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SkyrimとFallout4・76の二次創作メインブログです。 たまにMODの紹介も。
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04.26.23:47

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  • 04/26/23:47

08.31.03:12

Threat.

※Skyrim二次創作小説第3チャプターです。その手のモノが苦手な方はブラウザバックでお帰りを。
1話から読みたい方は「Taken.」からお読み下さい。

 ザッ、と風を切る音。直後、ざくっと何かに突き刺さる鈍い響き。
 オォォ……と叫ぶ異形の敵は、致命傷だったのか痛みをこらえて思わず上げた断末魔。しかしまだ耐えられるらしく、よろよろとその場で身をよじりながらも、こちらに対する鋭い敵意の目を向けることを止めてはこない。
「っ……まだ倒れないのかよ」
 手にした両手剣を再度相手に向けようと力を込める。疲労を蓄積させないように腕をまっすぐ伸ばして構えるものの、ずしっとのしかかる両手剣の重さが腕の疲労を物語っていた。……長くは持ちそうにない。
「セラーナ、俺が斬りかかった後、魔法で援護してくれ。次こそ仕留めてやるからよ」
 傍らで魔法の詠唱を始めているセラーナに小声で話しかけると、彼女は返事をする代わりに僅かに頷いた。詠唱中は話すことが出来ないとこちらも分かっているため、そのまま再び異形の“敵”──ルーカー・ガーディアンというらしい──の方へ向き直り、間髪を入れず大地を蹴って走り出した。
 しかしルーカーはこちらの動きを読んでいたらしく、長い腕で身体を防護するかのように腕を交差し、身構える。そんな事をしたって無駄だ!
「これでとどめっ……!」
 走りながら剣を振りかぶり、一気に間合いを詰めて──振り下ろした時だった。
 腕が鉛のように重かったのを無理して振りかぶったせいではなかった。腕よりも自分の身体全体が悲鳴を上げていたのを今この時に──振り下ろす剣と同時に体勢を崩し、灰交じりの雪に足をとられて剣ごと前のめりに倒れこんだ瞬間に気づいたのだ。
 はっとした瞬間、既に剣は敵の脇を逸れ、代わりにルーカーの腕がこれ幸いと俺の右脇腹にクリティカルヒットしていた。
「がは……っ!」
 自分が走ってきた勢いと、ルーカーのアタックが相殺されたかのように一瞬、互いの動きが僅かに止まった。が、敵の攻撃の方が威力が凄まじかったらしく、成す術無く俺は無様に吹っ飛ばされてしまう。
 しかし幸いなことに、地面から足が離れる事なく殴り飛ばされたのもあって遠くまで飛ばされることはなんとか免れた。が、貫かれるような鈍い痛みに耐え切れずその場で倒れこむ。殴られたせいで胃液が逆流し、俺は息をする間もなく咳き込みながら口から胃液を吐き出すのが精一杯だった。
 吹っ飛ばされた影響で剣は俺の手から離れてしまっている。やや後方からがしゃん、と地面に当たる鈍い金属音が聞こえた気がしたが、それを取りに走れる体力なぞ残っていない。
 膝を着いて息を荒げる俺にゆっくりと、ルーカーが音も無く近づいてきた。武器を失い、肩で息をしている俺は既に刃向かう手段すら持たないと思っているようだった。……気取られるな。相手に隙を与えるんだ。
 息を整えようと努力しつつ、心臓は高鳴りを止めなかった。ルーカーがじりじりとこちらに近づいてくる姿から目を離さないまま、右手で腰に括り付けてある短剣をゆっくり引き抜く。カシッ、と鞘から抜き身が引き抜かれる僅かな音が響いたが、敵は気づいていない。
 ガーディアンは俺の足元でひたり、と止まると押し潰そうとでもするかのように、大きく腕を振り降ろしてきた。今しかない、右手に持ったダガーを振り下ろす奴の腕に突き刺そうとした刹那──光の粒がガーディアンの腕をざしっ、と音を立てて貫いた。いや、光ではない、それは光を反射する凍てついた氷の礫──
「ジュリアン! 何ぼさっとしてるんですの! 今ですわ!!」
 セラーナの声と、ルーカーの顔がぐるり、と彼女の方に向いたのはほぼ同時だった。敵の腕を貫いた氷の刃は簡単に溶けはしない。じわじわと貫いた箇所から凍らせるその魔法──アイス・スパイク──はセラーナの得意魔法の一つだった。得意なだけあってその威力は凄まじく、時々標的を間違って俺に突き刺さる場合もあるのだが、それがまた痛いの冷たいのなんのって……
 などと悠長な考えに耽ってる暇はなかった。ルーカーは俺よりもセラーナを先に始末しようと決めたのか、足早に彼女の方へと近づいていく。低い呻り声を上げているのは、痛みからくる悲鳴だろうか。
 とはいえこの僅かな間を与えてくれた事は有り難かった。俺は重い身体をよじるようにして立ち上がる。呼吸はまだ荒いが肩で息をするほどではなくなっていた。敵が気配を察してこちらを向いたと同時に、どん、とそいつの身体が揺れた。──ルーカーの巨体にぶつかる勢いで、先程から握り締めていた親父の形見である鋼鉄のダガー、その抜き身を敵の背中に突き刺したからだ。
 そのまま力任せに押し込む。手ごたえは確かにあったが人間のそれとは全く違う感触だった。抜き身が食い込む度、ばりばりと硬いなにかを突き破るような音が体内で鈍く響く。あまり聞きたくない音だった。
 先程セラーナに受けた氷の刃の時よりもさらに大声で呻き声を上げ、ルーカーがじたばたともがく。何せ背中に突き刺したのだ……相手は手も足も出せなかった。
 何度か無駄な抵抗を試みた後、ルーカーは体力が尽きたのか、抗う行為を突然止め、ふっ……と力が抜けたようにその巨体を地面に叩きつけた。どしん、と地響きがあがる。
「はぁ、はぁ、はぁ……」
 完全に力尽きたのを確認してから、俺は突き刺したままのダガーを引き抜いた。血すら流れない無機物の身体を見ていると不気味というより奇妙にも思えてくる。これもまた、ミラークの作ったモノなのだろうか……
「大丈夫ですの?」
 セラーナが駆け寄ってきた。途中どこかに落ちてたのだろう、俺の両手剣を差し出してくる。探す手間が省けた。
「ああ……、大丈夫だ。ありがとう」
 剣の柄を握って彼女の手から離れた瞬間、ずしりとその身の重さを感じた。腕が悲鳴を上げる程の重さじゃない筈なのに……
「……ルーカーも倒したし、岩の浄化をしないと終わらないな。下がってろ、セラーナ」
 そう、俺達はミラークによってソルスセイム島の島民が洗脳──操られているといった方がいいのか? ──されている原因であろう島の各地にある岩をミラークの呪縛から解くべく行動していた。これで三つ目の岩を浄化することとなる。
 ストルンから助言を得て、風の岩でスコール村の村人を解放させてから俺とセラーナは数日おきに岩を開放する作業を行っていた。
 だが、風の岩を開放してすぐ、俺は毎晩同じ場所の夢を見るようになった。以前はこの島で眠るとミラークによって岩や聖堂の復活作業をするよう操られていた事が、今度は夢の中で呪縛に苦しんでいる。……しかしそれは、ミラークが岩の浄化を止めさせようと、俺の夢に直接呼びかけているに違いない。
 だからこそ俺は岩がある場所まで出向き、優先的に浄化を行ってきたのだ。岩の浄化が全て済めば、ミラークの、島民や俺に影響を及ぼす力が無くなる筈だ──と。
 風の岩を浄化してまだ10日も経ってないのに、石を浄化するのは骨が折れる事ばかりの連続だった。ソルスセイムは小さい島とはいえ、岩は島のあちこちに点在しているし、北部は山岳地帯が連なっている事もあって平坦な場所は殆ど無く、挙句雪が降り積もっていれば自然と慎重に進まねばならず時間も食う。毎晩満足に眠れないのと、移動に時間がかかるのとで岩に着く頃には疲労困憊になっている事のが多かった。
 先程のように岩の浄化を行おうとすると現れる、ルーカーと今回で三度目の戦闘だったが、毎回僅差で勝てるような具合だった。セラーナの援護がなければ勝てていたかどうか……。
 などと悠長に考えている暇はない。今は岩の浄化を済ませないと。
 身体はよろよろと、まだ吹っ飛ばされた影響から脱せない状態ではあるが、俺は岩の前に立ち、叫んだ──“Gol.”
 発したはずの“叫び”は音すら出ず、しばしの間何の変化もなかったが、やがて岩の周りに覆われてあった緑色の光が力尽きたようにふっと消えた。それと同時にルーカーが出てきたと同時に倒れてしまった、島の人々が徐々に目を覚ましていった。
“服従”のシャウト、人々を操られる呪縛に陥れている原因──岩にかけられたミラークの力を解放させるに必要なシャウト。今はミラークの力から人々を解放させる程度の能力しかないが、段階を経ていけばやがて凄まじい力をも得ることが出来るという……ストルンはそう言っていた。
「やれやれ、終わったな」
 その場で座り込みそうな位疲弊している身体だったが、一度でも座れば立ち上がれなくなるのが分かっていたので我慢した。既に日は西に大きく傾き始めている。今からレイブンロックまで戻るのはきつい道だ。急がねばならないな。
 心の中で一人ごちりながら、俺は腰のベルトに括り付けてある薬瓶を取り出して口に含んだ。休息の薬──体力ではなくスタミナを回復させる生体賦活剤の一つ。眠れない日が続くようになってから、俺はこの緑色の薬瓶を口にする事が増えた。体力だけ回復しても、スタミナが減っていては打撃攻撃は力が入らないし先程のように、いざという時に倒れてしまっては今後に支障が出る──
「ジュリアン、こんなに無茶しなくてもよろしいじゃありませんでして?」
 岩の浄化をするために、一時離れてたセラーナが傍らに戻ってきていた。彼女は俺の顔と口に運んでいる緑色の薬瓶を交互に見ている。
「……無茶してるって? 俺が?」
 努めて平静に答えたつもりだったが、彼女は最近よく見せる、俺を気遣うような心配するような眼差しで見据えたまま、
「ええ、何かにとり憑かれたかのように岩の開放に躍起になっているみたいに見えますわ。まるで何かに怯えるように……」
 数日前、セラーナの目前で見せてしまった醜態のことを言っているのだとすぐに気づく。情け無いよりも今はただ──怖かった。夢が夢でなくなるような気がした。だから俺は浄化を続けるしかなかったのだ。
 普通なら馬鹿げていると思うであろう事を、今の俺は否定ができないから。
「……怯える事なんてないさ。暗くなる前に帰ろうぜ、セラーナ。山の天気は変わりやすいからな」
 目が覚めた島民達は首を振りながら、自分が何故この場所に居たのか分かっていない様子で帰路についた。リークリングの姿も見えたが夢から醒めたかのようにぼんやりとした足取りでいずこかへ去っていく。俺とセラーナも帰巣本能に従って歩いていく島民の人に倣うようにして岩から離れた。
 セラーナは納得しない様子で俺の後方をついてきているが、俺は彼女の顔をまともに見れなかった。気遣ってくれる彼女の気持ちは素直に嬉しい。それなのに何も言えないのは失礼だと分かっている。なのに──この時の俺はまだ、自分のプライドが許さなかった。話せば夢が現実になりそうな気がしたのだ。
 意を決して打ち上げて、彼女が笑い飛ばしてもらえたらどんなに気が楽になるだろう……。
 そう思った事も何度もあった。でもミラークの力が計り知れない今、迂闊に話すべきでないのも事実だ。現に島の住人が眠れば、聖堂や岩を再建する為に操られてきている。
 今の俺に出来るのは、一日も早く岩を浄化し、ミラークの力を取り戻そうと操られる島の住人たちの呪縛を解くことだ。それが終われば俺も安眠できるようになる。きっと。
 今夜も眠れないのだろう。そして夢でまた──ミラークが俺を脅してくるに違いない。岩の浄化を止めようと……


『……それ以上刃向かえば、次目覚めた時、貴様は青ざめるだろう。
守りたいものを守れず消え行く自分の愚かさと、守りたいものがじわじわ嬲られていく、狂気の有様を!!』


「……にをするつもりだっ!」
 口から出た言葉に目が覚めたのは、これで何度目だろうか。目を開き、仰ぎ見るといつもと変わらぬ光景。セヴェリン邸の寝室の天井。
 しかし今回だけは違った。俺は慌ててベッドから飛び起き、汗で張り付いたチュニックを脱ごうともせず寝室の扉を開けた。
 その途端、
「ど、どうしたんですの?」
 自分が扉を開けようと思ったのだろう、右手をドアノブに向けて差し出した格好のセラーナと鉢合わせする感じになってしまった。ぎくりとする。まさか彼女の様子を見に飛び起きたなぞ言える筈が無い。彼女は俺の呻き声を聞いただろうか?
「え、あ、あぁ……水が飲みたくなって」
 咄嗟に誤魔化してみせた。セラーナはきょとんとした表情で俺を見ていたが、ふい、と突然背を向けるとキッチンのある台まで無言で歩いていく。何をするのかと思えば樽の中に入っている水をジョッキに入れてくれていた。
「また眠れないんですのね。……どうぞ」
 扉の前で所在無く突っ立っているのもあれなので、やむなく俺はキッチンの傍にある長椅子に腰かけると、彼女がテーブルにことり、と水の入ったジョッキを置いてくれる。飲まないのも変なので一気に呷ると、思いの外自分の喉が渇いてたのだと気づかされる。
「──ジュリアン」
 と、セラーナがテーブルを挟んで向かい側に座った。じっとこちらを見据えている。帰りがけに見せたあの視線と同じ……
「……これで十日以上、ジュリアンは満足に眠れてませんわね? あなたは私と同じ闇の眷属に入った訳でもないのに、毎晩うなされて汗びっしょりで目覚めてばかり。なのに私にその理由をいつまで経っても教えてくれないのは何故でして? そんなに話したくない事なんですの?」
 いい加減、何でもない、で済まされる状況でないのは分かっていた。彼女も本当なら俺から言ってくれる事を待っていた筈だ。しかし言わないばかりか、毎晩夢にうなされ、挙句起きている時は戦闘を行うのもやっと……普通なら体力回復を最優先することを、俺は岩の浄化ばかりに捉われている──と思われてもおかしくはない。
 全てをあらいざらい話したかった──けれど。先程夢に見た、ミラークの発した言葉。
『次目覚めた時、守りたいものがじわじわと嬲られる──』 
ぞくりと悪寒が背筋を這う。間違いなく俺に対しての脅迫だった。あいつは知っているのだ。俺が命を賭して守りたいものが何なのかを。そして、次に俺が目覚めた時……つまり、これから先。
「セラーナ、頼みがある……」
 え、とセラーナの口から意外そうな言葉が漏れる。──こんな事、絶対に言いたくはなかった。言う事もないと思っていた。彼女に対して出来ることはこれしかないのか、と諦めたくない気持ちと、これしかないんだ、と決心した気持ちがせめぎ合っていた。──でも俺の腹は既に決まっていた。これしかないんだ。
 俺は彼女の視線を受け止めようと、まっすぐその目を見て、穏やかに言った。
「別れよう」と。





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遅くなって本当にすいません(すいませんといってるけど読んでくれる奇特な方がいらっしゃるのかどうか^^;
今回は本当にココまで来るのにめちゃくちゃ難産で・・頑張りました。一応結末まではしっかりプロットあるのでちまちま書いていきます。どうぞよろしく。
そして現在夜中の3時(笑)おやすみなさい。

ご感想その他意見いつでも大歓迎デース!

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