09.14.17:35
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08.23.23:38
Falskaarに飛んでさあ大変!(その2)+α
扉を通って異国からやってきた者を総称してそう言うらしい。
「ちょっと待てよ、俺は何も知らないんだ。たまたま装置を起動させたらここに着いてしまっただけで……」
旅人。
戦や戦乱が起こる際、異国から扉を通してやってくる者。そしてそれは即ち、騒乱の時代を表す象徴──
しかし、ファルスカールとよばれる大陸に住んでいるであろう目の前の男は、俺を警戒もしなければ攻撃もしてこなかった。ただ、ここから出すには自分の仕事を済ませなければならない、それを手伝ってくれればいい、とだけ。
「ジュリアン、というのか? 俺はアンバー・クリークを守る衛兵の一人だよ。ここに来たのはたまたまの偶然、って訳じゃない。アンバー・クリークに住む住人が攫われてしまって、捜索してたらあんたを見つけたんだよ。これも何かのお導きかね」
シャッターを開くレバーを押し、なんとか俺はドゥーマー遺跡から出ることが出来た。出た途端視界に映ったのは──夕日に照らされてまばゆい黄金色の葉をつけた木々の群れ。リフテンあたりで見ることが出来る白樺と同じだ。
「……で、探している住民は?」
何も分からずじまいだったが、とりあえず助けてくれた者の依頼を遂行しなければ。
「遺跡には居なかったから、おそらくこちらの洞窟だろうな。ムズブトハンドの中庭にはもう一つ入り口があるんだ。ついてこい」
そういって俺を促した。
その洞窟──スカイリムと殆ど同じだ。中にはお決まりの如く山賊がたむろしている──からあっさりと住民を救出し、洞窟から脱出したら既に夕闇が訪れてきていた。
「……じゃ、我々はアンバー・クリークに戻るとしよう。お前さん……ジュリアンだったか、扉をくぐって来た者として、ファルスカールに来たことを歓迎しよう。我々の住むアンバー・クリークに来てくれ。首長には話を通しておく。あとでお目にかかるといい」
そういって衛兵は走り去る。助け出された住民も何度もお礼を言いながら走り去っていったではないか。
急に一人になっちまった。今まではセラーナがいたのに、彼女はここには居ない。扉のあちら側──スカイリム側にいるだろうから。
「……俺の言ったことがちゃんと聞き届いてドーンガード砦に戻っていればいいんだが」
まばゆい光に包まれた状態で言ったせいで聞こえてないかもしれない。彼女がムズブトハンドの遺跡を行ったりきたりしてないことを祈るのみだった。
とりあえず彼らの云ったアンバー・クリークに向かうしか手段はなさそうだ。町なら何かしら手に入るだろうし、情報も入りやすい。自分の立場がどういうものなのかも分かるかもしれない。
俺は歩き出した。とりあえず街道を道なりに進めばたどり着くだろう──
一時間たらずでアンバー・クリークにたどり着いた。
スカイリムで云うリバーウッドみたいな小さな町だった。リバーウッドと違う点を挙げるとしたら、首長の家がでんと構えてあるのと、あちこちに田畑があるくらいか。
夜も更けてしまったから、今から首長の家に行くのはちょっと気が引ける。とりあえず暗闇の中灯火の魔法をかけ、俺は宿を探そうとした……が、その努力は全くの無駄だったとすぐ知ることになる。街道に沿って歩いていたらすぐ見つかったからだ。
今日は色々めまぐるしいことがあって疲れた……確かリフテンに着いたとき夕闇の頃だったから、その後遺跡を探索して、こっちに来て、遺跡を出たとき夕方くらいだったから時差があるくらい離れているのかもしれない──スカイリムはどの方角にあるのだろう?
とりあえず一日殆ど寝てない可能性が高い。精神的にも肉体的にも疲弊していた。ぐったりした身持ちで俺は宿の扉をノックもせず開けた。
中に入った途端、辺りの視線がいっせいにこちらに向けられる。
物珍しい感じで見る者、胡散臭そうに見る者、驚いた表情の者、色々な感情が渦巻いた視線がない交ぜになってこちらに向けられている。
これは……あの衛兵か住民が先に伝えていたに違いない。明らかに俺に向けられた視線は好奇心と興味にかられたそればかりだった。
俺は黙ってカウンターに近づき、向こう側で給仕の身なりをした女性に、
「泊まりたいんだが」
そう言っただけなのに相手の女性は目を丸くさせ、こちらを凝視している。俺の顔に何が着いてるって言うんだよ。
「……あ、ごめんなさい。一泊でいいわね」
僅かの間の後、我に返った女性がとりなすようにそう言い、部屋の鍵を持つと「こちらへどうぞ」と借りる部屋へと案内してくれる。
部屋へ向かう際に相変わらずこちらを見ているアンバー・クリークの住民の居る場所を横切ると、椅子に座っていた子供がたまらず俺を指差し、
「ねえ、あなた扉を通って来た人でしょ? 何処から来たの?」
答える気力もない位疲弊していたが、子供を邪険に扱うのも気が引ける。俺は聞いてきた子供の指を──俺に向けられている指を、だ──やさしく握って腕を下げさせ、
「スカイリムからだよ」
その言葉に周りの大人がおぉ……とにわかに騒ぎ立てる。
それ以上は答える力もなく、俺は案内された部屋に入って扉を閉め、内側から鍵を閉めてすぐに鎧をそこら中に脱ぎ捨て、チュニックだけになるとベッドに横たわった。
いろんなことがありすぎて頭の中がパニックになりそうだった──ここに来た理由も、スカイリムに帰れるのかも、何もかも分からない。分からない事だらけだ──
そんなことを考えているうちに意識はふっ……と闇に落ちた。
ども。相変わらずファルスカール満喫中なうな俺ですw
ゲームじゃね、こんな描写はないんですが、フツー一般の人だったら突然異世界につれてこられて何がなんだか訳がわからないよ! 状態になれば疲弊もするだろうと思って書いてみましたwゲームじゃすんなりファルスカールの住人となじんでますけど(笑)
まだまだ楽しんでます。メインクエストも中盤を越えて終盤に差し掛かるところで現在とめてますが、それにしてもここに居る山賊さんがめちゃ強い。あっという間にやられますw
多分俺がパークをあまり取得しないでやってきたからそのツケが回ってるんでしょうな。
瀕死になったりしますがとりあえず元気ですうちのどばきんさんは(笑)
あ、そうそう。それとですね。
ここで告知してもいいのかちと分からんですが、
現在スカイリムのHPを作ってる真っ最中です。暫定的ですが昨日第一次公開をしましたw
載せるのはイラストとか二次創作として出した同人誌一覧とかMOD紹介とかキャラクター商会とかそういうやつですけどw
まだまだ工事中な部分が多いですが、ちまちま更新していけたらと思ってるんで、どぞよろしくお願いします。
アドレスはブログのリンクにある「すらっぷ~」から飛べますのでどうぞ^^
ではまた次回。次回は小説のようにファルスカール検証しては・・いるのかな?w
好評だったら続けます(ぉ
08.19.00:30
遠き旅路──Falskaarへ
と、云ってもいい。
ドーンガードに吸血鬼の討伐を済ませたという報告を終え、渓谷を抜けて出てきたときは既に宵の口だった。
「……仕方ない、今夜はリフテンに泊まるとするか、セラーナ」
幸いリフテンにはハニーサイドという家があるため、宿代を払うことはせずに済む。従士であり家の管理を任せているイオナが居るはずだ。
「かまいませんわ、吸血鬼でない貴方は夜の行動はつらいものがあるでしょうから」
リフテンに着き、門をくぐって耳に飛び込んできたのは、男の罵声。
どうやら衛兵の一人に食って掛かっていたようだ。しかし衛兵は涼しい顔──フルフェイスの下にどういう表情があるかは見て取ることはできないが態度がそれだった──で目の前で突っ立っている男の言葉なぞ聞く耳持たず、いやその場に居ることすら認識してない様子で突っ立っていただけだった。
「ちっ……もういいわい。まったく腰抜けな衛兵め」
男はそう言い捨て、衛兵から視線をずらした先に、たまたま俺の姿を見つけただけだった──だと思いたい。
「おお、そこの人、話を聞いてくれんかね?」
断る間もなく、男は俺の目前までやってくると、勝手に話を始めたではないか。俺はまだ何も答えちゃいないのによ。
内心呆れ顔で相手の話を聞く羽目になっちまった。さっさと済ませてもらいたいものだ……
そう思っていたが、男の話す内容は奇妙な事だったので、こちらもつい引き寄せられるように質問を重ねてしまう。
どうやらここ、リフテンからさほど離れてない岩山のふもとに鉱山があるのだが、そこを鉱夫の身なりをしていない傭兵らしき者達がうろついている。何かやらかす前に衛兵に事情を話して調査をしてもらいたい──しかし門前払いを食わされた、との事。
そしてお決まりというより当然のごとく、俺に調査をしてもらえないか──最後にそう付け足される。
幸い、今は宵の口だ。宵闇にまぎれて調査をするなら簡単だろう、鉱山なぞさほど広くもないからすぐ終わるはず、ざっと調べて安全だといえば男も安心する筈。
そう思って俺は調査すると返事をしてしまった──それが、始まりだった。
鉱山に着くと、見張りらしき傭兵が鉱山内をたむろしている。
「どうやらあの男が言ったことは間違いないようですわね。問題は彼らが何故ここに居るのか、ですが」
セラーナが俺の背後でそろりそろりと隠密状態で歩きながら小声で話してくる。
「確かにな……素直に吐いてくれる相手じゃないだろう、とりあえず奥まで進んでみようぜ」
簡単に通してはくれないだろうがな、相手も俺同様傭兵だ、手練であることは見越しておいた方がいい。
俺達に気づくやいなや、傭兵は各々武器を抜いて降りかかってきた。
「ちょっと待てよ、俺も傭兵だぜ、一応」
ひらりとかわしながら剣を抜き、柄部分を相手の腹にめり込ませる。がっ、という鈍い音と共に、鳩尾に叩き込まれた柄にやられた傭兵は胃液を吐いてその場にくず折れた。同業者故に殺したくはないのだが──セラーナが居る以上、そうもいってられない。彼女は吸血鬼だ、容赦はしないだろう。
実際セラーナの方を見ると、吸血攻撃をしつつ氷の矢を放って相手の戦意をじわじわと削ぎ落としている。魔法にいたっては俺より数倍レベルが高いから、直接攻撃を受けない限りは大丈夫だろうが……
倒れている相手を背後から剣を突き刺し、すまない、と内心謝ってから剣を引き抜く。鮮血を溢れさせながら相手は絶命した。情けない死なせ方させて悪かったな。
ふと見ると他の相手はセラーナが全て倒してしまっていた。剣を収め、先に進もうと促す。
彼らはいったい何故、鉱山なぞに立て篭もっていたのだろう……
その理由が分かったのは鉱山の最奥部だった。
鉱山の一部から穴が開き、そこがなんとドゥーマー遺跡の一部に繋がっていたのだ。
最奥部にはドワーフ・センチュリオンが突っ立っており、その傍らには傭兵が二人、血を流して絶命していた。
何があったかは想像しなくても分かる。
新たに部屋に入ってきた俺達を敵とみなしたドワーフ・センチュリオンは、でかい図体をがしゃんがしゃん金属音を立てながら走ってこちらに近づいてきた。
勿論あっけなく殺した──壊した、のが合ってるかな?
ぴくりとも動かなくなったセンチュリオンから離れ、死んでいる傭兵の一人に近づき、荷物を調べると──手記と四角いキューブが見つかった。
何度か見たことがある、ドゥーマー遺跡ではこれを使って装置を起動することができたりするものだ。装置は、というと、部屋の壁側、なぜかシャッターが閉まっている部分の手前におかれてあった。
「……コレを使おうとして絶命したのかね」
あまり軽々しく装置を使っていいものではないと分かっていたつもりだったのに──俺はキューブを装置に置き、起動させてしまった。
起動と同時にがしゃん、とキューブの外側が外れ、中の青白く光るコアがにわかに輝きはじめた。
「何が起こるんですの……」
セラーナは興味と恐怖がない交ぜになった表情であたりを見回している──すると、壁側にあったシャッターがいっせいに外れ、そして奇妙な事に──壁の一角がぼんやり光りだしているではないか。
「なんだ……あれは」
不用意に壁に近づいたのがまずかった。
俺がシャッターのあった部分を通り過ぎると、また再びシャッターが下りたのだ。
はっと気づいた時には手遅れだった。セラーナはシャッターの棒を掴み、
「ジュリアン、はずしてくれないと私もそちらに行けませんわ」
そうは言うもののびくとも動かない、そうだ、あの装置だ──気づいた時には背後の壁の光はどんどん溢れてきていた。
「セラーナ、あの装置! 装置からキューブを引っ張り出すんだ!」
はっと気づいた様子で、セラーナは装置に近づき、キューブを取り出そうとした時だった──
ふわっ、と俺の身体が浮く。何かにひっぱられる。壁に吸い込まれる──
「ジュリアン!」
悲鳴とも似つかぬセラーナの声。
しかし既に俺の視界は壁から溢れる光でまっしろで、彼女が何処から声を出しているか見当もつかなかった──しかし。
「セラーナ、必ず戻る! だから砦で待っててくれ、必ず、必ず戻ってみせるから──!!」
そう言った所で、俺の意識は闇に落ちた。
「………、……だ……た?」
黒い意識が徐々にはっきりとしてくる。どうやら誰かが声を出しているようだ、低い声だから、恐らくは男性──男性?
はっ、と目が覚めると、目の前は岩で作られた天井。──倒れてたのか俺?
「おい、あんた、あんただよ! なんたってそんなところにいるんだ、まさか、ゲートを通ってきたとでもいうのか?」
今度ははっきりと聞くことができた。身を起こし声の聞こえる方向を見たところで、再びあのシャッターが飛び込んできた。そしてその向こう側に居るのは──キュイラスを身に纏った男。ノルドのようだ。
「えっ……と、あんた誰だ?」
声を出すと、相手は目を丸くさせて俺を指差し、
「誰だと聞きたいのはこっちだよ。ムズブトハンドのゲートを通ってやってきたんだろ? だからあんたそこに居るんだろ? つまりあんたは“旅人”か? 災厄と災いが起こりし時、現れるという伝説の──」
というのがファルスカールの始まりの部分ですな。
今現在これで遊びとおしてます。フォロワーは居ないほうがいいらしいのでセラーナたんとは別れてます。なので別れる理由を小説で書いてみましたw
ものすごく広いです。そしてクエストはわんさかあり、ロケーションもどっさりあり、素敵な景色も沢山ありの素晴らしいMODです。
コミケで原稿必死こいてやってたときにこのMODが出て、原稿から脱却したら必ずやろう! と思ってようやくプレイすることができました。
有志の方が日本語化してくださったおかげでプレイできるんですからありがたいですね。
またブログであれこれ載せていけたらと思いますw
PC版プレイヤーの方は是非どうぞ。バグも殆どなく競合も今のところ自分のみにはおきてません。
今後どうなるかわかりませんがw
SSは気に入ったものを少々。CoTをFalskaarでも出来るようにしてあるので景色がすごいきれいです。
ではまた。
08.17.01:32
pray
ども。
原稿が終わって束の間の休息というよりSkyrim三昧(とまではいかないが……)な今日この頃です。
今回は久々にプレイ日記を兼ねた小説を書いてみました。
次回書こうかなーとかぼんやり考えてる小説二次創作のたたき台みたいなもんですが(?)
ちょうど今の時期がアレだったので、アレを取り入れた感じで書いてみましたが・・まあ相変わらずのもんなのでざざっと流し読みしていただけたら幸いです。
──戦争か。
己の欲望の実現、もしくはほんの些細な諍いから始まるもの。
つまり、相手が居なければ起こりうるはずのないもの──
ちっぽけなプライドや欲、利益を得るため、人は衝突をし、どちらかが勝ち、どちらかが負ける。
そんなものを数多く見てきた──いや、見なければ生きられなかった。
俺の居場所は戦場のみ、雇われた相手を守り、相手を勝利に導くだけの駒──それが、傭兵。
それが俺の職業。言い方を変えれば人殺しと然程変わらない。
好きでその職についたんじゃないかって? ふざけたことを言うんじゃない。人間、生きるためには食い扶持が必要だ。
その食い扶持が俺には傭兵として渡り歩く手段だった、それだけだよ。
根無し草、冒険者、風渡り──如何様にも言い方はある。
でもどれも行き着く場所は皆同じなのだ──人殺し。と。
「地味な町ですのね、これでスカイリムにある地方都市の一つですの? ホワイトランやウインドヘルムとは大違いですわね」
ファルクリースに到着するやいなや、俺の背後からついてきていたセラーナは不服そうにふん、と鼻を鳴らして一人ごちた。
彼女の独白──勿論独白ではない、俺に向かって言ったんだろう──を耳ざとく聞きつけたのか、門の脇に突っ立っていた衛兵がこちらに顔を向けた。フルフェイスで覆われている故に表情は判別できないが、その内側ではこちらを睨むような視線を投げつけていてもおかしくない。
「領土の半分以上が森で覆われてるからな、きっとここまで開拓するのに時間がかかったんだよ」
とっさのフォローでそう言いのけると、衛兵は領土を貶されている訳ではないと判断したのか何も言ってこようとはしなかった。慌ててその場を離れる。
「……ったく、危なかったぜ。……セラーナ、地味だと思ってもそういうことを口に出すべきじゃねぇぜ、
今はそれでさえ戦争中だ、衛兵もぴりぴりしてやがる。変に燃料投下して火傷を負うべきじゃない。黙ってる方が得策だ、いいな?」
門を離れ、宿屋「デッドマンズ・ドリンク」前まで着いてから、俺は小声でセラーナにそう伝えた。セラーナはなおも不服なのか、眉間にやや皺を寄せ、
「本当のことを口に出したまでですわ。心に思ったことを言ってはいけないなんて法律がスカイリムにはあるんですの?」
そうじゃない、と伝える。しかし衛兵がよからぬ事と判断するような事を口にするべきではない、いつ誰が俺達にコナをかけてくるか──それが何を脅かすか、分かっているからこそ用心しろと言っているのだ。
「吸血鬼のお姫様には分からないかもしれないが、今のスカイリムは内戦でごった返しているんだ……帝国かストームクロークか、二分に別れ領土争いに発展している。
衛兵の機嫌を損ねれば何らかの嫌がらせをされないとも限らない。余計ないざこざに巻き込まれないようにするのが得策なんだ。セラーナだって嫌だろう? ──女なんて特に」
最後の一言だけは感情を抑えることが出来ず、吐き捨てるように言ってしまった。しかしその言い方が功を奏したのか、彼女は肩をすくめ、小さくうなずいてみせた。
分かってくれたらいい。俺はセラーナの母さん──ヴァレリカに、君を守ると約束した。その約束を反故にするような事だけは招きたくない。絶対に。
「その事は分かりましたわ。けど……ここの……ファルクリースに何か用があるんですの?」
少しどもりながらセラーナは言った。しまった、その事を言うのをすっかり忘れていた。
「すぐ終わるよ──この裏手に行ったところに用がある」
そう言って俺は歩き出した。
町の中心部をぶった切るようにして伸びる街道からわき道に逸れ、なだらかな坂を下るとすぐその場所は見えてきた。
小さな小屋の向かいにある、少し開けた野原に地面から突き出すように幾重にも整然と並べられてある──白く薄い石版の数々。
見れば誰にだって分かる。ここは墓場──死んだ者達が眠る場所なのだと。
「また……増えてるな……」
随分こない間に死者が出たのか、墓石がいくつか増えていた。初めてファルクリースに来た時でさえ多いと思っていたのに……更に増えているとは。
「誰か身内でもこの場所に眠っているんですの?」
セラーナが遠慮がちに小声で俺に話しかけてきた。その言い方がおかしくて俺は思わず吹き出し、笑いだしてしまう。しんみりしていると思ったのか? まさか。
笑われるとは予想もつかなかったのか、俺に対してセラーナは気が狂ったのかとでも思うように嫌悪感を滲ませた視線を投げかけてくるので、
「ははっ……悪い悪い、そうじゃない。前に話したよな? 俺は天涯孤独だと。だからここに身内なんか眠ってやしないよ」
「それは知ってますわ。では何故ここに来たんですの? 理由もなく墓場に来る用事が貴方にはあると?」
両手を広げて諌めるようなポーズを取っても、セラーナは納得がいかないようで食って掛かる勢いで言葉を返してくる。俺はすっと笑うのを止めて、視線を彼女から墓場に移した。
「──身内は居ないが、ここは過去の大戦で亡くなった者、今も続いてる内戦で命を落とした者、病や事故で命を散らした者達の墓場だ。
知ってのとおり、俺は両親が居ない。父親は戦場で死に、母親はどこの誰かも分からない。俺も親父と同じ傭兵の道を辿って今こうしている訳だ、俺もまた──親父同様、死んでも墓はないだろう。
いつ死んだのかとか分からないから命日も知らない。けど養父が教えてくれたのは今の時期だった。だから俺は今の時期を親父の命日と勝手に思い込んで……でも墓はないだろ? だからこうして、誰でもいい、亡くなった誰かを偲んで手を合わせても親父にそれが通じるかもしれない、って勝手に決めて勝手にこうして来てるって訳さ。下らないだろう?」
自虐めいた言い方になってしまったが、セラーナは俺の真意を汲み取ったようだった。無理もない……彼女も数ヶ月前、父親を──俺が、殺したのだから。
そうせざるを得なかった、しかしそれで良かったのか──未だ疑問に思う時がある。セラーナは頭では分かってても心でそれを理解するのには時間が短かったのではないかと。
結果的に俺は彼女の父親、ハルコンを殺した──やはり俺は人殺しなのだ、と頭を抱えた夜も少なくない。気丈に振舞うセラーナを見て何度心が締め付けられたか。
傭兵という職業を、いや、ドーンガードとしての役割を、これほど呪った事はなかった。何故俺なんだ、何故俺が殺さなければならなかった。
結果的には世界は救われた。しかし、彼女の心一つ俺は救い出せては居なかった。
ヴァレリカを迎えにソウル・ケルンに出向き、顛末を話した時、彼女は言ってくれた、「ありがとう」と。それが何に対してのありがとうなのか──俺は未だにわかっていない。
だから、と俺は思う。
俺は自分の父親を殺され、守ると誓ったセラーナの肉親を殺した。自分がされた事全部、セラーナにも味あわせてしまったのだ──それが大義だったとしても。
探している父親の仇と同じなんだ、俺は──
「……なら、私もここで貴方同様、祈りを捧げていきますわ」
突然セラーナから出た言葉に、えっと言い返す間もなく、セラーナは墓場の一角で膝を折り、祈りを捧げ始めたではないか。
今度はこちらが予想外の行動に目を丸くする番だった。「どうして……」と言葉が口から漏れてしまう。
「私も貴方と同じだと思いましたから。もう父親と言いたくもありませんけど……それでもハルコンは父親であることは間違いありませんわ。
けど、彼がやった行為は許されない。死んで当然だと私は思っている。
──ですが」
ふいに口をつぐむと、唖然とした状態で突っ立ったままの俺に顔を向けてから、
「ずっと私の父を殺したことを悔やんでいるのではなくて? ──だったらその考えは捨てた方が賢明ですわ。私は後悔しておりませんもの。
殺されて然るべきだったし、貴方が倒してくれた事は間違ってませんもの。自業自得なのです」
思っていることをずばずばと指摘され、ばつが悪いったらない。苦笑いを浮かべてしまうが、内心はありがたかった。
「……ありがとよ」
照れくさくてまともに顔を向けて言うことが出来ず、ぼそぼそと呟く程度でしか言えなかった。伝わったかは分からないが、セラーナは何かを付け足すように「ああ、それと」と言ってから、
「不謹慎かもしれないし、そんな時を今から考えたくはないですけど──貴方の墓なら、私が作って差し上げますわ。ヴォルキハル城の中庭に設置して、毎日祈りを捧げますから」
……何だって?
再度目を丸くする俺をセラーナは見て──口元を歪ませ、くすっと笑みを浮かべた。その表情ですぐ、冗談を言ったのだと察する。
憮然とした表情を浮かべて俺は言った。
「セラーナ、俺からしたら笑えない冗談だぜ?」
「ごめんなさい。さっきのとこれでおあいこですわ」
つられてこちらも笑うしかなかった。全くとんだ女を守ると誓ったもんだ。
しばしの笑いの後、セラーナは何も言わず、手を合わせて誰ともしらない墓前に祈りを捧げていた。
俺も彼女の隣に立ち、立ち膝をついた状態で俺は手を合わせる。この墓の下に埋まっている者と、俺の父親と、そして──ハルコンに。
“彼女は必ず俺が守っていく。父さん、そして──ハルコン、ソブンガルデから見ていてくれよ”
吸血鬼って死んだらどこにいくんでしょうね。ソブンガルデはないでしょうが、オブリビオンにでも行くのかな?w
ぐだぐだな話ですいません;;ではまた次の話で。
08.12.22:04
夏コミお疲れ様でした&お買い上げありがとうございました!!
はい。夏コミから帰ってきました。
参加した方々、新刊を買ってくれた方々、ありがとうございました!!
上のSSは新刊の表紙、下はお品書き(自分のメインジャンルであるシャイニングフォースの新刊も混ざってますが。。。w)です。
スカイリムのサークルがある場所と別の場所(ジャンルコードも違うため)にサークルがあるにも関わらず本を買いに来てくださる方が居て、感謝感激雨土砂降りでしたm(__)m
で。
自分もよーーーーーやくスカイリムサークルに行って新刊ゲットしてきました!!w
いやー去年のC83では西と東で分かれてたせいもあって買いにいけず、本当に悔しい思いをしたので今回は始まってすぐに買いに行きました(笑)
行ってみたら長蛇の列がすごいことすごいこと。
スカイリム好きな人こんなにいるんだなあと、本当に嬉しい気持ちになりました^^
とても楽しく読ませてもらってます。サークル名とかは割愛しますが、ありがとうございました。
本当は自分もスカイリムの方にサークルを移したいといえば移したいですが、
自分のメインジャンルはどうしてもシャイニングフォースIII(キャメロット・1997年・シミュレーションRPG)から離れることはないと決めてるんで、スカイリムでサークルを取ることは今後もないと思います(コミケのみにいたっては、ですが)。
自分の相方や同じジャンルのサークルの友人にも同じこと聞かれましたけどw
いやー本当はそっちでも取りたいですよw なかなかスカイリムの話を対面で話すってことないし。
相当中の人は葛藤しましたけど、メインジャンルを抜けることは自分のアイデンティティーに反すると分かってるんで、サークルはSFIIIで、スカイリムはサブで、ということで今後もやっていくと思います。
だからどうしてもゲーム(RPG)とゲーム(その他)で別れてしまうのが寂しいですがこれはもうしょうがないです。
ただ、コミケ以外ではスカイリムジャンルでサークルとってもいいかもしれないなと思ってるんで、
11月に開催するゲームレジェンドに参加しようかなと思ってます。スカイリムサークルさんがいくつかいると友人が教えてくれたんでw
そうやって、メインジャンルで活動してても俺がSkyrimの本を描いていると誰かが助けてくれるんですよね。
そういう事が出来る間柄があるのも、ずっとシャイニングフォースで活動してきたから。
なんだかこのブログはスカイリムなのかシャイニングフォースなのか分かりませんねw
俺の中ではSFIIIの延長線上にスカイリムがある形で存在してるんで、次の冬コミも受かればSkyrimの新刊を持っていくつもりです。
よろしくお願いします。
なんだか長々と自分のつまらねー事を書いてしまいましたw
とりあえず原稿からは無事脱稿したので、夏も俺の中では終わったんで(笑)
スカイリムプレイが再開です。とりあえず件の大作MODを入れてみようかなあ。
ブログではまた二次創作がちょこちょこ書けていけたらと思ってる所存です。
今後ともどぞよろしくです。
それではまた。
08.07.23:34
Dawnguardの一コマを小説仕立てにしてみた。(自己流多分入り
何故か? それはジュリアン(うちのどばきんさん)に両親なんて居ないからさ!!(上のSS参照) というむちゃくちゃな理由をタテに書いてみたものです・・
なんでつまらない人にはものごっつーつまらんので申し訳ない・・
(ちなみにコレは去年10月ごろにmixiに載せたものの再掲です。何故いまさら? と思うでしょうが最近自分のTwitter上でDawnguardの事で色々フォロワーさんと話しててふと、この話はブログに載せてないなと判明したため再掲したものです)
“あなたはどうなのです? ご両親はどんな方でしたの?”
目の前に立って話す彼女の表情はまっすぐこちらを見据えるだけで、他意があって問いかけた事じゃないのは容易に想像がつく。
しかしその事を彼女に話していいものかどうか、俺は逡巡していた。
妙な空気が俺と彼女の間に流れる。
目の前に立つ女は血色があまりよくなく、傍目からすれば少し病弱か体力が弱い女性と見られてもおかしくはない。
しかし普通の人間とは違う証として、彼女の目は血のように真っ赤で、瞳孔すら赤かった。
勿論彼女は“ヒト”ではないのだ──陽光を忌み嫌い、闇を愛でその中を自在に移動できる力を持った種族。
人はそれを多分の侮蔑を込めた言葉でこう言った。「吸血鬼」と。
聖蚕の僧侶であるデキソン・エヴィカスが星霜の書──エルダー・スクロール──を読み終え、一休みをするという事になり、砦のホールに集まった俺とセラーナ、聖蚕の僧侶、そして砦のマスターであるイスランの四人は一時解散することにした。
星霜の書を読むという作業はそうとう精神力を要するらしい。読み終わった後の聖蚕の僧侶は来た時と比べると急に何年も歳をとったかのように頬は痩せこけ、げっそりとしていた。よろよろと覚束ない足取りで寝室として使っている部屋に向かって歩いていく。
ドーンガードの砦に着いた時は既に夜半を過ぎていた。俺も一眠りするかな、イスランは眠るという事は愚か者のやる行為だとか言っていたが、人間寝なければ死んでしまう。
踵を返して寝室に向かおうとした時だった。
「待ってください。少し……話がありますの」
後方から声が聞こえたので首だけを動かして見やると、セラーナが突っ立ったままこちらを見ていた。どうやら先程からその場を動かなかったらしい。
「……後じゃダメなんだろうな?」
表情を察するに何か思いつめたような感じだったので、結局俺は体ごとセラーナに向けた。彼女はこくりと頷く。
「聖蚕の僧侶が残り二つ有ると言っていたエルダー・スクロール、片方でしたら何処にあるのか見当がつきますわよ」
その言葉に俺は思わず目をつりあげた。セラーナは表情を変えないまま話し始める。
「父はもう、私の事を娘とは思ってないようですわ。だから私は──父には加担いたしませんの。私を道具扱いする父が嫌で、私は──私を、助けてくれた貴方を頼って、敵地と言っても過言ではないこんなところまでやってきたのですから」
最も、彼女を砦に置き去りにしていたら、砦に居るドーンガードの誰かが彼女を蹂躙しないとも限らない。
四面楚歌なんてことよりも酷い、回りに味方が居ない敵地にたった一人で乗り込んできたのだ。殺されるかもしれない、そんな考えもあっただろう。でも俺を頼ってきた。だから俺は彼女に言った──「俺と来ないか」と。
そう言った俺を、イスランは不服そうに顔をしかめていた。恐らく俺が居なくなるや否やで彼女を殺そうとしていたのかもしれないが、情況がどうであれ、肩に背負った星霜の書を俺に──敵側に、譲り渡してくれたのだ。その行為だけは認めてやってもいいんじゃないか?
セラーナを連れ、俺と二人で聖蚕の僧侶を見つけだし、吸血鬼の手に落ちようとしていた聖蚕の僧侶を無事救出、そして砦へ無事送り届けた──だけに関わらずセラーナはあろうことか、すんなりと星霜の書を僧侶に渡したのだ。
躊躇いもせずすんなりと俺たちに勝利への手がかりを渡してくれるのか──その理由が今分かった。父親が自分を道具としか見ていないこと、母がそんな父親を嫌い、姿を消してしまった事。
「私と母は親子というより、親友のような間柄でしたわ──何でも話す親しい関係でしたわ。母が最後に安全な場所に行くと言い残して姿を消すまでは」
その当時を思い出したのだろう、セラーナの眉が下がり、伏目がちな視線を地面に落とした。
「母が星霜の書を持っているかもしれませんわ。その手がかりを探しに行かなくてはいけませんの。手伝って下さるわよね?」
Noと言う余裕は無さそうだ。俺が頷いて見せると彼女の表情が少しほころんだ。
「セラーナの家族について教えてくれないか? 随分と──個性的な家族だよな」
言葉に迷って変な言い方をしてしまったが、彼女はそれについては何も言わず、
「おかしな家族──そういったほうがいいかもしれませんわね。仲がよかったのが、次の日になると険悪な関係になってしまったのですから。父も母も脅迫観念がそうとう強かったし、それが家族という絆を冷やした原因かもしれませんわね」
つまらなさそうに言いのけた。
「父親も母親もあまり良くは思ってなさそうだな。セラーナは」
薄ら笑いを浮かべて答えると、彼女はふん、と鼻を鳴らして俺にとんでもない事を言った。
「そういうあなたはどうなのです? ご両親はどんな方でしたの?」
──どう答えたものか。
俺が黙ってしまった事にセラーナは怪訝そうに首をかしげる。
しかし、言った所で何が変わるわけでもない。彼女にとってはどうでもいいこと──そうやって片付けられるだろう。
俺はつとめて明るい表情を浮かべ、肩をすくめた。
「親は──居ないんだ」
え、と言うように口を開くセラーナ。しかしその唇から声は発せられなかった。
「母親は分からない。父親は──殺された。俺を育ててくれた養父は数年前に戦死した。父親の名前はジェームズ。養父はアランだ」
どう答えていいものか分からず、セラーナの表情が困ったようなそれに変わっている。俺を慮る必要なんてないぜ、セラーナ。
「父親も養父も傭兵だった。父親は何者か分からない化け物に殺されたんだ。養父は戦死する数年前に教えてくれたよ。そして俺も親父や養父と同じく傭兵になった。命の危険は何度もあったけど、今のところ、こうして生き延びているよ」
常にベルトに差してある短剣を思わず俺は手でさすっていた。古ぼけた鋼鉄のダガーだったが、それは亡き父親が俺に最初にくれたプレゼント──というより護身用としてのものだったのだろう。
心が折れそうになった時、常に俺はこのダガーを握り締め耐えてきた。いつか父親の仇敵を探し出してみせる。その一つだけを携え──スカイリムに来た。まさか来て早々帝国兵に捕まるとは思ってもみなかったが。
セラーナは何と言葉をかけていいか分からない様子だったが、
「その……ごめんなさい。辛い思い出を呼び覚ましてしまって」
頭こそ下げないものの、申し訳ない様子で彼女はそう謝ってきた。謝る必要なんてないんだぜ、セラーナ。
「大丈夫だよ。気にされると折角思い切って伝えた意味がなくなっちまう」
思い切って伝えた意味って? セラーナが鸚鵡返しに問いかけた。
「なに。簡単な事さ。──セラーナ、あんたにはまだ両親が居る。けど話を聞く限り両親及び親子の仲は良くない。それは分かる。
けど、生きてるうちだけだぜ。そんな贅沢な事言えるのはよ。仲が悪かろうが、険悪だろうが、それでもあんたにとって、ハルコンや母親は大事な両親なんだ。それだけは忘れるなよ。たとえ──俺がハルコンを倒す事になろうとも」
最後につけた言葉は勿論、いずれ起きるであろう戦いの結果──勝っても負けてもいずれどちらかは死ぬのだ。親を無下にする彼女に、どうかその時になって父親のありがたみを感じて涙することがないように。
セラーナに俺の真意が伝わったかは──分からない。しかし彼女は黙って俺の言葉を受け止めた様子で、こくりと頷いて見せた。
俺も頷いてみせると、扉に向かって歩き出した。セラーナは慌てて俺を引き止める。
「待ってくださいジュリアン。あなた今から休もうとしてたんじゃなくて?」
そうだったか? まぁいいや。俺は足を扉に向けたまま、後ろからついてくるセラーナに向かって言った。
「時間が惜しくなったのさ。リフテン辺りに着く頃には夜が明けてるだろう。その時間を見計らって休めばいいだけさ、行くぞセラーナ」
何故闇の中移動しなければならないのか分かっているくせに、と内心ごちる。察したのか、セラーナは黙ってついてきた。
扉を開け、砦を出る。夜半過ぎて冷えた風が体に沁みる。夜明けまであと数時間。
歩き出す──その先にどんな結末が待ち受けていようと、俺は俺が決めた道を進む。それだけだ。