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SkyrimとFallout4・76の二次創作メインブログです。 たまにMODの紹介も。
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05.08.08:42

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  • 05/08/08:42

03.02.23:01

原稿? 描いてるさ精一杯!

昔にもこのタイトルで記事書いてなかったか、というツッコミは無視。

 ども、現在MOD作成とHARUコミ向けの原稿と言う二束の草鞋状態で作業を並行している中の人です。
 いや元々HARUコミに新刊出すつもりなかったんですけど、無料でペーパー(フライヤー)もどきのフルカラー四コマ漫画程度ならなんとかなるかな、と思い至って以下略。

 なので久々の当ブログ限定の下絵公開。
 4コマ漫画1枚におさめた4枚分のネタです。タイトルは「ネコとマクレディと一人のパパ」。
 
 え? タイトルが谷崎潤一郎の「猫と庄造と二人のをんな」のパクリかって?
 まぁそうなんだけど、気にしないでやってください。

 去年までは自分のプレイヤーキャラのパッパさんを描いてましたけど、今年からはネイトさんをぼちぼち描いてます。
 ちなみにネイマク(パパマク)です。最後にちゅーシーンがある程度だけど。


 載せてから言うのもあれですが無声漫画な上に背景はありません(笑)
 だから絵だけで表現してるのでとても難しいね。
 無料な上に5部程度しか刷りませんけど、欲しい方は是非19日開催のHARUコミの自サークルスペース「東ケ58a」サークル名「すらっぷすてぃっく百貨店」まで遊びにきてやってくださいませ。

 MODのほうは現在マックの音声を加工段階で、7つしか決まってない有様orz
 なんかこう、組み合わせるとすごいデレるような台詞ないっすかねー・・
 是非アイデアがある人、ご連絡ください。Twitter:@9412JMSでもいいですし
 ここのコメントでも大歓迎っす(笑)

 という近況だけの定期更新でした。
 たまにはSSがない記事もいいね。

 ではまた次回更新日に。

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02.22.23:25

マクレディ音声追加MODβ版公開します!

前回は翻訳で、今回はMOD作成か、とだいぶ中の人がメガシンカしてます。
 こんばんわ。

 タイトル通り、マクレディの音声追加MODのβ版ですが公開を開始しようとおもって記事を書いてみましたよ。
 なんで音声(台詞)追加MODを作ろうと思ったのかっていうのは、マクレディに限ったことじゃないですけど、ロマンスが終わってしまうと、彼の台詞は一部のみ喋るだけになってしまい、8000以上あるセリフのうちほんの数%程度の会話しかしないんですよね(ロケーション、天候、昼夜、クラフティングの際の台詞はここから除外しても)。
 なので、ロマンス前の台詞でも比較的使えそうなセリフを切ったり張ったりして作ってみたMODです。まだ5ファイルしか追加しておらず、β版でブログのみ公開という形ですが、いずれ本公開はするつもりです・・多分。
 もちろんマクレディの音声は日本人声優のそれであって、海外版は一切手を加えておりません。

 作るきっかけはさっき言ったとおりですが、もともと作れるとは思ってなかったので、ふとした時にそういえばコンパニオンに音声追加ってできるのかなあ、と思って調べたのがきっかけで、案外CKで楽に作れるというのがわかって、そういうMODが出回ってないのも知っている(まぁ音声継ぎはぎ程度だしな)ので、無いなら自分で作ろう! と同人誌作るのとほぼ同じ動機で作り始めました。

 ・・・が、かなり大変でした。
 音声を作ったりxwmファイルに変換とかは前の翻訳時にもやってたのでまだいいのですが、いざテストしてみるとマクレディの口がパクパクしない。
 何が足りないのかと思えばLipファイルがついていないせいで、じゃあそのLipファイルはどうやって作るのか、というところで海外サイトを漁り(日本のFO4ファンサイトはまだそこら辺詳しく乗ってるサイト様いなかったので)、作り方を知って作ろうとすると強制終了が入って・・・という一難さりゃまた一難状態(笑)
 まぁそれでもなんとか暫定公開(β版ですが)に出来たのはよかったなあと。
 心折れそうになりましたけど、何とか作れてよかったです。

 で、その音声ですが5つしかまだ上げてないとさっきも言いましたので、少ないですがとりあえずちゃんと喋ってくれます。
 テストプレイ時喋るたびにSS撮ってみました。マクレディの顔がぼやけてたりするのは被写界深度(ピント)が合ってないせいですw

 
 
 ネタっぽいのも作ってみました。走ってる(移動している)時に呟いてくれたら楽しいだろうなあ・・みたいな。
 あと一つあるんですけど、SS撮り忘れたw

 現在β版ですが、もし入れてもいいよ、という人は以下の場所からDLしてください。

MacVoicePlus Ver.0.1β
https://1drv.ms/u/s!AtCdfICRJ8xwkiK4i3X8J_Jt9uwu
OneDriveです。

 という紹介するだけの記事でした。
 ちょろちょろアプデしていくんで、いずれ本公開したらPS4とか箱一とかでも使えるようにしたいです。恥ずかしいけどね。

 ではまた次回公開日に。


 ああ、あとおまけで。
 今日は猫の日なので、猫とマクレディ。

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02.11.01:23

たまにはまともにMOD紹介 Vault-004+α波

ごめんなさい。だいぶ遅くなりました。……ああ、書いてる時間が深夜なもので。
明日朝早いってのに、何今迄やってたのかというとブログ書く音楽を探したりそんなことばっかりやってました……

 ああ、ちなみに、今回の記事はちょっとアダルティーなSSあるので、ここらで画面切り替えをしておきます。
 読みたい人はつづきはこちらをクリックしてね!

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つづきはこちら

02.03.21:53

星の人

Fallout二次創作シリーズ一連の続きになってます
そのテのものが苦手な方はブラウザバック推奨。ついでいパパマクなのでそれも苦手な方も推奨(エログロホモはないですが)

ここから読んでもOKですが、出来るなら前作の話「After the carnival」から読みましょう。




 ……眠れそうにない。
 今晩何度目だ……最早数なぞ数えていない。
 瞼を開けると、見慣れない天井が目前にあった。新しい部屋を貰って──正確には借りたと言うべきだろうが──
 さっきから何度も、瞼を開けては閉じ、眠ろうとしても睡魔は俺の意識を掻っ攫って行こうとはしない。……慣れないベッドのせいか、それとも……
 枕の上を転がすようにして頭を横に向ける。窮屈なセミダブルのベッドで、くっつくようにして眠っていたのはマクレディだった。頭は自分と同じ方向……つまり、同じ方向を見ているせいで表情は窺い知れない。胸が上下しているあたり、しっかり眠れているのか。
 俺は黙って身を起こす。もそり、と被っていた毛布が衣擦れの音を立てるだけで、辺りは全くの無音。……グッドネイバーは不夜城だが、戦前のアメリカで見たような光り輝く夜の街ではない。夜は皆寝静まっているのは何処の居住地とも変わらない。
 ふぅとため息をついて、俺は素足のまま床に足を付いた。頭をがりがりしごきながら、身を伸ばすようによじり……さて、どうしようかと思うものの、こぢんまりとしたこの部屋で行く場所なぞあまりなく、仕方なく俺はバルコニーに通じる扉へ向かった。ちゃ、ちゃ、と床と足が張り付く度に静かな音を立てる。
 バルコニーに出ると、グッドネイバーの町全体が見渡せた。高さは旧州議事堂から突き出した演説台──と俺は勝手に呼んでるが──と殆ど変わらない。階下はドラム缶に入れた常夜灯代わりの焚き火が点々と灯されており、自警団が時折、思い出したかのようにうろつくだけで動く者は他に居なかった。
 見上げると、満天の星空が見える。──戦前では見ることの出来なかったもの。
 210年ぶりに目覚めた時、そういえば──
「眠れないのか?」
 突如声をかけられ、咄嗟に声の方へ身を向けると、マクレディが立っていた。いつの間にここに来たのだろう。扉が開く音はしなかったと思うが……いや、多分上に目を奪われていたせいで気にも留めなかったのだろう。
 彼は妙な事に両手にグラスを持っていた。中身は水のようだった。彼は黙って片方こちらに差し出すと、自然と俺は受け取ってしまう。
「……ああ、なかなか、こう……慣れなくて」
 気が利く、と心の中でつけたして俺はグラスの中の液体を呷った。するとマクレディはははっと笑って、
「実は俺もそうなんだ。こう……ものすごく静かな場所で寝るってのが酷く落ち着かなくてさ。こんな事初めてで」
 あんたも同じか、と笑いながらそう付け足す。……似てはいるが厳密には同じではないんだがな。と思いながら再び空を仰いだ。
 そんな態度を見て怪訝そうに「……何を見ている?」とマクレディ。
「空だ」
 空? と眉を顰めながら同じように空を見る彼だったが、次にはつまらなさそうに目を下の方向へと向けてしまう。……そうか、彼は知らないものな。
「昔、この辺りは大都会と呼ばれるに相応しい町だった、というのを知ってるか?」
 いきなり何の話かと思えば戦前の話か、と思われたりするかなと思いきや、彼は考えるような仕草を見せた後、
「……ここに来るまでにリトル・ランプライトやキャピタル・ウェイストランドで本を読んだりして知ってるよ。かつてはキャピタル・ウェイストランドは“首都”と呼ばれて、ここは……えーと、」
「ボストンという町だった。……今ではその名を呼ぶ者はおらず連邦と云われているがな」
 言い淀んだ彼の言葉を引き取るようにぽつりと言うと、それそれ、とマクレディは嬉しそうに相槌を打った。
「戦前の話をしてくれるのか? ……眠れない夜には最高の話だな」
 一瞬皮肉を言ってきたのかと思ったが、彼の表情は嘲笑してる訳でもなければ小馬鹿にした様子でもなかったので、ちょっと安心した。……いや、別に安心する事なんてない。馬鹿にしてくるなら話なぞしなくてもいいのだから。
「そうか、俺はお前に戦前の話なぞしたことが無かったか」
 と、いうか、俺は今まで出会ったかつての連れ──ニックやパイパーにもあまりそういう話を自ら向けようとはしてこなかったな。単に機会が無かっただけかもしれないが、自分から話してもいいと思ったのは今回が初だった。
「戦前の話なんてする奴が居たら、過去の栄光なんかに囚われてたらここで生きていけないぞ、って言い返すのが本来ならば常識だしな。……でもまぁ、あんたが話すなら俺は聞き……き、聞いてやってもいい」
 何故か最後にどもるマクレディ。最初は単に口が悪いだけの奴と思っていたが、最近は──というかここずっと──彼は感情を口に出すのが下手なだけで、本当は素直な奴なんだろうなと思うようになっていた。
 ふっと笑って、俺は再度空を見る。満点の星空が広がっている空を。
「……ここがかつて大都会と呼ばれる町だった頃、夜はこんなに星が瞬く空ではなかった。何故かというと、下の明かりの方が輝きがすごかったんだ。都会の方の輝きが。
 人口の明かりで満ち溢れていて、夜は遠くからでもその明かりが見つけられる程だった。
 ……こんな風にうらぶれる前は、空まで伸びるばかりの巨大な建物が並び、それは町を、都市全体をまばゆい光で覆っていた。人々はその光に寄せられ、どんどん発展していった。発展していくたびに、人口は増え、その人口を収めるべくどんどん高い建物が作られていく。
 やがて人が地上の光──人工の光に慣れてしまった頃、いつしか人は上を見なくなるようになった。あれほど上を目指して高い建物を作っていたのに。
 それと殆ど変わらない頃、夜に瞬く満点の星空が見えなくなっていたんだ。
 下の光が輝きすぎて、僅かな星の瞬きなど強い人口の光の前では掻き消されてしまう。それに、人が多いせいで空気は淀み、原子力で動くクリーンエネルギーの車が走っていても空気は汚れるからな。人口が増えるにつれ、星はどんどん見えなくなっていった。……それでも空の星を見たい人は、そういう施設に赴いたりしたな──知っているか、プラネタリウムというものを」
 一旦口を閉じ、水で喉を潤した。マクレディは黙ったままこちらの話を聞いていたが、俺の問いかけに僅かに首肯して見せ、「ああ、何かの本で読んだ。……おかしな話だな、今はいつだって夜空を仰げば星が見れるのに」
 そうだな、と呟く。「……おかしな話だと俺も思うよ。昔は空を目指して高い建物を作っていたのに、結果的にはそれが見えなくしてしまったのだから。
 だから人は地上から見えなくなった星を地上の施設で見るようになった。都市は空気が汚れ淀んでいるから、郊外や山間部に行ってわざわざ星を見に行く人も居たな。
 ……それでも人の空へと届きたい希いは留まる所を知らず、高い建物はどんどん作られ、満点の星空に向かうロケットも開発された。
 ……そんな中、戦争が起きたんだ」
 ロケットと聞いてマクレディの表情が笑いに変わった。
「空の向こうまでいけるロケットがあった、という話はすごい興味をそそられたよ。人の欲望って際限を知らないんだなってな。……そんなテクノロジーをもってて、なんで戦争なんか起こすんだか」
 バルコニーの手すりによっかかりながら言う彼の意見はもっともなものだと俺も思う。なんで戦争なんか起きたんだろうなと。
「その空の向こうまで領土を広げたいと提唱する奴がいたらどう思う?」
 はっ、とマクレディが笑った。ご丁寧に腹を抱えるリアクションまでつけてくる。
「なんだよそれ、星を見えなくしたり、星に向かってロケットを放ったら今度はこの星以外の土地が欲しいって? 俺から言わせれば手に余る欲望だな、それ。……なあ、本当にそんな事言う奴がいたのか?」
 実際はそれがきっかけで戦争が起きた訳じゃないが、そういう事を提唱する奴は確実にいたのを覚えている。そう伝えると、彼は鼻白んだ。
「ばかばかしい。そんな事言う奴が居たら唾を吐きかけてやりたいよ。昔の奴ってのは頭のネジが数本落ちた奴ばっかだったんじゃないのか? もうちょっとマトモな頭をもつ奴がいたらこんな世の中にはなってなかっただろうに」
「そうだな、──そうなっていれば俺はお前と会うこともなかっただろうしな」
 思わず口から漏れた。あれ? 俺なんでこんな事言うんだ?
 マクレディはえっ、と言ってきた俺の方を見る。その瞬間互いの視線がぴん、と合った。マクレディに俺がどう写っていたかは分からないが、俺は彼の表情に若干の不安が読み取れた。何でそんな事を言うんだ、と探るような目つきだった。
 ──しばしの間、沈黙が訪れる。しかしそれをあっさり破ったのはマクレディだった。
「そんな、“たられば”の可能性はどうだっていい。あんたは今、こうして……俺とここに居る」
 単純だが、明快な回答。そうだな、とかすかに笑って見せた。変な事を口走ったお詫びのつもりもあった。
 再三空を仰ぐ。大分夜明けが近いのか、東の空が若干オレンジ色に染まりつつある。もう一時間もすれば夜空に輝く星は太陽の強烈な光によってかき消されてしまうだろう。
「……この世界に降り立って、初めて夜を迎えた時の満点の夜空はすごかった。なんと綺麗なものだろうと。
 それと同時に、殆ど誰も居ないサンクチュアリの廃墟の中で、生き残った自分を呪った。なんで自分が生き残ってしまったのだろうと。
 息子の為だったとはいえ、何もかも失った世界で一人残された俺に、その星空は慰めるように輝いていた。……結果、何とか今も生きているけど。
 それから夜空を見るたびに思う。……戦前でも生きて、戦地でも生き残って、この世界でも生きている自分は何か理由があって此処に居るのだろう、と。人口と、それに伴う巨大な文明というテクノロジーの大半を失ったこの時代に、無我夢中で生きているお前や他の人も同じだ。
 知ってるか? 星の光が今俺達が居るこの地球に届くのは、距離にもよるが大体何十年から何万年も先と言われている。今ここでその星の光を見ている俺達よりもずっと前にその星はなくなっている可能性も無くはないんだ。それでも尚、輝いている。……生きる人も星と同じだと思う。
 生きている間にここに降り立った意味を探そう、生き残ってその意味を見つけよう。それが後世に何かしら残せるかもしれない。この世界を少しでも変えられるかもしれない──そう思って今、俺はここに居るんだ」
 仰いでいた空から目を彼に移すと、マクレディも空を見ていた。その瞳には星が写っているかのように微かに輝いている。こんな世界でもマクレディは希望を失っていないんだな。そう思うと嬉しかった。空の星と対極して、さしずめ地上の星と呼ぶのなら、それは今、荒廃したこの世界で生き抜くマクレディのような奴等のことを指すのだろう。
 彼のように輝きを失わず、生きている奴を沢山見てきた。ハンコック、ニックにパイパーやケイト、プレストンなど──そして居住地で頑張って生き残ろうと努力する人々。彼らはレイダーやガンナー達、暴力に訴える脅威に怯えず、対処しようと考え、行動している──少なくとも戦前ではそんな光景見たことは無かった。
 それは仕方ない部分もある。かつての時代には常に上立つ者が居た。それらが執政を行っていた──先程のマクレディじゃないが、頭のネジが数本落ちた奴のせいで、結果、世界はこうなったのだが。
 今がマトモじゃないのは分かっている。それでも俺は戦前の世界よりも、今の世界の方が生きるという意味を強く見出すにはいいと思う。何かあれば、頼ってくれればいい。俺はそういう時のために此処に居ると思っている。
 そして、それは勿論──目の前に居る彼にも思っている事だから。
「もうすぐ夜明けだな。……って、何で俺の事をじっと見てるんだよ。いつから俺の事を見てたんだ? ったく、落ち着かなくなるじゃないか」
 俺の視線に気づいたのか、マクレディがやや頬を赤く染めてジト目でこちらを見ている。白み始めている東の空の光に、瞳がきらきらと写っていた。
「減るもんじゃないし、別にいいだろ。……もう夜明けが近いぜ、そろそろ寝るか」
 遮るようにそう言ってバルコニーの手すりから離れ。入り口に向かおうとした時、マクレディがぽつりと言った。
「なぁ。……あんたの話はよくわかったよ。けど、一つ聞いていいか?」
 ん? と振り向くと、マクレディはグラスに残った水を呷って、
「戦前では星が見れない夜だった、ってのは分かった。……でもさ、星は日中だと見えなくなるのはどうしてだろうっていつも思うんだ。戦前も今もそれは変わらないんだろ?」
 知らないのか──と思うと同時に無理もないと思い至った。マクレディは16歳まで洞窟の中で過ごしてきたんだったよな。
 記憶の旅の中で見たのは、かなり広々とした洞穴だった。あんな所で16年も生きていれば、実際に見てみないと分からないものも沢山あっただろう。
 俺はふっと笑って見せながら、「見えなくても、そこに居るんだよ」とだけ言った。それだけでも分かってないらしく、怪訝そうにどういう事だと問い返してくる。
「さっきの話したのと同じさ。人工の光によって星の光は都市では見れなくなった。日中は太陽が出るだろう? その太陽の強烈な光に星の瞬きなぞ埋もれちまってるだけだよ。
 実際はちゃんとそこに居て、ちゃんと光を届けているのさ。それが俺達には見えていないだけさ」
 その説明でようやく納得したのか、へぇ、と納得しながら「見えなくても、そこに居る……そういうことか」
「ああ、そういう事。……さ、もう寝ようぜ。明日は寝坊しそうだな、こりゃ……」
 ごちりながらバルコニーから室内へ続くガラス戸を開ける。マクレディも促されたせいか後ろについてきていたが、不意に彼がぼそりと呟いた。
「見えないけどそこに居るなんて……俺は嫌だな」
 え? と振り向くと、しまったと云った様子で口を覆いながらマクレディの顔がかっと赤面した。とんでもない事を口にした、そんな表情だった。
「な、な、何だよ、人の独白を聞くなんてあんたも人が悪いな」
 どもりながら上ずった声を出すマクレディ。慌ててる辺り明らかに聞こえてもらいたくないものを聞かれてしまった様子だった。……だから、俺はにかっと笑って見せて。
「そうだな。俺も同じだ」
 言うと、彼はがっくりと首から項垂れて見せた。あれ、逆効果だったか?
「ほら、寝ようぜ。明日は寝台の材料買いに行ったりしないと。……夜更かしするとどんどん起きるのがつらくなるぞ」
 取り成すようにそう言って、俺はさっさとベッドに横になった。素足でずっと居たせいで毛布の中に足を入れると暖かさにほっとする。やや遅れてマクレディがもそもそと入ってくると、そのままこっちを見ようともせず横になった。
 毛布の中で、互いに冷えた足が触れる。その度に彼の身体が小刻みに揺れた。……何緊張してるんだか。
 そう思っているうちに、ようやく訪れた遅い睡魔が俺の意識を眠りの世界へ誘っていった。

「なぁ……また、話をしてくれよな。あんたの話は楽しいから」
 静かな室内に響く、微かな声。
 ああ、いつでもしてやるよ。と彼に返事をするより先に──俺は眠りに落ちていた。




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 全然充電してないじゃない中の人。
 と思われても仕方が無い中の人ですこんばんわ。

 今回の話は前からちょっと書きたかった話を混ぜて書いてみました。
 ちょっとクロスオーバーも入ってたり。

 今回の話を書くにあたり、某ビジュアルノベルを参考にしてます。
 Falloutみたいなポストアポカリプスな世界を描く作品です。国内産のゲームです。去年はアニメ化と映画化もしたから知ってる人は知ってるんじゃないかな。
 中の人は成人してから随分このゲーム会社にお世話になってきました。音楽もいいし、作品もいいし。ただ、中の人は最近のアニメ展開における方面は全く見てませんけど。

 FO4は3やNVに比べると空がすごい綺麗ですよね。
 夜空はすごい星が見えるし、月は明るい。太陽もぎらぎらと眩しい。
 本当に放射能に汚染されてるのかって思うくらい綺麗な世界ですが。戦前の、ボストンのあの残骸を見る限り、星は見えなかっただろうなあ、と思って書いてみました。

 いろんな話を思いついては書いたり書いてなかったりしてますが、前にもどっかの記事で書いたと思います(多分スカイリムの二次創作方面だったと思う)が、世界観とそこに住む個性的なキャラクター、そういう素材をどう組み合わせて話を作るかを考えるのがひぢょーに中の人は大好物でありまして。
 FO4ではマクレディに心奪われたのもあって、パパマク(ホモい意味ではない)の組み合わせで話を作ってます。多分マクレディは過去作品に出てたのと、そういう過去の話が現在に生かされている辺りもあって、ものすごく扱いやすいキャラクターですね。ガービーとかバレンタインとかでもそれは出来るだろうけど、創作と言う範疇の中でなのと、中の人が入れ込んだキャラ具合によると、最初はニックさんだったけど今はもうマック一筋(笑)なのでw

 だから今後もパパさんマックの話が続くと思います。その手の作品が好きな人は是非コメントくださいww語り合いましょう(笑)

 けど今回のこの話は最初これじゃなくて別の話にするつもりだったのでブログ更新日が一日ずれましたorz
 次回辺りはマトモなプレイ日記辺りを載せたいですね。


 ではまた、次回更新日に。



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01.27.00:10

After the Carnival

前回までのシリーズ二次創作小説の後日談です。
読んでない方はそっから読みましょう

最後のほうに今回の舞台となったSSがちらっとあったり。



「……ったく! あの馬鹿!」
  慌てて欄干に駆け寄り、下方を見る。──飛沫が上がった場所から、ごぼごぼと立つ泡。──気を失ったのか、上がってくる気配が無い。
 俺は毒づきながら欄干に脚を掛け、すぅ、と深く息を吸って──そのまま川へと飛び込んだ。

 こうなる発端のきっかけは、今から数時間前のこと──
 俺とマクレディがちょうど、Dr.アマリの検診に呼ばれてグッドネイバーに立ち寄った時だった。
 あの一件から早くも二週間が経ち、俺も彼も、特にいたって変なところも出なければ不調も訴えてないのだが、アマリが何かあったら困るから、という事で定期的に俺達は彼女の元を訪れるべく、グッドネイバーはメモリー・デンに足繁く通っていた……といっても、足繁くという言葉通りなのは最初の一週間だけで、二週間目入る前からは週一でいいと言われたので、今回はそれから一週間後と言うわけだが。
 アマリの所でやるのは、バイタルのチェックと──キャリントンが居なくても彼女だけで診れるようにどうやら指導してもらったらしい──問診位のもので、二人でもわずか30分もあればすぐ済んでしまうという、いたって簡素な検査だった。最初の数回こそ脳波のチェックとかさせられて時間も取られたが、これからもこの先も不調は表れないだろう、お互い。
 アマリもそれが分かっているのか、
「じゃ、次は半月後位でいいかしら」
 と言ってくれたのが助かった。何せ、グッドネイバーで泊まるといったらレクスフォードホテルしかないのもあるのと、わざわざキャップを払って泊まるのももったいない気もしていたので、半月後と言う提案は俺もマクレディも大いに賛成だった──来訪者が俺と彼を呼びに来るまでは。
「ジュリアン、マクレディ、いるか」
 ぶっきらぼうに呼び捨てでメモリー・デンにやってきたのはグッドネイバーを守る自警団の連中の一人だった。ちょうど俺とマクレディが検査を終えてそろそろ出ようと思った矢先に来たので、鉢合わせ状態になる。何か用でも、と話を向けると相手は旧州議事堂に来い、とだけ言ったのだった。
 ハンコック市長が待っている、と付け加えて。

「おぅ、来たか。あんた達の姿を見たって言う奴がいたから、呼びに出したんだ。……変に身構えなくたっていい、たいした用じゃないしな」
 俺とマクレディが旧州議事堂は二階にあるハンコック市長の私室に入ると、気づいた市長がこちらに手をひらひらとさせながら近づいてきた。私室、といっても元はキッチンだったのか、壁にはシステムキッチンの残骸が置かれたまま、現在は台の代わりになっているらしく、ラジオや救急箱、食料品が雑多に置かれたままになっている。キッチンの手前にはソファーと背の低いテーブルが鎮座してあり、その上にはジェットやサイコ等の薬物が散らかったまま放置されていた。使用後の状態のもあれば、未使用のもある。いかがわしい雰囲気だったが、俺は別段気にしない。ジェットもサイコも好きではないし好んで自ら口に含もうとはしないが、ハンコックが自らそれに溺れてフェラルになった経緯を知っているし、それを咎める立場じゃないのも知っているから、だ。
 しかし隣にいるマクレディは薬物が好きじゃないのと、俺みたいに流せる性格じゃない──即ち幼い──せいであからさまに顔をしかめていた。俺がジェットを手にするだけで「もし使うなら用法容量守って使えよ。……どの薬にも、箱の外側にはそう書いてあったからな」とまで言う位だから、薬で溺れ、堕落していく人を散々見てきたのだろう。
「たいした用じゃないのに俺達を探してたような口ぶりだな、……で、用件は?」
 探るように相手の言う事を鸚鵡返しで問い返すと、ハンコック市長は目を細めて口を歪ませる。笑っているのだ。表皮はおろか、皮膚のあちこちが剥がれ落ちぼろぼろの肌となっても表情は分かる。彼らフェラルを人非ず、と声高に叫ぶ者も知っているが、俺はハンコック市長の気さくな人格とおおらかな性格の方が好きだった。だから、彼からの直々の依頼にも苦言を言わず遂行した事だってある。
「いやなに、……とある伝手から聞いたのさ、二週間ほど前にここの下……サード・レールで起きたガンナーの揉め事。どうやらその発端があんたとそこにいるマクレディ、二人だと聞いてな。……待て待て、別にあんた達を糾弾しようとか、そういうんじゃない。むしろ謝らなければいけないのはこちらの方だ。
 何があったのかは知らないが、あんたたちは被害者だ。元々はガンナー連中をグッドネイバーに引き入れた我々に責任があるようなもんだ。だから、あんた達を罰するとか、そういうつもりで呼び出した訳じゃないって事さ。……そのお詫びを受け取ってもらいたく、呼び出したって訳だ」
「お詫び? ……俺達は迷惑こそしたかもしれないが、あんたにお詫びを貰う側に回ったなんて思っちゃいないが」
 ウマい話には裏があると言うしな。ハンコックを信用してない訳じゃないが、今の話からして俺らにお詫びをする理由があるとは思えない。
 勿論それはハンコックも分かっていたのか、両手でこちらを抑える仕草を見せながら分かっている、と言い、
「そう疑うなよ、せっかくそれっぽい言い訳を探して言ったのに……まぁ、確かに俺がお詫びをする理由も謂れもないのは分かってる。けど俺はあんた達に一つイイモノを上げたいのは確かだ──これ、なんだがな」
 そう言いながら、ハンコックが懐から出したのは──一つの鍵だった。何処の鍵なのか、と問う前にハンコックの方が口を開く。
「メモリー・デンの上に、空き部屋があるのは知ってるか? ……知らないだろうな。これはその部屋の鍵だ。部屋にはメモリー・デン右脇の扉からエレベーターで行けるようになっている。これをあんた達にやろうと思って、呼び出したって事さ」
「へぇ、さっきのお詫びってのが部屋一つときたか。さすが市長、スケールが違うな」
 マクレディが皮肉めいた言い方で返す。ハンコックはそれには無視して、差し出してきた鍵を俺は無意識に受け取ってしまった。
「……後から見返りを求めてきたりするのか?」
 鎌を掛けてみると、はははと口を開けてハンコックが笑う。そういうこともあるかもしれないが今はないだろうな、とぽつりと言ってから、
「こっちとしても空き部屋を放置するのは色々面倒なんだ。維持とか何かとキャップがかさむんでな。だからあんた達が管理してくれるならそれでいい。家賃も取らないから、好きなだけ改造すりゃいいさ。……おっと、火事とかは起こさないでくれよ。町を灰にさせたくはないからな」
 どうやら本音はそっちの方だった。そういうことなら、と俺は了承する。
 辞する前、ハンコックはにたりと笑って、二人で住むのはちょっと狭いかもしれないぞ、と付け足すように言った。

「……なるほど、確かにこりゃ狭いな」
 部屋に入った途端、口から漏れたのはそれだった。
 広さは大体、10坪ちょいだろうか。こぢんまりとしたワンルームと、その脇にキッチンとワークベンチが置かれてある。家具といえるものは、やや埃を纏っているセミダブルのベッドが一つ。二人がけのソファー一脚とそれにあわせた木製のテーブルが一台だけという有様。そのいずれにも埃が被っていた。
「どうみても一人用だよな、これ」
 マクレディがベッドを見ながらぽつりと漏らす。……まぁ、二人で眠れなくもないだろうが、やや窮屈になるのは否めないだろう。
「ベッドが一つなのはな……マクレディが俺と一緒のベッドでも良いと言うなら話は別だが」
 からかうつもりで言ってみると、案の定マクレディは「男二人が同じベッドで寝て何が楽しいんだか」と妙に照れた様子でぷいと顔をこちらから見えない位置に逸らす。そういう態度が面白くて、俺は事あるごとに彼をからかっていた。度を過ぎると大体怒るのだが、そんな状態になろうと彼は俺の傍から前より心持ち近い位置でついてくるようになった……気がする。
「……仕方が無い、ベッドを作る材料を仕入れてこなくちゃ駄目かもな。グッドネイバーの店じゃたかが知れてるから、もうちょっと流通が通る店に行かないと」
 それならバンカーヒルはどうか、とマクレディが提案する。隊商が立ち寄る場所だから確かにあそこならベッドを作る材料も楽に手に入るだろう。グッドネイバーからは然程遠くないし、往復二時間もあれば戻ってこられる筈だ。
「ついでにさ、安酒も買い込んでここで飲まないか、ジュリアン」
 マクレディが付け足すように言ってくる。まぁ、安酒ならここグッドネイバーでも買えるのだが、品数はあちらのが上だろう。今日は可及的速やかに行う依頼もなければ用事も無い。新しい部屋で景気づけしても誰も文句は言わない筈だ……多分。
 そうと決まれば、と俺とマクレディは一旦、グッドネイバーを出てバンカーヒルに向かう事にした。

 その道中にあんな事が起きたのだ。

 珍しくマクレディが俺の前を歩いている。なんだかよくわからんが彼は上機嫌の様子だった。さっきからかわれた事なぞすっかり忘れたらしいその態度に、俺は怪訝さを通り越してこちらまで不思議と楽しい気分になっていた。つられる、というのはこういうことなのだろうか。
「なんかご機嫌だな、マクレディ」
 そう言うと、彼はそうかな、と言いながらふっとこちらを振り向いて、後ろ足で前に進み始めた。ゆっくりと。
「多分、嬉しいんだ……と思う。ほら、居住地はいくらでもあるけどさ、その……ああいう、他の誰も侵害されない部屋みたいなのは俺、持った事ないから」
 ホームプレートがあるじゃないか、と言ってみるも、彼は黙って首を横に振った。「ダイヤモンドシティは……俺には眩しすぎて。というか、ジュリアンだってあまりあそこには戻らないじゃないか。だから、あんたも俺と同じなんだろうなって思ってたんだけど……違うか?」
 ご明察の通り。俺は確かにホームプレートという、ダイヤモンドシティの一等地に家を持っているが、どうにも馴染めず放置したままだった。後ろめたい理由があったりとか、そういう訳じゃない。ただなんとなく……あの喧騒と、人々の輪の中に入るのが馴染めなかった。戦前、軍隊に所属してたときからも若干浮いた存在だったからかもしれない。一匹狼だよね、といわれた事だって何度もある。……それが今はマクレディと行動を共にしているのだから、おかしな話だ。
 そう伝えると、彼はやっぱり、と言って「だから、あそこに住める場所が持てるってのは俺も嬉しいのかもしれないな。……長く居るのは嫌な場所だけど、立ち寄ったり、戻る場所としてなら、グッドネイバーの方がずっと居心地がいいのは確かだから」
 ゆっくり歩いていると、チャールズ川を渡る橋の中腹までやってきた。これを渡ればバンカーヒルはすぐそこだった。コンクリート製の橋はあちこちが剥がれ落ち、鉄筋や橋の下──即ち川面──がむき出しで見える箇所も多く見受けられる。そのため、足元を掬われると川にまっさかさま──なんて事もありえるのだ。最も、地面をちゃんと見ながら歩けばそんな事は起きない。……筈だった。
「バンカーヒルは目の前だぞ、マクレディ。……お前にも荷物運ぶの手伝ってもらうからな」
 そう言って、走り出す。大分陽が傾いている。あまりゆっくりしていると帰りが遅くなるかもしれない。
 走り出した俺に合わせるように、分かってるよと言って彼は後ろ向きに歩いていた足を正面に向きなおした時だった。
「あ、」
 素っ頓狂な彼の声に、ん? と俺が足を止めて後方を振り向くと、──一瞬自分の目の前で何が起きたのか分からなかった。
 マクレディが俺の視界から消えたのだ。……正確には、消えたのではなく下に落ちていった、と表現したほうが正解だったかもしれない。
「………マクレディ?!」
 僅か数秒後、ざぱーん、という水飛沫の音で全てを察した。落ちたのだ。コンクリートの剥がれた一部の穴から。
 大慌てで欄干に駆け寄り、下方を見ると飛沫が上がった場所に空気の泡がごぼごぼと立てているものの、マクレディ自身が浮き上がってくる様子が見受けられない。俺は欄干に脚を掛け、深呼吸をして息を止め──次の瞬間、空中に身を躍らせていた。
 僅かな間の後、激しく叩きつける水音と同時に冷たい感触が全身を覆った。身体を浮き上がらせ、手で水を掻き分けるように進むも、マクレディの身体は水面に浮かんできていない。
「くそっ」
 再度息を深く吸い込み、俺は水面に潜った。濁っていて僅かな先でも見通しが利かない水中を目を凝らしながら進むと──黒い影が見えた。近づくと、水の中故に視界がぼやけているが、間違いなくマクレディだった。彼の両肩を掴み、足のみを動かしてようやく水面に顔を出す。
 ぷはっ、と息を吐き出し深呼吸。……マクレディは気を失っているのか、ぐったりしていた。世話かけさせやがって、と毒づきたい所を抑えて、俺は彼の身体を引っ張るようにして川縁に近づく。マクレディを先に浅瀬に上げてから、水面から身を出すと、体中からぼたぼたと水滴が滴り落ちた。この格好のままでいると風邪をひいちまいそうだ。
「マクレディ、おい、大丈夫か」
 彼の頬を叩くも、水を吸い込んだのかぐったりしていて意識が無い。不意を突かれた状態で水面に落ちたのだ、身構える余裕もなかったのだろう。このまま放置していると命に関わるのは間違いなさそうだった。
 身体を仰向けにさせ、顎を上げるようにして気道を確保させてから、彼の鼻をきゅっとつまみ。息を吸って──彼の口に自らのそれを当てた。
 すぅ、と息をふきかけるようにして数秒の後、つまんでいた鼻を離す。再度息を吸い、鼻をつまんで口を重ね、息を吹きかけると、げほっ、げほっ、と咳き込むようにしてマクレディが水を吐き出し始めた。
 身体を横に寝かせるような姿勢にさせ、吐き出すままにさせてやると、相変わらず目を閉じたまま何度も咳き込みながら水を吐く。おかげで呼吸は回復したのか、胸は上下に動いている。ほっとした。全く、世話のかかる奴だ。
 衣服を緩めるためにダスターコートのボタンを外しながら、何かあたためるものを、と思ったが生憎手持ちは何もなく(買出しするために全ておいてきたせいだ)、ここにいては互いに身体を冷やすだけだった。仕方なく、彼を担いで一旦グッドネイバーに戻ろうと思った矢先……マクレディが俺の腕をぎゅっと掴みしな、
「……行くな」
 とだけ言ってきたので「は?」と思わず返してしまう。……が、寝言(?)だったのか、それ以上は何も言ってこなかった。
「寝言は寝てから言え、っての……くそ、二度手間じゃねぇか」
 彼の身体を担ぎ、川縁から街道に戻ってから、俺はバンカーヒル手前で泣く泣くグッドネイバーへ戻る道を歩いていった。

「……ん、ん」
 鼻をくすぐるいい匂いに、マクレディは閉じていた瞼を開いた。……見慣れない天井だった。
 四方を見てすぐ、先程ハンコックから貰ったばかりの部屋だと気づく。いつの間にここに戻ってきたんだっけ? 俺? と思うと同時に、隣からトントンと小気味良い規則正しい音が聞こえてくる。
 身を起こしてから、自分の衣服がいつものと違うのと、あのセミダブルのベッドで寝ていた事に気づかされた。あれ? と思うのと隣室からジュリアンが手に何かを持ちながら出てきたのはほぼ同時だった。

 いつの間に起きていたのか、マクレディがベッド脇で座りながらぽかんとした表情で、キッチンから出てきた俺を見ている。……何が起きたか気づいていないのかこいつは。
「やっと起きたか、寝ぼすけ野郎。……ったく、どんだけ俺が手間食ったと思ってるんだ」
 そう言っても、全く何が起きたのか分かっていない様子だったものの、段々と何かを思い出しかけてきたらしく、
「……確かジュリアンとバンカーヒルに向かってたんだよな? 俺……夢じゃないよな」
「ああ、夢じゃない。お前が変な歩き方してるから足元掬われてチャールズ川にまっさかさま、なんて事にならなけりゃな」
 しかめ面で答えてやると、マクレディは何かを思い出したのか、顔から瞬時にさっと血の気が引いた。
「……そうだ、俺、確かジュリアンのほうに向き直って、そして……」
 言いながらマクレディの顔がどんどん青ざめていく。濡れるのが大嫌い、としょっちゅう言ってるだけあって、川に落ちたのがよほど堪えたらしい。
「俺が助けてやらなかったらお前今頃土左衛門だな。……ったく、なんでこうもお前は命を無駄にしがちなんだか。助ける方の俺の身にもなってくれよな」
 責めてるつもりではなかったが、そう言われてさすがに責任を感じたのか、マクレディがごめん、と素直に謝ってきたのでそれ以上言うのをやめた。……まぁ、助かってよかったと思っているのは事実だし。
「……多分身構える余裕もなかったのか、かなり水を吸ってたみたいだからな、人工呼吸したらすぐに吸い込んでた水を吐いてくれたんでよかった。その後一旦こっちに戻ってきて、お前と自分の濡れた衣服を替えてから、再度バンカーヒルに向かって買出しして帰ってきたんだ。調理してたらお前が目覚めたって訳……って、おい、どうした、マクレディ?」
 話してる最中、さっきまで青ざめていたマクレディの顔がどんどん赤くなっていったので、熱でも出たんじゃないかと不安になる。……が、彼の反応は俺の予想とは全く違っていた。
「……俺の服を脱がせたのか?」
 やたら深刻そうな言い方だった。「……別に、男女ならまだしも男同士だし、別に服を脱がせる事がおかしな話じゃないだろ。……嫌だったのか?」
 マクレディは顔から火が出るくらい真っ赤になっていた。視線を逸らし、妙にそわそわしながら、口に手を当てる仕草までしているのが変だった。ちら、と窓側を見ると、自分の衣服がベランダに干してあるのに気づいたのか、ぼんやり眺めている。……まぁ隣には俺のジャンプスーツも干してある訳だが。
 ベランダには洗濯するために使ったアブラクシオ・クリーナーと洗面器が置かれてある。相当汚くて洗うのに手間取ったのは……この際目を瞑ろう。
「そんなに服を脱がされるのが嫌だったのか? ……というか、その服だって着せたの俺なんだけど」
 バンカーヒルでマクレディに合う衣服を適当に見繕ってきただけだが、まぁ、思った以上に彼が痩せっぽちだったので買ってきた服の方が大きい有様だったのは秘密だ。
「べ、べ、べつに………あんたならいい」
 俺ならいい? その意味が分からず首を傾げてしまうも、まぁ、大した意味はないんだろうな。さっきの寝言同様。
 ……頼むから、次からはこういう事を起こさないで貰いたいものだ。何度も何度も命の危険に晒されて、こっちの寿命が持たないからな。
「……おかげでベッドは暫く二人兼用だな。寝相悪くするなよ。さ、晩御飯にしようぜ、腹減ったろ?」
 言いながら、さっきから手に持ったままの皿をテーブルに置いた。マクレディは立ち上がってソファーに座る。俺は給仕係かよ、と思ったがまあ、いいだろう。全く俺もマクレディにだけは相好を崩すようになっちまったな。
 グインネットやワインなどの酒類、バラモンや犬の肉のソテーなど、テーブルに並べてからめいめい瓶ごと手にして乾杯する。マクレディは相変わらず顔を赤らめたまま黙って口を運んでいた。おいしいか、と聞くと彼は黙ったまま頷くだけ。……酒宴をしようといった奴が黙っているのはどうかと思うが、まぁ、今日のところは多めに見てやろう。
 新しく手に入れた部屋から見える外の景色はすっかり夜の帳が落ちて何も見えないが、旧州議事堂の明かりだけが、ぼんやりとグッドネイバーの町を照らしていた。


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後日談ということで書いてみましたが、なんかどんどんおかしな方向へ。
ふぉーぎぶみー。

今回の舞台となったグッドネイバーの部屋はこんなとこでし。(なんかマックとパパが抱き合ってますが無視してください(笑)


狭いけどなかなかいいお部屋。気に入ったのでとりあえずマックと同棲中(笑)
MODはこちら。
Goodneighbor Apartment


二次方面もどんどんパパマク方面にいってますが相変わらずうちのパパさんは全く何にも考えておりません。
それでいいです。たぶん。

ではまた次回更新日に!


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