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SkyrimとFallout4・76の二次創作メインブログです。 たまにMODの紹介も。
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04.26.00:07

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  • 04/26/00:07

02.03.21:53

星の人

Fallout二次創作シリーズ一連の続きになってます
そのテのものが苦手な方はブラウザバック推奨。ついでいパパマクなのでそれも苦手な方も推奨(エログロホモはないですが)

ここから読んでもOKですが、出来るなら前作の話「After the carnival」から読みましょう。




 ……眠れそうにない。
 今晩何度目だ……最早数なぞ数えていない。
 瞼を開けると、見慣れない天井が目前にあった。新しい部屋を貰って──正確には借りたと言うべきだろうが──
 さっきから何度も、瞼を開けては閉じ、眠ろうとしても睡魔は俺の意識を掻っ攫って行こうとはしない。……慣れないベッドのせいか、それとも……
 枕の上を転がすようにして頭を横に向ける。窮屈なセミダブルのベッドで、くっつくようにして眠っていたのはマクレディだった。頭は自分と同じ方向……つまり、同じ方向を見ているせいで表情は窺い知れない。胸が上下しているあたり、しっかり眠れているのか。
 俺は黙って身を起こす。もそり、と被っていた毛布が衣擦れの音を立てるだけで、辺りは全くの無音。……グッドネイバーは不夜城だが、戦前のアメリカで見たような光り輝く夜の街ではない。夜は皆寝静まっているのは何処の居住地とも変わらない。
 ふぅとため息をついて、俺は素足のまま床に足を付いた。頭をがりがりしごきながら、身を伸ばすようによじり……さて、どうしようかと思うものの、こぢんまりとしたこの部屋で行く場所なぞあまりなく、仕方なく俺はバルコニーに通じる扉へ向かった。ちゃ、ちゃ、と床と足が張り付く度に静かな音を立てる。
 バルコニーに出ると、グッドネイバーの町全体が見渡せた。高さは旧州議事堂から突き出した演説台──と俺は勝手に呼んでるが──と殆ど変わらない。階下はドラム缶に入れた常夜灯代わりの焚き火が点々と灯されており、自警団が時折、思い出したかのようにうろつくだけで動く者は他に居なかった。
 見上げると、満天の星空が見える。──戦前では見ることの出来なかったもの。
 210年ぶりに目覚めた時、そういえば──
「眠れないのか?」
 突如声をかけられ、咄嗟に声の方へ身を向けると、マクレディが立っていた。いつの間にここに来たのだろう。扉が開く音はしなかったと思うが……いや、多分上に目を奪われていたせいで気にも留めなかったのだろう。
 彼は妙な事に両手にグラスを持っていた。中身は水のようだった。彼は黙って片方こちらに差し出すと、自然と俺は受け取ってしまう。
「……ああ、なかなか、こう……慣れなくて」
 気が利く、と心の中でつけたして俺はグラスの中の液体を呷った。するとマクレディはははっと笑って、
「実は俺もそうなんだ。こう……ものすごく静かな場所で寝るってのが酷く落ち着かなくてさ。こんな事初めてで」
 あんたも同じか、と笑いながらそう付け足す。……似てはいるが厳密には同じではないんだがな。と思いながら再び空を仰いだ。
 そんな態度を見て怪訝そうに「……何を見ている?」とマクレディ。
「空だ」
 空? と眉を顰めながら同じように空を見る彼だったが、次にはつまらなさそうに目を下の方向へと向けてしまう。……そうか、彼は知らないものな。
「昔、この辺りは大都会と呼ばれるに相応しい町だった、というのを知ってるか?」
 いきなり何の話かと思えば戦前の話か、と思われたりするかなと思いきや、彼は考えるような仕草を見せた後、
「……ここに来るまでにリトル・ランプライトやキャピタル・ウェイストランドで本を読んだりして知ってるよ。かつてはキャピタル・ウェイストランドは“首都”と呼ばれて、ここは……えーと、」
「ボストンという町だった。……今ではその名を呼ぶ者はおらず連邦と云われているがな」
 言い淀んだ彼の言葉を引き取るようにぽつりと言うと、それそれ、とマクレディは嬉しそうに相槌を打った。
「戦前の話をしてくれるのか? ……眠れない夜には最高の話だな」
 一瞬皮肉を言ってきたのかと思ったが、彼の表情は嘲笑してる訳でもなければ小馬鹿にした様子でもなかったので、ちょっと安心した。……いや、別に安心する事なんてない。馬鹿にしてくるなら話なぞしなくてもいいのだから。
「そうか、俺はお前に戦前の話なぞしたことが無かったか」
 と、いうか、俺は今まで出会ったかつての連れ──ニックやパイパーにもあまりそういう話を自ら向けようとはしてこなかったな。単に機会が無かっただけかもしれないが、自分から話してもいいと思ったのは今回が初だった。
「戦前の話なんてする奴が居たら、過去の栄光なんかに囚われてたらここで生きていけないぞ、って言い返すのが本来ならば常識だしな。……でもまぁ、あんたが話すなら俺は聞き……き、聞いてやってもいい」
 何故か最後にどもるマクレディ。最初は単に口が悪いだけの奴と思っていたが、最近は──というかここずっと──彼は感情を口に出すのが下手なだけで、本当は素直な奴なんだろうなと思うようになっていた。
 ふっと笑って、俺は再度空を見る。満点の星空が広がっている空を。
「……ここがかつて大都会と呼ばれる町だった頃、夜はこんなに星が瞬く空ではなかった。何故かというと、下の明かりの方が輝きがすごかったんだ。都会の方の輝きが。
 人口の明かりで満ち溢れていて、夜は遠くからでもその明かりが見つけられる程だった。
 ……こんな風にうらぶれる前は、空まで伸びるばかりの巨大な建物が並び、それは町を、都市全体をまばゆい光で覆っていた。人々はその光に寄せられ、どんどん発展していった。発展していくたびに、人口は増え、その人口を収めるべくどんどん高い建物が作られていく。
 やがて人が地上の光──人工の光に慣れてしまった頃、いつしか人は上を見なくなるようになった。あれほど上を目指して高い建物を作っていたのに。
 それと殆ど変わらない頃、夜に瞬く満点の星空が見えなくなっていたんだ。
 下の光が輝きすぎて、僅かな星の瞬きなど強い人口の光の前では掻き消されてしまう。それに、人が多いせいで空気は淀み、原子力で動くクリーンエネルギーの車が走っていても空気は汚れるからな。人口が増えるにつれ、星はどんどん見えなくなっていった。……それでも空の星を見たい人は、そういう施設に赴いたりしたな──知っているか、プラネタリウムというものを」
 一旦口を閉じ、水で喉を潤した。マクレディは黙ったままこちらの話を聞いていたが、俺の問いかけに僅かに首肯して見せ、「ああ、何かの本で読んだ。……おかしな話だな、今はいつだって夜空を仰げば星が見れるのに」
 そうだな、と呟く。「……おかしな話だと俺も思うよ。昔は空を目指して高い建物を作っていたのに、結果的にはそれが見えなくしてしまったのだから。
 だから人は地上から見えなくなった星を地上の施設で見るようになった。都市は空気が汚れ淀んでいるから、郊外や山間部に行ってわざわざ星を見に行く人も居たな。
 ……それでも人の空へと届きたい希いは留まる所を知らず、高い建物はどんどん作られ、満点の星空に向かうロケットも開発された。
 ……そんな中、戦争が起きたんだ」
 ロケットと聞いてマクレディの表情が笑いに変わった。
「空の向こうまでいけるロケットがあった、という話はすごい興味をそそられたよ。人の欲望って際限を知らないんだなってな。……そんなテクノロジーをもってて、なんで戦争なんか起こすんだか」
 バルコニーの手すりによっかかりながら言う彼の意見はもっともなものだと俺も思う。なんで戦争なんか起きたんだろうなと。
「その空の向こうまで領土を広げたいと提唱する奴がいたらどう思う?」
 はっ、とマクレディが笑った。ご丁寧に腹を抱えるリアクションまでつけてくる。
「なんだよそれ、星を見えなくしたり、星に向かってロケットを放ったら今度はこの星以外の土地が欲しいって? 俺から言わせれば手に余る欲望だな、それ。……なあ、本当にそんな事言う奴がいたのか?」
 実際はそれがきっかけで戦争が起きた訳じゃないが、そういう事を提唱する奴は確実にいたのを覚えている。そう伝えると、彼は鼻白んだ。
「ばかばかしい。そんな事言う奴が居たら唾を吐きかけてやりたいよ。昔の奴ってのは頭のネジが数本落ちた奴ばっかだったんじゃないのか? もうちょっとマトモな頭をもつ奴がいたらこんな世の中にはなってなかっただろうに」
「そうだな、──そうなっていれば俺はお前と会うこともなかっただろうしな」
 思わず口から漏れた。あれ? 俺なんでこんな事言うんだ?
 マクレディはえっ、と言ってきた俺の方を見る。その瞬間互いの視線がぴん、と合った。マクレディに俺がどう写っていたかは分からないが、俺は彼の表情に若干の不安が読み取れた。何でそんな事を言うんだ、と探るような目つきだった。
 ──しばしの間、沈黙が訪れる。しかしそれをあっさり破ったのはマクレディだった。
「そんな、“たられば”の可能性はどうだっていい。あんたは今、こうして……俺とここに居る」
 単純だが、明快な回答。そうだな、とかすかに笑って見せた。変な事を口走ったお詫びのつもりもあった。
 再三空を仰ぐ。大分夜明けが近いのか、東の空が若干オレンジ色に染まりつつある。もう一時間もすれば夜空に輝く星は太陽の強烈な光によってかき消されてしまうだろう。
「……この世界に降り立って、初めて夜を迎えた時の満点の夜空はすごかった。なんと綺麗なものだろうと。
 それと同時に、殆ど誰も居ないサンクチュアリの廃墟の中で、生き残った自分を呪った。なんで自分が生き残ってしまったのだろうと。
 息子の為だったとはいえ、何もかも失った世界で一人残された俺に、その星空は慰めるように輝いていた。……結果、何とか今も生きているけど。
 それから夜空を見るたびに思う。……戦前でも生きて、戦地でも生き残って、この世界でも生きている自分は何か理由があって此処に居るのだろう、と。人口と、それに伴う巨大な文明というテクノロジーの大半を失ったこの時代に、無我夢中で生きているお前や他の人も同じだ。
 知ってるか? 星の光が今俺達が居るこの地球に届くのは、距離にもよるが大体何十年から何万年も先と言われている。今ここでその星の光を見ている俺達よりもずっと前にその星はなくなっている可能性も無くはないんだ。それでも尚、輝いている。……生きる人も星と同じだと思う。
 生きている間にここに降り立った意味を探そう、生き残ってその意味を見つけよう。それが後世に何かしら残せるかもしれない。この世界を少しでも変えられるかもしれない──そう思って今、俺はここに居るんだ」
 仰いでいた空から目を彼に移すと、マクレディも空を見ていた。その瞳には星が写っているかのように微かに輝いている。こんな世界でもマクレディは希望を失っていないんだな。そう思うと嬉しかった。空の星と対極して、さしずめ地上の星と呼ぶのなら、それは今、荒廃したこの世界で生き抜くマクレディのような奴等のことを指すのだろう。
 彼のように輝きを失わず、生きている奴を沢山見てきた。ハンコック、ニックにパイパーやケイト、プレストンなど──そして居住地で頑張って生き残ろうと努力する人々。彼らはレイダーやガンナー達、暴力に訴える脅威に怯えず、対処しようと考え、行動している──少なくとも戦前ではそんな光景見たことは無かった。
 それは仕方ない部分もある。かつての時代には常に上立つ者が居た。それらが執政を行っていた──先程のマクレディじゃないが、頭のネジが数本落ちた奴のせいで、結果、世界はこうなったのだが。
 今がマトモじゃないのは分かっている。それでも俺は戦前の世界よりも、今の世界の方が生きるという意味を強く見出すにはいいと思う。何かあれば、頼ってくれればいい。俺はそういう時のために此処に居ると思っている。
 そして、それは勿論──目の前に居る彼にも思っている事だから。
「もうすぐ夜明けだな。……って、何で俺の事をじっと見てるんだよ。いつから俺の事を見てたんだ? ったく、落ち着かなくなるじゃないか」
 俺の視線に気づいたのか、マクレディがやや頬を赤く染めてジト目でこちらを見ている。白み始めている東の空の光に、瞳がきらきらと写っていた。
「減るもんじゃないし、別にいいだろ。……もう夜明けが近いぜ、そろそろ寝るか」
 遮るようにそう言ってバルコニーの手すりから離れ。入り口に向かおうとした時、マクレディがぽつりと言った。
「なぁ。……あんたの話はよくわかったよ。けど、一つ聞いていいか?」
 ん? と振り向くと、マクレディはグラスに残った水を呷って、
「戦前では星が見れない夜だった、ってのは分かった。……でもさ、星は日中だと見えなくなるのはどうしてだろうっていつも思うんだ。戦前も今もそれは変わらないんだろ?」
 知らないのか──と思うと同時に無理もないと思い至った。マクレディは16歳まで洞窟の中で過ごしてきたんだったよな。
 記憶の旅の中で見たのは、かなり広々とした洞穴だった。あんな所で16年も生きていれば、実際に見てみないと分からないものも沢山あっただろう。
 俺はふっと笑って見せながら、「見えなくても、そこに居るんだよ」とだけ言った。それだけでも分かってないらしく、怪訝そうにどういう事だと問い返してくる。
「さっきの話したのと同じさ。人工の光によって星の光は都市では見れなくなった。日中は太陽が出るだろう? その太陽の強烈な光に星の瞬きなぞ埋もれちまってるだけだよ。
 実際はちゃんとそこに居て、ちゃんと光を届けているのさ。それが俺達には見えていないだけさ」
 その説明でようやく納得したのか、へぇ、と納得しながら「見えなくても、そこに居る……そういうことか」
「ああ、そういう事。……さ、もう寝ようぜ。明日は寝坊しそうだな、こりゃ……」
 ごちりながらバルコニーから室内へ続くガラス戸を開ける。マクレディも促されたせいか後ろについてきていたが、不意に彼がぼそりと呟いた。
「見えないけどそこに居るなんて……俺は嫌だな」
 え? と振り向くと、しまったと云った様子で口を覆いながらマクレディの顔がかっと赤面した。とんでもない事を口にした、そんな表情だった。
「な、な、何だよ、人の独白を聞くなんてあんたも人が悪いな」
 どもりながら上ずった声を出すマクレディ。慌ててる辺り明らかに聞こえてもらいたくないものを聞かれてしまった様子だった。……だから、俺はにかっと笑って見せて。
「そうだな。俺も同じだ」
 言うと、彼はがっくりと首から項垂れて見せた。あれ、逆効果だったか?
「ほら、寝ようぜ。明日は寝台の材料買いに行ったりしないと。……夜更かしするとどんどん起きるのがつらくなるぞ」
 取り成すようにそう言って、俺はさっさとベッドに横になった。素足でずっと居たせいで毛布の中に足を入れると暖かさにほっとする。やや遅れてマクレディがもそもそと入ってくると、そのままこっちを見ようともせず横になった。
 毛布の中で、互いに冷えた足が触れる。その度に彼の身体が小刻みに揺れた。……何緊張してるんだか。
 そう思っているうちに、ようやく訪れた遅い睡魔が俺の意識を眠りの世界へ誘っていった。

「なぁ……また、話をしてくれよな。あんたの話は楽しいから」
 静かな室内に響く、微かな声。
 ああ、いつでもしてやるよ。と彼に返事をするより先に──俺は眠りに落ちていた。




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 全然充電してないじゃない中の人。
 と思われても仕方が無い中の人ですこんばんわ。

 今回の話は前からちょっと書きたかった話を混ぜて書いてみました。
 ちょっとクロスオーバーも入ってたり。

 今回の話を書くにあたり、某ビジュアルノベルを参考にしてます。
 Falloutみたいなポストアポカリプスな世界を描く作品です。国内産のゲームです。去年はアニメ化と映画化もしたから知ってる人は知ってるんじゃないかな。
 中の人は成人してから随分このゲーム会社にお世話になってきました。音楽もいいし、作品もいいし。ただ、中の人は最近のアニメ展開における方面は全く見てませんけど。

 FO4は3やNVに比べると空がすごい綺麗ですよね。
 夜空はすごい星が見えるし、月は明るい。太陽もぎらぎらと眩しい。
 本当に放射能に汚染されてるのかって思うくらい綺麗な世界ですが。戦前の、ボストンのあの残骸を見る限り、星は見えなかっただろうなあ、と思って書いてみました。

 いろんな話を思いついては書いたり書いてなかったりしてますが、前にもどっかの記事で書いたと思います(多分スカイリムの二次創作方面だったと思う)が、世界観とそこに住む個性的なキャラクター、そういう素材をどう組み合わせて話を作るかを考えるのがひぢょーに中の人は大好物でありまして。
 FO4ではマクレディに心奪われたのもあって、パパマク(ホモい意味ではない)の組み合わせで話を作ってます。多分マクレディは過去作品に出てたのと、そういう過去の話が現在に生かされている辺りもあって、ものすごく扱いやすいキャラクターですね。ガービーとかバレンタインとかでもそれは出来るだろうけど、創作と言う範疇の中でなのと、中の人が入れ込んだキャラ具合によると、最初はニックさんだったけど今はもうマック一筋(笑)なのでw

 だから今後もパパさんマックの話が続くと思います。その手の作品が好きな人は是非コメントくださいww語り合いましょう(笑)

 けど今回のこの話は最初これじゃなくて別の話にするつもりだったのでブログ更新日が一日ずれましたorz
 次回辺りはマトモなプレイ日記辺りを載せたいですね。


 ではまた、次回更新日に。



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