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SkyrimとFallout4・76の二次創作メインブログです。 たまにMODの紹介も。
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04.23.22:59

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  • 04/23/22:59

09.19.00:19

reality.

※Skyrim二次創作小説第6チャプターです。その手のモノが苦手な方はブラウザバックでお帰りを。

これは第6話です。1話から読みたい方は「Taken.」からお読み下さい。(二次創作カテゴリから楽に飛べます)
 

 黙って後からついて歩くだけではあったが、セラーナは村から出て西側に山道を歩いている事に気づいていた。……最初は水の岩から向かうようだ。吹雪でよくは見えないが、ちらっとミラーク聖堂が右手に見える。
 あれからストルンに何度か話しかけようとするものの、吹雪の音で掻き消されて全然伝わらなかった。──最も、今話しかけたところで先程のように立ち止まって話してくれる状況ではなさそうだ。ジュリアンが岩の浄化を行う事を止めさせないといけないらしいが、何故止めなければいけないのか理由が分からずじまいのセラーナは置いてけぼりを食らった感が否めなく、ほんの少しではあったがストルンに対して憤慨していた。
「ここを抜ければすぐだ。西に向かうにはこの山道が一晩楽だからな」
 大声で先導を行くストルンが叫ぶ。ザッと吹雪の音で聞きづらい点も否めないが、何を言っているかは大体は予想がついた。
 水の岩はスコール村から見て真西に位置する。荒波押し寄せる海岸に置かれた岩ではあるのだが、スコール村からやや手近な太陽の岩より水の岩を優先させたのだろう。ジュリアンの体力面からいっても、水の岩から浄化させると踏むのは至極当然に思えた。
 もしかしたら水の岩を開放して今日は終わりにするかもしれない、躍起になっているとはいえ体力が持続しないのは明らかだし、今まで共に戦っていたセラーナは彼の傍にはおらずここにいる。──別れを告げられても尚。
「こんな雪の中進んで道に迷ったりしませんわよね? 凍死はご免ですわよ」
 辺りは真っ白で何の目印になるものすら見えないのにずんずん先へと進むストルンに、セラーナは愚痴っぽく言った。ジュリアンから借りた外套を被っているとはいえ、吹き込んでくる凍てつく風は容赦なく二人を攻め立てる。こんな状態で迷われたら一巻の終わりだ。
「大丈夫だ、この山を抜ければあとは下るだけだ。そうすれば水の岩は山の中腹あたりにある、すぐに着く」
 長年厳しい土地で生きているだけあって、土地勘は優れているようだ、どこをどう見ても変わり映えのない山岳地帯だが、ストルンには今何処を歩いているかはおおよそ分かっているのだろう、セラーナはひとまず彼を信じる事にした。
 辺りは白一色で自分が今歩いているのは山なのか丘なのかの区別もつかない。これだけ白い世界だと一歩踏み出したらそこは崖で転落してしまわないだろうか、と一抹の不安がよぎるが、ストルンはそんな事すら臆さない様子で歩いている。この道中がいつ終わるのか、とセラーナが半ばうんざりした時、吹雪が小止みになってきているのに気づいた。
「峠は越えたぞ、セラーナ。あと一ふん張りだ」
 ストルンがこちらを向きしな、彼女を励ますように言った。その顔はフードを被っていても雪でまみれている。伸びた髭にも細かな雪の結晶がくっついていた。
 セラーナが黙って頷くと、黙ってストルンは再び前に向き歩き始める。ぱらぱらと雪を降り散らす空を仰ぎ見ると、うっすら太陽の光が見えた。既に東の空からぐんぐん上がって真上手前まで来ているのが分かる。
 急がなければ、とセラーナが思うと同時に耳にざざ……と何かが押し寄せる音が微かにに聞こえてきた。……海?
 と、にわかにストルンがざっざっと雪積もる地面に音を立てて走り始めた。目的地が近いのだろうか、セラーナも走ろうと思った矢先、
「着いたぞセラーナ、水の岩だ!」
 着いたぞといっても目前に岩があるわけではない。見える範囲にあるという事だろうがセラーナも同じく走り出した。ストルンの隣までやってくると、彼の見てる方向に目を向ける。
 今まで歩いてきた山道が山を囲むようになだらかに下っている。それはソルスセイムの海岸まで伸びていた。海岸に出る手前、山道の中腹に分かれ道があり、その道の終点に岩はあった。……しかし。
「ジュリアンの姿は見えませんわ」
 岩の辺りには誰の姿もなかった。ミラークに操られているであろう人々の姿も見えない。──まさか。
「遅かったか……」
 先程と同じようにざくざくと雪を掻き分けてストルンが山道を下っていく。殆ど掻き分けるというより滑っている感覚だったが、無様に転げ落ちたりしないのにセラーナは感心した。どうやってあんな早歩きで雪道を歩けるのだろう?
 などと感心してる場合ではない。慌てて彼女も山道を下る。ストルンに追いついた頃には彼は地面に手を当てて何かを調べていた。
「足跡だ」ストルンは誰に聞かれるまでもなく言う。「我々スコールの民は、狩りを覚えないと生きていく事は出来ない。勿論生きていくために必要な分のみだ、我々は遊びで命を奪う行為はせんのでな。
 雪道は獲物の場所を教えてくれる手がかりだ、足跡を残すし、それがどの方向へ行ったかを示してくれる。……だが、ジュリアンはもうこの岩の浄化を済ませてしまったようだ。降った雪でうっすら見えなくなってるが、確かにここに足跡が残っている」
 ストルンが指差したそれは、山道から岩へまっすぐ伸びていた。岩の辺りは水が溜まっているため足跡は判別がつかないが、岩周辺に居たものが散り散りになってどこかへ去る足跡だった。
 岩へ近づくと、浄化する前に見える緑色の光は完全に消えてなくなっており、ルーカーの死体も見当たらず、数時間前にはここでの戦闘が終わったのを暗に示していた。地面に血痕がいくつか飛び散っており、戦闘の状況を想像してセラーナは思わず顔をしかめる。
「じゃあ、ジュリアンは……」
 ストルンは無言で頷いた。「太陽の岩だ、急がねば」言い捨てて彼は再び山道を下っていく。山道を降り海岸線に出る頃にはすっかり雪は止んでしまった。
「ジュリアンが岩を浄化すると何がまずいんですの?」
 ストルンの隣に歩きながらセラーナは彼に問いただす。先程から自分だけが置いてけぼりを食らった感じで気に食わない様子が口調から窺える。
 ストルンだって話したくない訳ではないのだろう、話す以上にジュリアンを止めなければいけない理由で動いているのだから。それはセラーナにだって分かってはいた。だけどそれ以上に彼女はジュリアンの今の立ち居地がどれだけ危ういそれに立っているかを知らないのだ。
「確かな事はいえない。けどもしや……と思う事がある。全創造主がそう呼びかけている気がする。兎に角、急ぐしかない。彼を止めなければ」
 今は不安が現実にならない事を願うばかりだ。そう思いながらストルンは海岸を南に向かって歩き出した。少しでも早く、太陽の岩に行かなければ。

 痛い。
 痛い。
 身体も、心も、痛い。
 身体の痛みはもうずっと慣れ親しんだものなのに。
 痛みなんてとうの昔になくした筈なのに。
 それなのに──痛む。心の奥がじんじん痛む。
「……っ、てぇ……」
 思わず呻く、その痛みは腕から来るもの。──見れば、右腕から血が滴っていた。
 数時間前にやられた、ルーカーの一撃が防具を貫通して斬られていたらしく、小手の裏側からじわりと血が滴り落ちている。背後を見やると、血が点々と砂と灰の大地に染みを作って足跡のようになっていた。痛みで麻痺しているらしく、ここまで全然気がつかなかった自分に呆れこそすれ、笑う余裕などない。
「さすがにこれじゃ、まずいな……」
 荷袋を肩から下ろし、生体賦活剤──俗に言う体力の薬だ──を一瓶、取り出す。中の液体は真っ赤で血のように思え、血が彼女を連想させた。
 ──セラーナ。
 貫くような、疼く痛み。腕の痛みだけなら耐えられるのに、この痛みだけは耐えられそうにない。……何故だ。傍らにいつも居た人がいないだけで、こんなにも胸が痛む事なんて、あったか……?
「くそっ……」
 思考を振り払うように栓を指で弾き飛ばし、ぐいっ、と瓶を呷る。そのまま一気に喉へ流し込んだ。息苦しさも今の自分には罪滅ぼしのような気さえあった。
 薬の効果は瞬時に表れ、傷口からの血は止まる。幾ばくかではあるが身体の疲れも取れた気がした。薬で散らしているせいとはいえ、この感じは今だけはありがたかった。
 太陽の岩は目前だ。あと少し、そうすれば全創造主の力も戻る。ミラークも俺には手を出せなくなる筈……
 今日中に片をつけたかった。そうすれば今夜から悪夢も見る筈がない。そう思いながら俺は小手を外し、血が流れていた右腕の傷に包帯を巻こうとした時だった。
「……っ!」
 気のせいか、自分の腕が透けて地面が見える。毎晩夢に見る光景……。
 慌てて頭を振って再度腕を見ると、透けてなどおらず、ちゃんと血の通った腕がそこにあった。
 疲れているんだ……俺は、酷く疲れている……

 海岸線に沿って歩いていくうちに開けた場所に出た。辺りは砂なのか灰なのかよく分からない砂地が続き、時折、穏やかな波が打ち付けている。
 砂浜をなぞるようにして先を見渡すと、やや遠くに巨大な茸の形が見えた。風変わりな魔術師ネロスの住むテル・ミスリン。そこから北に歩いていけば太陽の岩がある。恐らくジュリアンはそこに居る筈だ。
 セラーナは岩に向かう前に、居住となっているセヴェリン邸に入って中を確かめてみたが、やはり彼は居なかった。寝室の扉は開け放たれ、装備品一式と荷袋がなくなっていたのだ。
 やはりジュリアンは岩を両方とも浄化するつもりなのだ──そう思えば急がなければならないのに、セラーナは未だにストルンが急く理由が分からなかった。彼が話さない理由が果たして現実になるのか、そもそも岩を浄化しろとジュリアンに言っておいて、今更止めるとは一体どういうことなのか。
「セラーナ、待て」
 不安やストルンへの不満やらで考え事をしながら歩いていたせいか、最初彼女は自分に声をかけられている事に気がつかなかった。慌てて足を止める。
「……どうしたんですの?」声をかけたストルンの方を見やると、彼はすっと地面を指差した。
「あれを見ろ、血痕が点々と落ちてる」
 彼が指差す先に、灰色の砂地に映えるほどの血痕が点々と落ちていた。血は一定間隔で点々と落ちており、かなり先まで落ちているのが見て取れた。
「これは……ジュリアンの血痕ですの?」
 水の岩周辺に飛び散っていた血を思い出す。致命傷ほどではないにしろ、かなりの血が飛び散っていたのは事実だった。相当の痛手を負っていてもおかしくはないほどの。
 セラーナが血を調べてみようと血痕に手を伸ばした時だった。
「触るんじゃない!」
 突然ストルンが叫んだので、思わずセラーナは萎縮して手を引っ込めた。が、萎縮してしまった行為に気恥ずかしさを覚えたのか、憤慨した様子でストルンに向かって言い放った。
「触るなって、どういうことですの? さっきから何も教えようとしないばかりで、挙句怒鳴り散らされる筋合いなんてありませんわ!」
 眉を顰めて明らかに怒っているセラーナを余所に、ストルンは表情ひとつ変えないまま、黙って何かぶつぶつ唱え始めた。……呪文?
 怪訝そうに見るセラーナを余所に、ストルンはぶつぶつ何かを唱えていくと、ぼぅ……と両手がにわかに白く輝きだした。
 この光はセラーナも以前見た事があった。スコールの民がミラークの呪縛にかかっていた時、村を守ろうと結界を張っていた時、見た光と同じだ。
 両手が白く輝きだすと、ストルンは黙ったまま腰を落とし、片手を血痕に伸ばした。──触れるか触れないかで、伸ばした手が電気にでも触れたかのようにびくん、と揺れる。
「……やはりそうか。もしやと思ったのが本当になってしまうとは……」
 詠唱を止めると、輝いていた光がふっと消えた、と思いきや、
「急げセラーナ! ジュリアンがこのままではミラークに乗っ取られてしまうぞ!」
 突然走り出した。えっ、とセラーナは瞬間たじろいだ。乗っ取られる? ジュリアンが?
 理解する数秒の間の後、セラーナも走り出す。それでも砂交じりの灰に足を取られて思いの外うまく走る事が出来ない。
「乗っ取られるってどういうことですの?」
 走りながら喋るというのは苦労するものなのだな、とセラーナはこの時知った。そもそも思い切り走るなんて果たしていつぐらいぶりのことだろう?
「……血だ。血に触れた時、同じだと思った。あの本の事をネロスに訪ねられた時も、あの本を見た時も同じ感じがした。デイドラの王子が世界中にばら撒いたと云われる、おぞましき本──黒い本だ。
 ハルメアス・モラがばら撒いた黒い本の中には、庇護されし存在のミラークが居る。ミラークがジュリアンに毎晩悪夢を見せている時点でもしやとは思っていた。それが今、血に触れた時に感じた事で嫌な予感は間違っていなかったと知った」
 ふうふうと時折息を上げながらストルンは話してくれたが、それでもまだ全貌は見えてこない。とりあえずミラークが毎晩ジュリアンに悪夢を見せてきたのは彼の体を乗っ取る為──乗っ取る? どうやって?
 と、話しながら言ったせいか分からないが、ストルンの走るスピードがどんどん遅くなっていった。それでも彼ははぁはぁと息を喘がせながら、
「……セラーナ。彼を、ジュリアンを止めろ。岩の浄化を止めさせるんだ。止めないと、彼は彼を媒体にし……ゲホッ!」
 急に咳き込み、足を止めてしまうストルン。だがセラーナとて元々肉弾戦が得意でもなければ体力もずば抜けて高い訳ではない。彼女の息もとうに根を上げつつあったが、それでもジュリアンを止めろ、と言ったストルンの剣幕に圧倒され、彼女はストルンをその場に残し走り出した。
 彼女は懸命に走った。やがて山から下りてくる小川が見えてくる。あの川を渡れば岩は目前な筈だ。疲れた身体に鞭打って川を渡った。
 はぁ、はぁと息を弾ませてなだらかな斜面を駆け上がると、岩の先端部分が見えてきた。──まだ緑色の光を帯びている。浄化が済んでいない証だ。
「ジュ、ジュリアン……」
 叫ぼうにも声がかすれてうまく出せない。足は休ませろと訴えてきたが、セラーナは無視してよろめきながら走った。浄化を止めるまで休むなんて暇は与えられそうにない。
 山の麓の斜面を上がりきると、周辺はテル・ミスリン同様の巨大化した茸が点在する荒地だ。そのなだらかな斜面を下っていけば岩はもう目前にある。
 走りながらセラーナは見た。岩の前に誰かがいる。黒い巨大な何かと戦っている。辺りでミラークの呪縛に縛られていた人たちはばらばらに倒れていた。気を失っているだけだというのはセラーナも何度か同行していたため分かっていた。
「ジュリアン、だめですわ、岩を……」
 と、戦っていた黒い何かが地面に倒れた。“誰か”は肩で息をしながらも岩に向かって近づいていく。──まずい。
「駄目ですわ、ジュリアン!」
 セラーナが走りながら叫んだ。ここまできて、間に合わないなんて訳にはいかなかった。

「………リァン」
 誰かが、俺を呼んだ気がした。
 えっ、と辺りを見回すも、誰の姿もない。先程何とか倒したルーカーも、こと切れて大地にその身を伏しているだけだった。
「また、疲れてるんだよな……でも、これで終わる」
 岩に近づく。一言叫べば済むだけだった。──しかし。
「駄目ですわ、ジュリアン!」
 今度ははっきり聞こえた。さほど遠くはない。……後ろから?
 ばっ、と上半身だけで背後を見やると、見紛うことなきセラーナが、やや離れた位置からこちらに向かって走ってこようとしているではないか。
「………セラーナ……?」
 はっとした。後ろにはセラーナ。前には岩。
 岩を開放させなければセラーナに危害が及ぶ。夢でみたあのおぞましい光景が頭の中をよぎる。
 しかし彼女が叫ぶ何が駄目なのかが、その時の俺には全く理解できなかった。──突如そこに居る筈の無い人が視界に入ってくれば、誰だってそうなる。思考と現実が切り離され、目の前に見える事象が幻覚ではないかとさえ思い始める。
 ……セラーナがここに居る訳ないだろ。疲れてるんだな、俺は。でも──これで終わる。
 俺は岩の方に向きしな、後ろを振り向かず“叫んだ”──Gol.

「ジュリアン、駄目ですわ!! 叫んでは駄目!!」
 殆ど悲鳴に近い声で叫んだのに。
 彼は自分に気づいているのに“叫んだ”のだ──岩に向かって、その言葉を。

 これで、ミラークの悪夢から開放される。
 俺は重い身体を引きずるようにして後ろを振り向くと、彼女はまだそこにいた。……幻覚じゃないのか?
「セラーナ……本当に、君なのか?」
 そう言った時だった。

『──見つけたぞ!』

 突如自分の体がぶん、と音を立てた。……何の音だと自分の手を見ると、目が疲れているのか、はたまたおかしくなったのか、今見ている自分の手が二重に重なっているように見える。重なっているのに、俺の身体は透けている──透けている、だと?
 え、と思う間も与えず、次の瞬間には猛烈な激痛が頭のてっぺんから足の爪先まで電流を食らったかのように全身に行き渡った。あまりの痛みに瞬間意識が遠のく。
「ぐぁ……ああああっ!」
 痛みに堪えきれず悲鳴を上げた。──体の奥から何かが出てくる。何かが俺の身体を破ろうとしている。腹を食い破ろうとするが如く体内で蠢くそれは、俺の意識を痛みと強烈な力で捻じ伏せようとしていた。
 振り払おうにも、それは全身から溢れ出てくる。その次には二重にぶれていた俺の体の片方がぶわっ、と光を帯び始めた。──光ではない。これはあれだ、ドラゴン・アスペクトを叫んだ時に自分の身体にまとわりつく“力”──
「セラーナ、逃……げ…」
 それが精一杯だった。自分の身に何が起きているのか自分自身すら分からないまま、痛みに意識を奪われ混沌へと落ちていく。
 意識を失う直前、セラーナの顔を見た。──泣きそうな顔の彼女を。

 彼女の名をジュリアンが再び呼んだ直後、彼の足元から夥しい触手が溢れ出てきた。それはまるで、ルーカーや、シーカーの攻撃時に見られる蠢く触手の群れ──
「いかん、遅かったか!」
 ふうふうとセラーナの背後から走ってきたストルンが、ジュリアンの居た方向を見ながら毒づいた。セラーナはどうすればいいのか分からず立ち尽くしている。
 彼の全身は光を帯びていた。あの光は見た事がある。ドラゴン・アスペクトのシャウトを放ったときに見られる半透明の光──それは形を変えながらジュリアンの身体を守るもの──だった。それなのに、今見るその光は毒々しいほど蠢いていて、まるでジュリアンの身体を縛り付けている鎖のようにも見える。
「このままでは彼の身体を寄り代としてミラークが復活してしまう。セラーナ、ジュリアンを助けたかったら手伝え。彼をミラークの術中から剥がさないといかん」
「何故……ジュリアンは叫んだんですの、私は駄目と言ったのに……」
 悔しさと、それ以上の感情をない交ぜにした表情を浮かべながら、セラーナがぽつりと言う。
 意識のないジュリアンの体が、力抜けたように血が飛び散る地面に倒れる。倒れてもなお、ドラゴンアスペクトの光は輝きを収めず、おぞましい輝きを放っている。
 ──それは、彼とミラークを繋ぐ楔。同じ道を往ける者──即ち、竜の魂を屠る者でしか現せない“鎖”だった── 



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 前回に引き続き長くお送りしております。
 大分佳境です。でも次で終わらせます。終わらせないと延々と続きそうで嫌だw

 まだ全貌が見えてませんが、大体はストルンさんの言った通りですな。まぁ、勿論このままジュリアン(どばきんさん)が死ぬ事にはならんので(お決まりですが)ご了承を。

 でもまぁ、まさかここまで長くなるとは当時(原稿執筆時7月あたり)の俺に予想が出来ただろうか…(~_~;)
 最初は短い話で終わらせようと思ったのに、気づけば大風呂敷敷いてしまってる状況になってしまって大わらわ。でもまぁ一応話としては完結できる終わりまでしっかり考えてはいるのでご安心を。
 まぁ次はラブラブキャッキャウフフあまあま1000%LOVE!!! なドヴァー×セラが拝めると思いますのでそのテが目当てで読んでる方、お楽しみに(多分いないと思うが)。

 でもまぁ話が佳境になってくると中の人はノリノリに(かけている音楽にもよるが)なるので若干楽に書けました。難産だった頃にくらべると。
 ただ、今回一人称(ジュリアン視点)と三人称(セラーナ・ストルン視点)がごっちゃまぜになってるので読みづらさ100%です。ごめんなさい。まだまだ文章力が下手糞な奴と思ってください<(_ _)>

 ゲームのほうのSSもぺたっと貼っておきます。ブログ限定の久々にやっちゃったよSS。

 話の中ではこんなのまだまだ出てきそうにないですが、ゲームの中ではよく中の人がムラムラしてこういうSS撮ってます(笑)
 元画像は相当暗い画像でしたが、フォトショで加工してなんということでしょうw
 ほんと、ゲームのSS画像もフォトショでがらりと変えられるのでフォトショ様様です・・w

 という今回もイミフなブログですいませんでした。
 次回で話は終わりになりますが、次回当社比1.5倍の文章量になると思うので少し時間がかかるかもしれません><; でも早めに上げますので気長にお待ち下さい。
 ではまた。

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