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スカイリムの攻略とかあまり役に立たない日々のプレイ日記をだらだらかいていくつもりです。

雪と氷とドラゴンと。

   

Happier(二次創作版)そのに

※スカイリム二次創作小説第2チャプターですが、前の話から続いているため、ここから読み始めると若干面食らう点が多いかと思います。なので最低限前シリーズ(rude Awakening)から読み始めるといいかもしれません(それでもまだ分からない点が多いと思いますので一連の流れが知りたい方はカテゴリ「スカイリム二次創作」の2014年初頭辺りから読むといいかもしれません)
苦手な方はブラウザバックでお戻りを。
※2 今シリーズは結婚の過程があるため、若干18歳以上推奨的なシーン、文章、写真(SS)等がちょろっと出てくると思いますので、ドヴァーキン×セラーナに耐性の無いどばきんさんはこれまたブラウザバックでお戻りした方が幸せかもしれません。(そのにではあまりそういうシーンはないですが)
※3 これは第二話です。最初から読みたい方は「Happier(二次創作版)そのいち」からお読みください。(今回からちょっと長くなっていきます。小休止しつつお読みください)


 まどろみながら、何度も目を覚まして。
 その度に薄目を開けて、部屋を見渡せば──いるべき場所にその人はいて。
 その都度、心は安堵して再び瞼を閉じ、眠りにつこうとするのに──また再びまどろみながら、目を覚ます。
 そしてまた──見て、安堵して、眠ろうとして……その繰り返し。
 でも、ちっとも嫌じゃなかった。……今までもそうだったけど、今まで以上に自分は一人じゃないのだと、強く思える相手がいるから。

「……ァン、……リアン、起きて」
 遠くから漣のように呼びかけてくる声。──セラーナだった。そう頭が認識すると同時に瞼が開く。これが何度寝で起きたか分からない位だった。
「ぁあ、セラーナ。……おはよう」
 上体だけ起こし、ベッドサイドに突っ立っているセラーナに言うと、彼女は何故か呆れた表情を返してくる。……何かおかしな事言ったか?
「……おはようの時間なんてとっくに過ぎておりますわよ。今何時だと思いまして? お昼前ですわ。13時に聖堂に向かうんじゃありませんでしたの?」
 なんだって? と──セラーナが立っている方とは反対側にある壁側の窓から外を見れば──あまり強くは無い日差しが窓に影を落とす面積は小さい。即ち太陽がてっぺんに近い部分まで昇っているという証だった。
「何故起こしてくれなかった?」
 怒って言う口調のそれではなく、あくまで疑問を投げかけただけだったが、セラーナは黙って肩をすくめ、
「そりゃ……何度も夜中に目を覚ましているんですもの、早く起こしても欠伸を噛み殺して式に出席するのがおちでしょうから、敢えて気を利かせたつもりですわ。正午を回る前に起こそうと思ってこうなっただけですのよ。昼食食べて出れば余裕で間に合うぎりぎりの所まで寝かせた私の気配りに感謝するのはそちらではありませんでして?」
 表情ひとつ崩さず淡々と言ってのけるセラーナ。……気づいてたのか、俺が何度も目を覚ましていた事を。つまりそれはお互いがずっと互いの事を見ていたという意味になるのだが、それが妙に照れ臭くて、嬉しかった。
「なんだ、知ってたのか……そうだよ、君と結婚できるなんて嬉しすぎてなかなか寝付けなくてさ」
 平然とした口調で言ってのけると、セラーナはちょっとだけ俯いてぷい、と顔を背けてから「……お腹すいてますわよね? 用意してありますわよ」とだけ言ってダイニングのほうへそそくさと引っ込んでいく。
 その様子がおかしかった。幸せというのは有り触れた日常でも感じることが出来るのかと今更ながら実感した。これからは毎日セラーナをこうしてからかう楽しみも増えるのかと思うと結婚も悪くないな、とさえ思えてくる。
 じんわり幸せを噛み締めていたかったが、昼前ともなるとセラーナの用意してくれた昼飯をかっ込んで出かけなければ間に合わない。とりあえずベッドサイドに置かれてあったチュニックを身に着ける事にする。鎧は飯を食べてからの方がいいだろう。
 ダイニングに入り、小さい四角く切り取られたテーブルの前に置かれた椅子に腰を下ろし、テーブルに置いてあったパンに手を伸ばすと同時にセラーナがとん、と木の皿にいくつか載せたものを俺の前に置く。
 皿に乗っかっていたのは牛肉──携行食料の干し肉ではあるが──を焼いたもの、リーキをバターで炒めたソテーにマッシュポテトが添えられてあった。どれも出来立てで、人の手が加えられてある──もちろんセラーナの。
「へぇ、……セラーナも料理の腕が上がったな」
 素直に喜びを口に出す。何か言ってくるかなと思ったが、セラーナは相変わらず顔を合わそうとせず逸らしたまま。何照れてるんだか。
 そのまま黙って食事をしようとした矢先……にわかに外が騒がしい事に今更ながら気がついた。いつもは衛兵が木製の橋を渡る際に起きる木がしなる音程度しか聞こえないのに、今日は賑やかな声と同時に歩く音がそこかしこから響いてるようだ。
「……何やら外が騒がしいな」
 ぽつりと言うと、セラーナがつまらなさそうに「今朝から騒がしいですわ。出てないからわかりませんけど、今日は何かあるのですかしらね」と返してくる。彼女もまた自分が作った朝食兼昼食を口に運んでいた。
 今朝から……? 今日は何か行事でもあっただろうか。昨晩夜遅くリフテンに付いたから知らないだけかもしれないが。
 もう少ししたら聖堂に向かうし、その時に何があるか見ることも出来るだろう。
 夕べから口にしたのが蜂蜜酒だけだったこともあって一気に食べ終えてしまい、ダイニングから再び寝室に戻ってから手早く装備を整えた。セラーナはその間下げた食器を水で流したりしている。今までは旅の連れみたいな関係だったのが、今日から夫婦になるというだけでそういう慣れ親しんだ光景が特別に見えてくるのが不思議だった。
 などと考えながら鎧を身に着けて、両手剣を背中に背負い装備が整ったところでちょうど13時手前。ものの数分の所に聖堂はあるから、定刻通りに着くのは間違いなかった。
「セラーナ。準備できたぜ。……じゃ、行こうか」
 片付けも全て終えていたセラーナがこくりと頷く。いったんセラーナを聖堂に置いてきてから、俺も再びこっちに戻ってきて着替えるつもりだった。まだ式が始まる訳でもないのに地に足が着いている感覚がしないのは何故だろう?
 余計な事を考えている暇は無いな、と──俺は玄関の扉を開けた。外気がふわっと纏わりつくように室内に入ってくると同時に──普段聞く事の無い、騒がしい声が嫌でも耳に飛び込んでくる。
 その声が聞こえる方へ目を移すと──信じられない光景が目に飛び込んできた。
 リフテンはそこかしこに水路があり、その両脇を縫うようにして木製の橋や通路、民家が立ち並んでいるのだが、その通路上に人がごった返しているのだ。人々が談笑しながら歩くたび、木製の通路がしなる音は悲鳴のようにも聞こえるくらい、どすどす、ぎしぎしの繰り返し。
「なんだ、ありゃ……」
 思わず口から言葉が漏れてしまう。背後で立ってたセラーナは何事か、と俺の傍らから同じ方向を見る。人々の行きかう姿はいつも以上に多いため、彼女もまたおや、と首をかしげていた。
「やっぱり今日は何かあるのですわ。でも今は祭りの季節ではないと思うのですけど」
「確かにな……しかし、リフテンがこんな人でごった返すなんて光景、何度も来てるけど見た事ないぜ。見るからに旅人や遠方から来てる人も多そうだ」
 町中が騒々しいため、心なしか声も大きくなってしまう。見たことのない光景に玄関前でしばし突っ立ってしまったが、はっと用事を思い出した。
「急ごうセラーナ。この人だかりだからな、聖堂には町の中心部を通らずに側道を通って行こうぜ」
 彼女は構わないといった様子で首肯してみせる。とりあえず正門の前を通ってから、町の中心部をぐるりと囲むようにして作られている水路の側道を通っていけば聖堂の門前に着く──と思った直後の事だった。
「いたぞ! ドラゴンボーンだ!」
「ドラゴンボーンが来たわよ!!」
 俺の姿を見るや否や、声を張り上げたのはリフテンで青果品を売っているマライズと、仕事サボって外出しているのか──アルゴニアンのタレンだった。何を今更……と思う暇も無く街中で談笑しながら歩く人々の目がいっせいに俺とセラーナに向けられる。
「えっ……」
 その異様な光景に自然と身構えようとした矢先、あろうことか凝視していた人々がわっと一斉にこちらへ駆け寄ってくるではないか。なんだなんだ?! 
 思わずセラーナを守ろうとしたが、対応しきれず人波に押し流されてしまった。もみくちゃといった方が言いかもしれない。
「ちょっ……すまん、通してくれ!」
 こちとら時間に間に合わないのに人々はどんどんこっちに駆け寄ってくる。呻くように声を張り上げたが一向にそれを聞いて正す者はいなかった。
「ジュリアン! おめでとう!」だの「やったな! この堅物野郎!」だの「結婚すると聞いて飛んできたんだ!」だの誰が言ってるか全く分からない状況で声を掛けてくる。今聞いてる状況じゃねぇっての!
 通路の一角で身動きが取れない状況に陥りながらも、俺はセラーナが何処にいるのか目で探した。……人波で若干離れているがこちらに近づこうと必死で人を掻き分ける彼女の姿が目に飛び込んでくる。
「セラーナ!」
 人の手を掻き分けて必死で彼女の手を掴もうとする。セラーナも手を伸ばしてくれたおかげもすぐに掴む事ができた。狭い通路に人が押し合いへし合いしている状況で時間を無駄にする訳にはいかない。片方はセラーナの手をしっかり握りしめ、もう片方の腕で人を掻き分け、なんとか人だかりでごった返した一角から逃れられた。
「セラーナ、走るぞ!」返事も聞かず俺は彼女の手を握ったまま走り出す。だす、だすと不規則に鳴る木の側道を走る俺たちを見て、襲ってきた──といっても差し支えあるまい──人々はわーわー何か言っているが、聞いている暇は無い。
「はぁ、はぁ……一体なんなんですの? いきなり人が襲ってくるなんて」
 息を切らせてセラーナが言う。
「……なんか俺に対しておめでとうとか言ってたな。とりあえず聖堂に入っちまおう、中は安全な筈だ」
 もしかして結婚する事がばれてるのか? 昨晩の話が半日足らずで広まるなんてある訳……なくもないな。神父が漏らしたりしなければ。
 嫌な予感がしたが、走りながらリフテン聖堂の正門をくぐり、扉を叩いてすぐに室内に入った。セラーナが入ったところで素早く扉を閉める。
 聖堂内は静かだった。外の喧騒が嘘のようで、その静けさに息を整えつつもほっとする。
「遅かったじゃないか。何かあったのかね?」
 マラマル神父が待ちくたびれたかのように、走って息切れを整えている俺とセラーナの前にやってきた。俺たち二人の姿を見て、おや、とでもいう風に首を傾げる。
「何かあったじゃねぇよ。……家から出たら人がリフテンの街中いたるところにごった返してるし、俺を見つけるや人が駆け寄ってくるし、こっちは大変だったんだぜ。……神父、あんた何か話したりしたか? 俺達のこと?」
 まさか神父が言う訳ないだろうな、と思って鎌を掛けて見たが……あろうことか神父はあっさり首肯して見せ、
「いや、すまない。早馬を駆ってスカイリム中の主要都市全てにこの一報を流した。ドヴァーキンが結婚するとなると一大行事になってもおかしくはなかろう? 一般人の結婚ではないのだ。世界を救った者が誰にも知られずひっそりと挙式をあげるのは寂しかろう……と思ってね。
 そしたらどうだ、想像以上に人が来るではないか! リフテンから最も近いウインドヘルム、ホワイトランやそのその他小さな町や村からも、あんたの結婚を一目見ようと馬を走らせてきたって話を聞く。さすが話題に事欠かないなドラゴンボーンは」
 ……神父の弁明を理解するのに丸一分くらい時間を要したかもしれない。理解してからは何て口の軽い神父なんだと心の中でため息をつく。
「……あんたの仕業だったのかよ」
 マラマルは再度すまない、と言った。俺としてはマラマルの言う、ひっそりと誰にも知られずに挙式を挙げたかった。セラーナは隠してはいるが吸血鬼だし、それを表立って出す事はないだろうとしても、人が多い中で自分の欲求を満たす行動に出てもおかしくはない。──まぁそんな姿はせいぜい山賊を倒す際に垣間見る事が出来る程度だが。
「しょうがないな。やっちまった以上、今更収集つかねぇだろ。あんたも出席者にどうせ金をせびるんだろうし、俺とセラーナはまぁ、賑やか……な結婚式が迎えられるならまぁ、悪くはないよな? セラーナ?」
 神父の機嫌を損ねてもこちらが損をするだけだし、現に人がこうやって俺の話題ひとつで地方から集まってきている以上、徒労に終わらせる訳にはいかないし……って何だ、これじゃまるで客寄せピエロじゃねぇか。俺はシセロじゃねぇんだぞ。
「そういう事なら、致し方ありませんわね。私はあなたがよければそれでよろしくてよ」
 彼女も内心呆れてはいるのだろうが、そこは俺に合わせてくれた。
「ありがたい。ささ、セラーナさんはこちらへ。ディンヤが服を用意してくれた。彼女が着付けを手伝うそうだ。急がないと」
 促されたセラーナはちらりと俺のほうを見たので、大丈夫だと頷いてみせる。それを見て安心したのか、彼女はマラマルの後ろを歩いていくと、聖堂の奥にある部屋の一室に通された。
 彼女が室内へ入った後に神父が扉を閉めてこちらへと戻ってきた。司祭の姿は見えなかったから、予め室内で待機していたのだろう。ディンヤ・バリュが用意してくれたという衣服がどんなものか気になるが……数時間すればお目にかかれるはずだった。それを着たセラーナと。
「神父。式代と貸衣装代は幾ら払えばいい?」
 セラーナが居なくなったところで、戻ってきたマラマル神父に代金の相談を持ちかけた。神父は挙式代は金貨200枚と貸衣装は一着台100枚、合計セプティム金貨300枚を請求された。……まてよ、一着?
「俺の分の衣服はないのか?」
「ああ、男性用は探したが……くたびれたものばかりしかなくでね、申し訳ないが都合する事が出来なかった。ソリチュードにでも行けばいくらでも売ってるんだろうが、こっからソリチュードは一日で行って帰っては難しいし」
 仕方ない……。一旦ハニーサイドに戻って荷物を漁ってみるしかない。俺は金貨を支払うと、踵でターンをして聖堂の扉に近づいた──途端に気分が重くなる。またあの人だかりを突っ切ってハニーサイドに戻らなきゃならんのか。
「……式は16時からだったよな?」
「そうだ。今度ばかりは身支度整えた花嫁が待ってるからな、間違っても今しがたのように遅刻なんかするんじゃないぞ」
 勿論さ、今度ばかりは遅刻したらセラーナに何言われるか分かったものじゃないからな。黙って頷いて見せてから、俺は聖堂を出た。

 出た途端……出るんじゃなかった、と後悔が頭をよぎる。
 リフテンの住人、地方から来たのだろうか旅人風情の者まで、ざっと二十人近くだろうか、が聖堂の扉、数段あるステップの下に待ち構えるようにして並んでいたのだ。……うんざりする。
「出てきたぞ! ドラゴンボーン一人だ!」
「花嫁はどうした!」
 などと野次なのかなんなのか分からない声が飛び交う。先程のマラマルの話を聞いた以上、邪険に扱うのも気が引けるため、
「式は16時からだ、俺は一旦支度に戻るだけだ」
 と声を張り上げると、集まっていた人だかりはめいめいじゃあまた夕方に、と言いながら散らばっていく。大体がキーラバの経営するビー・アンド・バルブへ向かっていくあたり、今日は仕事もせず昼間から飲み明かすつもりなのか、それとも単に旅行客が多いのだろうか。
「ジュリアン!」
 突然名前を呼ばれ、そのほうを見ると──ホワイトランのバナード・メアを経営しているフルダがその場にいたのでおや、と目を疑った。何でこんなところに居るんだ?
「ジュリアンが結婚するって聞いて、矢も盾もたまらず飛んできてしまったんだよ! セラーナちゃんと結婚するんだって! いやぁよくやったねぇジュリアン! もうあんたは堅物だから結婚なんて無理なんじゃないかって思ってたよこの!!」
 などと言いながら近づいてきて人の肩をばしばしと叩いてくる。鎧越しでもその力はかなり強く、叩かれ続けたら痣になりそうだ。
 まさかこんな所で会えるとは思ってなかった為、俺は半ば面食らっていたがようやく気を取り直し、
「……フルダだけか? 他の皆は?」
「ああ、ミカエルがきてるよ。今は酒場で歌を歌ってるんじゃないかしら? 他の皆も行きたいって言ってたけどねぇ、カルロッタもイソルダもリフテンは遠いし時間がかかるって事で宜しくとだけ言ってたよ。酒場の仲間はシンミールが喜んでたわ。一年待たせやがってとも言ってたかしらね。……あああと、ヘイムスカーが相変わらず訳わからんこといってたかしらね、タロス万歳とかなんとか」
 いつも通りのようだ。そういえばソルスセイムにずっと行きっきりで、暫くぶりにスカイリムに戻ってきたらすぐにヴォルキハル城に行ってその足でここまで来ていたから、ホワイトランに立ち寄る余裕がなかった。いずれ挨拶を兼ねて戻らないといけないな。従士の肩書きに甘んじてしまって半年近く留守にしているんだし。
「いずれ挨拶に行く。その時はまたバナード・メアに立ち寄らせてもらうぜ」
 支度があるからこれで失礼するよ、とフルダに挨拶をして俺は聖堂の門をくぐろうとした際、待ち構えていた二人組に出くわしたのでおもわず後ずさった。
「ジュリアン! 結婚おめでとう。セラーナさんって言う人、いつも連れて歩いていた人よね?」
 ムジョルだった。彼女の傍らにはムジョルを助けて以来ずっと一緒に行動しているアエリンがいる。前衛で斧を振り回すムジョルは雌ライオンというあだ名に相応しく、筋肉質でがたいのいい女性だったが、その隣で歩くムジョルは腰に剣を帯びてはいるものの、ひ弱なインペリアルという印象が強かった。よくそんな男がムジョルを助ける事が出来たよな、と内心怪訝に思ったものだ──今となってはどうでもいいが。
「おめでとうジュリアン。結婚を祝福するよ。式は夕方からだってな、聖堂内に入れればいいんだけど」
 アエリンも祝いの言葉を送ってくるので、とりあえずありがとうとお礼を言っておく。……歩くたびに誰かに祝福を受けるようだと支度に戻るのも一苦労じゃないか、これ。
「すまない、俺も支度しなくちゃならなくてさ。あとで話す機会があったらまた」
 これまた手短に挨拶を述べ、走り出す。のんびり歩いていると支度する時間がなくなりそうだ。急がないと……
「お待ちなさい、ジュリアン」
 ぎくりとして思わず足が止まった。この声は……
「結婚するんですってね、おめでとう」
 柱にもたれ掛かるように立っていたのは──メイビン・ブラック・ブライアその人だった。ブラック・ブライア家の家長であり、リフテンの裏の顔、盗賊ギルドや闇の一党とも関わりあいの野心家。
 そんな奴が俺に近づいてくるなんてろくな事にならないのは分かっているのだが、盗賊ギルドにも身を置いている以上、邪険に扱う事も出来ず、
「……どうも」
 とだけ言うのが精一杯だった。気の利かない言い回しも出来ないのかと言いたげにメイビンはふん、と鼻を鳴らす。
「……何故私がわざわざ時間を割いてあなたと接触してきたのか、分かる筈もないでしょうからさっさと答えてあげましょう。
 今日のリフテンの様子、見ればお分かりでしょう? 町全体が浮かれきっているのが。あなたが結婚するというだけで人が集まり、恐らく今日一日だけでリフテンは半年位は食べていける位の収入を得る事が出来るはず。
 だから私はあなたにお礼を言いにきたのです。あなたの知名度はスカイリム中に知れ渡っている。結婚するだけでこんなに人が集まるのだから……そういう事だから、お礼にこれを」
 と言って、メイビンは手を差し出してきた。思わずこちらも手を差し出すと、彼女が握り締めていたものを俺の手のひらにぱっ、と落とす。──鍵?
「……何処の鍵だ、これは」
「リフテンの南東、モロウウィンドとの国境近くに私所有のコテージがあるのを知っているでしょう」
 思い出した。前にルイス・レットラッシュという男から頼まれた仕事で侵入した事が一度だけある。宿屋と言う名目上で建ってる建物だが、客を泊める宿屋という名前のそれではなく、別荘と言った趣のほうが強かったな。
 もちろん俺が侵入した事がばれてはならないため、
「いや、初めて知ったな。あんたがコテージなんて洒落た物を持ってるなんて」
 と誤魔化すと、褒められたのと勘違いしたのかメイビンは一つ咳払いし、
「……リフテンから出て街道沿いに進めばわかります。そのコテージを一泊だけ、あなた方のためにお貸し致しましょう。これはそのコテージの鍵です」
 正直なところ、俺たちにリフテンに居られると邪魔だと言いたげな態度だった。どうみても気を利かせてくれた訳ではないだろう。……しかしメイビンの申し出は正直、ありがたかったのもあった。リフテンがこんな浮かれ騒ぎ状態で一晩過ごすのは嫌だな、と思いさえしていたのだ。……色々な意味で。
「いいのか? 鍵を俺に預けたりなんかして」
「勿論鍵は返却してもらいます。入り口のポストに入れておけば後で引き取りに行くでしょう。……入れ忘れたらうちの精鋭が地の果てまでもあなたを追っかけていくでしょうから、そのつもりで」
 ぞっとしない話だな、と内心ぼやく。お礼なのか邪魔者扱いされてるのかさっぱり分からん。その何を考えているのか分からないのがメイビンの末恐ろしい所なのだが。
「……明日の昼過ぎにコテージから出るようにするさ。それでいいならありがたく」
「いいでしょう。夕食の支度はさせておきますから、宿屋に着けばすぐに食べれる準備をさせておきます。いいですね?」
 半ば命令口調だった。めんどくさいし時間も無いため黙って首肯してみせ、その場は一旦収まった。
 俺は鍵を預かったままメイビンと別れる。……やれやれ、疲れたな。これでまた誰かに捕まったらたまらんと俺は走り出した。
 時間を見ると14時過ぎて半近くになっていた。大いにまずい。
 ハニーサイドに飛び込むようにして入り。鍵を掛けると俺は寝台近くに置いといた荷袋をひっくり返す。……結婚式で使えそうな衣服はさすがにないな。
 次にクローゼットをかき回すがこれまたいいものはなし。元々ハニーサイドを拠点としてた訳ではないからやむを得ない訳ではあるのだが。
 仕方ない……結局いつもの装備になっちまうが、元々用意もしてる時間がなかったんだ。セラーナだけでも上等な服があるのなら、それでいいか。
 けど薄汚れたままではさすがに分が悪いので、一旦装備を外して手近にあったぼろ雑巾で磨き始めた。式が始まる前に全部磨き終えられるといいんだが、と思いながら。


--------------------------------

長い。ごめんなさい。
結局待たせまくってそのさんまでいきそうです。たぶん次で終わります。
ほんと~~~~に長くて遅くてごめんなさい<(_ _)>

とりあえず今のところは平和ですね。次辺りでちょっとエロ要素が出てきますね。
何度も言ってますが露骨な描写は書きませんのでご安心あれ。書いてほしいというなら応相談で(笑)

で。話は変わって。
ブログのキリ版が過ぎました。……ですがリクがこなかったので次は40000Hitでやってみます。
狙いたい人はどうぞ。

というわけで今日の更新はこれまで。
遅くなってすいません。次も更新日を狙いたいけど難しいかなぁ・・
なんとかがんばります。ではまた。

:おまけ:
今回使用したBGMは「英雄伝説 空の軌跡FC」から
「王都グランセル」「工房都市ツァイス」「旅立ちの小径」でした。
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プロフィール

HN:
ジュリアン
性別:
男性
職業:
傭兵
自己紹介:
スカイリムはホワイトラン在住のドヴァキン。
現在のところ引越しする予定はなし。
中の人はヘタレですが一応同人誌作家。マイナーゲームの絵を描いてたり。
文章も多いですが一応絵の方専門。
スカイリムの絵とか描いたりフォトショでSSをレタッチしたりするのが好き。
スカイリムに影響されて2012年から英語の勉強を始め現在進行形で勉強中。
ラジオ英語を聴いているのだが、英会話教室に通いたいのに時間と金が無くて嘆いているとかいないとか。

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