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SkyrimとFallout4・76の二次創作メインブログです。 たまにMODの紹介も。
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05.18.03:07

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  • 05/18/03:07

02.28.19:55

強さの意味は


 ふ、と。痛みがちくりと胸を刺す。 
 その痛みの元は、嫌でも自分について回る──今自分が置かれている現状、そしてそれを脱却する手段。
 考えるだけで、自分を見失いそうになる。そういう時締め付けられるように胸が痛むのだ。
 なんで目覚めた? 何故俺はここで目覚めなければいけなかったのだ。何で俺をそっとしておいてくれなかった──そう自棄になったことも一度や二度ではない。
 普通の人間ならとっくに発狂していてもおかしくなかっただろう。じゃあ俺は何で発狂していないのかと第三者の冷めた目で自分を見つめたことも一度や二度ではない。何故自分はここで今生きているのか、と。
 何もかも失い、何もかも変わってしまったこの新しい世界で──生きていくのは簡単な事ではないと気づくのは遅くなかった。Vault111から出てきたときは、この世界で生き残ったのは俺だけなんじゃないかと寒気を覚えたほどだ。
 それでも必死にこの世界を歩き回り、やがて孤立無援な俺を──助けを求めて虚空に向けて突き出したこの手を、握り返してくれた人が現れた。210年ぶりに目覚めた素性も知らない俺に助けを差し伸べてくれた人が。
 そして彼らもまた、この世界で必死に生きようとしていることも。──俺は彼らとなんら変わりはない。けど知識はあった。体が覚えていた。闘うことを。生き抜く力を。
 それを役に立てるのなら──いや、違うな。俺がやろうとするより遥か以前から、あんたはそういう人達を助けていたんだったよな。
 そうだろ? ニック。……だから俺はあんたと手を組むことにしたんだ。俺の手を握り返してくれた人と。

けど、ニックを取り巻く世界はあまりにも厳しすぎて──

「はん、人造人間なんかを連れまわしているのか。あんた、正気か?」
 はっ、と我に返る。
 一瞬自分が何処にいたのか忘れていた。胸の痛み……そう、ついさっきまで俺は背後にある扉の向こう側にいたんだった。
 赤く染められたスポットライトに、怪しく光るその建物の扉──扉までご丁寧に赤い──の上にはその館の名称が記されてあった。メモリー・デン──人の潜在意識に潜む記憶を掘り起こし、対象に見せることが出来る装置を扱った場所。
 胡散臭いとさえ思っていた──実際ケロッグの記憶を見るまでは。
 実際、その装置でケロッグの記憶を見ることが出来たし、それによって息子ショーンの行方を知っているかもしれない人物の元へ行くという指標が立てられたのはいい収穫でもあり僥倖だった。
 ……しかし、肝心のケロッグの記憶を見るために体を張って奮闘してくれたニックは相当疲弊したらしく、建物を出る前からずっと無言だった。……無理もない、ニックは俺に、ケロッグの記憶を見せようと彼の記憶媒体を自身のメモリーパックに埋め込んでくれたのだ。
 体に異物が入った際、ヒトの体とてそれを排除しようと何日も寝込んだりするものだ。ニックは人造人間とはいえ、負担がないとは言い切れないだろう。
 そんなタイミングに限って──俺に、たった今メモリー・デンから出てきた俺になれなれしくも口を利いてきたのは、このメモリー・デンがある集落──といっても差し支えないだろう──グッドネイバーを見まわりしている自警団の男の一人だった。彼らはいつも気さくに話しかけてくるのは普段気にする程度の事でもないのだが、今日に至ってはタイミングが悪すぎた、といっても差し支えあるまい。
 俺は思わず柳眉を片方吊り上げ、相手を睨み付けた。
「それは、ニックの事を言ってるのか」
 口調が気に入らない態度のそれだったのは自分でもわかっていたのだが、それを向かって放った相手が気づかない訳もなく、
「……ああ、そうだが? それがどうした」
 それがどうした、だって? ……さっきまで見せられたケロッグの事、ショーンの事、そして俺と、俺のためにがんばってくれたニックの努力を悪し様に言われた事で、俺は自分の機嫌が更に悪くなっていくのを知ってて止めようとはしなかった。
「ニックをインスティチュートの人造人間と一括りにするな」
 後から思い返すと、俺は何馬鹿なことを言ってるのだろう、と思うが──むきになってそんな説得力の全くない反論をしていた。
 口調がおかしい俺の態度を見て背後に突っ立っていたニックがおや、と何か不穏な感じに気付いたらしく、
「おい、ジュリアン、どうした?」
 ゆっくり近づいてきて話しかけてくる。が……俺はその返事に応えもせず、相手を睨んでいただけだった。目を逸らせば負ける気がして──
「は? ……あんちゃん、正気か? まさかあんた、人造人間じゃ──」
「余程頭に恐怖心が溜まってるようだな、そこまで疑心暗鬼になるほど怯えてるってことか?  それでグッドネイバーの自警団名乗っちゃっていいのかね?」
 嫌だ、そんなことまで言うつもりじゃなかったのに。
 怒りは収まるどころかどんどん膨らんでいく。俺を人造人間呼ばわりするとか笑いを通り越して呆れる。俺がケロッグと同じだってか? ふざけるな。
 それに……ニックを侮辱された事が自分の事以上に許せなくて、傍から見ればむきになっている子供となんら変わってなかったかもしれない。
「なんだと? 喧嘩売ってるつもりか、ええ?」
 ひけらかすように自警団の男は、手に持っていた銃──何の変哲も改造もしていないマシンガンだ──の銃口をこちらに向けてくる。しかしまだ引き金に指をかけてはいない。
「最初に吹っ掛けてきたのはそっちだろう? ニックに謝れ。ニックをインスティチュートの人造人間と一緒にするんじゃない!」
 腰に帯びている愛用の10mmピストルに手をかけようとした矢先、その手を腕ごとニックにむんずと掴まされたので俺自身が驚いた。
「ちょ、ニック……」
「止めるんだ、ジュリアン。騒ぎを起こせばここに居られなくなるぞ」
 そんな事関係ない。俺は──
「失礼するよ、こっちは疲れてるんでね」
 俺の手を力いっぱい引っ張って、半ば引きずるようにして自警団の男から引き剥がそうとするニックに、俺は抵抗することが──出来なかった。いや、腕を振りほどくことは出来たのだが……俺を引きずっていくニックの姿を見て、自分のしたことに打ちのめされていたからかもしれない。
 ニックを守ろうとしたことが、彼を傷つけてしまったのかもしれないという事に──

「……すまない」
 レクスフォード・ホテルの一室。
 俺は部屋を借りてそこで休んでいた……とはいえ自分が寝ているわけではない。
 ニックは俺をひきずったせいですっかり疲れてしまったため、半ば強引にベッドに寝かせたのだ。
 人造人間はヒトと違って寝ても体力が回復出来る訳ではないが、メモリーやセンサーのクールダウンや、やはり起きたままでいるのは人造人間とて体に不具合が出ることがあるようで、彼の探偵事務所には彼用のベッドもしつらえてあるのを俺は知っていた。
「何に対して謝っている?」
 俺の独白に反応して、閉じていた目を開いてニックがこちらを見る。暗い部屋でも輝くその瞳には瞳孔がない。丸い環をした黄色い光が二つ、こちらを照らすように光っているだけだ。それでも俺にはその瞳がとても温かなものに感じることが時々、あった。人間以上に人間らしいこの人造人間に、俺は何度心救われてきたか──
「変なごたごたにつき合わせちまって、大人げなかったかな……って」
 肩をすくめてそう答える。しかしニックは怒った様子は微塵もなく、淡々とした口調で、
「仕方ない。ケロッグの記憶を見せ付けられた後であんな事言われちゃな」
 混乱していたのだろう──そう言いたいのだろうか? それは違うぜ、ニック。「そうじゃないんだ。俺はニックが侮辱されているんだと思ったからあの男に言ったんだ。
 俺のために協力してくれたニックを、インスティチュートの奴等と一括りにしてほしくなかっただけだ。俺はただ、あんたを……守りたくて」
 守りたい? 自分で言ってて不思議だった。ニックは俺より遥か前にこの連邦で目を覚ました、インスティチュートに捨てられた人造人間だ。俺より連邦をよく知っていて、この場所で生き延びる術を沢山知っている奴に、たかだか半年くらい前に目覚めた奴が守りたいなんて言っても陳腐なものにしか聞こえないかもしれない。
 それはニックも同様らしく、ふふっと笑って返すのみだったので思わずこちらが恥ずかしくなってしまう。言わなきゃよかったか……と思った矢先。
「そういう好意は素直に受け取っておいた方がいいだろうな。……嬉しかったよ。実際ここ、グッドネイバーでも、ダイアモンドシティでも、俺を見る者は遠巻きに見つめてこちらを監視するように舐めまわす連中ばかりだったからな。いつしか俺は一人で行動するのが常になっちまってた。
 だからかな、ジュリアンが俺と行動してくれると言った時は正直、不安になったもんだ。俺と一緒に居てジュリアンに何か嫌なことを言う連中が出やしないか、ってな。
 そして案の定出た訳だが……あんたはそれを跳ね除けた。俺をインスティチュートと一緒にするな、とまで言うとは予想を遥かに超えていたがな」
 言ってて思い出したのか、ニックはくつくつと笑って見せた。嫌味も苦笑もない、心から笑っている様子にほんの少し自分が救われる気がした。
「……ニックが俺を助けてくれたから。俺もニックを助けようとしただけさ」
「あんたの昔いた時代ってのは、そういう輩が多かったのかな? だとしたらぜひともその時代に生きていたかったもんだ。……まぁ、その頃の記憶は残っているとはいえ、俺は実際この目で見た訳じゃないからね」
 記憶の中のニックは俺も知らない。だから俺のニックはあんただけだ。人造人間だろうがなんだろうが、俺には関係ない。助けてくれたから。俺の手を握り返してくれた人だから。
「まぁ、多分また、あんたの事を悪く言う奴が居たら今日のような事が起きるかもしれない。そん時は……目を瞑っててくれよ」
「……今日みたく銃に手をかけるような行為はやめてくれるというなら、好きにすればいいさ」
 いいながら、寝台の上を頭を転がすようにしてニックが顔を向ける。ばつが悪い気がして俺はこのときばかりは苦笑を浮かべるしかなかった。そうだな。銃に手をかけるのはやりすぎだったよな。
「ああ、好きにさせてもらうよ。……俺はニックと別れるつもりは毛頭ないからさ」
「……おかしな奴だ」
 照れくさそうにそう言い捨てて、ニックは再度目を瞑った。今度は目を開く様子はない。本格的に眠った──スリープに入ったといった方がいいか──ようだった。
 薄暗く狭い部屋の中、俺は椅子に座って彼をじっと見ていた。今度は絶対に手を離すことはない──妻やショーンと同じ目に遭わすような目は二度とさせないつもりだから、と。



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 最近ずっとFO4の二次創作ばっかりやってますね。すいません;;
 今回も例に漏れずニックと111のお話です。

 いやーーニックさん大好きなんですよもう。
 今現在プレイ中ではニックさんと行動をともにしてないんですけど(Perk取っちゃったし……)ニックさんが大好きでしょーーーーがないですw
で、最近はどんどんアヤシイ方向にいってしまって・・ニックさんと111のホモォでもいいから読みたいとか考えてしまう始末(大爆死

ニックさんとロマンスはないけど、ニックさんとロマンスあったら俺絶対離れないだろうなーとか考えながら最近はそんな方向のお話ばっかり考えてます。これもそのひとつ・・・いや、ごめんなさいw

そんな今回のブログ更新でした。
最近木曜日に更新できなくてごめんなさい。仕事の方が忙しくて・・
忙しいにかまけているのは好きじゃないんですけどね。自分の環境ももう少し変えていこうと思いつつ、なかなか一歩踏み出せない情けない俺ですが><

春が近いですからね、色々とゲームもリアルの生活も変えていければと思います。
なんかよくわからん締めになっちまいましたが><w

ではまた次回の更新日に。

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