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SkyrimとFallout4・76の二次創作メインブログです。 たまにMODの紹介も。
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03.29.15:05

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  • 03/29/15:05

05.29.00:05

Where is My Wished

……自覚なんてなかった。
  ただ、気が付いたら目で追っていた。
  そりゃ、最初は戸惑った。
  あれ? なんで俺あいつの事をこんなにも気にしてしまうんだ? って。
 でも多分それは、俺だけじゃなくて。
  誰もがあいつを必要としてて。
 そりゃそうだよなあって、思うと同時に、ほんの少しだけ自分があいつと同性じゃなければって、変な事も思ったりも……した。
 ひょっとすると、最初は憧れていたのかもしれない。
 でも今は違う。……どうしたって敵わない。人間性も、魅力も、そして銃器の扱いも、俺とは雲泥の差だ。憧れるだけでお前にゃ無理だって言われるのがオチだ。
 だから、って訳じゃないけど、そう諦める事でじゃあ、どうして俺はあいつの事をこんなにも気にしてしまうのか……その理由が分かったんだ。
 好きだと思う……ネイトの事が。

「まぁ、でも今更そんな事言ったところで……なぁ」
 らしくない事をしていると自分で自分に毒づきながら、俺はたった今、右手で握りしめているナイフで荒々しく芯を削り出した不格好の鉛筆を握りしめ、一人ごちた。その手の下敷きになっている擦り切れた紙切れの残骸には、今しがた自分が気持ちを整理するために書いた散文詩とも独白とも似つかない文章が不揃いに並んでおり、改めて見返しつつ、はぁと溜息をつく。
 なぁ、ルーシー……ダンカンの事を救ってくれたネイトには感謝してるさ。最初はそれだけだったんだ。でも……まさかこんな変な感情に突き動かされるなんて思ってもみなかったんだ、本当だよ。
 心の中で亡き妻を偲びつつ、自分の行いを少しだけ言い訳してしまう。
 そんな中、ふっ、と声が聞こえたので眼前を──といっても、粗末な木製の掘っ立て小屋のような建物の中にこれまた粗末な椅子とテーブルがあるだけの質素といってもおかしくない部屋の先にガラスが嵌められていない窓框の先だ──見ると、サンクチュアリのメインストリート(民家同士を繋ぐ通りは一本しかないためこう呼ぶのに相応しい)を歩いているネイトと、彼になにやら話しているプレストンの姿が見えた。大方、彼の力を借りたいのだろう。
 そう、誰もが彼の力を借りたがっている。そして、その成すべき事を成し遂げる彼の姿は雄々しく、誰からも慕われている。このサンクチュアリを頼って連邦中から人が集まってくる程なのだ……おかげでこのサンクチュアリは、大規模な居住区の一つに生まれ変わった。他の人間ならこうは出来なかっただろう。誰もが自分が生きるのに必死で、周りに手を貸す余裕なんてなかった。それを成し遂げたのが──彼なのだから。
 などと何とはなしに、彼の姿をじっと見ていると、プレストンと話していたネイトが手を振って彼と別れると、まっすぐこちらに向かってきた。まずい。
 慌てて机にある紙切れを掴んだのと、ネイトが俺のいる部屋に入ってきたのはほぼ同時だった。
「マクレディ、仕事だ」
 部屋に入ってくるや否や、いきなりそんな言葉を出してくるこいつもどうかと思うが、それよりも俺は手に掴んだ紙をくしゃくしゃにして丸めている最中だったので、ネイトは口を開けたままぽかんとした様子で俺を見ている。
「し、仕事? 俺じゃなくて他の奴と行けよ」
 心にもない事を呟いてしまう。悪い癖だった。そんな事思ってもいないくせに口から出るのは心とは正反対の台詞。……ああ、わかってる。好きなのに正反対の事をするって幼い奴、って言いたいんだろ? そんな事自分でわかってるさ。こういう心と裏腹の言葉が出てしまうのは、自分の本心を気取られないため……大人がやるような事じゃない。けど、相手は俺よりずっと上の人で、そんな奴がこうして常日頃俺を頼ってくる訳だ。少しくらい拗ねる態度を見せても悪くない……筈だ。俺は一度あいつから受け取ったキャップを返しているし。
「……何してんだ?」ネイトが開けた口をぱくぱくさせた後、ようやく言葉を発してきた。その様子がどこか海で見かけた魚のような感じがして、思わず頬が緩みかけたが、
「べ、別に」
 余計な事を言えば何か探られると思った為、それ以上何も言わないに徹することとした。ネイトはきょとんとしていたが、すぐに気を取り直して再度俺に仕事の話を持ち掛けてくる。いつものプレストンからの「お使い」だった。彼がミニッツメンとして活動するのは良いと思うし感心もするが、プレストンのお使いの頻度は多く、そしてネイトはその都度俺を頼ってきた。それ自体は嬉しいのだけど、プレストンに恩を売るのはあまりいい気持ちがしない。俺はネイトを頼る事は殆どないのに、プレストンは事ある毎にネイトを頼るその姿勢が戴けなかった。……なんてことは無い、自分が人を頼るのが苦手な行為だというのを知ってて、それをあっさり出来るプレストンに俺は嫉妬しているのだ。
「分かった、行くよ。ついていけばいいんだろ」
 半ば投げやりに──内心とは逆だと再度付け加えておく──言うとネイトはこくりと頷いた。彼は準備が出来ているようなので、俺は慌てて部屋の隅に掛けておいたライフルを手にする。片手にくしゃくしゃに丸められた紙切れは、思案した挙句ダスターコートのポケットに無造作に突っ込んだ。部屋に置いておくと誰かに読まれるかもしれない。自分が所持している事が一番安全そうだった。

 と、思っていたんだけど……最初に言っておく。俺はその時その事をすっかり忘れていたのだ、と。
 何せ相手は一筋縄ではいかない相手だ。見くびってた訳じゃない。けど、それが結果的にはいい方向に行ったのだから、良しとしよう。
 これはそんな、いつもと同じ旅路だと思っていたらあらぬ方向へ向かい……最終的にはこれで良かったんだろうな、と思える物語──


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 数年ぶりにブログ小説を再開してみました。
 ご無沙汰しとります。コミケが終わり、夏がぽっかりサマーポケットのように開いてしまうため、何か創作をしていないといけない病の禁断症状が出てきたため、本当に数年ぶりにブログ小説を書いてみました。
 え? 新刊のあらすじに沿った小説は書いてただろうって?
 まぁそうですけど、今回は特に本にするつもりもなく、完結までちゃんと書くシリーズです。

 前のブログ小説は主人公がネイトではなくジュリアンでした。これはプレイヤーキャラクターがジュリアンだったから、という意味でそうして住み分けしてましたけど、今回書くブログ小説はパパマク寄りなので(冒頭から見ればわかりますねw)主人公は必然的にネイトになります。
 まぁ前の小説を書いてた頃は自分も今ほどじゃなかったんですけど、いやー何と言いますか一気に沼に引き込まれたといいますかねー
 あの頃は必死でそれを振り払ってましたけど、抵抗せずパパマク沼に堕ちてからはもう今の状況になってしまったとw
 そういう訳なので、多分パパマク寄りのブログ小説は今回が初になると思われますw一応中の人が好きそうなフラグべったり回り道どっさりの話になりそうですが、完結は決まってますけど肝心の中身がまだあやふやですw 一応毎週更新を目指しますのでどうぞ、最後までお付き合いくださいませ。

 画像一枚くらいは無いとアレなので載せておくw
 まぁ拡大するとすさまじく酷い画像ですので、そのまま素通りをお勧めします・・w

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