04.19.21:05
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08.20.22:42
小説仕立てでMODを検証してみる(Tamrielic Lore: Chrysamere)
ホワイトランから北西、馬で7,8時間程度の場所に位置するスカイリム地方の帝都、ソリチュード。
川をまたぐように作られている一枚岩の上に出来た帝都はその地形のためかやや高台に位置し、その自然の要塞は簡単には陥落できない城壁も兼ね備えてあった。
スカイリム地方の帝都なだけあって他の要塞と比べると施設の数も人々の数も半端ない。歩くものは市民から貴族、はたまた吟遊詩人の大学で学ぶ吟遊詩人の卵など。
吟遊詩人の大学では何度か世話にはなったが、俺自身ソリチュードに長居するのはあまり好きではなかった。せいぜい依頼主と面会したり、仕事がたまたまソリチュードだった場合を除き、だ。
その日もたまたま、俺は依頼遂行を依頼主に報告し、報酬を得るため向かっていただけだった──
カトラ農場に併設されてある厩に馬を繋いでから、俺は帝都ソリチュードのメインゲートに向かうためややなだらかな坂道を登っている最中、
一人の男がこちらに走ってきた。まぁ走る者なぞ別段不審でもなんでもない。ただ急ぎ足の旅人なだけだろう、と思っていたらこちらにまっすぐ向かってくるではないか。
何だ? ──闇の一党の暗殺者のように武器を構えて走ってくる訳でもないが、思わず俺はいつもの癖で身構えた。右手を左脇に差した剣の柄にかけ、いつでも抜けるように体勢をとる。
しかし──そいつは俺の目前でぴたり、と止まるとそのまま有無を言わせずこちらの手を掴み、何かを握らせていた。
渡したかみなかでそのまま無言でUターンし立ち去っていく。
「おい、ちょっと……」
こちらの返事も届かないのか、足音を響かせて彼──ローブを纏っていたため男か女か分からないが──はそそくさと姿を消してしまった。
「なんなんだ? 一体」
毒づくと、傍らに突っ立っていたホロキが、何を握らせたのか気になるのか俺の手を握って開かせた。
「──鍵?」
拍子抜けした様子で言葉を漏らすホロキを他所に、その鍵をこねくり回してみると、鍵の側面に何か文字が彫られてあるのが見て取れた。
「ん……何だ? 聖堂の鍵みたいだな。聖堂の一つの扉に通じる鍵……みたいだ」
何処のの聖堂かはかかれてはない。しかしソリチュード手前で渡した人物からして、ソリチュードにある神々の聖堂──にある扉の一つだろう。
しかし何だってそんなものが俺に?
疑問は頭に沸いたが、とりあえず聖堂に向かってみる事にした。そこに行けばはっきりするだろう──その考えを後ほど後悔するとは露知らず──
夕日がとっくに落ち、闇に塗りつぶされたソリチュードのメイン・ゲートをくぐった俺とホロキは、宿を求めるよりも聖堂に一直線に向かっていた。
聖堂は閉まることは基本、無い。大概の要塞に置かれてある聖堂は年中無休で開放されている。ソリチュードの聖堂も他と変わらず、夜になっても扉が閉まることはなかった。
中に入ると聖堂職員がこちらに近づき、自由に参拝して言ってくれと定型句を述べてくるが、彼らに用はない。
この鍵の錠前がぴったりと合う扉を見つけなければ──しかし聖堂内は狭い故、その扉は容易に見つけることが出来た。
「どれ、開けてみるかね」
傍らでこくり、と頷くホロキ。
俺は鍵を錠前に差しこみ、くるりと回すとぱちん、と錠が下りる音がし、ぎぃ、と僅かに軋む音を立ててその扉は開いた。
中に入ってみると、先程まで居た聖堂となんら変わらなかったが、地下に延びる通路、そして手前にある戸棚の上に一冊の本が置かれてあった。
その本に不思議と魅かれた俺は、自然とそれを手にし、ページをめくった。
一ページ目に描かれてあるのは一振りの剣。そしてその右側からは剣に関する記述が書かれてある。
文字はあちこちかすれて読めない箇所が多かったのだが、一部分だけはどうにか読み取る事が出来た。
「パラディンの剣、クライサメレー……?」
剣の能書きらしいが、あちこちが読めないため全く役に立たない。
しかし、神々の聖堂に何でそんな本が置かれてあるんだろう? 当然の疑問が沸く。
このまま踵を返して扉を閉じ戻って宿で休む事も出来たのだが、どうにもそれを押しとどめる何かがあった。
本に描かれてある剣が綺麗で、とても美しかったからかもしれない。そのアーティファクトを一目見たいと思ったからかもしれない。
後からいくらでも言い訳は出来るが、とりあえず今はこのまま踵を返して帰るつもりなぞ毛頭無かった。
「ここに何故こんな本があるのか分からんが、剣が安置されてたりするのかね」
俺の独白に反応するホロキ。
「そうかもしれないわね。じゃなきゃこれ見よがしに本なんて置かれてあるわけないでしょうし」
それもそうだな……俺は結局通路を進み、階段を降りて聖堂の地下であろう通路を進み始めた。
何処まで続くものやら、と思った途端、辺りが開け、行き止まりになったその先には──
青白く光る聖堂の一室、まるでそこにあったかのように岩が並べられ、草が生い茂り、室内なのに不思議な事に辺りを青い蝶が舞っている。
そして岩に突き刺さるようにして置かれてあった──一振りの剣。クライサメレー。
思わず俺とホロキは呆然とその部屋の前に立ち尽くしていた。それほどまでにその剣は美しく、室内は質素ながら厳かな空気が立ち込めてあったのだ。
「うわぁ、なんて素晴らしいの」
ホロキが感嘆したように呟く。その時ばかりは俺も同感だった。
魅せられたかのように、剣が安置されてある室内に踏み込む。と──背中がチクチク刺されるような不快な感覚に思わず俺は身震いした。
蝶が舞う姿は妖しくも美しく、何かこちらを見透かすような感じさえ覚える。
クライサメレーは岩に突き刺さっていたが、力いっぱい引っぱれば引っこ抜けそうな感じだった。──しかし、何だろう? 背筋を這い上がるような寒気、チクチク俺の心と体を揺さぶる感覚。
この剣を抜いてはいけない、警告が俺の体から発せられている──そんな気がする。
「ジュリアン、どうするの?」
逡巡する俺を他所に、ホロキは早く抜いてくれないか、とうずうずしている様子。
俺もそうしたいのだが──何故か嫌な予感がした。しかしこのまま背中を向けて去るつもりは──無い。
「ああ、抜いて見せるさ」
俺は剣の柄を握り締め、岩から引き抜こうと力を込めた、その時だった。
あたり一面が輝きだしたかと思うと、俺の手を使わずとも勝手に自ら岩からその抜き身を引き抜こうとしてくるではないか。
「な、なんだ──?!」
俺の意思反して、勝手に剣が岩から抜けた瞬間、白く輝く光が視界を奪い、俺とホロキを包み込む。
「きゃぁっ!」
ホロキの悲鳴。思わず俺は彼女の手を握り締め──そして、そこで意識が途切れた。
光が収まった室内には、先程となんら変わらない光景。
岩に突き刺さった剣、辺りを舞う蝶。
しかし──彼らの姿はその場所から忽然と消えていたのだった────
こんなとこまでにしておきます(笑)
前からあるMODで最近導入したものなのですが、
クライサメレーがかっこいいので是非両手剣使いの人は導入してみるといいかもです。
俺の書いた小説はあまりアテにはできないので、そこんとこご了承ください(汗
川をまたぐように作られている一枚岩の上に出来た帝都はその地形のためかやや高台に位置し、その自然の要塞は簡単には陥落できない城壁も兼ね備えてあった。
スカイリム地方の帝都なだけあって他の要塞と比べると施設の数も人々の数も半端ない。歩くものは市民から貴族、はたまた吟遊詩人の大学で学ぶ吟遊詩人の卵など。
吟遊詩人の大学では何度か世話にはなったが、俺自身ソリチュードに長居するのはあまり好きではなかった。せいぜい依頼主と面会したり、仕事がたまたまソリチュードだった場合を除き、だ。
その日もたまたま、俺は依頼遂行を依頼主に報告し、報酬を得るため向かっていただけだった──
カトラ農場に併設されてある厩に馬を繋いでから、俺は帝都ソリチュードのメインゲートに向かうためややなだらかな坂道を登っている最中、
一人の男がこちらに走ってきた。まぁ走る者なぞ別段不審でもなんでもない。ただ急ぎ足の旅人なだけだろう、と思っていたらこちらにまっすぐ向かってくるではないか。
何だ? ──闇の一党の暗殺者のように武器を構えて走ってくる訳でもないが、思わず俺はいつもの癖で身構えた。右手を左脇に差した剣の柄にかけ、いつでも抜けるように体勢をとる。
しかし──そいつは俺の目前でぴたり、と止まるとそのまま有無を言わせずこちらの手を掴み、何かを握らせていた。
渡したかみなかでそのまま無言でUターンし立ち去っていく。
「おい、ちょっと……」
こちらの返事も届かないのか、足音を響かせて彼──ローブを纏っていたため男か女か分からないが──はそそくさと姿を消してしまった。
「なんなんだ? 一体」
毒づくと、傍らに突っ立っていたホロキが、何を握らせたのか気になるのか俺の手を握って開かせた。
「──鍵?」
拍子抜けした様子で言葉を漏らすホロキを他所に、その鍵をこねくり回してみると、鍵の側面に何か文字が彫られてあるのが見て取れた。
「ん……何だ? 聖堂の鍵みたいだな。聖堂の一つの扉に通じる鍵……みたいだ」
何処のの聖堂かはかかれてはない。しかしソリチュード手前で渡した人物からして、ソリチュードにある神々の聖堂──にある扉の一つだろう。
しかし何だってそんなものが俺に?
疑問は頭に沸いたが、とりあえず聖堂に向かってみる事にした。そこに行けばはっきりするだろう──その考えを後ほど後悔するとは露知らず──
夕日がとっくに落ち、闇に塗りつぶされたソリチュードのメイン・ゲートをくぐった俺とホロキは、宿を求めるよりも聖堂に一直線に向かっていた。
聖堂は閉まることは基本、無い。大概の要塞に置かれてある聖堂は年中無休で開放されている。ソリチュードの聖堂も他と変わらず、夜になっても扉が閉まることはなかった。
中に入ると聖堂職員がこちらに近づき、自由に参拝して言ってくれと定型句を述べてくるが、彼らに用はない。
この鍵の錠前がぴったりと合う扉を見つけなければ──しかし聖堂内は狭い故、その扉は容易に見つけることが出来た。
「どれ、開けてみるかね」
傍らでこくり、と頷くホロキ。
俺は鍵を錠前に差しこみ、くるりと回すとぱちん、と錠が下りる音がし、ぎぃ、と僅かに軋む音を立ててその扉は開いた。
中に入ってみると、先程まで居た聖堂となんら変わらなかったが、地下に延びる通路、そして手前にある戸棚の上に一冊の本が置かれてあった。
その本に不思議と魅かれた俺は、自然とそれを手にし、ページをめくった。
一ページ目に描かれてあるのは一振りの剣。そしてその右側からは剣に関する記述が書かれてある。
文字はあちこちかすれて読めない箇所が多かったのだが、一部分だけはどうにか読み取る事が出来た。
「パラディンの剣、クライサメレー……?」
剣の能書きらしいが、あちこちが読めないため全く役に立たない。
しかし、神々の聖堂に何でそんな本が置かれてあるんだろう? 当然の疑問が沸く。
このまま踵を返して扉を閉じ戻って宿で休む事も出来たのだが、どうにもそれを押しとどめる何かがあった。
本に描かれてある剣が綺麗で、とても美しかったからかもしれない。そのアーティファクトを一目見たいと思ったからかもしれない。
後からいくらでも言い訳は出来るが、とりあえず今はこのまま踵を返して帰るつもりなぞ毛頭無かった。
「ここに何故こんな本があるのか分からんが、剣が安置されてたりするのかね」
俺の独白に反応するホロキ。
「そうかもしれないわね。じゃなきゃこれ見よがしに本なんて置かれてあるわけないでしょうし」
それもそうだな……俺は結局通路を進み、階段を降りて聖堂の地下であろう通路を進み始めた。
何処まで続くものやら、と思った途端、辺りが開け、行き止まりになったその先には──
青白く光る聖堂の一室、まるでそこにあったかのように岩が並べられ、草が生い茂り、室内なのに不思議な事に辺りを青い蝶が舞っている。
そして岩に突き刺さるようにして置かれてあった──一振りの剣。クライサメレー。
思わず俺とホロキは呆然とその部屋の前に立ち尽くしていた。それほどまでにその剣は美しく、室内は質素ながら厳かな空気が立ち込めてあったのだ。
「うわぁ、なんて素晴らしいの」
ホロキが感嘆したように呟く。その時ばかりは俺も同感だった。
魅せられたかのように、剣が安置されてある室内に踏み込む。と──背中がチクチク刺されるような不快な感覚に思わず俺は身震いした。
蝶が舞う姿は妖しくも美しく、何かこちらを見透かすような感じさえ覚える。
クライサメレーは岩に突き刺さっていたが、力いっぱい引っぱれば引っこ抜けそうな感じだった。──しかし、何だろう? 背筋を這い上がるような寒気、チクチク俺の心と体を揺さぶる感覚。
この剣を抜いてはいけない、警告が俺の体から発せられている──そんな気がする。
「ジュリアン、どうするの?」
逡巡する俺を他所に、ホロキは早く抜いてくれないか、とうずうずしている様子。
俺もそうしたいのだが──何故か嫌な予感がした。しかしこのまま背中を向けて去るつもりは──無い。
「ああ、抜いて見せるさ」
俺は剣の柄を握り締め、岩から引き抜こうと力を込めた、その時だった。
あたり一面が輝きだしたかと思うと、俺の手を使わずとも勝手に自ら岩からその抜き身を引き抜こうとしてくるではないか。
「な、なんだ──?!」
俺の意思反して、勝手に剣が岩から抜けた瞬間、白く輝く光が視界を奪い、俺とホロキを包み込む。
「きゃぁっ!」
ホロキの悲鳴。思わず俺は彼女の手を握り締め──そして、そこで意識が途切れた。
光が収まった室内には、先程となんら変わらない光景。
岩に突き刺さった剣、辺りを舞う蝶。
しかし──彼らの姿はその場所から忽然と消えていたのだった────
こんなとこまでにしておきます(笑)
前からあるMODで最近導入したものなのですが、
クライサメレーがかっこいいので是非両手剣使いの人は導入してみるといいかもです。
俺の書いた小説はあまりアテにはできないので、そこんとこご了承ください(汗
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