ、一般客がざわざわしながら再びリフテンの町へと歩いていく。外は既に夕闇が訪れており、街灯の蝋燭がぼんやり街中を彩っているのが見て取れた。
「じゃ、……俺達も行こうか」
「行くって何処へですの? 今日もリフテンで泊まるんじゃないんですの?」
 そうか、セラーナは知らなかったんだった。メイビンが俺に鍵を預けた事を……そういえばメイビンは椅子に座っていたのにいつの間にか姿を消していた。一体いつ聖堂から出て行ったのやら。
 神父と司祭に再度礼を述べてから俺達は聖堂から辞した。扉を閉めてリフテン市街に戻ると、静かな町が夜でも賑わいを見せている。ビー・アンド・バルブの扉は開かれたままで、中からは吟遊詩人──ミカエルだろうか? ──の歌と談笑がこちらまで風に乗って聞こえてきた。
「今日はリフテンで泊まるんじゃないんだ。ある人から厚意で一泊分家を借りる事が出来てさ」
 メイビンの名前を出してもセラーナは彼女を知らない。黙っておいても別段おかしくはないだろう。
「一泊分ですの? ……で、それはここから遠いんでして?」
「いや、そんなに遠くはないな。歩いて30分、ってとこか。……そのドレスのままじゃ歩くのは辛いだろうから、馬でも借りて行った方がよさそうだな」

 それから数時間後の、宿屋ブラックブライア……屋外にて。
 静まり返った夜の風に一人当たる俺が居た。先程まで室内に居たのだが、少し夜風に触れたくなって外に出てきたのだ。
 数時間前──鍵のかかったこの建物に入ると、室内は煌々と明かりが灯され、暖炉にはしっかり薪がくべられており、ついさっきまで誰かが居たんじゃないか、などと勘繰ってしまうほど、建物内全てに手が行き届いてあった。一階の食堂には二人分の夕餉が出来上がってあり、スープ類は暖めればいい具合までに揃っていたのがこれまた驚いた。
「凄いですわね。いつ私達が来てもいい位までに揃ってありますわ。それなのに誰の姿も見えないのが不気味ですけど」
 俺も同じ事を思っていたので頷くしか出来なかった。でもまぁ、何はともあれ、メイビンの言ってた事は間違いなかったようだ。宿屋に着けばすぐに夕食にありつける準備はしておく、とは言ってたがここまでしてあるとは予想だにしなかっただけで。
 気味が悪い──厚意を有難く頂戴したのにも関わらず本心はそう思っていた。何か裏でもあるんじゃねぇか、と。食事を暖めている間、建物内をざっと見て周りおかしな点は無いか、と探して見たが杞憂に終わった。その間にセラーナはドレスからいつもの吸血鬼装備に戻ってしまっており、内心がっかりしたのは秘密にしておこう。
 晩餐と言うべき豪華な食事をセラーナと摂った後、ふと夜風に当たってみたくなって外に出てきた──が今までの経緯だった。

 今日一日で目まぐるしい展開がありすぎた。リフテンに人が殺到するわ、いろんな人から祝福を得るわ、そしてこの宿屋──何度も言うが宿屋という意味を成してない気もする──を貸してもらえるわ。
 でも。……全てはセラーナと結婚するという事から派生したものだ。彼女と結婚しなけりゃこんな事は起きなかったし、俺もまた結婚しようと思うことはなかっただろう。今までは旅の連れとか仲間程度だったのが、これからはそこに行き着くまでにかかるであろう、あらゆる関係をすっ飛ばして夫婦だもんな。なんだか……慣れるまで時間がかかりそうな気がする。
「でもなー……セラーナにどう言えばいいんだか」
 一人ごちる。どういえばいいのかって、そりゃ……一つしかない。夫婦になれば誰しも行うであろう行為。宗教的には愛を確かめるなんていうが、俗的には性欲を満たすだけの行為とも言う……
 セラーナがそれを知らない筈は無いのは分かっていた。だって、モラグ・バルは彼女の純潔を俺より先に、──って。
「ったく、何考えてるんだ俺……これじゃまるで……」
 僻んでるみたいじゃないか。……ため息を一つついてから俺はコテージの扉を開き、屋内に戻る。
 中に入った途端、暖かい空気が纏わりつくように体を包み込む。明かりがついた室内は静かで、広い空間に一人置かれた気分になる。セラーナは今風呂に入っているからだが、一人でこんな広い家は寂しいよな。
 そのまま俺は階段を使って二階へと上がった。二回は寝室とリビングがあるだけだったがどちらも間取りが広く、ハニーサイドと比べるとその広さに舌を巻くといったところだ。
 寝室には行かずリビングに足を踏み入れ、ぱちぱちと薪が爆ぜる音だけが響く暖炉の前に置かれた椅子に座った。ご丁寧に椅子の隣には小テーブルが置かれ、グラスと蜂蜜酒が置かれてある。先程まで外気に触れていたのと、悶々と考えていた事を払拭したいのもあってか、俺は自然と蜂蜜酒の瓶に手を伸ばした矢先。
「ジュリアン、ここに居たんですの?」
 グラスに注いで飲もうとしたのと同時にセラーナの声が背後から飛んできた。仰ぎ見ると、彼女は装備を外し、薄い赤紫のシャツだけを身に着けて扉の前に突っ立っている。先程まで風呂にはいっていたのと、シャツが胸元だけ開いているのもあって肌の色が艶めき、色気を醸し出していた。……心臓がどきん、と跳ね上がる。
「ああ、一人でやろうかと思ってたところだ。……セラーナも飲むか?」
 グラスを傾けて一口、口に含んでからそう言ってみせたが、彼女はそれに返事せず、黙ったままこちらに歩いてきただけだった。……どうかしたのか? 
 セラーナは無言で俺と暖炉の間に立つと、両手を腰に当てて、見下げるような視線をこちらに向け、
「ジュリアン、私、まだあなたに戴いてないものがありますわ」
 予想外の事を言ってきたため、思わず目を見開いてしまい、
「え?」
 などと間抜けな声を出してしまう。……あげてない物? 指輪は渡したし、結婚式も挙げたし……他にあげてない物なんて、あったか? 
「……すまない、何のことを言ってるのかさっぱり……」
 素直に分からないと言うと、今度はセラーナが目を丸くする番だった。
「……本気で言ってるんですの?」
「挙式も挙げたし、指輪も渡したし……他に何かプレゼントするって俺前に言ってたっけか? もしそうだったら申し訳ない、教えてくれないか」
 もし忘れていたら自分自身でも許せないのだが。──しかしセラーナは違うとばかりに頭を横に振った。
「何か勘違いされてませんこと? ……母に約束したじゃりませんの。もしかしてもうお忘れになったんでして?」
 母? ヴァレリカ? 約束? ──思い当たる事はひとつしかなかった。さっき屋外でいみじくも考えていた、彼女が知らない筈はないが、俺はやりたい、けとどう言えばいいのか分からなくて悶々としていた事。
 ……でも待てよ、セラーナが言ってるのは愛を貰ってないって事だけで俺が想像しているような事じゃないとしたら? 
「愛している、って? 式で言っただけじゃ気がすまないのか? セラーナ」
 そうじゃない、とばかりに彼女は再度頭を横に振る。
「もう、そういう意味じゃありませんわ。言葉で言う事しか母には約束してなかったんですの? ……それとも私にはあなたの眼鏡に適うような魅力がないとでも?」
 言ってて恥ずかしくなったのか、セラーナはぷい、と顔を横に背けて後ずさりしはじめるではないか。後ろに暖炉があるというのに。
「セラーナ駄目だ! それ以上下がったら暖炉にぶつかるぞ!!」
 思わず叫んでしまうが、逆に驚かせてしまったようで──セラーナがえっ、と後ろを振り向いた際、後ずさりしていたため体勢が僅かに崩れた。
「あっ」
 セラーナが頭から暖炉に倒れそうになるのを、咄嗟に立ち上がった俺は彼女の腕と腰を掴み、ぐっと抱き寄せた。……その後、ぱりん、と音を立ててグラスが床に落ちて割れた音が響く。
 咄嗟だったため持っていたグラスを手から離していたことに今更ながら気づくと同時に、セラーナと自分を密着させるように、力強くぎゅっと抱きしめている事に気づいて遅ればせながら心臓がどきどき鼓動を高めた。……鼓動が彼女に伝わっちまうんじゃなかろうか、と錯覚するほど。
「危ないな……後ろを見もせずに後ずさりするなよ」
「ジュリアンが悪いんですのよ。鈍感なんですもの。あなたは結婚したというのに妻に与えるものも与えず、愛しているは口だけで済ませるおつもりだったんでして?」
 抱きしめられて顔を赤らめながらセラーナは反論してくる。まさか、そんな訳ないだろう。
「すまない、君が俺と同じ事を思ってるかどうか分からなくてさ。……セラーナ、君が欲しい。……ずっと君が欲しかったんだ」
 言葉がすんなりと口から出る。何だ、言えるじゃないか、俺。
「最初からそう言えばいいんですのよ。まさか私が、結婚した者は夜同じベッドの上で寝ながらしりとりをするとでも思っているみたいな、何も知らない箱入り娘だと思っていたんですの?」
 そうじゃないさ。「いいや、ただ……嫌がって欲しくなかったんだ。セラーナがどういう事情で今の君になってるか知ってるからこそ、俺は君の意思を尊重したかった。それだけだ」
 そう言うと彼女は呆れ顔を浮かべ、……抱きしめられたまま顔を近づけて唇を重ねてきた。突然だったのでこちらは目を閉じる余裕も無く、思わず腕をびくん、と震わせてしまう。不意にキスをされただけで……嫌でも下半身が反応するのが分かる。
「──結婚しておいて、嫌がるなんて相手に失礼じゃありませんの。私はそこまで失礼な態度取りませんでしてよ。むしろ今のあなたの方が失礼ですわ」
 唇を離し、顔を瞳と同じくらい真っ赤に染めたセラーナが、俺の目をじっと見つめたまま言う。その色に怯えや畏怖は感じられない。
「……怖くないのか?」俺は今から、君がコールドハーバーでモラグ・バルにやられたような事をやろうとしているんだぜ。とは言わず──ぐっと喉の奥に押し込める。
 しかしセラーナの答えは予想外にシンプルなものだった。
「怖い? 何がですの? 何か勘違いしてませんですこと? 私はあなたに抱かれる事は今夜が初めてですけど、嬉しいですわ。それは勿論、ジュリアンを……愛しているから」
 今まで理性を保っていたタガがその言葉で外れた。抑えていたものが全身に溢れ──下半身に血流が溜まっていくのを感じてにわかに呼吸が荒くなる。
「……せっかく風呂に入ったのにまた汗かいちまうな。それでもいいのか?」
「また入ればいいだけでしてよ、今度は一緒に入っても構いませんわ」
 互いに笑って──今度は俺から唇を重ねた。荒々しく舌を絡め、いらやしい水音を立てながら互いに互いの身に着けていた衣服を脱いでいく。暖炉と蝋燭のみで照らされた室内に、二人の影が何度か炎で揺らめきながらも次第に深く重なり合っていった。

 光が飛び込んでくる。──そう、光だ。
 まぶしくて、薄ら目を開けると──光は窓から差す日差しだった。きらきらと輝く日差しはまるで輝く階段のように、床にきらめく一本の筋を残している。
 夜が明けてから数時間といったところか。……寝ぼけていた頭が瞬時に昨晩の営みを思い出し、はっとして傍らを見ると、ベッドの中でセラーナが静かな寝息を立てていた。
 さすがに体力を使ったのだろう、でなければ普段寝るなんて必要の無い彼女がベッドの中で寝るなんて行為すらしないだろうから。……けど寝顔のセラーナなんてなかなか見ないよな。と自然と口がにんまりしてしまう自分が居た。
 セラーナの肩が布団からわずかに出ていたため、彼女へそっと布団を掛け直してから、俺はもそもそと寝台の上を移動しつつ再度身を横たえて、彼女の寝顔をじっと見ていた。
 まだ起きなくてもいいか。と思いながら──再度まどろみの奥へと意識がさらわれていく。……その数分後に、セラーナが目を覚ましたのも気づかないまま。
  ぱち、と瞼を開けたセラーナは、ジュリアンの顔が存外に近くにあるのに心なしか驚いた。窓から差す光に、随分眠っていたようだと思うと同時に、眠ってしまうなんてと自分自身に驚きを隠せずにいた。ジュリアンを起こさないようにと、そっとベッドから起き上がると、若干ぎくっと腰が痛む。何で痛むのか、と思わなくても予想がついた。──自分も相当腰を振っていたせいだ。思い出すだけで顔が熱くなる気がした。それだけ気持ちよかったのも事実で……
 何も身に着けていないままベッドから立ち上がる。終わってからそのまま眠ってしまったのは勿論、衣服は隣のリビングで脱ぎ散らかしたままだということも思い出してセラーナは思わずくすりと笑みを浮かべた。ジュリアンはまだ眠っていてもいいだろう、……昨晩は激しく動いていたし、腰が痛くならないといいんですけど。
 セラーナは心の中で独白してからリビングに移動し、着替えてから彼の衣服もベッドサイドに置いて、一階へと降りていった。

 最初に目が覚めてから何時間経っただろうか。……完全に二度寝してしまった事に気づいたのは何度目かの寝返りをした後、先程目が覚めた時には俺の隣で眠っていたセラーナが居ない事に気づいてからだった。
「しまった……昼過ぎにはここを出るんだったよな」
 ぽつりと独り言をつぶやきながら起きる。昨晩脱いだ衣服が置いてあるのに気づいた。セラーナが置いてくれたのだろう。手早く着替えて一階に下りると、食堂にセラーナが皿を並べていたところだった。
 そんな姿さえも昨日と違って見えるのは何故だろう? 結婚したから? それとも……
「おはよう、セラーナ」
 声をかけると彼女はこちらを一瞥してから──何故か肩をすくめて見せた。
「遅いおはようですわね。昨日ほどではありませんが11時前ですわよ。……朝ごはんできてますわ。食べますわよね?」
 有難い。「戴くよ。……昨晩動いたしな、腹が減ってしょうがなかったんだ」
 勿論嘘ではないしセラーナも同様だった。互いに求め合い互いに溶け合った夜を思い出すだけで口が再びにんまりしてしまう。
「……お昼過ぎにはここを出るんですから、急いで食べないと遅れますわよ」
 聞いていない素振りを見せたセラーナだが、本当はちゃんと聞こえていたらしく、照れたように頬がほんのり赤く染まっている。……幸せだ、そう実感できた。生まれてこの方、家族を持つという事なんて考えもよらなかった事が、現実になっているのが信じられない。
「ああ、いただきます。……ここを出たらホワイトランを経由して首長に挨拶をしてからソルスセイムに戻ろう。──島の皆は俺達が結婚した事に驚くだろうな、きっと」
 向かい合うように椅子に座って、朝食にありつく。テーブルを囲んで食べる食事がこんなにも暖かく感じられるのも、幸福というスパイスが混じっているせいだろうか?
「そうですわね。……思えばレイブンロックの方々に何も言わないまま島を出たっきりでしたわ。まだ四、五日程度しか経ってないですけど」
 そうだった。島を出る時はセラーナと今生の別れか、と絶望していたのにも関わらず、今はこうしてセラーナと結婚して食卓を囲んでいる。人間生きているうちに何が起きるか分かったものじゃないな。
「セラーナ、愛しているよ」
 などと思わず口から本心が零れ出たのに自分自身が驚いた。言われた当のセラーナはというと、いきなりすぎてきょとんとした表情を浮かべてから──目と同じくらい頬を真っ赤にした。
「な、何いきなり言い出すんですのよっ! ……寝ぼけた事言ってないで朝ごはん済ませないと遅れますわよ!」
 寝ぼけてないんだが……しかしその態度が本気でおかしくて、かわいくて、愛おしくて、俺は笑った。
 
 鍵を閉め、ポストに鍵を投函してから、俺とセラーナは宿屋ブラック・ブライアから離れた。そのまま街道に出て、リフテンには立ち寄らず東を目指し、イヴァルステッドを経由してからホワイトランへ向かう。
「行こうか、セラーナ」
「ええ」
 宿屋に背を向けて、歩き出す──傍らに立つセラーナを見て、心の底から幸せだと思い──同時に、俺は心の中から一つの目的を消した。今まで追っていた……父親の仇敵を討つという事を。
 これまでも二人で歩いてきた。今迄は互いが別々の道を歩いていた。行く方向は同じでも、見据えるその先は違っていた。だから俺は仇敵を探し、いつか親父の仇を討つ事を忘れてはいなかったし、それだけを目標として長年追い続けてきた。
 ──けど、これからはそうじゃない、俺とセラーナ。二人で一つの道を歩いていくんだ。それが独り身の人生ではないということだから。
 勿論親父を殺した奴は許してはいない。けどそれ以上に愛しく守りたい者が出来た。だから捨てよう。今となっては無意味な目的を──
 「黙ってしまって、何を考えているんですの、ジュリアン?」
 セラーナが訊いてきた。
「ああ、前に父親と養父の話はしたよな? ソブンガルデで見守ってくれているであろう彼らに報告してたのさ。俺はセラーナと結婚したよ、ってさ」
 死地に赴くだけが人生じゃない。傭兵として生きながら幸せを求めたって悪くはないさ。ようやくそう思えるようになった。思える相手が出来た。だから俺はセラーナ、君を幸せにしてみせよう。愛していこう。
「……幸せになろうぜ、これからはずっと二人だ」
 ぽつりと言うと、セラーナが嬉しそうにはにかんだ笑みを浮かべてくれた。そんな彼女の手を取り、優しく握ってから、俺たちは歩き出す。
 互いの道が一つに集約して出来た、先の見えない、けれどちっとも怖くない──幸福という名の輝く道を。





あとがきは次で書きます。長文お読みいただきありがとうございました。


Happier(二次創作版)そのに

※スカイリム二次創作小説第2チャプターですが、前の話から続いているため、ここから読み始めると若干面食らう点が多いかと思います。なので最低限前シリーズ(rude Awakening)から読み始めるといいかもしれません(それでもまだ分からない点が多いと思いますので一連の流れが知りたい方はカテゴリ「スカイリム二次創作」の2014年初頭辺りから読むといいかもしれません)
苦手な方はブラウザバックでお戻りを。
※2 今シリーズは結婚の過程があるため、若干18歳以上推奨的なシーン、文章、写真(SS)等がちょろっと出てくると思いますので、ドヴァーキン×セラーナに耐性の無いどばきんさんはこれまたブラウザバックでお戻りした方が幸せかもしれません。(そのにではあまりそういうシーンはないですが)
※3 これは第二話です。最初から読みたい方は「Happier(二次創作版)そのいち」からお読みください。(今回からちょっと長くなっていきます。小休止しつつお読みください)


 まどろみながら、何度も目を覚まして。
 その度に薄目を開けて、部屋を見渡せば──いるべき場所にその人はいて。
 その都度、心は安堵して再び瞼を閉じ、眠りにつこうとするのに──また再びまどろみながら、目を覚ます。
 そしてまた──見て、安堵して、眠ろうとして……その繰り返し。
 でも、ちっとも嫌じゃなかった。……今までもそうだったけど、今まで以上に自分は一人じゃないのだと、強く思える相手がいるから。

「……ァン、……リアン、起きて」
 遠くから漣のように呼びかけてくる声。──セラーナだった。そう頭が認識すると同時に瞼が開く。これが何度寝で起きたか分からない位だった。
「ぁあ、セラーナ。……おはよう」
 上体だけ起こし、ベッドサイドに突っ立っているセラーナに言うと、彼女は何故か呆れた表情を返してくる。……何かおかしな事言ったか?
「……おはようの時間なんてとっくに過ぎておりますわよ。今何時だと思いまして? お昼前ですわ。13時に聖堂に向かうんじゃありませんでしたの?」
 なんだって? と──セラーナが立っている方とは反対側にある壁側の窓から外を見れば──あまり強くは無い日差しが窓に影を落とす面積は小さい。即ち太陽がてっぺんに近い部分まで昇っているという証だった。
「何故起こしてくれなかった?」
 怒って言う口調のそれではなく、あくまで疑問を投げかけただけだったが、セラーナは黙って肩をすくめ、
「そりゃ……何度も夜中に目を覚ましているんですもの、早く起こしても欠伸を噛み殺して式に出席するのがおちでしょうから、敢えて気を利かせたつもりですわ。正午を回る前に起こそうと思ってこうなっただけですのよ。昼食食べて出れば余裕で間に合うぎりぎりの所まで寝かせた私の気配りに感謝するのはそちらではありませんでして?」
 表情ひとつ崩さず淡々と言ってのけるセラーナ。……気づいてたのか、俺が何度も目を覚ましていた事を。つまりそれはお互いがずっと互いの事を見ていたという意味になるのだが、それが妙に照れ臭くて、嬉しかった。
「なんだ、知ってたのか……そうだよ、君と結婚できるなんて嬉しすぎてなかなか寝付けなくてさ」
 平然とした口調で言ってのけると、セラーナはちょっとだけ俯いてぷい、と顔を背けてから「……お腹すいてますわよね? 用意してありますわよ」とだけ言ってダイニングのほうへそそくさと引っ込んでいく。
 その様子がおかしかった。幸せというのは有り触れた日常でも感じることが出来るのかと今更ながら実感した。これからは毎日セラーナをこうしてからかう楽しみも増えるのかと思うと結婚も悪くないな、とさえ思えてくる。
 じんわり幸せを噛み締めていたかったが、昼前ともなるとセラーナの用意してくれた昼飯をかっ込んで出かけなければ間に合わない。とりあえずベッドサイドに置かれてあったチュニックを身に着ける事にする。鎧は飯を食べてからの方がいいだろう。
 ダイニングに入り、小さい四角く切り取られたテーブルの前に置かれた椅子に腰を下ろし、テーブルに置いてあったパンに手を伸ばすと同時にセラーナがとん、と木の皿にいくつか載せたものを俺の前に置く。
 皿に乗っかっていたのは牛肉──携行食料の干し肉ではあるが──を焼いたもの、リーキをバターで炒めたソテーにマッシュポテトが添えられてあった。どれも出来立てで、人の手が加えられてある──もちろんセラーナの。
「へぇ、……セラーナも料理の腕が上がったな」
 素直に喜びを口に出す。何か言ってくるかなと思ったが、セラーナは相変わらず顔を合わそうとせず逸らしたまま。何照れてるんだか。
 そのまま黙って食事をしようとした矢先……にわかに外が騒がしい事に今更ながら気がついた。いつもは衛兵が木製の橋を渡る際に起きる木がしなる音程度しか聞こえないのに、今日は賑やかな声と同時に歩く音がそこかしこから響いてるようだ。
「……何やら外が騒がしいな」
 ぽつりと言うと、セラーナがつまらなさそうに「今朝から騒がしいですわ。出てないからわかりませんけど、今日は何かあるのですかしらね」と返してくる。彼女もまた自分が作った朝食兼昼食を口に運んでいた。
 今朝から……? 今日は何か行事でもあっただろうか。昨晩夜遅くリフテンに付いたから知らないだけかもしれないが。
 もう少ししたら聖堂に向かうし、その時に何があるか見ることも出来るだろう。
 夕べから口にしたのが蜂蜜酒だけだったこともあって一気に食べ終えてしまい、ダイニングから再び寝室に戻ってから手早く装備を整えた。セラーナはその間下げた食器を水で流したりしている。今までは旅の連れみたいな関係だったのが、今日から夫婦になるというだけでそういう慣れ親しんだ光景が特別に見えてくるのが不思議だった。
 などと考えながら鎧を身に着けて、両手剣を背中に背負い装備が整ったところでちょうど13時手前。ものの数分の所に聖堂はあるから、定刻通りに着くのは間違いなかった。
「セラーナ。準備できたぜ。……じゃ、行こうか」
 片付けも全て終えていたセラーナがこくりと頷く。いったんセラーナを聖堂に置いてきてから、俺も再びこっちに戻ってきて着替えるつもりだった。まだ式が始まる訳でもないのに地に足が着いている感覚がしないのは何故だろう?
 余計な事を考えている暇は無いな、と──俺は玄関の扉を開けた。外気がふわっと纏わりつくように室内に入ってくると同時に──普段聞く事の無い、騒がしい声が嫌でも耳に飛び込んでくる。
 その声が聞こえる方へ目を移すと──信じられない光景が目に飛び込んできた。
 リフテンはそこかしこに水路があり、その両脇を縫うようにして木製の橋や通路、民家が立ち並んでいるのだが、その通路上に人がごった返しているのだ。人々が談笑しながら歩くたび、木製の通路がしなる音は悲鳴のようにも聞こえるくらい、どすどす、ぎしぎしの繰り返し。
「なんだ、ありゃ……」
 思わず口から言葉が漏れてしまう。背後で立ってたセラーナは何事か、と俺の傍らから同じ方向を見る。人々の行きかう姿はいつも以上に多いため、彼女もまたおや、と首をかしげていた。
「やっぱり今日は何かあるのですわ。でも今は祭りの季節ではないと思うのですけど」
「確かにな……しかし、リフテンがこんな人でごった返すなんて光景、何度も来てるけど見た事ないぜ。見るからに旅人や遠方から来てる人も多そうだ」
 町中が騒々しいため、心なしか声も大きくなってしまう。見たことのない光景に玄関前でしばし突っ立ってしまったが、はっと用事を思い出した。
「急ごうセラーナ。この人だかりだからな、聖堂には町の中心部を通らずに側道を通って行こうぜ」
 彼女は構わないといった様子で首肯してみせる。とりあえず正門の前を通ってから、町の中心部をぐるりと囲むようにして作られている水路の側道を通っていけば聖堂の門前に着く──と思った直後の事だった。
「いたぞ! ドラゴンボーンだ!」
「ドラゴンボーンが来たわよ!!」
 俺の姿を見るや否や、声を張り上げたのはリフテンで青果品を売っているマライズと、仕事サボって外出しているのか──アルゴニアンのタレンだった。何を今更……と思う暇も無く街中で談笑しながら歩く人々の目がいっせいに俺とセラーナに向けられる。
「えっ……」
 その異様な光景に自然と身構えようとした矢先、あろうことか凝視していた人々がわっと一斉にこちらへ駆け寄ってくるではないか。なんだなんだ?! 
 思わずセラーナを守ろうとしたが、対応しきれず人波に押し流されてしまった。もみくちゃといった方が言いかもしれない。
「ちょっ……すまん、通してくれ!」
 こちとら時間に間に合わないのに人々はどんどんこっちに駆け寄ってくる。呻くように声を張り上げたが一向にそれを聞いて正す者はいなかった。
「ジュリアン! おめでとう!」だの「やったな! この堅物野郎!」だの「結婚すると聞いて飛んできたんだ!」だの誰が言ってるか全く分からない状況で声を掛けてくる。今聞いてる状況じゃねぇっての!
 通路の一角で身動きが取れない状況に陥りながらも、俺はセラーナが何処にいるのか目で探した。……人波で若干離れているがこちらに近づこうと必死で人を掻き分ける彼女の姿が目に飛び込んでくる。
「セラーナ!」
 人の手を掻き分けて必死で彼女の手を掴もうとする。セラーナも手を伸ばしてくれたおかげもすぐに掴む事ができた。狭い通路に人が押し合いへし合いしている状況で時間を無駄にする訳にはいかない。片方はセラーナの手をしっかり握りしめ、もう片方の腕で人を掻き分け、なんとか人だかりでごった返した一角から逃れられた。
「セラーナ、走るぞ!」返事も聞かず俺は彼女の手を握ったまま走り出す。だす、だすと不規則に鳴る木の側道を走る俺たちを見て、襲ってきた──といっても差し支えあるまい──人々はわーわー何か言っているが、聞いている暇は無い。
「はぁ、はぁ……一体なんなんですの? いきなり人が襲ってくるなんて」
 息を切らせてセラーナが言う。
「……なんか俺に対しておめでとうとか言ってたな。とりあえず聖堂に入っちまおう、中は安全な筈だ」
 もしかして結婚する事がばれてるのか? 昨晩の話が半日足らずで広まるなんてある訳……なくもないな。神父が漏らしたりしなければ。
 嫌な予感がしたが、走りながらリフテン聖堂の正門をくぐり、扉を叩いてすぐに室内に入った。セラーナが入ったところで素早く扉を閉める。
 聖堂内は静かだった。外の喧騒が嘘のようで、その静けさに息を整えつつもほっとする。
「遅かったじゃないか。何かあったのかね?」
 マラマル神父が待ちくたびれたかのように、走って息切れを整えている俺とセラーナの前にやってきた。俺たち二人の姿を見て、おや、とでもいう風に首を傾げる。
「何かあったじゃねぇよ。……家から出たら人がリフテンの街中いたるところにごった返してるし、俺を見つけるや人が駆け寄ってくるし、こっちは大変だったんだぜ。……神父、あんた何か話したりしたか? 俺達のこと?」
 まさか神父が言う訳ないだろうな、と思って鎌を掛けて見たが……あろうことか神父はあっさり首肯して見せ、
「いや、すまない。早馬を駆ってスカイリム中の主要都市全てにこの一報を流した。ドヴァーキンが結婚するとなると一大行事になってもおかしくはなかろう? 一般人の結婚ではないのだ。世界を救った者が誰にも知られずひっそりと挙式をあげるのは寂しかろう……と思ってね。
 そしたらどうだ、想像以上に人が来るではないか! リフテンから最も近いウインドヘルム、ホワイトランやそのその他小さな町や村からも、あんたの結婚を一目見ようと馬を走らせてきたって話を聞く。さすが話題に事欠かないなドラゴンボーンは」
 ……神父の弁明を理解するのに丸一分くらい時間を要したかもしれない。理解してからは何て口の軽い神父なんだと心の中でため息をつく。
「……あんたの仕業だったのかよ」
 マラマルは再度すまない、と言った。俺としてはマラマルの言う、ひっそりと誰にも知られずに挙式を挙げたかった。セラーナは隠してはいるが吸血鬼だし、それを表立って出す事はないだろうとしても、人が多い中で自分の欲求を満たす行動に出てもおかしくはない。──まぁそんな姿はせいぜい山賊を倒す際に垣間見る事が出来る程度だが。
「しょうがないな。やっちまった以上、今更収集つかねぇだろ。あんたも出席者にどうせ金をせびるんだろうし、俺とセラーナはまぁ、賑やか……な結婚式が迎えられるならまぁ、悪くはないよな? セラーナ?」
 神父の機嫌を損ねてもこちらが損をするだけだし、現に人がこうやって俺の話題ひとつで地方から集まってきている以上、徒労に終わらせる訳にはいかないし……って何だ、これじゃまるで客寄せピエロじゃねぇか。俺はシセロじゃねぇんだぞ。
「そういう事なら、致し方ありませんわね。私はあなたがよければそれでよろしくてよ」
 彼女も内心呆れてはいるのだろうが、そこは俺に合わせてくれた。
「ありがたい。ささ、セラーナさんはこちらへ。ディンヤが服を用意してくれた。彼女が着付けを手伝うそうだ。急がないと」
 促されたセラーナはちらりと俺のほうを見たので、大丈夫だと頷いてみせる。それを見て安心したのか、彼女はマラマルの後ろを歩いていくと、聖堂の奥にある部屋の一室に通された。
 彼女が室内へ入った後に神父が扉を閉めてこちらへと戻ってきた。司祭の姿は見えなかったから、予め室内で待機していたのだろう。ディンヤ・バリュが用意してくれたという衣服がどんなものか気になるが……数時間すればお目にかかれるはずだった。それを着たセラーナと。
「神父。式代と貸衣装代は幾ら払えばいい?」
 セラーナが居なくなったところで、戻ってきたマラマル神父に代金の相談を持ちかけた。神父は挙式代は金貨200枚と貸衣装は一着台100枚、合計セプティム金貨300枚を請求された。……まてよ、一着?
「俺の分の衣服はないのか?」
「ああ、男性用は探したが……くたびれたものばかりしかなくでね、申し訳ないが都合する事が出来なかった。ソリチュードにでも行けばいくらでも売ってるんだろうが、こっからソリチュードは一日で行って帰っては難しいし」
 仕方ない……。一旦ハニーサイドに戻って荷物を漁ってみるしかない。俺は金貨を支払うと、踵でターンをして聖堂の扉に近づいた──途端に気分が重くなる。またあの人だかりを突っ切ってハニーサイドに戻らなきゃならんのか。
「……式は16時からだったよな?」
「そうだ。今度ばかりは身支度整えた花嫁が待ってるからな、間違っても今しがたのように遅刻なんかするんじゃないぞ」
 勿論さ、今度ばかりは遅刻したらセラーナに何言われるか分かったものじゃないからな。黙って頷いて見せてから、俺は聖堂を出た。

 出た途端……出るんじゃなかった、と後悔が頭をよぎる。
 リフテンの住人、地方から来たのだろうか旅人風情の者まで、ざっと二十人近くだろうか、が聖堂の扉、数段あるステップの下に待ち構えるようにして並んでいたのだ。……うんざりする。
「出てきたぞ! ドラゴンボーン一人だ!」
「花嫁はどうした!」
 などと野次なのかなんなのか分からない声が飛び交う。先程のマラマルの話を聞いた以上、邪険に扱うのも気が引けるため、
「式は16時からだ、俺は一旦支度に戻るだけだ」
 と声を張り上げると、集まっていた人だかりはめいめいじゃあまた夕方に、と言いながら散らばっていく。大体がキーラバの経営するビー・アンド・バルブへ向かっていくあたり、今日は仕事もせず昼間から飲み明かすつもりなのか、それとも単に旅行客が多いのだろうか。
「ジュリアン!」
 突然名前を呼ばれ、そのほうを見ると──ホワイトランのバナード・メアを経営しているフルダがその場にいたのでおや、と目を疑った。何でこんなところに居るんだ?
「ジュリアンが結婚するって聞いて、矢も盾もたまらず飛んできてしまったんだよ! セラーナちゃんと結婚するんだって! いやぁよくやったねぇジュリアン! もうあんたは堅物だから結婚なんて無理なんじゃないかって思ってたよこの!!」
 などと言いながら近づいてきて人の肩をばしばしと叩いてくる。鎧越しでもその力はかなり強く、叩かれ続けたら痣になりそうだ。
 まさかこんな所で会えるとは思ってなかった為、俺は半ば面食らっていたがようやく気を取り直し、
「……フルダだけか? 他の皆は?」
「ああ、ミカエルがきてるよ。今は酒場で歌を歌ってるんじゃないかしら? 他の皆も行きたいって言ってたけどねぇ、カルロッタもイソルダもリフテンは遠いし時間がかかるって事で宜しくとだけ言ってたよ。酒場の仲間はシンミールが喜んでたわ。一年待たせやがってとも言ってたかしらね。……あああと、ヘイムスカーが相変わらず訳わからんこといってたかしらね、タロス万歳とかなんとか」
 いつも通りのようだ。そういえばソルスセイムにずっと行きっきりで、暫くぶりにスカイリムに戻ってきたらすぐにヴォルキハル城に行ってその足でここまで来ていたから、ホワイトランに立ち寄る余裕がなかった。いずれ挨拶を兼ねて戻らないといけないな。従士の肩書きに甘んじてしまって半年近く留守にしているんだし。
「いずれ挨拶に行く。その時はまたバナード・メアに立ち寄らせてもらうぜ」
 支度があるからこれで失礼するよ、とフルダに挨拶をして俺は聖堂の門をくぐろうとした際、待ち構えていた二人組に出くわしたのでおもわず後ずさった。
「ジュリアン! 結婚おめでとう。セラーナさんって言う人、いつも連れて歩いていた人よね?」
 ムジョルだった。彼女の傍らにはムジョルを助けて以来ずっと一緒に行動しているアエリンがいる。前衛で斧を振り回すムジョルは雌ライオンというあだ名に相応しく、筋肉質でがたいのいい女性だったが、その隣で歩くムジョルは腰に剣を帯びてはいるものの、ひ弱なインペリアルという印象が強かった。よくそんな男がムジョルを助ける事が出来たよな、と内心怪訝に思ったものだ──今となってはどうでもいいが。
「おめでとうジュリアン。結婚を祝福するよ。式は夕方からだってな、聖堂内に入れればいいんだけど」
 アエリンも祝いの言葉を送ってくるので、とりあえずありがとうとお礼を言っておく。……歩くたびに誰かに祝福を受けるようだと支度に戻るのも一苦労じゃないか、これ。
「すまない、俺も支度しなくちゃならなくてさ。あとで話す機会があったらまた」
 これまた手短に挨拶を述べ、走り出す。のんびり歩いていると支度する時間がなくなりそうだ。急がないと……
「お待ちなさい、ジュリアン」
 ぎくりとして思わず足が止まった。この声は……
「結婚するんですってね、おめでとう」
 柱にもたれ掛かるように立っていたのは──メイビン・ブラック・ブライアその人だった。ブラック・ブライア家の家長であり、リフテンの裏の顔、盗賊ギルドや闇の一党とも関わりあいの野心家。
 そんな奴が俺に近づいてくるなんてろくな事にならないのは分かっているのだが、盗賊ギルドにも身を置いている以上、邪険に扱う事も出来ず、
「……どうも」
 とだけ言うのが精一杯だった。気の利かない言い回しも出来ないのかと言いたげにメイビンはふん、と鼻を鳴らす。
「……何故私がわざわざ時間を割いてあなたと接触してきたのか、分かる筈もないでしょうからさっさと答えてあげましょう。
 今日のリフテンの様子、見ればお分かりでしょう? 町全体が浮かれきっているのが。あなたが結婚するというだけで人が集まり、恐らく今日一日だけでリフテンは半年位は食べていける位の収入を得る事が出来るはず。
 だから私はあなたにお礼を言いにきたのです。あなたの知名度はスカイリム中に知れ渡っている。結婚するだけでこんなに人が集まるのだから……そういう事だから、お礼にこれを」
 と言って、メイビンは手を差し出してきた。思わずこちらも手を差し出すと、彼女が握り締めていたものを俺の手のひらにぱっ、と落とす。──鍵?
「……何処の鍵だ、これは」
「リフテンの南東、モロウウィンドとの国境近くに私所有のコテージがあるのを知っているでしょう」
 思い出した。前にルイス・レットラッシュという男から頼まれた仕事で侵入した事が一度だけある。宿屋と言う名目上で建ってる建物だが、客を泊める宿屋という名前のそれではなく、別荘と言った趣のほうが強かったな。
 もちろん俺が侵入した事がばれてはならないため、
「いや、初めて知ったな。あんたがコテージなんて洒落た物を持ってるなんて」
 と誤魔化すと、褒められたのと勘違いしたのかメイビンは一つ咳払いし、
「……リフテンから出て街道沿いに進めばわかります。そのコテージを一泊だけ、あなた方のためにお貸し致しましょう。これはそのコテージの鍵です」
 正直なところ、俺たちにリフテンに居られると邪魔だと言いたげな態度だった。どうみても気を利かせてくれた訳ではないだろう。……しかしメイビンの申し出は正直、ありがたかったのもあった。リフテンがこんな浮かれ騒ぎ状態で一晩過ごすのは嫌だな、と思いさえしていたのだ。……色々な意味で。
「いいのか? 鍵を俺に預けたりなんかして」
「勿論鍵は返却してもらいます。入り口のポストに入れておけば後で引き取りに行くでしょう。……入れ忘れたらうちの精鋭が地の果てまでもあなたを追っかけていくでしょうから、そのつもりで」
 ぞっとしない話だな、と内心ぼやく。お礼なのか邪魔者扱いされてるのかさっぱり分からん。その何を考えているのか分からないのがメイビンの末恐ろしい所なのだが。
「……明日の昼過ぎにコテージから出るようにするさ。それでいいならありがたく」
「いいでしょう。夕食の支度はさせておきますから、宿屋に着けばすぐに食べれる準備をさせておきます。いいですね?」
 半ば命令口調だった。めんどくさいし時間も無いため黙って首肯してみせ、その場は一旦収まった。
 俺は鍵を預かったままメイビンと別れる。……やれやれ、疲れたな。これでまた誰かに捕まったらたまらんと俺は走り出した。
 時間を見ると14時過ぎて半近くになっていた。大いにまずい。
 ハニーサイドに飛び込むようにして入り。鍵を掛けると俺は寝台近くに置いといた荷袋をひっくり返す。……結婚式で使えそうな衣服はさすがにないな。
 次にクローゼットをかき回すがこれまたいいものはなし。元々ハニーサイドを拠点としてた訳ではないからやむを得ない訳ではあるのだが。
 仕方ない……結局いつもの装備になっちまうが、元々用意もしてる時間がなかったんだ。セラーナだけでも上等な服があるのなら、それでいいか。
 けど薄汚れたままではさすがに分が悪いので、一旦装備を外して手近にあったぼろ雑巾で磨き始めた。式が始まる前に全部磨き終えられるといいんだが、と思いながら。


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長い。ごめんなさい。
結局待たせまくってそのさんまでいきそうです。たぶん次で終わります。
ほんと~~~~に長くて遅くてごめんなさい<(_ _)>

とりあえず今のところは平和ですね。次辺りでちょっとエロ要素が出てきますね。
何度も言ってますが露骨な描写は書きませんのでご安心あれ。書いてほしいというなら応相談で(笑)

で。話は変わって。
ブログのキリ版が過ぎました。……ですがリクがこなかったので次は40000Hitでやってみます。
狙いたい人はどうぞ。

というわけで今日の更新はこれまで。
遅くなってすいません。次も更新日を狙いたいけど難しいかなぁ・・
なんとかがんばります。ではまた。

:おまけ:
今回使用したBGMは「英雄伝説 空の軌跡FC」から
「王都グランセル」「工房都市ツァイス」「旅立ちの小径」でした。

コミケットスペシャルお疲れ様でした

えー……二週間近くブログをほったらかしててごめんなさい。
今日はコミケットスペシャルに参加してました。
とはいえ新刊落ちましたが(汗)

そして今回初のジャンル変更でサークル参加したわけです。ええ、スカイリムです!
コミケ参加しはじめて15年、初めてシャイニングフォース(中の人の活動のメインジャンル)からスカイリムに移動したんですよ! すごい緊張しました。なにせコミケでジャンル変え参加は自分史上初だったので(-_-;)

初めてスカイリムサークルさんの方とおしゃべりに興じました。
すごく楽しかったです。自分のジャンルだともうそういう新鮮さは失われてますが(マイナージャンルの行く末には、自分含めて他サークルの参加者すべて顔見知りになりますからね)、スカイリムサークルでは顔見知りはいないし(Twitterのフォロワー様はいますが今回は生憎どなたも参加しておりませんでした)、それでも自分含めて3サークル。どなたも以前本を買ったことはありますが面と向かって話すことはなかなかなかったため、色々スカイリムの事だなんだと話したのは17年前、シャイフォでサークル参加してた時よく周りとシャイフォの話をしまくってた時を思い出すくらい楽しかったです。久しぶりにジャンル変えの新鮮な息吹を感じました。参加してよかった。

まぁでもコミケじゃシャイフォでしか参加はできない(サークルポリシーに順じてます)ので、夏受かってもまたゲーム(RPG)枠でサークル参加でありスカイリムのあるゲーム(その他)では恐らく今後またスペシャルでもなければ参加できませんが><
今後もたくさんの方と交流していければいいなぁ。

そんな楽しい一日でした。本も売れましたし売り切れも出て嬉しい悲鳴でしたw
また夏もどうぞよろしく。その前に受からないとだけどw

では今週木曜日には前回のブログの続きをUPする予定です。長く待たせてすいません;;
それではまた更新日に!

Happier(二次創作版)そのいち

※スカイリム二次創作小説第一チャプターですが、前の話から続いているため、ここから読み始めると若干面食らう点が多いかと思います。なので最低限前シリーズ(rude Awakening)から読み始めるといいかもしれません(それでもまだ分からない点が多いと思いますので一連の流れが知りたい方はカテゴリ「スカイリム二次創作」の2014年初頭辺りから読むといいかもしれません)
苦手な方はブラウザバックでお戻りを。
※2 今シリーズは結婚の過程があるため、若干18歳以上推奨的なシーン、文章、写真(SS)等がちょろっと出てくると思いますので、ドヴァーキン×セラーナに耐性の無いどばきんさんはこれまたブラウザバックでお戻りした方が幸せかもしれません。



 それは夜遅くだった、と後々彼は何度も思い返すことになる。
 いつもと変わらぬ時間まで仕事をし、祈祷を行い、そしていつもと同じ時間に就寝。
 本日の業務も無事終えた──眠りに落ちるまではそう思っていた。この聖堂内には動けるものは彼を含めて三人いるが、残りの二人はすでに眠りに落ちている。
 明日も早い、そう思ってベッドに身を横たえ、あとはすぅ……と、睡魔が自分の意識を攫っていく心地よさに身を委ねていけばいいだけだった……にも関わらず。
 どんどん、と聖堂の正面玄関を叩く音に、彼は心地よさから一気に意識を取り戻した。……気のせいか、と目を瞑ったまま耳だけをそばだてていたが、再び同じ定期的な音を立てて扉がどんどん、と叩かれた。
 こうなればもう眠る訳にもいかず、彼は嫌々ながらベッドから身を起こし、
「はいはい、どなたかね」
 と声を上げながら正面扉の方へゆっくりとした足取りで近づいていく。寝室から扉までは聖堂内を突っ切っていかなければならないため若干時間はかかったが、一分かからず扉の前に立った男は錠前を開け、扉を開いた。
 見てみると、扉の前に立っていた者は二人──男と女のようだ。どちらも長旅をしてきた様子で男は肩に荷袋を背負ったまま、宿を取らずに直にこちらに出向いてきた様子だった。
「……夜分に申し訳ない。マラマル神父はいるか?」
 聖堂の中に入らず、扉の前で突っ立ったままの男はそれだけ言ってきた。
「私がマラマルだが」
 と名乗り出ると、目前の男は心なしか驚いた様子だった。神父がじかに出てくるとは思ってなかった様子だった。
「……驚いたかね? 弟子は皆寝静まってしまったのでね、私も眠りかけてた所起こされた訳なのだが。……立ち話も何だ、入りなさい」
 聖堂内に入るよう促すと、男と傍らに立ったまま黙っていた女共々聖堂に入ってくる。冷たい風が吹き込むためマラマルはあわてて扉を閉めた。
 室内に入った二人──のうち女の方は、聖堂の中心に置かれたマーラの像をじっと見ていた。この聖堂は初めてなのか、どこか物珍しい物を見る目つきで。……それよりもこの二人は一体こんな時間に何をしに来たのだろう? 
「それで、用件は何かね?」
 マラマルの方から水を向けると、男と女は一瞬、互いを目配せしあった後──男の方が口を開いた。
「聖堂で……結婚式を挙げたいんだ」

 マラマル神父が用件は何か、と訊いてきた時、ちら、とセラーナの方に目だけ向けた。それに気づいたのか、彼女も同じ様子で俺に目を向けてくる。彼女の目は嬉しさとちょっとだけ不安が見え隠れしているように見えた。多分彼女の目に映る俺の瞳も、同様の色が映っているに違いない。
 大丈夫だよ、俺は目でそう伝えた。結婚は俺だって初めてなんだ。お互い喜びと不安が綯い交ぜになっていたっておかしくはない。けど大事な事は──一人じゃない。二人で生きていくんだ。……だから。
「聖堂で……結婚式を挙げたいんだ」
 神父に顔を向け、はっきりと伝えると、神父の表情が驚きから次の瞬間には一気に喜ぶような笑顔のそれに変わった。
「……結婚を望んでいるのか? このような時代でも愛が育まれるのを見るのは素晴らしいことだ! 是非式を挙げさせてくれ。式の日取りは早いほうがいいか?」
 今度は俺のほうが驚く番だった。まさか神父の方から乗り出してくるなどとは思っていなかったのだ。……確かに時期が時期とはいえ、内戦は一時終結したし、アルドゥインも倒した今の状況はそこまで酷いとは思ってなかった故、結婚なぞ挙げる者達がそこまで居ないとは予想だにしていなかった。
「あ、そ、そうだな。早いほうがいい……できれば一日も早く」
 と言うと、マラマルは何を思ったか、俺をじっと見つめてきた。……今度は一体なんなんだ?
「……ひょっとして、あんた、あの……ドラゴンの魂を奪うとか言われているドラゴンボーンか? どこか何かで見たことあると思ってたんだが」
 そりゃ顔くらいは割れていても当然だし、今更隠す必要も無かったため、
「ああ、そうだ」
 首肯すると、マラマル神父は驚きの表情に笑顔をプラスして、本来ならば俺がこういう顔になるべきなのを肩代わりしてくれたのかと首を傾げる位、顔全体が幸せいっぱいになった。……これは嫌な予感がする。
「……やはりそうだったか! しかし……世界を救ったドラゴンボーンが結婚とはどこまでも素晴らしい! これは……ここだけの話にしておくべきではないな……
 ああ、失礼。式はそうだな……明日の夕方でどうだ?」
 ここだけの話にしておくべきではない……この意味を知るのは翌日、昼になってから知る事となるのだが、この時の俺が知る由もなく、やけにとんとん拍子で話が進むな……程度にしか思っていなかった。
「あ、ああ……」
 やや面食らいつつも了承すると、こちらの返事すら聞かずにセラーナの方へちらりと視線を向け、「彼女が新婦か?」と訊いてくる。
 新婦以外に女を連れて歩く訳あるかっての。俺は内心そう呟きながらセラーナの方へ体を傾け、彼女の手を取り、一歩手前に身を進ませてから、
「ああそうだよ。……セラーナだ。そういや名乗ってなかったな。俺はジュリアンだ」
 彼女と自分を紹介すると、セラーナは黙ったまま会釈して見せた。マラマル神父は黙って頷いた後何かを思い出したように手をぱん、と打って、
「……見たところあんたたち、結婚式を執り行うのはいいとしても、式服を持っている様子ではなさそうだが? ……よければ、こちらで都合して進ぜようではないか。女性用なら我が聖堂に勤めている司祭のディンヤ・バリュが用意してくれる筈だ。男性用は……まぁ何とかしよう」
 願ってもない話だった。俺はいいとしても、セラーナにはマトモな衣服を着させてやりたかったから是非とも宜しく頼むと伝えておく。衣服は貸衣装となる筈だから、それは別途請求されるだろうがそんなのは構いはしない。 
 その後、明日は準備があるから13時に再び聖堂に来てほしい、その時セラーナは聖堂内で着替えをしてもらう、などと細々した打ち合わせをしてから、今の所の話し合いはお開きになった。……というより、マラマル神父の方から今日はここまでとやや強引に打ち切られた感じでもあった。
「……それじゃ、明日また来る。夜分遅くに失礼したな」
 適当に挨拶を述べると、神父は何故かにやにや笑いを浮かべながらいやいやと手を振った。……気味が悪い。俺がドラゴンボーンだと気づくまであんなにやにや笑いは浮かべてなかったと思うのだが、一体何がどうしてこうなったのやら。
 怪訝ながらもとりあえずは式を挙げてもらえるのだから、とその日の俺はとりあえず聖堂を辞した。外は相変わらず真っ暗だ。とりあえず今夜の塒に向かうべきだろう。
 少し考えて、俺は宿ではない、さらに町外れのほうへ歩き出す。──ずいぶん長い間出向いてないリフテンの家に向かって。

 ばたん、と扉が閉まると神父はそそくさと聖堂の裏手、自室に回ってそのまま寝るどころか──紙とペンを取り出してなにやらごそごそ書き始めた。
「これはすごい事だぞ……ここだけの話にしてはならんな……」
 などとぶつぶつ言う小声と、がりがりと文字を書く音とが重なって聞こえてくるのを、司祭の一人、ブライヘルは自分のベッドの上で聞いていた。……ただならぬ神父の様子に、確かめにいく勇気もなく寝台の上で若干身を震わせながら。

「よかった。定期的に掃除してくれてたんだな、イオナがやってくれてるんだろう」
 リフテンの町の中心からやや外れた所にある俺の持ち家のひとつ、ハニーサイドの扉を開けると、予想外にも室内はこざっぱりと整頓されており、埃が机の上やベッドの上に溜まってる──という状況ではなかったのでほっとした。一応リフテンでの従士の徽章も持っているため、持ち家として与えられているこのハニーサイドではあったが、自分の活動範囲は殆どホワイトラン周辺だったため、この家を買っても殆ど宝の持ち腐れ同然だったのだ。
 そういう場合は大概、従士を守る立場に位置する従者が家に滞在しているか、しくは定期的に主のいない家を守ったり掃除したりする役目も担っていた。こうやって遠出したりしない限り利用しない家がスカイリム中に点々とはあったが、ハニーサイドに訪れるのはゆうに一年ぶりだったか。ずいぶん長い間放置していたものだ。
 しっかり施錠はされていたため、俺は荷袋から鍵の束を取り出し、ハニーサイドの鍵を取り出し差し込むと、ぱちんと錠前が降りる音がした。部屋に入るとしっかり掃除されている室内にほっとした、というのが今までの経緯というわけだ。
「……こぢんまりとした家ですわね。いつ来ても」
 セラーナが室内──といってもダイニングとベッドルーム、地下に倉庫があるだけの簡素な平屋建てだ──を見渡してぽつりと言う。俺はというと、いくら外気は凌げても室内は誰もおらず冷え切っていたため、とりあえず暖を取ろうと薪を並べ、その間に小枝を挟みこむ──つまり暖炉に火を灯す作業をしていた。薪は放置しておくと湿気たりして火も点きにくいが、イオナが定期的に取り替えているのか、薪に湿気た様子は見られず、小枝もばりっと子気味よい音を立てて割ることが出来た。
 ある程度並べると、荷袋から端が折れた紙のロールを取り出し、左手でそれを持ちながら右手を翳し──“力ある言葉”を唱えた。すぐさまてのひらがかっと輝き、言霊と万物の理によって生み出された炎の粒がロール紙に飛び移り、すぐさま紙を灰と化していく。
 火がついたロール紙を負った小枝に移すと、ぱちぱちと音を立ててさらに火が燃え広がった。そのままロール紙も暖炉に放り投げる。わずかながら炎の温かみが感じられるようになってきた。ほっとする。スカイリムは常に寒さと雪に悩まされる場所だから、火の存在は大きい。熱源が無ければすぐに体温が尽きて凍死してもおかしくはない。
 ここまでくれば大丈夫と、俺は荷袋を寝室の棚に入れ、装備品を脱いで鎧下のみの姿になった。長時間重い鎧をつけていたのと寒さによって筋肉が強張ってるのが嫌でもわかる。
 再び暖炉のあるダイニングに戻りつつ、
「セラーナ、……来いよ。寒いだろう」
 火がついたが室内はまだ寒いままだ。手近なテーブルから椅子だけを暖炉の前に置いて、セラーナの名を呼んだ。さすがに彼女も寒さは感じるらしく、時折手を擦り合わせながら暖炉に手を当てていたが、俺に呼ばれて振り向くと、
「……椅子ひとつしかありませんわよ」
 その通り。暖炉の前に椅子は一脚しか運んでいない。
「俺の上に座ればいい」
 と言うと、セラーナがはぁ? と素っ頓狂な声を上げた。予想外だったのだろう。……まぁ俺も予想はしていたリアクションではあったが。
「なんで私がジュリアンの上に座らなければならないんですの?」
 当然の質問を返してくる。「くっついていた方が寒くないだろう」とこれまた至極当然の言い返しを決めてみたが、
「……遠慮しますわ。私が椅子を持ってくれば解決ですわよ」
 と、ふいと顔をそらして寝室の方へ歩いていく。ベッドサイドに置かれた椅子を持ってくるつもりだろう。慌てて俺は立ち上がり、セラーナが座ればいいからといって彼女を引き止め、セラーナを椅子に座らせ、自分はその隣、床に直接腰を下ろす。
 ……しばし、ぱちぱちと薪が爆ぜる音のみが室内に響く。互いに黙っていたが、調理鍋に入れておいた水が沸騰してお湯になったのを確認した所で、俺は立ち上がって壁に設けてある棚からミードの瓶を二つ取り出し、予め瓶の蓋を外してから沸騰している鍋に瓶ごと立てるようにして入れた。
 それまでしゅんしゅんと音を立てて沸騰していた湯が瞬時に音を鳴り止ます。ミードがそれだけ冷え切っていた証拠だろう。
「……どうしたんだ、セラーナ。リフテンに着いてからずっと黙ったままじゃないか」
 彼女のほうに顔は向けずに言うと、セラーナはやや逡巡したような間を空けてから、
「やはり、そう思われますの? ……緊張してるのかもしれませんわ。どう表現したらいいか分からないのですけど、心がふわふわしているようで、けどどこかまだ少し不安で、それが交互に私の心を苛む感じですの。……さざなみのように、押し寄せては引いて、また押し寄せて──」
 緊張か。……誰しもそうなのかもしれない。──勿論俺だって……
「そうか。──なら、俺と同じだ」
 え、と短くセラーナがつぶやく。
 湯で温まったミードの瓶を調理鍋から引き上げ、手近にあった布で瓶を拭いてからセラーナの方を向き、はいと手渡す。瓶のあたたかさにセラーナは安心したように笑みを浮かべつつ、俺の顔を見上げるように覗き込んでくる。
「緊張してないって思うか? ……俺もどきどきしてるよ。セラーナと結婚できるなんて──嬉しいのに緊張してるんだ。でもその緊張は不安じゃない。明日式でトチらないかって、そんな事ばかりだ。何せ慣れない事の連続だったからな」
 そう。セラーナにプロポーズして、スカイリムに戻ってきて、再び彼女に求愛して──ヴァレリカに了承までもらって……
 この半月足らずの間に、人生でもっとも密度の濃い体験を何度もしたと思う。……けどそれはずっと俺が望んでいたこと。痛いほど手に入れたくて仕方がなかったものだから。
 ちん、と彼女の持つミードの瓶と自分のそれをかち合わせて音を立ててからぐいっと呷る。じんわり温まったミードが喉に流し込まれるのが美味しくて心地よさすら感じられる。
「……そうですわね。私もなれない事ばかりでしたわ。殿方に求愛されるなんて人生で一度も無かったものですから」
 思わずむせた。「セ、セラーナ、ヴァレリカによって墓地で眠らされる前にも無かったのか? 男から、その……」
「求愛、という意味でしたらありませんわ。私は母にべったりで他の人と関わる事など殆どありませんでしたもの。父の配下の吸血鬼とは何度か会った事はありますけど、私に求愛してくる男なんておりませんでしたわよ」
 そりゃそうだろう、父親が吸血鬼の王なら尚更……。俺は心の中でハルコンが死んでいた──いや、俺が殺した、か──事に少しだけ感謝した。じゃなきゃ恐らく俺なんて歯牙にもかけてもらえなかっただろうしな。
「そ、そうか……まぁお互い初めてなんだしな。緊張して当たり前さ。自分だけが緊張してる訳じゃないって思えば、少しは安心できるだろ?」
 自分は椅子がないため、見下ろすような形でセラーナに笑顔を向けると、彼女もふっと笑みを浮かべてくれたが、
「……本当にジュリアンが緊張してるかなんて分かるわけありませんわ。私を安心させようとわざと言ってるのかもしれませんし」
 からかうような口調で俺を見上げてくる。いたずらっぽい表情を浮かべて言っているから、本気でそう思ってる訳じゃなさそうだ。……それなら。
「本当だって、…俺の胸に手を当ててみろよ、セラーナ。緊張でどきどきしてるからさ」
 セラーナはおや、と思ったようだが、律儀にもミードを持ってない左手を伸ばして鎧下越しに俺の胸に触れた。ひんやりした指先が触れ、次に手のひらを俺の胸に当てて心音を確かめようとしているセラーナに、ゆっくりと顔を近づけた。
 彼女が瞼を閉じた瞬間、彼女の唇に自分のそれを重ねていた。ミードの瓶を持っていないもう片方の手を彼女の頬に沿えてからゆっくりと首筋から後頭部へずらし、離すまいとしつつ少し引き寄せる。セラーナはというと、胸に当てていた手を背中に回していた。彼女もまた離れたくないのだ、そう思うと嬉しかった。
 ……しばし何度か重ねながら名残惜しく唇を離すと、セラーナの顔が目の色同然に真っ赤に染まっていた。
「わ、わざとですわね。私に胸に手を当てろなんて言っておいて……いきなりキスするなんて……卑怯ですわ」
 キス程度でこんなに真っ赤になるなんて……本番はどうなるんだ、と俺は内心卑猥な妄想をしてしまったが慌てて振り払う。
「緊張を解くおまじないさ。……真っ赤になったセラーナもかわいいな」
 ぽつりと本音を漏らすと、さらに真っ赤になったセラーナがいい加減にしてくださいと言って椅子から立ち上がり、寝室の方へ歩いていってしまった。おいおい、これから俺が寝るっていうのに……
 セラーナも俺と同じように赤面症なのかな、ただし俺と一緒にいるとき限定かもしれないが。
 くすりと笑って、俺はセラーナが向かった寝室の方へ行った。
 明日は長い一日になるな──などと考えながら。




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甘いですねーーー(笑)
でもこれが書きたかったんですwずっと。一年以上前から。

で、最初にことわり文にもありますが、
今回の二次創作は結婚式から結婚後の………までです。とりま今回でセラーナとのラブラブあまあま話は一区切りします。そんなんばっか書いてるのも俺がつらいのでw
なので若干18歳以上推奨なものが出てきます。そこまで露骨なのは書かないけどね。俺がたぶん卒倒するんで(中の人はエロ関係の絵も話もあまり書けません。ビビリなため)w

本来ならば2チャプターで収める予定だったのが無駄に書きすぎて今回は3チャプターになりそうな予感。
ほんと遅筆ですいません。文章も絵も遅いです><今回定期更新に間に合わなかったし(-_-;)

さてこっから。ちょっとエロめなSSをとってきました(ぇ
ゲーム内は一足早く結婚を迎えてるため、とりあえずセラーナと何処に新居を構えようと考えてる中、そういやウインドヘルムはまだ家買ってなかったなぁと思って先日、ヒジェリムを購入しました。
 だだ広い家ですねえ。まだ家具も調度品もロクにないがらんどうの家ですが、寝室関連のだけは作ってくれと頼んだので寝室だけは立派にできてますw

 そんな中で……こいつら何やってるんだ?! 的な。
 まぁゲームじゃできないですがアレですよ、やっぱ結婚したらやる事やるでしょ! やらないなんて男としておかしいでしょ!! という言い訳(笑)
 え? 正面からのないのって? ありますよー ちょっとフォトショで加工しすぎてやたら酷い状況になってしまうま。

 え? たいしたことない?
 これまた失礼……
 汗とかおまたのアレとか手前の調度品とかぼけてるのも全てフォトショ加工です。
 じゃないと俺のPCじゃこんな風にできないもん(笑)
 (まぁポーズはいつものやつなんだけどね・・それをくっつけてこうなった、と)

 恥ずかしいブログですいません><w
 では本日はこれにて。次回定期更新日・・・上げられるかな(-_-;)原稿・・・やらなくちゃなぁ・・

 あ、更に最後に。
 こみけっとスペシャル幕張にサークル参加します。配置は二日目のC-43aですw
 新刊はスカイリムとDAIのごたまぜ落書き本という誰がほしがるのかよくわからんものを出しますが、興味ある方は是非!

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ジュリアン
性別:
男性
職業:
傭兵
自己紹介:
スカイリムはホワイトラン在住のドヴァキン。
現在のところ引越しする予定はなし。
中の人はヘタレですが一応同人誌作家。マイナーゲームの絵を描いてたり。
文章も多いですが一応絵の方専門。
スカイリムの絵とか描いたりフォトショでSSをレタッチしたりするのが好き。
スカイリムに影響されて2012年から英語の勉強を始め現在進行形で勉強中。
ラジオ英語を聴いているのだが、英会話教室に通いたいのに時間と金が無くて嘆いているとかいないとか。

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