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SkyrimとFallout4・76の二次創作メインブログです。 たまにMODの紹介も。
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04.26.12:59

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  • 04/26/12:59

09.07.20:02

Compassion.

※Skyrim二次創作小説第4チャプターです。その手のモノが苦手な方はブラウザバックでお帰りを。

これは第4話です。1話から読みたい方は「Taken.」からお読み下さい。(二次創作カテゴリから楽に飛べます)


 夜が明ける。
 しかし、ソルスセイムは殆ど毎日灰が空中に舞うせいで空を雲が覆い、日差しを遮ってくれるせいもあって、セラーナは特に気にも留めなかった。留める事さえ最近は疎ましく思うようになっていた。
 彼女はぼんやりと港の方を見ている。ソルスセイム唯一の玄関口があるレイブンロックの港。お世辞にも港とは言いがたいこぢんまりとしたそれではあったが、それでもスカイリムとこの島を繋ぐ重要な場所だ。レドランの衛兵がひっきりなしに見回りをしている姿はそこかしこに見受けられるのがそれを物語っている。
 小さい港だからこそ、他の港と違って船が手狭に押し込まれている事もなく、また泊めてある船の数も少ない。目に写る分だけでも、小さなボートとスカイリムへ行くやや中型の船が係留されているだけだった。
 そんな港の入り口付近で、セラーナはぼんやりと船を待っていた。ソルスセイムからスカイリムへ向かう船を、唯一人で。
 傍らに、長い時を共に行動を続けてきた男の姿は──無い。何故なら自分は昨夜、その男に別れを告げられたからだ。……ものすごく一方的に。

『……えっ?』
 当惑を滲ませた声をセラーナは上げた。聞き間違いかと思ったのだ。別れよう? 別れようってどういう意味だ、と。
 目前に座っている男は、連日眠れないせいで顔全体に疲労度をべっとり滲ませたまま、うんざりするような態度で再度同じ事を言った。
『今言った通りだ。……この辺で別れよう。今まで世話になった』
『そういう事を聞いているんじゃありませんの。私が聞きたいのは、』
 セラーナが食い下がるようにまくし立てようとしたのを止めるかのように、男──ジュリアンだ──は手でそれを制した。聞きたくない、と言いたげな態度にセラーナは軽く胸が痛む。
『俺から言えるのはそれだけだ。……長い間、色々と俺を助けてくれて本当にありがとう。……感謝している』
 勝手に結論付けようとしている。セラーナはむかむかと苛立ちがつのり、立ち上がってテーブルをばん、と強く叩いた。木製のテーブルがびりびりと震える。
『何を勝手に決め付けてるんですの? 私の意志は関係ないと思っているんでして? ふざけないでいただけます?』
『ふざけてなんかいない!』
 ジュリアンが見上げる形でセラーナの目をまっすぐ見ながら叫ぶ。セラーナはその時、ジュリアンの瞳の中に怯えとも畏怖とも似つかぬ何かが蠢いているような気がした。
 何に怯えているのだろう? 眠れていない事、そして今切り出してきた突然の別れ……全ては繋がっている。しかし、当の本人が彼女に話そうとしないのだから始末におえない。
 大声で反論してしまった自分に気づいたのか、ジュリアンははっとした表情を浮かべ、その後セラーナに目を向けず、逸らすようにして俯く。
 何かを隠している事を気取られまいとでもいうのだろうか。誰の目にも彼が何かを隠しているのは手に取るように分かるというのに。
『……すまない。大声を出してしまって』
 ばつが悪そうにぼそぼそと謝るジュリアン。
『なら何を隠しているのか仰ってくれませんですこと?』
 尚も食い下がるセラーナ。……しかしジュリアンは話す替わりに頭を数回横に振った。
『それは……出来ない』
『何故?』
 間髪を入れず問い返すセラーナ。その剣幕にジュリアンは圧倒したかと思いきや、すっと立ち上がったのでセラーナは話が終わらず寝室に戻るのかと身構えた。もし戻るのなら阻止してやろうとでも思ったのだろうが……そうではなく、テーブルをぐるりと回ってセラーナの傍までやってきた。
『……?』
 何をしでかすのか、と思った次の瞬間……がしっ、とセラーナの両肩に手を置いた。置いたというよりは掴みかかったと言っても過言ではない、彼の大きな手のひらに華奢な彼女の肩はじわりと痛みを訴えてくる。
 セラーナは痛いと言ってやろうかと思ったが、言えなかった。じっと自分を見つめる彼の顔を見たら言えなかったのだ。その顔は悲しみよりも悔しさを滲ませていた。
『お願いだ──俺に、最後まで君を守らせてくれ。それだけが、今言える精一杯の説明なんだ。……別れを告げたのに、こんな事を言うのは変かもしれない。けどいつか、これが正しいと分かってもらえると信じているから……』
 間近に居たため、つん、とジュリアンの汗の匂いがセラーナの鼻につく。ここ数日毎晩のように汗で濡らした衣服を見ていたため、セラーナは別段嫌だとは思わなかった。
『別れを告げておいて“最後まで守らせてくれ”ですって? 意味が分かりませんわ。納得できる説明を要求いたしましてよ?』
 ジュリアンは渋面のままだったが、次にはふっと自嘲めいた笑みを浮かべた。
『ああ、そうだな。……こんな事をすれば、俺に対して嫌気が差すかもしれない。でも……それでもいい。言い訳がましく言いたくはない……が、一つだけ言わせてくれないか。
 君を守るという約束を反故にしたつもりはない。守るために別れを選んだと思って欲しい。……失礼だと承知で言ってる。悪く思わないで欲しい。
 スカイリムに戻ったら、ヴォルキハル城のヴァレリカの所にいれば安全だ、ミラークの影響範囲はソルスセイムを出れば無くなるからな』
 その名前が出た瞬間セラーナはぴんときた。やはりその名前が原因か。『ミラークの事なんですのね、やっぱり。ジュリアンがやたら怯えるその理由は?』
 ジュリアンはしまった、と小さく舌打ちをしたが、今更言い訳をしても無駄な事は分かっていた。しかし、彼女の問いには答えず、
『明日、スカイリム行きの船が発つ筈だ。それに乗ってスカイリムに戻ってくれ。
 ……話は以上だ。ごめん、突然な話で』
 ゆっくりと、セラーナの肩においていた手を離すと、ジュリアンは悲しいとも寂しいとも取れる表情を見せて、黙って寝室へ戻っていった。話は終わってないと尚も食い下がるセラーナを無視して、彼は寝室の扉を閉め切ってしまった。

 何度も呼びかけたが、反応は無く。
 朝になっても扉を開けようとしないジュリアンに、自分が出て行かない限り彼はここから出てこないんじゃないかと思ったりもした。
 ……でも別れを言われたのは間違いない。最早自分がこの場所に留まる必要はないのだ。──セラーナの心の中でそう結論が出た時、彼女は一晩中叩いていた寝室の扉から離れた。
 扉を叩く事も、反論する事も、する必要がない──何故なら自分はもう彼の連れでもなければ従者でもない。
 ホワイトランの首長の謁見の間で、ジュリアンが彼女に忠誠を誓った事も、今となっては過去に誰かと交わした口約束同然の行為に過ぎなかった。……全ては終わったのだ。別れを告げられ、暇を出された時点でジュリアンとセラーナには縛る契約も忠誠も何一つ泡沫同然に消えてしまった。
 そんな簡単なものだったのだろうか。一方的に別れを告げられる程、自分と彼の間には何もなかったのだろうか。常に見ていた、追っていた者の姿が無いだけで、自分はこれほど胸騒ぎがした事があったか……
 と、物思いに耽っているセラーナを余所に、カーンカーンとけたたましい金属音が鳴り響いてきた。彼女は思わず伏せていた目を開けてみると、
「スカイリム行きの船間もなく出港ー! 乗る方は急いでご乗船をー!」
 船員のどら声と、その船員が叩く金属音──どうやら金属のお椀の底を短剣で叩いているようだ──が同時に鳴り響いているため、聞きにくい事この上なかったがとりあえず急いで船に乗らないといけないのは確かなようだった。
 セラーナは立ちつくしていた足をゆっくりと桟橋の方へと歩き出した。船と桟橋を掛ける板の前に船員らしき男が乗る者から乗船代を受け取っているのが見て取れる。払えばあとはスカイリムに着くまで船の中に居ればいいだけだ。
「へい、お嬢さん、スカイリムまではセプティム金貨250枚ね」
 馴れ馴れしい言い方に、かつての自分だったら眉を吊り上げて反論していたかもしれないな、とセラーナが思った途端はっと気づいた。
 ──そうだ、かつて数年前にも、同じ胸騒ぎを覚えた事があった。あれは自分がディムホロウ遺跡の中で目覚め、ヴォルキハル城まで送ってもらった際──彼が父、ハルコンと対峙した際に──

『悪いが──吸血鬼には、ならない。俺はあんたの娘を送っただけだ。お土産に吸血鬼にされるのはまっぴらごめんなんでな』
 四面楚歌──そう言われてもおかしくない。
 周り一面吸血鬼しかいない中、ジュリアンは父にそう言ったのだ。彼の言い方に周りの吸血鬼はどよめいた。人間の分際で王になんたる言い方を、といったような事がセラーナの耳に入ってくる。
 父ハルコンはジュリアンの言い草に眉を吊り上げたりはせず、黙って頷いた後、
『それもよかろう……だが、二度とこの地に踏み込むな。お前は我らにとって敵、それはお前も同様だろう? 娘を助けてくれた事には礼を言う。……さらばだ』
 そう言った後父によってジュリアンは昏倒させられ、島の外れ、船を泊める係留所に捨て置かれたのだ。
 ジュリアンが島から出て行く姿を、城の中でセラーナは黙って見ていた、その時と同じなのだ。
 あの時は、たった数日しかジュリアンと旅をする機会はなかった。それなのに、前に居る者の姿が居ないだけで自分はこんなにも胸騒ぎがする。
 何故だろう? 母ヴァレリカの傍に居た時はそんな事なかった……いつもヴァレリカの傍に居たから。
 それは自分が────

「……やっぱり、やめますわ。まだやり残した事があるんですの」
 船員にそういい捨ててセラーナは踵を返した。足早に港を出てそのまま右へ曲がり、そのままレイブンロックを出て行く。
 行く先は一つしかなかった。ジュリアンが言わないのなら、彼が何に苦しめられているか聞くしかない──スコール村のストルンに。


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 前回がめちゃくちゃ長かったので今回はちょっと短いところで区切ってみました。いや、ほんとはもう少し先で終わらせるつもりだったんですが・・・多分前回以上に長くなるのが見込まれたので・・・。

 俺の書くセラーナは悉く色んな方から「かわいい!」といわれます。多分俺の願望が120%超で出てるためでしょう(笑)。
 今回も相当そういう俺の願望が脳汁としてだだ流れした妄想1000%な話になると思いますがほんとすいません。懲りずに読んでやっていただけたら幸いです。

 俺はドラゴンボーンDLCはまだ全然終わって無いし自キャラどばきん(ジュリアン)は岩の開放すらやりたくねーという(?)理由で全然やってません。
 まぁでも多分このDLC、ミラークさんが強敵なだけじゃつまらないと思うんですよ。ストルンも言ってましたけど(最初の頃)、
「あんたはミラークと同じなのか? ならあんたも同じ道を通る奴なのか?」
 多分ミラーク側に着いちゃうシナリオはないんでしょうけど(俺の知る限り)、同じ道を通るならミラークさんは気に食わないか、もしくは今後自分の話で出てくるような手段を取るか、二択になると思うんですよね。
 でも確かドラゴンボーンて同じ時代に二人以上居る事もあるって本に書いてなかったっけ? ならミラークさんとキャッキャウフf……じゃなくて仲良くやっていける道だってあってもおかしくはないんでしょうけど。
 あ、でもだめか。ミラークさん竜教団を裏切ったとかいってたしミラークさん元々死んでる人だからだめですな(あっさり完結

 
 中の人は話を考えるのが好きです。だからドラゴンボーンDLCも「自分のキャラだったらこうするだろうな」とか「自分(以下略)ならここから別の話を作ってこうなってああなって」とかそういうのがたまらなく好きです。
 今までこのブログに書いてきたプレイ日記ならぬリプレイ小説(新ジャンル確立しました!w)、や妄想で作ったアナザーストーリィ(今書いてる奴ですな)も全て自分がプレイしながら考えて作った妄想の産物です。
 話を作るとき、やはり表立って出てくるのは自キャラ(ここではジュリアン)なので、各々の世界で作られるスカイリムにはちょっとどうかなぁと思ってた時もありましたが、2年半書いてきて、好評も得られるようになってきたのに改めて感謝しております。
 自分の作り出す世界を貫き通していけば、やがてそれが一つの個性となり受け入れられる──
 今もそう願って、話を細々書(描)いております。
 
 初めてスカイリムの二次創作を書いた時(ここで)、当時は誰も見に来る人はいませんでしたw
 まぁ自分のマーケティング能力が0だったからってのも(ビビリなせいもありますが)あって、ブログを開設して数ヶ月は誰も来ない日が続いたかな。
 それだけ、自分の世界を、自分の作る話を認めてもらえる(見てもらえる)のは大変な事なんだなぁ~~~と痛感しました。
 コミケで新刊出したときだって誰も来なかったしね(笑)
 今でこそわざわざ自サークルに来て下さる方が細々増えてきて、ビビリなだけじゃだめなんだなぁと痛感する事ばかりです^^;
 なので、ココの話もしっかりアピールしていこうと・・・いや無理かな・・ビビリな性格を直したい(涙

 色々書きすぎましたorz
 まだまだ続きますが、読んだ感想その他ご意見ご指摘つまらない等の意見もお待ちしております^^
 ではまた次のブログ更新日に。

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