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SkyrimとFallout4・76の二次創作メインブログです。 たまにMODの紹介も。
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04.19.23:01

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  • 04/19/23:01

05.20.16:16

オープニング・ムーブ(第一手)

※スカイリムの二次創作小説です。
その手のモノが嫌いな方はブラウザバックをして戻ってください。
今回は新シリーズ第一章目となります。一応ギャグ路線を目指してますがどうなることやら。
気長に見てやってくださると助かります。
今回触りの部分だけなんでどばきんさんとか出てきませんw

「……知ってるか? “伝説のドラゴンボーン”とやらが復活したらしいぜ?」
 薄暗くじめっとした室内──室内、という言い方は正確ではないが──に、低音の声が響いた。低い声でも周りがごつごつした岩肌のため、若干離れた場所からでも聞こえてくる。
「ああ……聞いたことがあるぜ。ドラゴンの魂を食べるとか言う奴だろ? 今スカイリムじゃそこかしこでドラゴンが復活してるらしいから、ドラゴンボーンも復活したってことじゃねぇのか?」
 あちこちぼろぼろに擦り切れた皮鎧を纏った男が、エールの瓶を口に運びつつ低音の声を持つ男に返事をする。
 最初にドラゴンボーンの話を振った男も同様の格好だった。破れた鎧を直そうともせず、破れたまま着ているのであちこち肌が露出してみっともない格好だと思われても仕方が無い容貌だ。
 しかし彼らは敢えてそういう格好をしているのだ。何故なら彼らが身に纏う鎧こそ、彼らが倒した奴から奪ったものだから。
 相手を斬り殺した故に奪ったもの故、鎧には刀傷があちこちついている。
「羨ましいねぇ。そのドラゴンボーンとやら。一躍英雄のお仲間入り、って事だろ? 英雄ともなればスカイリムの住民から賞賛やら何やらもらい放題、やり放題、ってか? 俺らもそういう英雄様とお近づきになりてぇもんだ」
 ガハハと下卑た笑い声があたりに響く。最初にドラゴンボーンの話を振った男も全くだと同調させながらエールの入ったジョッキを口に一気に流し込んだ。
「確かにな。俺らもあやかりたいねぇ。そいつが俺らの仲間だったらこっちにも分け前をくれるだろうになぁ」
 そりゃ無理だよなぁ、と再び笑い声が響く。他愛ない談笑だと第三者から見たら思う光景だった。一人の男が奥の部屋から出てくるまでは。
「……その“ドラゴンボーン”という奴の容貌は知ってるのか?」
 のそっと奥から出てきた男に、話していた二人の男は軽く頭を下げた。自分たちよりは格が上なのだろう、出てきた男は板金鎧を身につけ、両手で持つ巨大な斧を背負っていた。顔には刀傷がいくつか刻まれ、一見歴戦の戦士と思われるような風貌をしている。
「ああ、兄貴か。……ドラゴンボーンの容貌ですかい? 男だ、って事しか聞いたことはねぇが……」
 兄貴と呼ばれた板金鎧の男は軽く頷くと、手近な椅子に腰を下ろし、粗末なテーブルに置かれてあったハチミツ酒の瓶に手を伸ばす。
「最近、俺達山賊を襲う手練の男が居るって話、聞いてるか?」
 瓶の蓋を片手でぴん、と跳ね飛ばし一気に口に流し込む。低音の男はああ、といった様子で首肯した。
「聞いたことありやす。たった一人で他の山賊の根城を壊滅させたとか……それがまさか、ドラゴンボーンだと?」
 擦り切れた鎧を纏った男はそれを知らなかったらしく「たった一人で?!」と傍らで驚愕していた。
 一人で十数人はいるであろう山賊の根城を壊滅させたなんて信じられないのは当たり前だ。それも聞くところによるとそこそこ大きな根城を悉く壊滅させたとのこと。ますますもって信じがたい。
「……その可能性は無きにしも非ずだ。ドラゴンを倒し魂を食うことが出来る英雄、ドラゴンボーンなら一人で数十人の山賊相手でも怯むことはあるまい」
 板金鎧の男は口調を変えずにぽつりとそう言い放つ。低音の男はなんてこったと言った様子でテーブルをばんと叩き付けた。
「もしそうなら兄貴、俺らは黙ってやられるしかねぇんですかい? いずれそいつは俺らを倒しにくるんですぜ?」
 倒しに来るという単語に引っかかったのか、低音の男の傍らで驚愕の表情を浮かべたままだった男がひぃっと情けない声を上げた。
 板金鎧の男はその質問に答えようとはせず、黙ってハチミツ酒の瓶を呷る。
 しばし静寂が辺りを支配し──
「……その男の顔、分かるか? 名前も知りたい」
 意外な答えだった。低音の声を持つ男と擦り切れた鎧を着た男は一瞬、顔を板金鎧の男に向けたまま視線を交わし……
「え、ええ……情報屋に調べてもらえれば一発で分かりまさァ」
 擦り切れた鎧を着た男が声を震わせつつ答えた。板金鎧の男は返事をする代わりに頷く。
「ちょっとまってくだせぇ兄貴。俺、そのドラゴンボーンの名前聞いたことがあるんでさ」
 横槍を出してきたのは低音の男。
「ほぉ、名前が分かったほうが情報が掴めやすいからな。なんて名前だ?」
 板金鎧の男に急かされ、低音の声を持つ男は一生懸命思い出すポーズを取り……
「確か……えーっと、まってくだせぇ……ジュリ、いや違うな……そうだ思い出した! ジュリアン。ジュリアンって名前だ。間違いない」

 時折、風で草が擦れる音しか聞こえてこない静かな夜。
 山間にある洞窟の奥から、男達の低い声が響いていた。
 その笑い声は、まるで──悪巧みを考えた時に出るような、いやらしく下卑た笑い声だったという──

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