04.18.22:02
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05.26.23:22
Retaliation
※Fallout4二次創作小説チャプター2です。その手の部類が苦手な方はブラウザバックでお帰りを。
これは第二章です。一章から読みたい方は前回の記事「Blood feud」からお読みください。
「嘘じゃねぇさ、覚えているだろ? まさか忘れたとは言わせねぇぜ」
これは第二章です。一章から読みたい方は前回の記事「Blood feud」からお読みください。
「嘘じゃねぇさ、覚えているだろ? まさか忘れたとは言わせねぇぜ」
パワーアーマーを着た男ははははと笑いながら突然、こちらにじゃきっ、と音を立てて銃口を向けてくる。……が、すぐに逸らしてみせた。
「どうやら隣のミニッツメンは知らないようだな、マクレディ。教えてやれよ、俺が誰なのかを」
再三名を呼ばれた彼は、びくりと肩を震わせながら……恐る恐る立ち上がり、視線を極力交わしたくなさそうにちらちらとこちらを見ながら、言った。
「……彼は、ブラフと言って、……ウィンロックと、バーンズの……居た、つまり、俺が居た……ガンナー一団の、ナンバー2だ」
やけに歯切れの悪い言い方をしている。──ウィンロックとバーンズの居たガンナー一団の……と言うことは、つまり。
「何ぼそぼそ言ってるんだマクレディ。こっちに聞こえるように声を張り上げてくれなきゃ分からんだろうが。……まぁいい。
ジュリアンだったか、ミニッツメンの将軍様らしいからな、こちらも改めて自己紹介しよう。……俺はブラフ。あんたの隣に居るマクレディと共に、ウィンロックとバーンズの下で働いてたガンナーだ。
悪いがあんた達をちょいと騙してここまで来てもらった。……あんたの隣に居るマクレディを赦す訳にはいかんのでね」
「ちょっといいか?」話に割り込む形で俺は声を張り上げた。ブラフと名乗ったパワーアーマーの男はどうぞ、と促すように手を動かして見せる。
「俺とマクレディがウィンロックやあんたらの仲間を倒したのは事実だ。けどそれはもう半年近く前の事なのに、それまであんたは今まで何やってたんだ?」
何だそんなことか、と男は呟いた──もちろん声は聞こえない。が、唇の動きからしてそう言ったのだろう。
「あんた達を探していたり、再びガンナーを纏め上げるのに時間を要していた、と言っておこう。……言っておくが、逃げられないぞ。姿は見えないだろうが、このホールだけで十数人あんた達に銃口を向けている奴らが居るからな」
十数人だと……? 努めて気取られないように辺りに気を配る。……物陰に隠れているのが数人見て取れたが、嘘やハッタリを言う理由も意味もないのは分かっている。
──つまり、俺達は包囲されていると言う訳か。背中を嫌な汗が流れ落ちるのを感じる。後ろにある出入り口は封鎖され、包囲されているとなるとこちらは黙って蜂の巣にされるしか無いとでも言うのか──
しかし、その隠れている相手がここから目視できない以上、危険な手を使う訳にはいかない。今はとにかく時間を稼ぐのだ。一瞬の隙を見計らえれば、勝機は見出せる筈──
「ブラフ! なんで今お前がここに居るんだ、お前は俺が抜けるちょっと前に連邦を離れて南へ向かっていた筈じゃないか!」
傍らに立っているマクレディが突然声を張り上げるので俺は思わず彼の方を見た。驚きと──心なしか、恐怖がない交ぜになった表情を浮かべている。……怯えているのか?
「ああ、お前の言うとおりだ。
俺と仲間は確かに南に向かった。お前は知ってるだろうが、ウィンロックとバーンズの、……つまりかつて俺達が居た一族の勢力を増やすためにな。
けど俺は向かわなかった。何で俺が行かなきゃいけないんだ、って後から思ってな。半月以上別の場所に隠れていて、その後何食わぬ顔で、ある事無い事言って仲間を見つけられなかったって報告をしようと一旦戻ったらどうだ、全員ぶっ殺されて、物資は殆ど蓋を開けられ盗まれている。──一目見てすぐお前だと察したぜ。お前、抜けたがってたし、何度かそれをウィンロック達二人に言ってただろ──それに」
それに? 俺とマクレディは次の言葉を待ったが、それはあっけない答えだった。
「お前の死体が転がってなかったしな。……後はもう、お前を探して殺すだけだった。仲間を集めてな。それと物資の調達に一番時間を取られちまった。おかげで随分間が空いちまったが、こうやって再びお目にかかれた、って訳さ、マクレディ」
「俺は会いたくなかったけどな」そう言うマクレディの声は若干、震えている──刹那、思い出した。
──俺が始めてマクレディを見た時だ。グッドネイバーのサードレールにある個室で、彼に詰め寄るウィンロックとバーンズの姿。それに対応する彼は威勢はいいものの、若干声が震えていた……あの時と同じだ。俺はそう確信した。
彼があの二人からの報復を畏れているのは分かっていた。けど彼らは俺達が共に殺したはずだ。まさかそのナンバー2が今頃になって現れるとは……しかも報復という形で。
「残念だなぁ、マクレディ。俺はお前の射撃の腕を買ってたんだぜ、お前と俺ならウィンロック達よりも上に行けるんじゃないかってな。……本当に残念だよ」
言いながら、再び銃口をこちらに向けた──と同時に、階上の廊下に隠れていたガンナーが一斉に立ち上がり、こちらに銃口を突きつける。……その数、ざっと十二人。
背中側の、Vaultを出る唯一の手段のエレベーターへ繋がる道は閉じられたままだ。つまり背中を向けて逃げても撃たれて即死と言うこと。……なら前に逃げるしかない!
「マクレディ! 逃げるぞ!!」
俺が言うのと、ブラフが「撃てーーーーーーーっ!!」と声を張り上げるのはほぼ同時だった。声に応じて、ブラフの仲間が階上から一斉に掃射を始めてくる。
だだだ、とフルオートに改造したパイプピストルの銃口から一斉に鉛の弾がこちらめがけて飛んできた。その弾道を肉眼で見ることは出来ない。──しかし、僅かながら俺がマクレディの腕をつかんで走り出した方が早かった。僅差で今まで身を隠していた、テーブルに鉛の玉が叩きつけられ変形していく。文字通り蜂の巣にされるところだった。
走りながらラウンジの向かって右側、レジスター等が置かれてある食堂のカウンターに彼と自らを押し込むようにして身を隠す。カウンターは階上の右側通路の下に位置するため、少なくともこれで四方八方から掃射される心配はなくなる。隠れしな、銃口のみカウンターから突き出して左側の通路で攻撃してるガンナーの頭を狙い済まし、撃つ。ぱしゅっ、と空気の震える微かな音の直後、狙った敵は頭部の肉片と血液を四散させ倒れた。
「隠れてないで反撃するんだ。それとも怖気づいたのか? マクレディ」
と、カウンターの下で身を竦ませていたマクレディが俺の一言ではっと気を取り直した様子で、手にしたライフルを構えて姿勢を低くしたままだが、正確に相手を射抜いていく。撃つ度に死体が廊下に転がる様は、舌を巻く程だった。
「……誰もがあいつを怖がってた。ジュリアンは知らないからそう言えるだろうが。
あいつのやり方は酷いを通り越して惨いものだった。通る道には惨たらしく殺された死体が折り重なっていくもんだから、狂犬とかあだ名を付けられた事もある。──ここを出たら教えてやるよ。もっとも、出られたらの話だがな」
ふぅん、と俺は間延びした返事をしたので、彼は気を悪くしたのか、誇張だとでも思ってるんだろう、と苛立たしげに言い返してきた。そんなんじゃねぇよ。
「なら、俺がそいつの首を捕ってやれば、お前は怖がらずに済むんだろ?」
……そう、言ったのはついさっきだった……いや、かなり前だっただろうか。屋内に居るせいか、銃撃戦を始めて最早何時間経ったのかすらよく分からない。
逃げ道がない以上、前に進むしかなく──俺達はラウンジを出て応戦した。最初は勝てると思っていたんだ。……けど、敵の数は予想を超えてあまりに多く──じわじわとこちらを追い詰めていった。
迂闊だったと言わざるを得ない。休憩中に依頼を受けたせいだというのと、相手がレイダーだと信じ込んでいたせいもあって、俺は必需品の補充を怠ってしまっていたのだ。Pip-boyからスティムパックを出す際残数も表示されるのだが、それがどんどん減っていくのに内心、苛立ちを隠せなかった。攻撃の合間、死体から奪おうにも、不思議なことにガンナー達はスティムパックを一つとも持っていなかったのだ。銃弾や武器はたっぷり補充できたものの、何故回復薬が無いのか──考えればすぐに察しがつく。
俺達が死体から奪うものを極力減らしている……つまり、スティムパックや携行食糧を得て延命しないようにしているのだろう。ましてこのVaultは廃墟となって随分経っている。漁ったところで何も見つからないまま徒労に終わるのが関の山だ。
ガンナーの数は徐々に減っていったが、それと同時にこちらの回復薬も減って言ったのは事実で……
どれほど進んだかわからず、気付けばVaultの最奥部まで来ている気がする。あちこちの部屋で隠れ、隠れながら銃弾を撃ってきたが、いつしかスティムパックの残量は1個までになっていた。
身体や、手にしたコンバットライフルは返り血と汗でべとべとになっている。それは傍らに立つマクレディも同じで、はぁはぁと息を弾ませながら、隠れている壁際で廊下を走ってくる者達の足音を聞きつけては、銃口を向けていた。
「ちょっと……きついな、マクレディ」
笑みを浮かべながら、照準を向けて一発放つ。音も無く走り寄ってこようとしたガンナーは廊下でくず折れた。
「……今頃になって弱音を吐くとか、本気か? 俺なんてもうさっきからずっときついって思ってるのに」
わざとおどけた口調で返してくるマクレディ。
互いにまだ致命傷を負っていないのは幸いだった。何度かスティムパックを使い、傷を癒しながら進んだものの──最早何人倒したかなんて把握出来てない。
奇妙なことにあのブラフはあれから一切姿を見せていなかった。どこかでこちらが弱るのを待っているのかもしれない。……早いところ、ここから逃げたほうがいいだろう。回復薬が無いのに強敵と戦うなんて無駄死にする行為はごめんだ。彼を倒すのはその後でも構わない。
態勢を整えてから倒しに来るでもいいだろうしな。……それまでここに居るかなんて分からないけど。
「ジュリアンさ、……鍵開け、うまかったろ」
ぽつりとマクレディが言った。疲労がべったりと顔に張り付いているが、まだ目は輝きを失っていない。
「ああ、それがどうした?」
「どうしたって、決まってるだろ。……エレベーターに繋がる唯一の道が閉ざされてるのは分かってるさ。それをこじ開けることが出来るか、って聞いてるんだ」
察しろよ、と言いたそうにマクレディは小さく舌打ちする。……果たしてあの扉に鍵穴があっただろうか。けど試してみる価値はありそうだ。
「成程な。試してみたいが──まだブラフとやらを倒してないんだぜ、どっかでこちらの動きを探ってるかもしれない」
と言ってみたものの、怖気づいたのか、とマクレディに言われてしまう始末。さっきまで震えていたお前に言われたくねぇよと言い返すと、彼はむくれた様子で部屋を飛び出した。
「大分殺したし、今のところこっちに近づいてくる足音も聞こえない。……今なら行けるさ、ジュリアン」
マクレディは鉄砲玉だ、と思ったことは一度や二度ではない。その都度反撃を受けたりしてその都度俺がスティムパックを与えるのもしばしばだった。今回ばかりはそうならない事を願う。今ここで反撃を返したとしても、回復する手立てがなければ、幾ら武器弾薬を持ち合わせていても致命傷で死ぬ事に変わりはないからな。
「分かった。……姿勢を低くして隠れながら行くぞ」
ここで相手を迎撃してるだけじゃ無駄に時間を浪費するだけだ。長期戦となると、どうみても分が悪いのはこちらの方だし。
自分達が居るのは恐らく最下階の地下3階の居住区エリア。道なりに向かえばラウンジのあるホールに辿り着く筈だった。応戦しながら後退してきたせいで随分奥まで来ていたことに今更ながら気付く。
じりじりと腰を落とした状態で歩き、時折壁に隠れながら行く先を阻む者が居ないかを確認していくのは骨が折れたが、なんとかラウンジに出ること出来たのは幸いだった。途中見つけたのはガンナーの死体ばかり。
ホールに入る前、壁から顔だけをそっと突き出してざっと周囲を見渡してみる。──二階部分にある廊下には誰の姿も見えない。死体がいくつか転がっているが、ぴくりとも動く様子が無い、……ブラフは何処に行ったのだろうか。ここからだと向かい側の廊下しか見えないため、自分の今居る頭上に居ないとも限らない。
“マクレディ、壁側を沿って進むぞ”
小声でそう告げてから、先ほどラウンジから出た方法を今度は逆に進み音を立てずそろりそろりとラウンジからエレベーターへ繋がる扉に近づく。勿論扉は閉まったままだ。鍵穴らしきものがないか目を配ると──あった。恐らく緊急用の電源が無くても手動で切り替えるためのものだろうが、確かに鍵穴がある。何とかなりそうだ。
“ジュリアン、出来そうか?”
マクレディがこれまた小声で心配そうに訊いてくるので、俺は黙って頷いてみせる。その途端、彼の表情が和らいだ。極度の緊張状態を長く保てるほど、いくら戦場に場慣れしている者とてそう耐えられるものではないのだ。
そうと決まれば、俺はそろりそろりと扉に近づいていく。扉がある部分は頭上を隠すものもなければ、ラウンジの階上からは目を凝らさなくても姿を見られてしまうため、気取られないように注意深く一歩ずつ前へ進んでみるが、廊下には誰の姿もなく、動かない死体があちこちに倒れていた。ぽた、ぽた、と死体から流れ落ちる血が俺達の居る階下のに血溜まりとなっているのが、唯一動くものといえば動くものだった。
誰もいないと安堵して、俺は立ち上がり──扉に駆け寄る。マクレディも俺が警戒を解くと立ち上がって傍らでこちらの挙動を見守っていた。Pip-boyからヘアピンと鍵の変わりに回転させるためのドライバーを取り出し、その二つを差し込んだ瞬間──
ぞくり、と背筋を悪寒が走った。誰かに……誰かに見られている?!
ばっ、と背後を振り向いて──ラウンジの先、死体の連なっている部分に目を凝らすと、折り重なった死体の間から出ている黒く細長い──銃口。
「マクレディ!」
声を張り上げて彼を横に突き飛ばすのと、死体の山からこちらを狙うスナイパーライフルの銃口からダーン、と音を立てて鉛の弾が発射されたのはほぼ同時で──どっ、という衝撃と共に右足の脛にその弾が当たった感触と衝撃が同時に押し寄せ、次の瞬間には扉に全身を叩きつけられていた。
脛と背中に激痛が走り、瞬間息が止まる。意識が朦朧とする中、死体を掻き分けて立ち上がる、パワーアーマーの男が下卑た笑いをホール中に響かせていた──
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ごめんなさい。前中後編になっちまいました。まさかここまで回りくどくなるとは(読んでる方には申し訳ない・・
こんな長ったらしいの読む人がいるかわからんですが><
最近のジュリアンさん(中の人)はマクレディに傾倒してもう離れられませんorz
なのでずーとマクレディの話しか考えてない有様で・・コミケ受かったらマクレディ本を作りそうで怖いです;;
ゲームのほうはというと、新サバイバルモードが(つまり1.5が)出たのでそっちでプレイしてます。新サバ面白いです。マゾいゲームとなると燃えるのがジュリアンさんなので(笑)
今度近々ゲームのほうもここでプレイ日記書いていけたらいいなぁ・・・なにせ今のところFO4の記事は全部二次創作ばっかりだからww
そんな今週久々にまたまともに更新日に更新できました。
次回もお楽しみに。
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ごめんなさい。前中後編になっちまいました。まさかここまで回りくどくなるとは(読んでる方には申し訳ない・・
こんな長ったらしいの読む人がいるかわからんですが><
最近のジュリアンさん(中の人)はマクレディに傾倒してもう離れられませんorz
なのでずーとマクレディの話しか考えてない有様で・・コミケ受かったらマクレディ本を作りそうで怖いです;;
ゲームのほうはというと、新サバイバルモードが(つまり1.5が)出たのでそっちでプレイしてます。新サバ面白いです。マゾいゲームとなると燃えるのがジュリアンさんなので(笑)
今度近々ゲームのほうもここでプレイ日記書いていけたらいいなぁ・・・なにせ今のところFO4の記事は全部二次創作ばっかりだからww
そんな今週久々にまたまともに更新日に更新できました。
次回もお楽しみに。
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