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SkyrimとFallout4・76の二次創作メインブログです。 たまにMODの紹介も。
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03.29.18:36

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  • 03/29/18:36

08.07.23:34

Dawnguardの一コマを小説仕立てにしてみた。(自己流多分入り

えー……今回はDawnguardのクエ「預言者」の最後の一幕がどうしてもどうしてもアレンジしたくて書いてみたものです。
何故か? それはジュリアン(うちのどばきんさん)に両親なんて居ないからさ!!(上のSS参照) というむちゃくちゃな理由をタテに書いてみたものです・・
なんでつまらない人にはものごっつーつまらんので申し訳ない・・

(ちなみにコレは去年10月ごろにmixiに載せたものの再掲です。何故いまさら? と思うでしょうが最近自分のTwitter上でDawnguardの事で色々フォロワーさんと話しててふと、この話はブログに載せてないなと判明したため再掲したものです)


“あなたはどうなのです? ご両親はどんな方でしたの?”
 目の前に立って話す彼女の表情はまっすぐこちらを見据えるだけで、他意があって問いかけた事じゃないのは容易に想像がつく。
 しかしその事を彼女に話していいものかどうか、俺は逡巡していた。
 妙な空気が俺と彼女の間に流れる。
 目の前に立つ女は血色があまりよくなく、傍目からすれば少し病弱か体力が弱い女性と見られてもおかしくはない。
 しかし普通の人間とは違う証として、彼女の目は血のように真っ赤で、瞳孔すら赤かった。
 勿論彼女は“ヒト”ではないのだ──陽光を忌み嫌い、闇を愛でその中を自在に移動できる力を持った種族。
 人はそれを多分の侮蔑を込めた言葉でこう言った。「吸血鬼」と。

 聖蚕の僧侶であるデキソン・エヴィカスが星霜の書──エルダー・スクロール──を読み終え、一休みをするという事になり、砦のホールに集まった俺とセラーナ、聖蚕の僧侶、そして砦のマスターであるイスランの四人は一時解散することにした。
 星霜の書を読むという作業はそうとう精神力を要するらしい。読み終わった後の聖蚕の僧侶は来た時と比べると急に何年も歳をとったかのように頬は痩せこけ、げっそりとしていた。よろよろと覚束ない足取りで寝室として使っている部屋に向かって歩いていく。
 ドーンガードの砦に着いた時は既に夜半を過ぎていた。俺も一眠りするかな、イスランは眠るという事は愚か者のやる行為だとか言っていたが、人間寝なければ死んでしまう。
 踵を返して寝室に向かおうとした時だった。
「待ってください。少し……話がありますの」
 後方から声が聞こえたので首だけを動かして見やると、セラーナが突っ立ったままこちらを見ていた。どうやら先程からその場を動かなかったらしい。
「……後じゃダメなんだろうな?」
 表情を察するに何か思いつめたような感じだったので、結局俺は体ごとセラーナに向けた。彼女はこくりと頷く。
「聖蚕の僧侶が残り二つ有ると言っていたエルダー・スクロール、片方でしたら何処にあるのか見当がつきますわよ」
 その言葉に俺は思わず目をつりあげた。セラーナは表情を変えないまま話し始める。
「父はもう、私の事を娘とは思ってないようですわ。だから私は──父には加担いたしませんの。私を道具扱いする父が嫌で、私は──私を、助けてくれた貴方を頼って、敵地と言っても過言ではないこんなところまでやってきたのですから」
 最も、彼女を砦に置き去りにしていたら、砦に居るドーンガードの誰かが彼女を蹂躙しないとも限らない。
 四面楚歌なんてことよりも酷い、回りに味方が居ない敵地にたった一人で乗り込んできたのだ。殺されるかもしれない、そんな考えもあっただろう。でも俺を頼ってきた。だから俺は彼女に言った──「俺と来ないか」と。
 そう言った俺を、イスランは不服そうに顔をしかめていた。恐らく俺が居なくなるや否やで彼女を殺そうとしていたのかもしれないが、情況がどうであれ、肩に背負った星霜の書を俺に──敵側に、譲り渡してくれたのだ。その行為だけは認めてやってもいいんじゃないか?
 セラーナを連れ、俺と二人で聖蚕の僧侶を見つけだし、吸血鬼の手に落ちようとしていた聖蚕の僧侶を無事救出、そして砦へ無事送り届けた──だけに関わらずセラーナはあろうことか、すんなりと星霜の書を僧侶に渡したのだ。
 躊躇いもせずすんなりと俺たちに勝利への手がかりを渡してくれるのか──その理由が今分かった。父親が自分を道具としか見ていないこと、母がそんな父親を嫌い、姿を消してしまった事。
「私と母は親子というより、親友のような間柄でしたわ──何でも話す親しい関係でしたわ。母が最後に安全な場所に行くと言い残して姿を消すまでは」
 その当時を思い出したのだろう、セラーナの眉が下がり、伏目がちな視線を地面に落とした。
「母が星霜の書を持っているかもしれませんわ。その手がかりを探しに行かなくてはいけませんの。手伝って下さるわよね?」
 Noと言う余裕は無さそうだ。俺が頷いて見せると彼女の表情が少しほころんだ。
「セラーナの家族について教えてくれないか? 随分と──個性的な家族だよな」
 言葉に迷って変な言い方をしてしまったが、彼女はそれについては何も言わず、
「おかしな家族──そういったほうがいいかもしれませんわね。仲がよかったのが、次の日になると険悪な関係になってしまったのですから。父も母も脅迫観念がそうとう強かったし、それが家族という絆を冷やした原因かもしれませんわね」
 つまらなさそうに言いのけた。
「父親も母親もあまり良くは思ってなさそうだな。セラーナは」
 薄ら笑いを浮かべて答えると、彼女はふん、と鼻を鳴らして俺にとんでもない事を言った。
「そういうあなたはどうなのです? ご両親はどんな方でしたの?」

 ──どう答えたものか。
 俺が黙ってしまった事にセラーナは怪訝そうに首をかしげる。
 しかし、言った所で何が変わるわけでもない。彼女にとってはどうでもいいこと──そうやって片付けられるだろう。
 俺はつとめて明るい表情を浮かべ、肩をすくめた。
「親は──居ないんだ」
 え、と言うように口を開くセラーナ。しかしその唇から声は発せられなかった。
「母親は分からない。父親は──殺された。俺を育ててくれた養父は数年前に戦死した。父親の名前はジェームズ。養父はアランだ」
 どう答えていいものか分からず、セラーナの表情が困ったようなそれに変わっている。俺を慮る必要なんてないぜ、セラーナ。
「父親も養父も傭兵だった。父親は何者か分からない化け物に殺されたんだ。養父は戦死する数年前に教えてくれたよ。そして俺も親父や養父と同じく傭兵になった。命の危険は何度もあったけど、今のところ、こうして生き延びているよ」
 常にベルトに差してある短剣を思わず俺は手でさすっていた。古ぼけた鋼鉄のダガーだったが、それは亡き父親が俺に最初にくれたプレゼント──というより護身用としてのものだったのだろう。
 心が折れそうになった時、常に俺はこのダガーを握り締め耐えてきた。いつか父親の仇敵を探し出してみせる。その一つだけを携え──スカイリムに来た。まさか来て早々帝国兵に捕まるとは思ってもみなかったが。
 セラーナは何と言葉をかけていいか分からない様子だったが、
「その……ごめんなさい。辛い思い出を呼び覚ましてしまって」
 頭こそ下げないものの、申し訳ない様子で彼女はそう謝ってきた。謝る必要なんてないんだぜ、セラーナ。
「大丈夫だよ。気にされると折角思い切って伝えた意味がなくなっちまう」
 思い切って伝えた意味って? セラーナが鸚鵡返しに問いかけた。
「なに。簡単な事さ。──セラーナ、あんたにはまだ両親が居る。けど話を聞く限り両親及び親子の仲は良くない。それは分かる。
 けど、生きてるうちだけだぜ。そんな贅沢な事言えるのはよ。仲が悪かろうが、険悪だろうが、それでもあんたにとって、ハルコンや母親は大事な両親なんだ。それだけは忘れるなよ。たとえ──俺がハルコンを倒す事になろうとも」
 最後につけた言葉は勿論、いずれ起きるであろう戦いの結果──勝っても負けてもいずれどちらかは死ぬのだ。親を無下にする彼女に、どうかその時になって父親のありがたみを感じて涙することがないように。
 セラーナに俺の真意が伝わったかは──分からない。しかし彼女は黙って俺の言葉を受け止めた様子で、こくりと頷いて見せた。
 俺も頷いてみせると、扉に向かって歩き出した。セラーナは慌てて俺を引き止める。
「待ってくださいジュリアン。あなた今から休もうとしてたんじゃなくて?」
 そうだったか? まぁいいや。俺は足を扉に向けたまま、後ろからついてくるセラーナに向かって言った。
「時間が惜しくなったのさ。リフテン辺りに着く頃には夜が明けてるだろう。その時間を見計らって休めばいいだけさ、行くぞセラーナ」
 何故闇の中移動しなければならないのか分かっているくせに、と内心ごちる。察したのか、セラーナは黙ってついてきた。
 扉を開け、砦を出る。夜半過ぎて冷えた風が体に沁みる。夜明けまであと数時間。
 歩き出す──その先にどんな結末が待ち受けていようと、俺は俺が決めた道を進む。それだけだ。

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