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SkyrimとFallout4・76の二次創作メインブログです。 たまにMODの紹介も。
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  • 04/26/02:08

03.24.23:02

動機と、手口と、手掛かりと

※Fallout二次創作第二チャプターです。その手の類が苦手な方はブラウザバックでお戻りを。
これは第二章です。はじめから読みたい方はこの記事の前の記事「猫を探してください」からお読みください。


ダイヤモンドシティ:ホーソン邸
午前9:04
05/04/2289

「……いつごろから話せばいい?」
 と、泣き腫らした目を擦りながらホーソンは言うので、俺は無表情のまま「寝る前から」と付け足す。頷きながらこちらへ向けていた顔を正面に戻し、ぽつりぽつりと話し出した。
「……寝たのはいつもと同じ。23時過ぎだ。寝る前は確かに全員居るのを確認してから梯子を上って寝室」一旦言葉を区切り、室内にもう一つ家があるように出来ている感じに作られた、寝室らしき場所を指差した。「あそこに俺と祖母の寝るベッドがある。祖母はもう寝ていたから、俺もそのまま何事もなく寝て──朝6時になるまで一度も目を覚まさなかったよ。
 起きてすぐ、この子達にえさを上げようとしたら一匹足りないことに気づいた。部屋中探したけど何処にも見つからなくて、どうしていいか分からなくなって……家を飛び出したけど、居なくて──」
「ちょっと待ってくれ。“家を飛び出した”と言ったな。ホーソン、あんたが家を出た時、鍵はかかっていたのか?」
 ニックが口を挟んでくる。些細なことも確認するのが探偵らしい。
 しかし防犯上、というか寝込みを襲われることを危惧して──ダイヤモンドシティの住人の家は深夜ともなると施錠してあるのが殆どだ。一部の家を持たない者達を除けば、だが。
 それにここはマーケット周辺から外れたやや身分の高い──俺から言わせれば気位の高い奴どもだが──者達が住む場所。寝る前に施錠しないなんて事はありえないだろう。
 だから勿論ホーソンの答えは、
「……もちろん鍵はかかってた。その時点でおかしいとは思ったさ。だから一度室内に戻って、もう一度くまなく探したんだ。だけどどうしても見つからなかった。……だから、パイパーに……」
「それであたしの所に来た、って訳ね、ホーソン。本当に寝る前に全員居たのは確認してるの? 間違いない?」
 念を押すようにパイパーが言うと、言われた当の本人は迷いもせずしっかりと首を縦に振った。
「間違いない。全員の顔を確認してから寝るのが日課なんだから。ゆうべ寝る前は間違いなくミーちゃんはいたよ」
 こうまで自信たっぷりに言われるとな……。
 ネコが施錠された部屋の扉を開けて外に出て、再度鍵を閉めるなんて芸当が出来ないのは知っている。となるとこの部屋は昨晩いわゆる“密室”だった訳だ。その中から人間の手を借りて抜け出す手段なぞ──
「なぁ、あんたの祖母……は今不在か?」
 辺りを見回しても、ホーソンと俺達以外の姿もなければ人の気配も感じないので聞いてみると、祖母は外に散歩に出かけているとのこと。毎朝の日課だそうだ。勿論それはホーソンが家を飛び出した後の話で、つまり俺とニックがパイパーと共に訪れる間の時間に起きた事だった。即ち、祖母は関係ない。
「ふむ……ジュリアン、室内を調べてみるか。こういう時は現場百遍。何か見落としていることがあるかもしれん」
 埒があかなさそうにニックが提案してくるので俺も乗る事にした。とりあえず家主であるホーソンに断りを入れてから、俺とニックは手分けして探すこととした。ニックは猫が居る……つまり今居る一階。俺はホーソンと祖母が寝る寝室へ上がることに。
 階段を上って別室に入ったものの、特にこれといって変わった様子はない。ダブルベッドが一つ──まさか祖母と一緒に寝てるのか? ──その脇には洋服箪笥が並べられてある。箪笥の上には無造作に銃火器の入ったバッグも置かれてあったりしてあるあたり、それなりに用心はしているらしい。
 見上げてみると、寝室の天井ではなく家屋のそれにはファンが取り付けられてあり、上に向かって換気を行う役目を果たしているが、やや高すぎてあまりその役目を果たしてそうにない。ないよりはましな程度だろう。頼りなげに動くファンから目をずらしてざっと見渡してみたが、ネコの姿はおろか何一つ変わった所は見受けられない。
「ニック、どうだ?」
 下方に声を飛ばすと、すぐに「何もないな」と返事が返ってきた。彼の口調からして、これといった発見がないのが窺える。たかだかネコ一匹と高を括っていたのがこれほど厄介なことになるとは……。
「ブルーの方はどうなの?」
 ホーソンを慰めているパイパーがこちらを見上げて訊いて来るが、返事の代わりに首を横に振るしか出来なかった。ここじゃ何も見つからないため、俺は階段を降りて二人に合流することになる。ニックも俺も落胆の色を隠せなかった。そんな俺達を見て、パイパーもふぅとため息をついてしまう。
「見つからないのか……ミーちゃん……」
 二人がかりでも何も見つけられない事に、更に落胆するホーソン。その様子からは演技をしているようには見えない。
 一瞬だけ、彼が本当は何か関与しているのではと疑いもかけたが、よくよく考えればそれは有り得ない事だ。万一、彼が関わっていたのなら、わざわざ自分に疑いの目を向けるような証言──寝る前は必ず居た事、朝起きた時には室内に鍵はかかっていたという事──はしないだろうし、万一、彼が嘘をついていたからといってこちらが損をするような事でもない。
 つまり彼は嘘をついていないという事だ──じゃあネコはどうやって居なくなったというんだ? 寝ている間に誰かが鍵を開けて連れ去ったとしたら? だったら何故一匹だけ? 一匹だけじゃなくても全部奪ったって構わないじゃないか? 持ち去る事が出来なかった……? どうして?
「ホーソン、一つ聞いていいか」
 ぐすぐすと鼻をならしながら涙ぐむ彼に声を掛ける。声を詰まらせたのか彼は黙って頷いた。
「ミーちゃんを昨晩最後に見たのはどこら辺だ? その後ミーちゃんは自分の寝る位置に移動したりする?」
 尋ねると、彼は洟を啜って、指を差した。「そこで……いつも寝てる。ネコにとっては狭い場所だから申し訳ないと思っているけど、いつもそこで寝ているのは間違いない。他のネコも自分の寝床を決めているしな」
 指差したのは小さいカウチの上。背もたれも何もついてない四角い背の低いソファだった。入り口である扉からはさほど離れてはおらず、扉が開けばすぐぱっと出て行ける距離だ。しかし室内は施錠されていたため、逃げた線は考えにくい。
「う~ん……何も手がかりなしで居なくなるなんて、何でだ……」
 頭をかきむしりながら、俺はふと頭上を見上げ──すぐにおや、と思った。
 ホーソン邸は、扉がある入り口の屋根はさほど高くはなっておらず、部屋の奥にいくにつれ屋根が高くなる構造になっている。これは雨が降った際に水が屋根に残らないようにしているのだろう。何せ屋根はトタン貼りだ。水が残れば腐食で錆ついてしまい、雨漏りがおきてしまう。それを防ぐ為の勾配がかなりきつく作られてあった。それはいいのだ。
 俺が気になったのはその屋根の扉側に程近い場所。何枚もトタン板が敷き詰められている部分が僅かに──隙間が開いていた。雨でも降ればはっきりするだろうが、いや、雨が降っていなくても外の光がうっすら漏れているのだ。
「ニック、あれ」
 ニックに指を差した方向を見てもらうと、彼の表情は怪訝そうに曇らせた。その後お互い何も言わずにホーソン邸の扉を開け、外に出る。
「ちょっとどこに行くの、ニック、ブルー?」
 声を上げるパイパーを無視して、俺とニックは外に出てすぐ扉を閉めた。他の猫が逃げ出さないようにだ。……まぁ逃げる様子は全く見受けられないのだが。猫にとってもホーソンの家は居心地のいい場所という事だろう。
 そのホーソン邸はスタンドの階段の先に作られた家なだけあって、扉を開けるとすぐ階段という、慌てて飛び出すと転げ落ちかねないちょっと危ない家だった。なので扉を出るとすぐ階段を一段下がった形になってしまう。
 それでも何とかジャンプして屋根の端を掴み、腕の力だけで屋根の上に上がると、俺はニックに向かって手を伸ばした。
「掴まるんだ、ニック」
 ニックは人造人間のせいか普通の男性に比べれば三分の一くらいの体重なため、自分の時よりも楽に彼を屋根に引き上げることが出来た。しかし長時間、薄いトタン板で張られた屋根の上に大の男二人も居たら荷重で屋根が押し潰れてしまいかねない。
とりあえず先程屋内で見た屋根の位置を確認しないと──と目を配らせようとした時、
「ジュリアン、足元を見てみろ」
 ニックが先に見つけたようで、どれどれと足元を見てみると──明らかに人の手か何かによって、トタン板がずらされた跡があった。外側のトタン板は整然と並べられてあるのに対し、扉に程近い一部の屋根が横にずらされている。釘も抜かれている辺り、確実に人の手で屋根を動かした跡だ。──そして、そのすぐ横に。
「ちょっと待て、ニック。……これって、血か?」
 屋根の上には点々と血が落ちていた。そして血と一緒に、何かの肉片らしき小さな破片がいくつか落ちている。ニックが黙って血の跡に触れて指で擦ってみると、ずりっ、と血の跡の形が崩れ、彼の指に赤いものが纏わりついた。「……間違いなく、まだ新しいな。昨晩は雨も降らなかったから、何者かが屋根に上り、ここで血を流すような事をしたという訳だな」
「じゃあこの肉片は……まさか……」
 そこから先は言葉が出てこなかった。恐る恐る肉片を拾ってみると、まだ新しいもののようで……ん? この独特の臭いは……
「これ、猫のじゃない──まさか、モールラットの肉片か?」
 気づいて慌てて放り出してしまう。……モールラットの肉は焼けばそこそこ美味しいのだが、生の状態で食べれるシロモノではない。放射線に冒されているし、鼠特有の地中に居る際に身につく形容しがたき匂いは文字通り“鼻が曲がる”くらいの臭さときたもので、しっかり焼いて匂いを飛ばさないと食欲すら失せてしまう。まぁ、中にはその臭いが好きだという奇特な奴も居たりするものなのだが──
 それでも数ある肉の部類の内、味はさほど悪くはない。ラッドローチの肉だけは未だに俺は手を出せないし、死骸から肉を引きずり出す気にもなれないけど、まだモールラット程度なら手にすることはできる。一応。でも臭いが手袋に付くのは嫌だ。
「……屋根の上にモールラットの肉片、しかも何者か分からないが血痕まで付着してある。怪しいな、この事件確実に第三者が関わってるようだぞ、ジュリアン。なんとなくだが、猫が消えた原因も分かってきたな」
 ニックの言葉に俺は深く頷いてみせる。
「ああ。誰かが故意にこじ開けた屋根の周りにあるのは血痕と、肉片、そして開けた屋根のその真下はどうだ──ホ“ミーちゃんの寝床”も、他の猫も寝る場所の真ん中だ」
 作られた密室なんかではなかった。そう、この世界の建物はたとえ密室であっても脆く、崩れやすい。それを逆手に取ったのだ。屋根をこじ開けてその隙間から猫を──
 そこまで考えてはっとした。ニックも同じだったようで、表情を曇らせる。
「急がないといかんぞ、ジュリアン。もし俺とあんたが考えている事が一致しているのだとしたら──持ち去られた猫は感染症か出血多量で死ぬかもしれん。我々に残された時間はあまり多くはないという事だな。
 このヤマはどうやら周到に計画されたもののようだ。何としても猫を救い出さなきゃならんぞ」
 ──鼠の肉を釣り糸のようなものに刺し、屋根の上から垂らす犯人の姿が容易に想像できた。そしてそれに噛み付いたミーちゃんは……
 犯行の手順は分かった。しかしまだ分からない事だらけだ。何故猫をそこまでして奪う必要があったのか。正面から頼むことはしなかったのか。そして犯人は何が目的なのか……

 僅かに、だがしっかりと昇っていく太陽はまるで、攫われた猫の命のタイムリミットを示すかのように輝き、その日差しを俺達に容赦なく降り注いでいた──


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一応話の流れは全部頭の中に入ってるのですが、いかんせん中の人が書くのが遅くて今回も遅いです。あまり進んでいません。ちゃんとオチは考えているのにそこまでいくのがちんたらすぎて読む人がだれなければいいけど、とちょっと心配です;;

 ということでなんとか今週も無事定期更新日に記事を上げることが出来ました。
 といっても相変わらずのFO4ばっかりですいません。
 この話が一段落したらスカイリムも書いていかないと@@

 そんなFallout4、本日初のDLCが出ましたね。
 とりあえずまだ全然中の人メインも進めてないので、のんびりやっていきますw

ではまた次の更新日に。


ちなみに今回の密室云々、
むかーしこういう「密室トリックで完全なんだけど、実は欠点があって」というのに今回はちょっと似せてますけど。それはかなり無茶振りの話だったし、ウェイストランドだと完全密室なんてないだろうという事でこんな形を取らせていただきました。なので全然ミステリではないですね、これ。

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