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スカイリムの攻略とかあまり役に立たない日々のプレイ日記をだらだらかいていくつもりです。

雪と氷とドラゴンと。

   

善後策

 双子の月が太陽の光に反射され三日月形となりスカイリムをぼんやり照らしている。
 惑星ニルンにある大陸のひとつ、スカイリム地方を含むここタムリエル大陸ではこの二つの月──ニルンの衛星、マッサーとセツンダの事だ──を双子の月、として呼ばれる事が多かった。
 猫のような獣人、カジートはこの月を信仰の対象とし、町外れで時折見かけるカジートの行商人一行が夜になれば月夜を見て故郷を懐かしむ、といった様子がみられるほど。
 スカイリム地方は雪と氷に閉ざされたツンドラ地帯だから、夜になれば月とオーロラが組み合わさる幻想的な夜空が拝めることもある。その光景はため息がつくほどと言ってもいいだろう。
 ……しかし、今夜は月が雲に覆われているし、オーロラが辺りを輝かせることもない。分厚い雲の切れ切れから月明かりがたまに大地を照らす程度だ。
 そんな闇夜を、二匹の馬が走っていた。勿論馬だけが走っているのではない。二頭の馬の背中には人影が──二つ。
 二人とも、身なりは戦士のようだ。一人は金髪、もう一人は暗くてよくは見えないが、山吹色の髪。
 金色の髪を時折月明かりにきらめかせながら馬を走らせているのは女性のようだ。華奢な体型には合わない皮製の鎧を身につけ、腰には剣をさしている。
 もう一方は男性、陽光のような色の髪も夜となってはくすんだ色にしか見えないが、体つきはがっしりとし、闇と同じ色の鎧を身につけ、背中には身長ほどともいえる両手剣を背負って馬を走らせていた。
 二人は馬を走らせて向かっていた。──ドラゴンの墓に。

「なんでついてきたんだ、デルフィン。あんたが来る理由はないはずだが?」
 馬を走らせながら俺は傍らで黙ったまま馬を走らせている金髪の女性、デルフィンに言葉を投げかけた。馬を走らせているせいで声が届いたかは分からないが、彼女はちゃんと聞こえたようだった。
「おおありでしょう? ドラゴンボーンが無駄死にしたらスカイリムは……いえ、世界が終わるのよ? わたしは貴方を見張る必要がある、だからついていく。違う?」
 甲高い声で彼女はそう答えた。無駄死にとか……言ってくれる。俺は死ぬつもりはない。かといって無駄に終わらせるつもりもない。
「俺を見張るだ、なんて聞いたことないんだが?」
「見張ってるの。貴方が変な気起こさないようにね。尻尾巻いて逃げられちゃ困るんだから」
「逃げるつもりなんてない。まだそんな事──」
「そろそろ場所が近いわ。馬から下りて歩いたほうがよさそうね」
 デルフィンはそういって、襲歩状態で走らせていた馬を手綱を引いて並足程度にまで速度を下げ、止めてから馬から下りた。
 タイミングがずれたせいで、俺は彼女から若干離れた場所で馬から下りて地面に足を着く。あたりはしんと静まり返っている。時折野生の動物が動いているのか、かさかさと草の擦れる音が聞こえてくるだけだ。
「街道からずれた、あの小高い丘に墓があるわ。そこにあいつが現れる筈なんだけど……」
 デルフィンは地図を片手に、もう片方は既に武器を抜き手に握られた状態だった。夜、というのもあるだろう。万が一、ドラゴンが来なくても夜盗が来ないと言う事は普通、考えられない。彼女の持つ剣の刀身が月夜に照らされ光を反射していた。
「行ってみよう。夜盗や山賊が相手にならないことを願うぜ」
 彼女が黙って首肯したところで、俺は背中に背負った剣を抜くために右手で柄を握り、身を屈め鞘を傾け、一気に引き抜いた。
 デルフィンの持つそれよりも細く長い刀身が両手剣の特徴だ。ダメージも大きいが振りかぶる時の隙が大きいのが難点といったところか。
 街道を外れ、草や岩肌がむき出しになっている台地を、地図と照らし合わせて俺達は進んだ。街道はしっかりと石造りの舗装で固められているが、一端街道を外れれば、そこは野草や木々、岩や小川が流れている原野そのものとなる。人の手が入っている場所なんてのは、ほんの一部といっていい。
 闇に紛れるようにして歩いていくうちに、デルフィンの言ってた丘らしきものが見えてきた。……と同時に、丘の頂上らしき場所で何かが地上から噴出しているようなものも視界に飛び込んでくる。
「デルフィン、あれは……」
「間違いないわね。貴方も一度カイネスグローブで見た事があるでしょ? あれと同じ事をしてるわ。アルドゥインが」
 先頭を歩いていた俺は背後にいるであろうデルフィンに小声で言うのと、彼女の確信を得た返事がほぼ同時だった。
 丘に近づくにつれ、体の中の血が沸き立つように共鳴しているのが分かる。──血が疼いているのだ。ドラゴンの魂が欲しい、と。
 体はそう訴えているのに反し、俺の心は冷静だった。相手はドラゴン、ましてやドラゴン復活をさせているアルドゥインそのもの──アーンゲールはああいったが、本当に俺の訴えを聞いてくれるのだろうか?
 大地──ドラゴンの墓と呼ばれる丸型のサークル──から空に向かってどす黒い、瘴気のような光が溢れんばかりに伸びている。その光は稲光を伴い、そしてそのサークルの周りをぐるぐると周回しながら──銀色の鱗を持つ、巨大なドラゴンが飛んでいた。
 俺達とドラゴンの墓までの距離は走ればすぐに到達できる位まで縮んでいた。しかし闇夜がアルドゥインの視界を遮っているのか、気づかれた様子はない。アルドゥインは旋回しながら何か“叫んで”いた。それはドラゴンの言葉。墓に眠るドラゴンを復活させる言葉。
 旋回するアルドゥインの真下まで身を屈め歩いてきたところで、俺はデルフィンに言った。
「デルフィン、行くぞ!」
 えっ、と彼女が言うのと、俺が隠密状態を解除するのは同時だった。俺は息を吸い──こちらに気づかせるため──“叫んだ”。
 叫びは瞬時に力へと変わり──空間を捻じ曲げ、空気を刃と化しアルドゥインの腹部に命中した。巨大な体躯のドラゴンが空中でよろめき、体勢を崩す。
「アルドゥイン!!」
 今度は普通の言語でドラゴンに向かって叫んだ。いくら夜だとはいえ、真下にいる人間の姿が分からないほどではない。俺のシャウトと声で、アルドゥインは鋭い眼光を俺に向けた。
「あんたに話があるんだ、アルドゥイン! 俺の話を聞いてくれないか!!」
 辺りに声が響いた──しかし、アルドゥインは何事もなかったかのようにサークルの辺りを飛び、ドラゴンを復活させようと地面に向かって時折“叫んで”いる。先程俺らが見つかる前となんら変わらない様子で。
「ジュリアン! あんた何やってんの? アルドゥインがここの墓に眠ってるドラゴンを復活させる、そいつを倒さないと」
 岩陰に隠れていたデルフィンが俺の腕を引っ張り、体制を立て直そうと言ってくるが、俺は彼女の腕を振り払い、
「聞こえないのか、アルドゥイン!」
 上空を旋回するアルドゥインに再び叫ぶが、攻撃も仕掛けてこなければこちらに向かって降下してくる訳でもなかった。まるで俺とデルフィンなんて眼中にない、と言った様子だった。
「だから言ったでしょ、アルドゥインが理解するような奴じゃないって……ちょ、ジュリアン、何を……」
 デルフィンが悪態をつく前に俺は両手剣を鞘に戻し、弓と矢を構え、上空に向かって狙いをつけた。
 無視し続けるならしろ、だが俺の話は聞いてもらうぜ、アルドゥイン──話を聞こうとする気になるまで!
 弓弦を目一杯引いたところで、つがえた矢を指から離す。ぶん、としなる音を立てて弓弦が跳ねると同時に勢いよく矢が放たれた。月光りを帯びて鏃は閃光のように煌き、直後アルドゥインの鱗に深々と突き刺さった。……しかし、アルドゥインの様子は変わらない。何故だ?
「くそっ……」
 毒づく。これじゃアルドゥインとの話し合いのテーブルにつけるどころか、また新たなドラゴンが墓から復活しちまう。どちらにせよ、アルドゥインがこちらを無視し続ければ、空を飛んでブレスを吐くことも出来ないただの人間に手も足も出せないのだ。
 墓から噴出す光と雷はどんどん強くなってきている。その光に影響してか、大地がぐらぐらと波打つように揺れた。立っていられない程ではないが、その揺れは確実に、墓に眠るドラゴンの目覚めを現している。
 どうすればいい? 復活を遂げれば、アルドゥインはカイネスグローブでの時と同じようにまた何処かへ飛んでいってしまうだろう。次に奴が現れる場所がデルフィンが予測できるとは限らない。今しかない。しかし奴は無視してる。どうやって……
 その時、無謀ながらも僅かな可能性を賭ける方法が頭に浮かんだ。これしかないのか、と思う気持ちと、これしかないんだ、と断言する気持ちが瞬間俺の中で争ったが──俺は即座に後者を選んだ。
「デルフィン! ロープ持ってたよな、貸してくれ」
 いきなり何を言い出すのか、と彼女は一瞬、怪訝そうな表情を浮かべたが、すぐに袈裟懸け状に背負っていた長めのロープを肩から外し、黙って俺に差し出した。
「一体何をしようっていうの? まだ話し合いをしようとでも──」
 俺は彼女の声を無視し、背中の矢筒から一本矢を取り出した。
 矢筒にはいくつか種類の違う矢があったが、もっとも太く、最も強度があって耐えられそうなものといったら、弩にも使えると言われてるドワーフの太矢しかない。スカイリムで弩──一般的にクロスボウと呼ばれる武器だ──は見られないが、元々ドワーフの太矢は弓用の矢ではなく強度と厚みが違うため、弩用とも言われている。弓でも扱うことは可能だが。
 矢羽を弄ると威力と飛距離が落ちてしまうので、柄部分にしっかりとロープを縛り付けた。一回のチャンスを与えてくれさえすればいい。あとは運に任せるしかない。
 矢にロープを縛った後、自分の胴体にも同じようにしてロープをしっかり縛り付けた。これでよし。
「ジュリアン、あなた、まさか──」
 俺のやろうとしてる事が分かったのか、デルフィン──しかし、もう遅い。
 ロープが括り付けられた矢を番えると、再び空中に向かって弓を構え……放った。足元に垂れていたロープがみるみるうちに矢に連れられ空中に舞い上がっていく。
 月明かりのおかげで、矢はアルドゥインに向かって襲い掛かるように首元に矢はしっかりと突き刺さったのが見えた、と同時に足元に落ちていたロープがぴん、と突っ張り、釣り上げられた魚のように俺の体は地面を離れ、空中に持ち上げられた。ブランコに乗っているかのように体が前後に揺れ、しばらく制御がきかなくなる。
 何度か揺れた後、吊るされた格好になってようやく落ち着いた。今ロープが切れたり、矢が折れたら一巻の終わりだ。
 体の制御を取り戻した俺は、矢と自分の体を結ぶロープを掴み、よじ登ってアルドゥインの体にしがみつこうとした……途端、ドラゴンがぐるりと弧を描くように旋回した。
 成す術無く、俺の体はアルドゥインが旋回時に起こした上昇気流でふわりと持ち上がってしまう。アルドゥインの飛ぶ位置よりもさらに高くまで吹っ飛ばされた時──奴の首元に突き刺さっていた矢が耐え切れず、ばきっ、と真っ二つに折れたのを俺は見逃さなかった。
 アルドゥインと自分を結んでいたロープが緩む。このままじゃ地面に叩きつけられて即死だ。即死しない方法は唯一つ。──アルドゥインの背中に落ちるしかない。
 首だけを動かし、空に向かって俺は“叫んだ”──Fus Ro Dah.
 声は圧力となり、空中に放たれた直後、俺の体は空中で耐え切れずに吹っ飛ばされた。──そう、地面に足を着いていない状態なら、俺の体も同じように吹っ飛ぶのだ……最も、まともにうけたものとは威力もダメージも違うが。
 空中で見えない力に吹っ飛ばされた俺の体は、アルドゥインのごつごつした背中にうつ伏せ状態で落ちた。両手両指を総動員させ、振り落とされまいとしっかり鱗を掴む。鱗は堅く、掴みやすく滑りもしないのでなんとか落ちずに済んだ。
 無謀とも思われた作戦だったが、なんとか無事に目的の第一段階を達したようだ。しかし、これで終わりではない。
 飛び続けるアルドゥインの背中を這うようにして背中から首元まで向かう。ドラゴンに耳があるのは何処か知らないため、顔の辺りまでくれば聞こえるだろうと踏んでの事だった。
「アルドゥイン! 俺の話を聞いてくれって言っただろう!!」
 声が間近で聞こえたのに気付いたのか、それとも首元に何かがいるのが分かったのか、アルドゥインはこちらに長い首を伸ばして視線を向けた。
「………ドヴァーキン?」
 しわがれ声のような老人めいた声が、僅かに開いたアルドゥインの口から漏れた。──やはり喋れる。アーンゲールの言うとおりだった。
「俺は今あんたを倒そうとして来てるんじゃない。話があるんだ。あんたに提案があるんだ」
 提案、と言った時、鋭く眼光炯々としたアルドゥインの瞳が驚いたように瞬時丸くなった……ように見えた。
 しかし、
「話し合い? 提案? ……お前は本当にドヴァーキンか?」
 ドヴァーキン、という言い方はアーンゲール他グレイビアードがよく口にした、ドラゴンボーンの別の言い方だというのは知っていた。タイバー・セプティムも同じようにドヴァーキンと呼ばれ、そしてドラゴンボーンだった、ということも。
「お前がドヴァーキンだというのか? 我と話し合いをするだと? 定命の者が我に口を出すだと? 本当にそれが出来ると思っての事か?」
 飛翔しながらアルドゥインは言い──そして笑うように“叫んだ”。地面から噴出す瘴気が共鳴するかのように光った。
「ふざけたことを! 提案、などと言える立場なのか? 我はお前たち定命の者を支配せんとする者。提案、などという戯言、聞く耳持たぬわ!」
 アルドゥインの怒号が、静寂に包まれている夜の闇を切り裂くようににこだましていった。振り落とされまいと必死でしがみつく俺の手がしびれてきているのが分かる。あまり時間は残されていない。
 その時アルドゥインが再び大きく旋回した。体がぐらりと安定を崩す。
「アルドゥイン、あんたたちにとっても、今はまだ復活が完全にじゃない。だからこそ俺の話を聞いてほしいんだ。あんたたちにとっても決していい戦況じゃないはずだ。だから俺の話を──」
 こちらが言い終わる前にアルドゥインの声が突風となって襲ってきた。
「我と話し合いなどという腰抜けなドヴァーキンよ、よく見ておくがいい。我が今からする事を。我と汝は相容れぬ者。我は一度力を失い、長き眠りについていたのだ。今こうして復活した今、汝ら定命の者の提案なぞ受け容れる訳が無い! 我らは再びこの世界を支配するのだ! ドヴァーキン、止めるなら止めてみるがいい!」
 そしてアルドゥインは首を持ち上げ、“叫んだ”。今度は空に向かって。──直後暗雲が辺りを包み、かっ、と辺りを光らせ一筋の閃光が大地に落ちた。
 ストームコールか? と同時に背負っている両手剣を外したほうがいい、と思った時、両手の集中を失ったため指が滑るように掴んでいた鱗を離してしまった。
「しまっ……」
 た、と言い切る前に俺の体に衝撃が走る。天から落ちた閃光が、俺の背負った両手剣が避雷針の役目を果たし、まっすぐ落ちてきたのだ。
 鱗を再び掴もうとする行為もできないまま、雷で麻痺した俺の体は動かず、アルドゥインの首から地面に向かってずるずると滑り──次の瞬間体が地面に向かって落ちていた。
「………!」
 手を伸ばそうにも麻痺していて何がなんだか分からない。アルドゥインの巨体が遠のいていく。 

「ドヴァーキン、汝は何を求める?」
 遠くで、アルドゥインの声が聞こえた気がし──そして、闇が訪れた。

 次で終わるかな? な感じです^^;
 今回長くてすいません;;

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ジュリアン
性別:
男性
職業:
傭兵
自己紹介:
スカイリムはホワイトラン在住のドヴァキン。
現在のところ引越しする予定はなし。
中の人はヘタレですが一応同人誌作家。マイナーゲームの絵を描いてたり。
文章も多いですが一応絵の方専門。
スカイリムの絵とか描いたりフォトショでSSをレタッチしたりするのが好き。
スカイリムに影響されて2012年から英語の勉強を始め現在進行形で勉強中。
ラジオ英語を聴いているのだが、英会話教室に通いたいのに時間と金が無くて嘆いているとかいないとか。

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