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SkyrimとFallout4・76の二次創作メインブログです。 たまにMODの紹介も。
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03.24.23:02

動機と、手口と、手掛かりと

※Fallout二次創作第二チャプターです。その手の類が苦手な方はブラウザバックでお戻りを。
これは第二章です。はじめから読みたい方はこの記事の前の記事「猫を探してください」からお読みください。


ダイヤモンドシティ:ホーソン邸
午前9:04
05/04/2289

「……いつごろから話せばいい?」
 と、泣き腫らした目を擦りながらホーソンは言うので、俺は無表情のまま「寝る前から」と付け足す。頷きながらこちらへ向けていた顔を正面に戻し、ぽつりぽつりと話し出した。
「……寝たのはいつもと同じ。23時過ぎだ。寝る前は確かに全員居るのを確認してから梯子を上って寝室」一旦言葉を区切り、室内にもう一つ家があるように出来ている感じに作られた、寝室らしき場所を指差した。「あそこに俺と祖母の寝るベッドがある。祖母はもう寝ていたから、俺もそのまま何事もなく寝て──朝6時になるまで一度も目を覚まさなかったよ。
 起きてすぐ、この子達にえさを上げようとしたら一匹足りないことに気づいた。部屋中探したけど何処にも見つからなくて、どうしていいか分からなくなって……家を飛び出したけど、居なくて──」
「ちょっと待ってくれ。“家を飛び出した”と言ったな。ホーソン、あんたが家を出た時、鍵はかかっていたのか?」
 ニックが口を挟んでくる。些細なことも確認するのが探偵らしい。
 しかし防犯上、というか寝込みを襲われることを危惧して──ダイヤモンドシティの住人の家は深夜ともなると施錠してあるのが殆どだ。一部の家を持たない者達を除けば、だが。
 それにここはマーケット周辺から外れたやや身分の高い──俺から言わせれば気位の高い奴どもだが──者達が住む場所。寝る前に施錠しないなんて事はありえないだろう。
 だから勿論ホーソンの答えは、
「……もちろん鍵はかかってた。その時点でおかしいとは思ったさ。だから一度室内に戻って、もう一度くまなく探したんだ。だけどどうしても見つからなかった。……だから、パイパーに……」
「それであたしの所に来た、って訳ね、ホーソン。本当に寝る前に全員居たのは確認してるの? 間違いない?」
 念を押すようにパイパーが言うと、言われた当の本人は迷いもせずしっかりと首を縦に振った。
「間違いない。全員の顔を確認してから寝るのが日課なんだから。ゆうべ寝る前は間違いなくミーちゃんはいたよ」
 こうまで自信たっぷりに言われるとな……。
 ネコが施錠された部屋の扉を開けて外に出て、再度鍵を閉めるなんて芸当が出来ないのは知っている。となるとこの部屋は昨晩いわゆる“密室”だった訳だ。その中から人間の手を借りて抜け出す手段なぞ──
「なぁ、あんたの祖母……は今不在か?」
 辺りを見回しても、ホーソンと俺達以外の姿もなければ人の気配も感じないので聞いてみると、祖母は外に散歩に出かけているとのこと。毎朝の日課だそうだ。勿論それはホーソンが家を飛び出した後の話で、つまり俺とニックがパイパーと共に訪れる間の時間に起きた事だった。即ち、祖母は関係ない。
「ふむ……ジュリアン、室内を調べてみるか。こういう時は現場百遍。何か見落としていることがあるかもしれん」
 埒があかなさそうにニックが提案してくるので俺も乗る事にした。とりあえず家主であるホーソンに断りを入れてから、俺とニックは手分けして探すこととした。ニックは猫が居る……つまり今居る一階。俺はホーソンと祖母が寝る寝室へ上がることに。
 階段を上って別室に入ったものの、特にこれといって変わった様子はない。ダブルベッドが一つ──まさか祖母と一緒に寝てるのか? ──その脇には洋服箪笥が並べられてある。箪笥の上には無造作に銃火器の入ったバッグも置かれてあったりしてあるあたり、それなりに用心はしているらしい。
 見上げてみると、寝室の天井ではなく家屋のそれにはファンが取り付けられてあり、上に向かって換気を行う役目を果たしているが、やや高すぎてあまりその役目を果たしてそうにない。ないよりはましな程度だろう。頼りなげに動くファンから目をずらしてざっと見渡してみたが、ネコの姿はおろか何一つ変わった所は見受けられない。
「ニック、どうだ?」
 下方に声を飛ばすと、すぐに「何もないな」と返事が返ってきた。彼の口調からして、これといった発見がないのが窺える。たかだかネコ一匹と高を括っていたのがこれほど厄介なことになるとは……。
「ブルーの方はどうなの?」
 ホーソンを慰めているパイパーがこちらを見上げて訊いて来るが、返事の代わりに首を横に振るしか出来なかった。ここじゃ何も見つからないため、俺は階段を降りて二人に合流することになる。ニックも俺も落胆の色を隠せなかった。そんな俺達を見て、パイパーもふぅとため息をついてしまう。
「見つからないのか……ミーちゃん……」
 二人がかりでも何も見つけられない事に、更に落胆するホーソン。その様子からは演技をしているようには見えない。
 一瞬だけ、彼が本当は何か関与しているのではと疑いもかけたが、よくよく考えればそれは有り得ない事だ。万一、彼が関わっていたのなら、わざわざ自分に疑いの目を向けるような証言──寝る前は必ず居た事、朝起きた時には室内に鍵はかかっていたという事──はしないだろうし、万一、彼が嘘をついていたからといってこちらが損をするような事でもない。
 つまり彼は嘘をついていないという事だ──じゃあネコはどうやって居なくなったというんだ? 寝ている間に誰かが鍵を開けて連れ去ったとしたら? だったら何故一匹だけ? 一匹だけじゃなくても全部奪ったって構わないじゃないか? 持ち去る事が出来なかった……? どうして?
「ホーソン、一つ聞いていいか」
 ぐすぐすと鼻をならしながら涙ぐむ彼に声を掛ける。声を詰まらせたのか彼は黙って頷いた。
「ミーちゃんを昨晩最後に見たのはどこら辺だ? その後ミーちゃんは自分の寝る位置に移動したりする?」
 尋ねると、彼は洟を啜って、指を差した。「そこで……いつも寝てる。ネコにとっては狭い場所だから申し訳ないと思っているけど、いつもそこで寝ているのは間違いない。他のネコも自分の寝床を決めているしな」
 指差したのは小さいカウチの上。背もたれも何もついてない四角い背の低いソファだった。入り口である扉からはさほど離れてはおらず、扉が開けばすぐぱっと出て行ける距離だ。しかし室内は施錠されていたため、逃げた線は考えにくい。
「う~ん……何も手がかりなしで居なくなるなんて、何でだ……」
 頭をかきむしりながら、俺はふと頭上を見上げ──すぐにおや、と思った。
 ホーソン邸は、扉がある入り口の屋根はさほど高くはなっておらず、部屋の奥にいくにつれ屋根が高くなる構造になっている。これは雨が降った際に水が屋根に残らないようにしているのだろう。何せ屋根はトタン貼りだ。水が残れば腐食で錆ついてしまい、雨漏りがおきてしまう。それを防ぐ為の勾配がかなりきつく作られてあった。それはいいのだ。
 俺が気になったのはその屋根の扉側に程近い場所。何枚もトタン板が敷き詰められている部分が僅かに──隙間が開いていた。雨でも降ればはっきりするだろうが、いや、雨が降っていなくても外の光がうっすら漏れているのだ。
「ニック、あれ」
 ニックに指を差した方向を見てもらうと、彼の表情は怪訝そうに曇らせた。その後お互い何も言わずにホーソン邸の扉を開け、外に出る。
「ちょっとどこに行くの、ニック、ブルー?」
 声を上げるパイパーを無視して、俺とニックは外に出てすぐ扉を閉めた。他の猫が逃げ出さないようにだ。……まぁ逃げる様子は全く見受けられないのだが。猫にとってもホーソンの家は居心地のいい場所という事だろう。
 そのホーソン邸はスタンドの階段の先に作られた家なだけあって、扉を開けるとすぐ階段という、慌てて飛び出すと転げ落ちかねないちょっと危ない家だった。なので扉を出るとすぐ階段を一段下がった形になってしまう。
 それでも何とかジャンプして屋根の端を掴み、腕の力だけで屋根の上に上がると、俺はニックに向かって手を伸ばした。
「掴まるんだ、ニック」
 ニックは人造人間のせいか普通の男性に比べれば三分の一くらいの体重なため、自分の時よりも楽に彼を屋根に引き上げることが出来た。しかし長時間、薄いトタン板で張られた屋根の上に大の男二人も居たら荷重で屋根が押し潰れてしまいかねない。
とりあえず先程屋内で見た屋根の位置を確認しないと──と目を配らせようとした時、
「ジュリアン、足元を見てみろ」
 ニックが先に見つけたようで、どれどれと足元を見てみると──明らかに人の手か何かによって、トタン板がずらされた跡があった。外側のトタン板は整然と並べられてあるのに対し、扉に程近い一部の屋根が横にずらされている。釘も抜かれている辺り、確実に人の手で屋根を動かした跡だ。──そして、そのすぐ横に。
「ちょっと待て、ニック。……これって、血か?」
 屋根の上には点々と血が落ちていた。そして血と一緒に、何かの肉片らしき小さな破片がいくつか落ちている。ニックが黙って血の跡に触れて指で擦ってみると、ずりっ、と血の跡の形が崩れ、彼の指に赤いものが纏わりついた。「……間違いなく、まだ新しいな。昨晩は雨も降らなかったから、何者かが屋根に上り、ここで血を流すような事をしたという訳だな」
「じゃあこの肉片は……まさか……」
 そこから先は言葉が出てこなかった。恐る恐る肉片を拾ってみると、まだ新しいもののようで……ん? この独特の臭いは……
「これ、猫のじゃない──まさか、モールラットの肉片か?」
 気づいて慌てて放り出してしまう。……モールラットの肉は焼けばそこそこ美味しいのだが、生の状態で食べれるシロモノではない。放射線に冒されているし、鼠特有の地中に居る際に身につく形容しがたき匂いは文字通り“鼻が曲がる”くらいの臭さときたもので、しっかり焼いて匂いを飛ばさないと食欲すら失せてしまう。まぁ、中にはその臭いが好きだという奇特な奴も居たりするものなのだが──
 それでも数ある肉の部類の内、味はさほど悪くはない。ラッドローチの肉だけは未だに俺は手を出せないし、死骸から肉を引きずり出す気にもなれないけど、まだモールラット程度なら手にすることはできる。一応。でも臭いが手袋に付くのは嫌だ。
「……屋根の上にモールラットの肉片、しかも何者か分からないが血痕まで付着してある。怪しいな、この事件確実に第三者が関わってるようだぞ、ジュリアン。なんとなくだが、猫が消えた原因も分かってきたな」
 ニックの言葉に俺は深く頷いてみせる。
「ああ。誰かが故意にこじ開けた屋根の周りにあるのは血痕と、肉片、そして開けた屋根のその真下はどうだ──ホ“ミーちゃんの寝床”も、他の猫も寝る場所の真ん中だ」
 作られた密室なんかではなかった。そう、この世界の建物はたとえ密室であっても脆く、崩れやすい。それを逆手に取ったのだ。屋根をこじ開けてその隙間から猫を──
 そこまで考えてはっとした。ニックも同じだったようで、表情を曇らせる。
「急がないといかんぞ、ジュリアン。もし俺とあんたが考えている事が一致しているのだとしたら──持ち去られた猫は感染症か出血多量で死ぬかもしれん。我々に残された時間はあまり多くはないという事だな。
 このヤマはどうやら周到に計画されたもののようだ。何としても猫を救い出さなきゃならんぞ」
 ──鼠の肉を釣り糸のようなものに刺し、屋根の上から垂らす犯人の姿が容易に想像できた。そしてそれに噛み付いたミーちゃんは……
 犯行の手順は分かった。しかしまだ分からない事だらけだ。何故猫をそこまでして奪う必要があったのか。正面から頼むことはしなかったのか。そして犯人は何が目的なのか……

 僅かに、だがしっかりと昇っていく太陽はまるで、攫われた猫の命のタイムリミットを示すかのように輝き、その日差しを俺達に容赦なく降り注いでいた──


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一応話の流れは全部頭の中に入ってるのですが、いかんせん中の人が書くのが遅くて今回も遅いです。あまり進んでいません。ちゃんとオチは考えているのにそこまでいくのがちんたらすぎて読む人がだれなければいいけど、とちょっと心配です;;

 ということでなんとか今週も無事定期更新日に記事を上げることが出来ました。
 といっても相変わらずのFO4ばっかりですいません。
 この話が一段落したらスカイリムも書いていかないと@@

 そんなFallout4、本日初のDLCが出ましたね。
 とりあえずまだ全然中の人メインも進めてないので、のんびりやっていきますw

ではまた次の更新日に。


ちなみに今回の密室云々、
むかーしこういう「密室トリックで完全なんだけど、実は欠点があって」というのに今回はちょっと似せてますけど。それはかなり無茶振りの話だったし、ウェイストランドだと完全密室なんてないだろうという事でこんな形を取らせていただきました。なので全然ミステリではないですね、これ。

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03.17.22:39

ネコを探してください(Fallout4 二次創作)

またしてもFallout4の二次創作だすー
 そういう類のモノが苦手な方はブラウザバックで戻ってくださいませ。

注意)これは中くらいに長いお話の第一章です。若干キャラ崩壊とかもありますのでご注意くださいませ。


 ダイヤモンドシティは眠らない町だ。勿論、セキュリティが昼夜交代して辺りを警備しているから、という理由もあるが、24時間営業の店もあったりするせいか、この町に住む者たちは昼夜問わずマーケットで見る事が出来るため、眠らない町と言っても差し支えないだろう。昼夜を問わず辺りに目を配らせれば大抵、ダイヤモンドシティ・マーケットをぶらつく誰かの姿を見かけるし、マーケットの中心にある巨大な尖塔ともよべき煙突の真下にある、プロテクトロンのタカハシが作るパワーヌードルを求める者も多い。
 そんな不夜城とも呼べるダイヤモンドシティでは、連邦一の巨大都市と謳われるだけあって、小さな集落にはない事がほぼ毎日起こるものだ。窃盗、喧嘩は日常茶飯事、そしてこの町以外でも人々を畏怖させるには充分すぎるインスティチュートの都市伝説まで──ありとあらゆる問題が起きては、それを解決するかしないかはダイヤモンドシティ・セキュリティに一任されていた。
 ……とはいえ、彼らも良心でやってる行為ではない故、当てに出来ない場合が殆どだという。俺が生きていた時代に居た警察と云う役割を担ってはいるものの、彼らはただ単に身辺警護だけで、人々の問題に首を突っ込む理由もなければ、そんな面倒な事を引き受けるメリットもない。だから彼らは彼らの存在を脅かす者でも現れない限りは殆ど動かない。
「だから俺はこの町に居るんだ。この町で人の側に居て、セキュリティが出来ない事も俺ならやってのけることが出来る。つまり、人々の問題に直視できる側に居るという事さ。
 セキュリティと俺はそういう暗黙の了解の下で俺は探偵稼業を続けていられるってこった」
 そう言ったニックの顔は誇らしげで──そしてこう続けた。
「ジュリアン、あんたは射撃の腕も、近接攻撃の腕もなかなかいい。ここらじゃ滅多にお目にかかれない程にな。もし、でよかったら──俺の手伝いをしてみないか。探偵稼業ってのがあんたの性に合うかは分からんが、俺はあんたと組めるなら最高だと思う」

 ああ、勿論二つ返事で了承したさ。断る理由もないからな。
 そんな事があって、ニックの、エディーとの一件が終わってから半月位経った後、俺とニックに奇妙な一件が舞い込んできたことから、事件は始まる……。

「ちょっとブルー、なんであんたがここにいるのよ。あたしはニックに用があってきただけなのに」
 バレンタイン探偵事務所もダイヤモンドシティ同様、昼夜問わず営業しているため、昼には来ない客の姿も時々深夜帯で見かけたりすることなぞこれまた日常茶飯事だった。探偵事務所に足を踏み入れる姿を見られたくないといった奴の事情を考えての事らしいが、勿論ニックがすべてに応対するわけではなく、日中は彼の秘書であるエリー・パーキンズが対応したりしている。
 しかし今は夜が明けたばかりの朝8時過ぎ。エリーはまだ寝ていて応対に出ておらず、俺とニックが狭い探偵事務所でちびちびバーボンを飲んでいた矢先、バレンタイン探偵事務所の扉が開かれ、やってきたのは新聞記者のパイパーで、開口一番の言葉が先ほどのそれだった。
「ニックと俺は……今は一緒に行動してるんだ。俺が居ちゃまずかったのか、パイパー?」
 事情を深く言う必要もないため、そう返事を返す。若干酔っていたため口調が怪しかったかもしれない。パイパーは目を細めて俺と、次に俺の隣に居るニックに目を向けるが、彼は黙って肩をすくめただけだった。
「で? ブン屋さんが朝っぱらから突撃してくるとか、ずいぶん久しぶりの事じゃないか。最近そういう事もなくてやっと開放されたかと思っていたのに」
 ニックの口調におや、と俺は心の中で首を傾げる。昔何か彼女とあったのだろうか。……まぁ、ケロッグの記憶を辿る一件の時も彼女にはずいぶん世話になったのだが、その時もニックとパイパーの間には俺には分からない空気が漂っていた気がする。
「え、あぁ……まぁね。ちょっとニックに頼みたいことがあって来たんだけど。今、依頼ないでしょ?」
 気を取り直して、彼女は退屈そうに肩まで伸びた髪をかきあげた。そのまま受付のカウンター代わりに置かれているデスクを超えてこちら側に近づき、いくつかおいてある空いたグラスを一つ見つけて俺とニックの飲んでいたバーボンを注いだ。
「朝っぱらから酒を嗜んでていいのか? 新聞記者は──」
「夜討ち朝駆け、って言いたいの? ダイヤモンドシティだけじゃ大した事も起きないから、そんな必要はないの。それこそブルーが生きていた頃活躍してた新聞記者だったらそういう事もしていたんだろうけど」
 ぐっ、とバーボンを呷るパイパー。見かけによらず酒が強いのか。そして彼女は俺の名前──ジュリアンだ──を決して呼ばず、いつまでたってもブルーと呼び捨ててくれる。嫌いじゃないが、いい加減名前で呼んでもらいたい。
「で? 頼みたいことってなんだね」
 取り成すようにニックが声をかけた。すかさずパイパーが手帳を取り出して彼にびっ、と突きつけたので俺は内心どきっとする。
「依頼を取って来たの。その代わりといっちゃ何だけど、この事件の顛末、あたしに記事を書かせて頂戴。それ位はいいわよね?」
 依頼って何だ、と俺が言うより先にニックが、突きつけられたままの手帳を彼女の手から離し、書かれている事に目を走らせた。
「……こんな事で記事を書く程、あんたん所の新聞は落ちぶれてるのかね」
 言いながら、ニックは俺に手帳を寄越してくれたので、すかさず俺も書かれている文字に目を走らせると──
「“猫を探してください”だって?」
 我ながら素っ頓狂な声を上げたものだ。てっきり殺人とか、売人の検挙とかそんなもんかと思っていたら、尋ね人、いや、ヒトじゃないな──猫?!
 そこには短くではあるが、猫を探してほしい。謝礼は十数キャップ、依頼人の名前が記されてあった。──ホーソン。ホーソンって誰だ?
「知ってるでしょ、ニック。ホーソン邸がどういうところかは」
 パイパーがそう訊くと、ニックは返事をする代わりに首肯して見せた。俺は知らないので、「ホーソン邸って何処にあるんだ?」と聞くしかない。
「……コロニアル酒場は知ってるな。その上にある。いわば上流階級の持ち主の一人だ、と言ってもホーソンは決してそんな身振りじゃないんだがな。彼の叔母がそういうのであって……」
「ホーソンは知り合いなのよ。今朝血相抱えてやってきたもんだから事情を聞いたら猫が居なくなった、の一点張りでね。ニックにはあたしから相談しておくって言って一度お引取り願ったんだけど。……相当狼狽してたわ、あの様子じゃ」
 ニックの後をパイパーが引き取るように言ってくれたが、まだそのホーソンと云う奴の素性は分からない。
「つまり、彼の飼い猫が一匹逃げちまった、ってことか?」
 と疑問をぶつけてみたが、妙なことにニックとパイパーは顔を見合わせ、どう説明したらいいものかと考えあぐねている様子だった。
「まぁ、その、何だ……彼の家に行けば分かるだろう。ダイヤモンドシティでも指折りの奇妙な家なんでな」
 そう言ってニックは重そうに腰を上げた。
「じゃ、依頼を引き受けるって事ね? ニック。あたしも同行するわよ。一応依頼人の仲介者だし」
 先ほど記事にさせてくれって言ってたしな……。俺も黙って立ち上がり、
「その、ホーソン邸に案内してくれないか、ニック。パイパー」
 先導するように促した。

 着いてみてびっくりした──いや、びっくりというより、度肝を抜かれたと言ったほうが合っているかもしれない。
 ホーソン邸は同じシティ内なだけで、ものの数分で着くことが出来た。それはいい。度肝を抜かれたのはその、家の中だ。
 入ってみてうっと声を詰まらせた。部屋の温度が外よりにわかに暖かい……のはいい。問題はその暖かさに混じって、つんと鼻腔を刺激する糞尿の匂いに顔をしかめてしまったせいだ。
 そして室内あらゆるところに居る、猫、猫。猫だらけ。人間より猫の数が倍以上勝っているせいで足の踏み場も殆どない有り様。
「おいおい……」
 思わず声を漏らしてしまう。なんなんだこの家は? 
「ホーソン、ニックが来てくれたわよ」
 来客にも応じず、部屋の中央に置かれてあるソファーにだらしなく座ったままのこの家の家主だろう、パイパーにホーソンと呼ばれた男が顔を上げ、こちらを向く。その顔に俺は目を丸くした。
 普通にしていればいかつい男性だ。俺より年はやや若いが無精髭が伸びており、頭は角刈りで凄んで見せればそれなりに相手を畏怖させるかもしれない。しかし今はそんな様子が全く感じられず、散々泣き腫らして潤んだ瞳でこっちを見るもんだから、俺は思わず見なければよかったと内心後悔した。
「えーと……ホーソン。何があったか説明してくれ」
 そのままだとまた泣かれてしまうとでも思ったのか、ニックから水を向けてやると、
「……いなくなっちゃったんだ。ゆうべは確かに居たのに、俺の大事な猫が一匹、居なくなっちゃったんだ……!」
 言ってて思い出したのか、またしても目から大粒の涙を零した。かわいそうとも思えない。俺だってショーンの事で泣きたいと思ったことなんて一度や二度も……いやいや、今は俺の事なんてどうでもいい。
「居なくなったって言ったって、こんなに沢山猫が居るのに全部把握出来るわけないじゃ……」
 俺がぼそっとそう呟くのを耳ざとく聞きつけたのか、ホーソンはきっ、と顔をこっちに向けたかと思うと、
「全部把握しているとも! 飼い主なんだぞ、全部の猫に名前をつけているしかわいがっているんだ! それなのに一匹だけ居なくなってしまった。一匹だけ! 昨晩寝る前は確かに居たのに、朝起きてみたら居なくなってたんだ……ミーちゃんが!」
 ──熱弁を振るう(?)ホーソンを余所に、俺とニックとパイパー三人とも同じ目つき──所謂冷めた目、と云う奴だな──で彼を見ていた。
 猫好き、というのは俺がVault111に入る前にだって居たし、実際そういう奴の話も聞いたことはある。
 だが目の前に居るホーソンはそんな輩とは大分一線を越えている……気がする。
「す、すまなかった……悪かったよ。そのミーちゃん……が居なくなるまでの経緯、教えてくれないか?」
 取り繕うように俺はそう声をかけた。

 けど、猫一匹がまさかちょっとした事件に繋がるなんて、その時俺も、ニックも、そしてパイパーも……誰が予想できただろう?


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 今回からいよいよオリジナルの二次創作です。
 今までずーとクエストに沿った話を書いてましたけどwまぁ相変わらずニックさんと111のお話ですが、パイパーもちょろりと出てるし、しかもちょっと夏コミに出す話の伏線を出してたりしてますね。まぁまだ夏コミで出す小説本の文章は全く書いてないんですけどね(爆死

 ダイヤモンドシティにネコ屋敷があると知って、そしてネコが出てきたのはFO4からだからせっかくだしネコを何かに使えないかなーと思って思いついた話です。ざっとネタは考えてますがオチはまだぼんやりとしか浮かんでませんw
 まぁ人間だけじゃなくネコが居なくなってもニックなら探し当てるだろう、みたいな感じで・・・。

 しかしホーソンさん家はネコだらけですごい。
 俺一匹が関の山だわ・・あんな換気の悪そうなところでよく育てられるもんだと感心します(笑)


 けど全部同じテクスチャ(ゲフンゲフン
 もうちょっと三毛とかはちわれさんとかちゃとらとか居てほしかったなー なぁんて。

 では次回。続きをお楽しみに。
 感想感謝叱咤激励金貴金属樹木希林お気軽にコメント欄に突撃してやってください。

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03.10.21:46

光る風

※今回もごめんなさい、例に漏れずFO4のクエスト+アルファなお話です。
その手のものが苦手な方はブラウザバックでお戻りを。



 気づけば俺は手を差し出していた。
 途方に暮れ、どうしていいか分からない──戸惑う彼に、俺は自然と手を伸ばしていたんだ。

 彼の手を失いたくなくて……。

 事は数ヶ月前まで遡る──
 ニックと共に行動して数ヶ月が経っていた。すっかり季節も感じなくなってしまった連邦の冬が過ぎ、新しい年が明けた──といっても喜ぶ者はどの町を探しても居なかったのだが──2289年、二月半ばを過ぎた頃。
 彼の口から出た言葉は、かつては生身の姿で、警官を務めていた彼自身の記憶──“ニック・バレンタイン”自身の記憶に残されたひとつの事件の顛末だった。
 エディー・ウィンター……と云うその男は、かつて生身の身体を持ち、警察官として生きていたニック・バレンタインのフィアンセを殺し、210年経った今でもとある施設の中に身を潜めている、というものだった。
 そんな話を聞いたものの、最初っからそんな話俺は信じちゃいなかった。210年前──つまり俺がVault111に避難した時から、彼が生き残ってるなんてどだい、無理な話と思っていたのだ。
 しかし、ニックはこうも持論を展開した。「そりゃ、普通の人間ならとっくの昔に死んでるだろうさ。けどエディーがグールに身を変え、今でも生きていたらどうする? ジュリアン。
 俺はエディーは生きていると思う。彼が残したホロテープが鍵だ。それをすべて集めれば、彼の居る施設の厳重な扉を開け放つことが出来る、という訳さ」
 それも“ニック・バレンタイン”の記憶にあるものなのだろう。けど俺は反論した。「けど、もし扉の先で死んでいたら?」
 さすがにそれは予想していなかったようで、ニックは何か言おうと口をぱくぱくしてみせたものの、どう反論していいのかわからなかったのか黙って口を閉じてしまった。……気を悪くしてないといいが。
「あ、いや……話の腰を折るつもりはないんだ。ただ……ニック、あんたを見てると──」
「……大丈夫だ、ジュリアン。必ず奴は生きている。俺はそう信じているし、200年も経った後に全く見たことのない奴の手によって復讐される瞬間の、彼の顔を見たくてしょうがないくらいなんだ。想像するだけで笑いがこみ上げてくる位だよ。
 どうだ、手伝って……くれるか?」
 そう言われるのはわかっていた。だって俺とニックはパートナーだから。これまでいくつか探偵家業もやってきたし、色々探偵についてのノウハウも教えてもらった間柄だ。
 彼の表情はいつもと変わらなかったが、言葉の重みがいつもと違っていた。人造人間でもヒトを説得する事が出来るのか──そんな茶化しさえ今は陳腐に見える。いつも以上に真剣なのはわかっていたからこそだった。だからこそ俺を必要としてくれるニックの力になりたい。……と、最初は思っていた。

 けれど……ニックを見ていると不安をがよぎるようになったのはいつからだっただろう。
 連邦中の警察署をめぐり、ホロテープを見つけては黙って聞き入るニックの姿を見ているのが楽しかった。当初は。
 ……しかし、いつしかそんなニックの姿を見ていて、俺は不安を覚えるようになった。
 どうして? 何度も自答した事さえ、ある。力になりたいと思って乗り出した事なのに、俺はどうしてこうも不安げにニックを見ることしか出来なくなったのだろう。どうしてニックを直視できなくなっていったのだろう。
 そうだった、いつしか──後ろを歩くニックに対して振り向くことをしなくなった自分が居た。前は話しかけたり話しかけてくれたりしたのに、ニックからも声を掛けてもらっていない。腹の虫の居所が悪いのだろう程度にしか思われていないのか。
 でも、ひとつだけ。原因がはっきりしていることがあった。ホロテープを全部集めることを俺はひどく畏れていたのだ。そしてニックには急かされてこそないものの、彼と行動を共にしていて何もしない訳にはいかず、更に苛立ちを増長させる原因にもなって──最後のひとつを探しにとある警察署──の廃墟を訪れたとき、俺はたまらず切り出していた。
「なぁ……ニック」
「ん? どうしたジュリアン」
 声をかけたものの、どう伝えればいいか分からず、しばしその場に立ち尽くしてしまう。ニックとしてはホロテープを一刻も早く見つけたいだろうに、俺が水を差してると苛立っていたかもしれない。
「……エディーに復讐したら、どうするんだ?」
 何言ってるんだ俺? と自分で思うほど心と裏腹の言葉を発している自分に驚く。何を言おうか考えあぐねた先がこれだなんて。
「ん? 別にどうともせんがな。……とはいえ、記憶に生きているニックに対しては手向けになるだろう。そう思ってやってるだけさ」
 そんなこちらの気持ちに反してニックはのんびりとそう漏らした。本当にそれだけなのか、と聞き返したくなる。──馬鹿だ。ずっと共に行動してきたニックに疑いを向けるなんて。
 ニックは、かつてニックだった者の記憶に突き動かされているだけに過ぎないと思っていた。それに付き合ってあげれば満足すると思っていた。──でも……もしそれを達成してしまったら? 記憶の中のニックは満足するだろう。しかし今彼を形成づけている人造人間のニック・バレンタインはどうなってしまう?
 そんなのやってみなければ分からない──その時になるまで考えないようにしていた事だった。それなのに目の前の人造人間がそれによって何か起きてしまうのではないか、と──思うだけで身が竦む。210年ぶりに目覚めたおかげで誰も知らず、身寄りも居ない自分自身が広大な連邦の中で取り残されてしまいそうな、そんな恐怖に背筋が凍るような感覚さえ覚える。
 ……けどここで手を切る訳にはいかないだろう? ジュリアン。俺はニックと旅をしてきた。どうなろうと、俺が見届けるんだ。人造人間ではなく、血の通っていた身体を持っていたニックの復習を遂げるまで。
「──そう、だよな。変な事聞いちまって悪かったよ。さあ、テープを探そうぜ」
 気を取り直そうと努めて明るく声をかけたものの、内心は不安の塊を拭い去る事すら出来なかったのをよく覚えている……

 そして、ニックはやり遂げた。
 エディーを見つけ、ホロテープに隠された鍵を見つけ出し、エディー自身を隠す厳重な扉のロックを解除し──彼に引導を渡すことが出来た。
 ニックがエディーに対して冷静に、淡々と喋っているときも、エディー・ウィンターが激昂してニックと銃撃戦をやりあった時さえも、俺は何も手を出さなかった──出せなかった、と言った方が正しいかもしれない。
 これはニックと、人造人間ニック・バレンタインの戦いなのだから。俺が手を下すのは無粋というものだ。
 ぎゅん、と空気がうなりを上げながら狭い室内に銃声が飛び交う。俺が何をしなくてもニックのやり方は冷静そのものだった。確実にエディーに致命傷を与えていく。その光景を、俺は画面の向こうで見ているような気分さえ、した。結末が分かっている二時間ドラマを延々と見ているような感じといえば分かるかもしれない。
そしてとうとう、ニックが正確に狙いすました一発がエディーの脳天を貫いた。──直後、ぐにゃりと曲がるようにして頭から床に突っ込むようにして倒れ付すエディー。頭を床にたたきつける前に絶命したようだった。
「……終わったな」
 エディーの亡骸を見下ろしながらぽつりとそう呟く。しかしニックの言葉は俺の意図と反し、
「いや、まだだ。──最後にやり残したことがあるんだ。ついてこなくてもいいぞ」
 などとにべもない返答をしてくるので、若干、狼狽してしまう。何でそんな事言うのだ、と。
「ここまで来たんだ、最後まで付き合うに決まっているだろう。……行こうぜ」
 促すように、こちらから先に部屋を出る。そう言われた事に安心したのか、ニックの表情は嬉しそうだった……気がする。

 来た道を戻らず、ニックは何かに導かれるかのように前を歩き続け、地下を歩き続けるうちに、目の前に現れた扉を開くと、全く知らない場所に出た。出てきた場所は店舗のようで、壊れたレジズターが台の上に数台、陳列されてある。通り過ぎしな、中身を改めてみるが何も入ってはいなかった。既に誰かに荒らされた後らしい。
 ニックの足は止まらず、やがて建物を出ると唐突に走り出した。慌ててこちらも走り出す。……が、すぐに彼の足は止まった。海へ通じる大きな川のほとり、昔は舗装されていただろう道路の端。しかし今ではアスファルトは所々剥がれ落ち、道路の隅にはガラクタや残骸が散らばっていた。
「……ここだ」
 え? ここって? 俺が声を出す前にニックは地面に膝を落とし、むき出しになった地面に手を当てていた。
「ここなんだよ、210年前、ここでニック・バレンタインのフィアンセだったジェニファー・ランズがエディーの手下に撃たれたんだ。背中に銃弾を叩き込まれたのさ」
 えっ、と短く声が漏れる。ニックはそんな俺の様子に気づかなかった。黙ってその場に跪き、俺の目には映らない何かを見ているようだった。
 生前のニックは、その光景を目撃していたのだろうか? だとしたらショックどころの話ではない。それが彼を復讐に駆り立てたとしてもおかしくはないだろう。けど……その復讐は終わった。もう過去に目を向ける必要はない筈だった。
「……それは、辛かっただろうに」
 考えて捻り出した言葉がこんな陳腐なものなのかと、自分に呆れてしまう。しかしニックは気にしてなさそうだった。黙って立ち上がると、俺の目をじっと覗き込んできた。黄色く輝く二つの環。この目に俺の姿はどう映っているのか。
「はっきりしてるのは、ジュリアン、あんたが居なかったらエディーはまだ生きてあの場所に居たに違いないということだ。あんたが俺と、俺の記憶の中のニックに手を貸してくれたおかげで長年の悲願が達成できたというもんだ」
 普通の人間なら照れくさそうに言う事も、ニックは平気で言ってのけるのだな、と俺は思わず笑みを浮かべる。久しぶりに笑った気がした。「力になれて嬉しいよ。ニックにとっては大事なことだったんだから」
 そうだな、と言いながらニックは目を逸らし、背後に流れる大きな川へ顔を向けた。
「昔生きていた警官時代の記憶を機械的にコピーしたものだったとしても、この記憶を拭い去る事はインスティチュートとて無理だったんだろう。それほどまでに激しい記憶だったんだ。どのようにこのニックの記憶を保持していたかは今の俺には分からない事ではあるがな」
 インスティチュートか。俺の息子を奪った組織。彼らの事はまだ分からない事だらけだな──と思っていると、「しかし……なんだな」とニックがやや困ったような表情でぽつりと漏らす。
「どうかしたのか、ニック?」
 と言うと、なぜか彼は俺をにらむ様な目つきで、
「……笑うなよ、ジュリアン。
 正直なところ、こういう時どういう顔をしたらいいか分からないんだ。無理だと思ってきたことを達成する事ができて、嬉しい筈なのに……どうすればいいのか分からない。途方にくれるとはこういう事なんだろうな」
 と言ったので、俺は思わず噴出してしまう。
「はは、ニックでも分からない事があったんだな……ははっ、こりゃ、最高だ。今までずっと、一人で悩んでたのが馬鹿みたいだ……ははは」
 急に笑い出した俺を余所に、ニックは憮然とした表情を浮かべていた。何で突然笑い出したんだこいつは、みたいな嫌なものを見るような目つきで。
「ジュリアン、何がおかしい?」
 と、いかにも真面目くさってニックが言うものだから、俺は再度笑いだしそうになるのをぐっと堪える。
「だ、だって……復讐はやり遂げただろう? もうニックは自由なのさ。もう一人のニック──生前のニックじゃない。今のニックはあんただけさ。人造人間のニック・バレンタインだけさ」
 と伝えるも、
「そう簡単にはいく問題じゃない。俺はずっと“警察官の記憶を持ったニック・バレンタイン”そのものだった。彼の記憶、感情、性格。何もかもすべて俺は彼をコピーした存在だ。最初はそれを疎んじた事もあった。何処を探してもその記憶の中のものとこの世界は違うからさ。町も、人も、何もかも。
 やがて俺はこの記憶を──この記憶に強く残されている復讐の炎を消し去ることができれば、“警察官の記憶を持ったニック”と袂を分かつことが出来るかもしれないと思うようになった。それはどだい無理な事で、俺一人で出来る事ではないと分かっていたからこそ、この記憶と付き合っていく事、復讐の炎を絶やさずに居る事が一番なんだと自分を納得させていた。
 しかしジュリアンが現れて、そしてどうだ、俺の復讐の炎に燃料を投下する必要はなくなっちまったじゃないか。やっとニック自身のの悲願を達成できたのに、俺はこれからどうしたらいいのか分からない……なんて」
 笑われた事が余程気に入らなかったのか、はたまたこれからどうしたらいいのか分からない、といった様子のニックを見て、俺はふっと、今まで抱えていた不安の芽が出てくる気がした。が……すぐにその考えを振り払い、俺はニックに向かって手を差し出していた。途方に暮れている彼を導き手になるように……などと大層な事は思ってなかったけど。
 そして、こちらの意図に気づかず、俺の手と顔へ交互に視線を動かすニックに向かって諭すようにゆっくりと声を出した。
「これからは自分の人生を歩むんだ、“警察官のニック・バレンタイン”ではなく、人造人間として歩んできたニック自身の。記憶を埋め込まれ、それだけで生きてきたニックは今日から終わりだ。これからは自分の記憶を作っていくんだ。自分自身の思い出を。感情を。上書きしていくのさ。警官ではない、コピーされた存在ではない、一人の……人間として」
 人造人間、とは言えなかった。俺はニックをインスティチュートの奴等と同じには見えなかったし、同等の扱いにしたいとも思ったことはない。ニックは人間以上に人間らしく、驚かされたことも何度もあった。その度に俺は彼を、人造人間として扱う事を忘れ、人造人間として扱う奴等を敵視した事も一度や二度ではない。
 そう言ったものの──しかし……ニックは俺の手を握り返してはこなかった。彼の表情は躊躇いと戸惑いが交互に浮かんでいる。簡単な事じゃないとさっき言ってたが……。
「自分自身の……か」
 と、短く呟くニック。視線を地面に落としているせいで、気落ちしているようにも見える。しかし口調は違った。
「──今この瞬間にやっと気づいたよ。本当は、俺はエディーの復讐なんてどうでもよかったんだ。婚約者の仇を討つことも、ジュリアンとも、俺とも。何も関係がなかった。
 自分勝手にそう思い込んでいたんだ。エディーを復讐すれば俺は自由になれると。……でもそうじゃなかった。復讐をしようが何しようが、俺は俺自身だ。ジュリアンが今さっき言ったとおり、今までだって俺自身の人生を生きてきた。だから今更復讐を遂げたところで何も変わらないんだ。
 そんなことに今の今になって気づくとは、そして気づかせてくれたのがジュリアンだったとは、……少し笑っていいか?」
「え? ……あ、ああ」
 唐突に笑っていいかと聞かれても首肯を返すことしか出来なかったのだが、ニックは促されると唐突に笑い出した。その姿に思わずこちらまで笑ってしまう。互いにしばし、誰も通らない道端で笑いあった。
「ははっ……ニック、あんた、気づくの……遅すぎだって」
「うるさい、ジュリアン。人間とはこうやって遠回りをして生きていくものだろう? 俺はそういう本をごまんと読んだぞ……しかしまぁ、人造人間も人間となんら変わらないものなんだな、俺もあんたらと何ら変わらないんだな……ふふ、おかしなもんだ」
 互いに溜まっていたもの、何もかもを吹き飛ばすかのように腹を抱えて笑った。俺なんて笑いすぎて涙が出ていたかもしれない。ひとしきり笑ってから、俺は再度手を彼に向かって差し出す。
「──さあ! 行こうぜニック。この世界を良くして行くためにも、俺たちこんな所で立ち止まったままじゃないだろう?」
 ニックはうなずきながら、今度は俺の手をぎゅっと握り返してくれた。嬉しかった。
「これからも俺と旅を続けてくれるのか?」
 などと水臭い事まで言ってくる。当たり前じゃないか。俺はニックと旅がしたいんだ。あんたとずっと一緒にいたいんだ。
 けど、──どうにもそんな事恥ずかしくて言えなかったので「当たり前だろ」とだけ言い捨てて、俺から手を離す。ニックの手は温かかった。人間と変わらないくらいに。
「よし、じゃあここから出て新しい旅へと出発しようじゃないか、ジュリアン」
 嬉しそうに彼はそう言って、俺の隣を歩き出す。
 日差しがじんわり暖かい連邦の昼下がりはいつもと変わらず、連邦を照らしていた。
 過去と決別し新しい一歩を踏み出したニック・バレンタインの門出を祝うかのように──
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 エディーのクエが終わった後、ニックさんが「死んでも悔いはない」とかいったのでそれに対してえええええ?! と思って考えたネタでした。まぁ最後は若干変わってしまいましたが、うちの111さんはニック大好きニック一筋なのでw

 しかし最近本気でまずいですねぇー・・ニックさんの話ばっかり書いてる(笑)
 夏コミに出す本もそろそろ書いていきたいんですが、3月いっぱいまではお仕事が多忙すぎる為、繁忙期がすぎたらぼちぼち書いていきますw

 Skyrimは最近ほとんど遊んでませんがそろそろセラーナたんに会いに行きたいですw
 ではまた。次回の更新もFO4がらみになりそうでごめんちゃい。

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02.28.19:55

強さの意味は


 ふ、と。痛みがちくりと胸を刺す。 
 その痛みの元は、嫌でも自分について回る──今自分が置かれている現状、そしてそれを脱却する手段。
 考えるだけで、自分を見失いそうになる。そういう時締め付けられるように胸が痛むのだ。
 なんで目覚めた? 何故俺はここで目覚めなければいけなかったのだ。何で俺をそっとしておいてくれなかった──そう自棄になったことも一度や二度ではない。
 普通の人間ならとっくに発狂していてもおかしくなかっただろう。じゃあ俺は何で発狂していないのかと第三者の冷めた目で自分を見つめたことも一度や二度ではない。何故自分はここで今生きているのか、と。
 何もかも失い、何もかも変わってしまったこの新しい世界で──生きていくのは簡単な事ではないと気づくのは遅くなかった。Vault111から出てきたときは、この世界で生き残ったのは俺だけなんじゃないかと寒気を覚えたほどだ。
 それでも必死にこの世界を歩き回り、やがて孤立無援な俺を──助けを求めて虚空に向けて突き出したこの手を、握り返してくれた人が現れた。210年ぶりに目覚めた素性も知らない俺に助けを差し伸べてくれた人が。
 そして彼らもまた、この世界で必死に生きようとしていることも。──俺は彼らとなんら変わりはない。けど知識はあった。体が覚えていた。闘うことを。生き抜く力を。
 それを役に立てるのなら──いや、違うな。俺がやろうとするより遥か以前から、あんたはそういう人達を助けていたんだったよな。
 そうだろ? ニック。……だから俺はあんたと手を組むことにしたんだ。俺の手を握り返してくれた人と。

けど、ニックを取り巻く世界はあまりにも厳しすぎて──

「はん、人造人間なんかを連れまわしているのか。あんた、正気か?」
 はっ、と我に返る。
 一瞬自分が何処にいたのか忘れていた。胸の痛み……そう、ついさっきまで俺は背後にある扉の向こう側にいたんだった。
 赤く染められたスポットライトに、怪しく光るその建物の扉──扉までご丁寧に赤い──の上にはその館の名称が記されてあった。メモリー・デン──人の潜在意識に潜む記憶を掘り起こし、対象に見せることが出来る装置を扱った場所。
 胡散臭いとさえ思っていた──実際ケロッグの記憶を見るまでは。
 実際、その装置でケロッグの記憶を見ることが出来たし、それによって息子ショーンの行方を知っているかもしれない人物の元へ行くという指標が立てられたのはいい収穫でもあり僥倖だった。
 ……しかし、肝心のケロッグの記憶を見るために体を張って奮闘してくれたニックは相当疲弊したらしく、建物を出る前からずっと無言だった。……無理もない、ニックは俺に、ケロッグの記憶を見せようと彼の記憶媒体を自身のメモリーパックに埋め込んでくれたのだ。
 体に異物が入った際、ヒトの体とてそれを排除しようと何日も寝込んだりするものだ。ニックは人造人間とはいえ、負担がないとは言い切れないだろう。
 そんなタイミングに限って──俺に、たった今メモリー・デンから出てきた俺になれなれしくも口を利いてきたのは、このメモリー・デンがある集落──といっても差し支えないだろう──グッドネイバーを見まわりしている自警団の男の一人だった。彼らはいつも気さくに話しかけてくるのは普段気にする程度の事でもないのだが、今日に至ってはタイミングが悪すぎた、といっても差し支えあるまい。
 俺は思わず柳眉を片方吊り上げ、相手を睨み付けた。
「それは、ニックの事を言ってるのか」
 口調が気に入らない態度のそれだったのは自分でもわかっていたのだが、それを向かって放った相手が気づかない訳もなく、
「……ああ、そうだが? それがどうした」
 それがどうした、だって? ……さっきまで見せられたケロッグの事、ショーンの事、そして俺と、俺のためにがんばってくれたニックの努力を悪し様に言われた事で、俺は自分の機嫌が更に悪くなっていくのを知ってて止めようとはしなかった。
「ニックをインスティチュートの人造人間と一括りにするな」
 後から思い返すと、俺は何馬鹿なことを言ってるのだろう、と思うが──むきになってそんな説得力の全くない反論をしていた。
 口調がおかしい俺の態度を見て背後に突っ立っていたニックがおや、と何か不穏な感じに気付いたらしく、
「おい、ジュリアン、どうした?」
 ゆっくり近づいてきて話しかけてくる。が……俺はその返事に応えもせず、相手を睨んでいただけだった。目を逸らせば負ける気がして──
「は? ……あんちゃん、正気か? まさかあんた、人造人間じゃ──」
「余程頭に恐怖心が溜まってるようだな、そこまで疑心暗鬼になるほど怯えてるってことか?  それでグッドネイバーの自警団名乗っちゃっていいのかね?」
 嫌だ、そんなことまで言うつもりじゃなかったのに。
 怒りは収まるどころかどんどん膨らんでいく。俺を人造人間呼ばわりするとか笑いを通り越して呆れる。俺がケロッグと同じだってか? ふざけるな。
 それに……ニックを侮辱された事が自分の事以上に許せなくて、傍から見ればむきになっている子供となんら変わってなかったかもしれない。
「なんだと? 喧嘩売ってるつもりか、ええ?」
 ひけらかすように自警団の男は、手に持っていた銃──何の変哲も改造もしていないマシンガンだ──の銃口をこちらに向けてくる。しかしまだ引き金に指をかけてはいない。
「最初に吹っ掛けてきたのはそっちだろう? ニックに謝れ。ニックをインスティチュートの人造人間と一緒にするんじゃない!」
 腰に帯びている愛用の10mmピストルに手をかけようとした矢先、その手を腕ごとニックにむんずと掴まされたので俺自身が驚いた。
「ちょ、ニック……」
「止めるんだ、ジュリアン。騒ぎを起こせばここに居られなくなるぞ」
 そんな事関係ない。俺は──
「失礼するよ、こっちは疲れてるんでね」
 俺の手を力いっぱい引っ張って、半ば引きずるようにして自警団の男から引き剥がそうとするニックに、俺は抵抗することが──出来なかった。いや、腕を振りほどくことは出来たのだが……俺を引きずっていくニックの姿を見て、自分のしたことに打ちのめされていたからかもしれない。
 ニックを守ろうとしたことが、彼を傷つけてしまったのかもしれないという事に──

「……すまない」
 レクスフォード・ホテルの一室。
 俺は部屋を借りてそこで休んでいた……とはいえ自分が寝ているわけではない。
 ニックは俺をひきずったせいですっかり疲れてしまったため、半ば強引にベッドに寝かせたのだ。
 人造人間はヒトと違って寝ても体力が回復出来る訳ではないが、メモリーやセンサーのクールダウンや、やはり起きたままでいるのは人造人間とて体に不具合が出ることがあるようで、彼の探偵事務所には彼用のベッドもしつらえてあるのを俺は知っていた。
「何に対して謝っている?」
 俺の独白に反応して、閉じていた目を開いてニックがこちらを見る。暗い部屋でも輝くその瞳には瞳孔がない。丸い環をした黄色い光が二つ、こちらを照らすように光っているだけだ。それでも俺にはその瞳がとても温かなものに感じることが時々、あった。人間以上に人間らしいこの人造人間に、俺は何度心救われてきたか──
「変なごたごたにつき合わせちまって、大人げなかったかな……って」
 肩をすくめてそう答える。しかしニックは怒った様子は微塵もなく、淡々とした口調で、
「仕方ない。ケロッグの記憶を見せ付けられた後であんな事言われちゃな」
 混乱していたのだろう──そう言いたいのだろうか? それは違うぜ、ニック。「そうじゃないんだ。俺はニックが侮辱されているんだと思ったからあの男に言ったんだ。
 俺のために協力してくれたニックを、インスティチュートの奴等と一括りにしてほしくなかっただけだ。俺はただ、あんたを……守りたくて」
 守りたい? 自分で言ってて不思議だった。ニックは俺より遥か前にこの連邦で目を覚ました、インスティチュートに捨てられた人造人間だ。俺より連邦をよく知っていて、この場所で生き延びる術を沢山知っている奴に、たかだか半年くらい前に目覚めた奴が守りたいなんて言っても陳腐なものにしか聞こえないかもしれない。
 それはニックも同様らしく、ふふっと笑って返すのみだったので思わずこちらが恥ずかしくなってしまう。言わなきゃよかったか……と思った矢先。
「そういう好意は素直に受け取っておいた方がいいだろうな。……嬉しかったよ。実際ここ、グッドネイバーでも、ダイアモンドシティでも、俺を見る者は遠巻きに見つめてこちらを監視するように舐めまわす連中ばかりだったからな。いつしか俺は一人で行動するのが常になっちまってた。
 だからかな、ジュリアンが俺と行動してくれると言った時は正直、不安になったもんだ。俺と一緒に居てジュリアンに何か嫌なことを言う連中が出やしないか、ってな。
 そして案の定出た訳だが……あんたはそれを跳ね除けた。俺をインスティチュートと一緒にするな、とまで言うとは予想を遥かに超えていたがな」
 言ってて思い出したのか、ニックはくつくつと笑って見せた。嫌味も苦笑もない、心から笑っている様子にほんの少し自分が救われる気がした。
「……ニックが俺を助けてくれたから。俺もニックを助けようとしただけさ」
「あんたの昔いた時代ってのは、そういう輩が多かったのかな? だとしたらぜひともその時代に生きていたかったもんだ。……まぁ、その頃の記憶は残っているとはいえ、俺は実際この目で見た訳じゃないからね」
 記憶の中のニックは俺も知らない。だから俺のニックはあんただけだ。人造人間だろうがなんだろうが、俺には関係ない。助けてくれたから。俺の手を握り返してくれた人だから。
「まぁ、多分また、あんたの事を悪く言う奴が居たら今日のような事が起きるかもしれない。そん時は……目を瞑っててくれよ」
「……今日みたく銃に手をかけるような行為はやめてくれるというなら、好きにすればいいさ」
 いいながら、寝台の上を頭を転がすようにしてニックが顔を向ける。ばつが悪い気がして俺はこのときばかりは苦笑を浮かべるしかなかった。そうだな。銃に手をかけるのはやりすぎだったよな。
「ああ、好きにさせてもらうよ。……俺はニックと別れるつもりは毛頭ないからさ」
「……おかしな奴だ」
 照れくさそうにそう言い捨てて、ニックは再度目を瞑った。今度は目を開く様子はない。本格的に眠った──スリープに入ったといった方がいいか──ようだった。
 薄暗く狭い部屋の中、俺は椅子に座って彼をじっと見ていた。今度は絶対に手を離すことはない──妻やショーンと同じ目に遭わすような目は二度とさせないつもりだから、と。



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 最近ずっとFO4の二次創作ばっかりやってますね。すいません;;
 今回も例に漏れずニックと111のお話です。

 いやーーニックさん大好きなんですよもう。
 今現在プレイ中ではニックさんと行動をともにしてないんですけど(Perk取っちゃったし……)ニックさんが大好きでしょーーーーがないですw
で、最近はどんどんアヤシイ方向にいってしまって・・ニックさんと111のホモォでもいいから読みたいとか考えてしまう始末(大爆死

ニックさんとロマンスはないけど、ニックさんとロマンスあったら俺絶対離れないだろうなーとか考えながら最近はそんな方向のお話ばっかり考えてます。これもそのひとつ・・・いや、ごめんなさいw

そんな今回のブログ更新でした。
最近木曜日に更新できなくてごめんなさい。仕事の方が忙しくて・・
忙しいにかまけているのは好きじゃないんですけどね。自分の環境ももう少し変えていこうと思いつつ、なかなか一歩踏み出せない情けない俺ですが><

春が近いですからね、色々とゲームもリアルの生活も変えていければと思います。
なんかよくわからん締めになっちまいましたが><w

ではまた次回の更新日に。

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02.20.23:35

間が空きすぎる前に……

えーと、まず・・
ごめんなさい。
しばらくブログ更新してませんでした・・いやまぁ理由はあるにはあるんですが、勿論アレです、Fallout4をやってたせいです(大爆死
おかげで全然スカイリムやってません・・
というか最近Fallout4の絵しか描いてないという有様(滝汗


↑というニックさんを描いてました(笑)
思いのほか回りから好評だったのでうれしかったです。

 ですが、まぁ、スカイリムもまたぼちぼち小説の続きとか描かなきゃいけないなぁと・・思いながらFallout4が面白くてしょーがないという(汗
 ニックさんが好きになってからというもの(汗焦)ニックさんと旅をするためにコモンウェルス行くという日々ばかり過ごしております。。。

 なのでまたちょっと間が空きますが、FO4もSkyrimも描いていくのでどうぞよろしく。
 小説の方もなんとか続きを上げていく予定ですしおすし。

・・・という近況のみでゴメンナサイな記事でしたorz
次はまともにFO4プレイ日記とかでも。

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