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SkyrimとFallout4・76の二次創作メインブログです。 たまにMODの紹介も。
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03.28.20:52

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  • 03/28/20:52

06.03.11:05

ちょっと待て!!

※スカイリム二次創作小説チャプター02です。
その手のものが苦手な方はブラウザバックでお戻りください。
・これは第二章です。最初から読みたい方は前作「オープニング・ムーブ(第一手)」からお読みくださいませ。



 スカイリムのおよそ中心部にある都市、ホワイトラン。
 交易の中心都市であり、行商人はここを拠点としてスカイリムの各都市──ソリチュード、ウインドヘルム、ウィンターホールド、モーサル、マルカルス、リフテン、ファルクリース──へ向かう。
 タムリエルの中心部からやって来る者達は大体ここに辿り着いてから各都市に向かうため、ホワイトランは他の都市と比べると行商人は勿論、旅人や傭兵の出入りも多く活気づいている。
 ──しかし、お気づきだろうか。ホワイトランの街中を歩いている者がノルドやインペリアル、時折珍しくレッドガードやエルフなどの人間に近い姿の者しか居ないことに?
 ホワイトランの住人はノルドが大多数を占めている。そしてノルドは他種族──主にカジート、アルゴニアンなど獣人種族──を極端に嫌う。本来ならエルフとてその中の一つに入るのだろうが白金協定によって帝国がアルドメリ自治領に下ったため、エルフに対して大きな口は叩けなくなった。
 その為ホワイトラン城下町でカジートやアルゴニアンの姿は一切見ない。旅人がいたとしても城門に突っ立っている衛兵にで咎められ、引き返させられるのがオチだ。行商人の格好をしたカジートや旅人姿のアルゴニアンが城門前の衛兵に食って掛かっていた姿を見かけるのは日常茶飯事だったが、どんなに食い下がっても彼らは中に入れてもらうことは出来なかった。
 しかしそんなことがあってもカジート達は諦めなかった。彼らは門の中に入れてもらう事を諦め、城門から少し外れた街道沿いにテントを張って商売をするようになった。……だがホワイトランに住むノルドは全く相手にしなかった。カジートやアルゴニアンは毒──麻薬と似たような幻覚作用と興奮状態に陥らせてくれるムーン・シュガーやスクゥーマの事だ──を売る連中だの、盗人だのという先入観をかたくなに信じきっていたせいだ。
 全く相手にされない彼らだったが、ある男だけは違った。ノルドなのにもかかわらず彼らと他愛ない世間話をし、商品を買ったり色々と手助けしてくれるその姿は、カジートの行商人にとっても意外だったのだろう、彼らは次第にその男に心を開いていくようになった。一部の者は彼と行動を共にしてもいいといいと言わせた程。
 その男はホワイトランの従士なせいもあって、彼らの間ではちょっとした有名人だった。変わった奴だと言い訝しむ者も居たが、大半の行商人カジート達は彼に友好的だった。
 ただ彼らは知らない。その男が何故カジートやアルゴニアンに対して友好的な立場で居られるのか。
 そう、彼は人種という垣根を越えて、ヒトとして生きる者の味方という立場にいるからだ……竜の血を持ちながらも、ヒトを守る者──ドヴァーキンとして。

 馬を止め、小高い丘の向こうに見慣れたドラゴンズリーチの尖塔部分が姿を現した。夕暮れが近いため若干赤く染まっている。何とか夜になる前に着きそうだ。
「一ヶ月ぶりのホワイトランだな。随分ご無沙汰してたもんだぜ」
 片手は手綱を握ったまま、もう片方の手でひさしを作るようにして遠くを眺めるポーズを取る。しばらくぶりに見るドラゴンズリーチの姿だった。先端部分しか見えてないが城下町も至って変化はないだろう。
 別件で俺はホワイトランから程遠いウィンターホールドまで出向き、そこにある魔術師大学で依頼を受けていた。気がつけばあっという間に一ヶ月が経っていた。ホワイトランの従士という立場上、あまり長くホワイトランを離れるのは立場的に見てもよくない。
 依頼はまだまだ途絶える事はなさそうだったため、一区切りをつけて俺はホワイトランに帰ることにした。
 一ヶ月以上最北端に近い場所に居たためか、ホワイトラン地方までやってくるとその温度差にほっとする。毎日雪が降り続けるウィンターホールド地方と比べ、ここホワイトラン地方の気温も降雪量もウィンターホールドのそれと比べたら雲泥の差だ。それでもモロウィンドと比べたらかなり低いのだが。
 さて、今日は久しぶりに自分の家に帰れそうだ。リディアが居るだろうから何かちょっと豪華な晩御飯でも作ってもらえたら有難いのだが。……というかリディアに飯を作ってもらったことなんてあっただろうか? 剣の腕はまぁまぁと言ったところだが、料理の腕となると検証した覚えが無い……食べれるものを作れるのだろうか彼女は?
 などとどうでもいい事を考えつつ、俺は鐙に掛けた足でとん、と馬の横腹を蹴った。それに反応して馬がゆっくり並足で歩き始める。夕暮れは釣瓶落とし。ぐずぐずしてたらあっという間に闇に塗りつぶされてしまう。
 更に馬の横腹を蹴り、やや早く走らせる。街道を一気に駆けていくと、やがてホワイトラン城下町まで見える距離まで近づいてきた。橋を渡り、更に街道を走らせていくとホワイトランの馬屋が見えてくる。そこに馬を預ける厩舎があるのだ。
 馬屋の看板が見えてきたところで走らせていた馬を並足までに速度を落とす。そのままゆっくりと歩かせて厩舎に入り、馬から降りて繋ぐ。
「お疲れさん、ゆっくり休んでろよ」
 馬のたてがみをゆっくり撫でて疲れをねぎらってから、俺は厩舎を出た。
 まさかそれから数時間もたたないうちに再びここに戻ってくるなど、誰が予想できただろう?

 城壁の間にある舗装された道をぐるりと回り込むようにして歩いていくとやがて正門が見えてくる。ホワイトランは城壁で囲まれた城塞都市なため、この壁を越えて城下町に潜入するといった行為は無理に等しい。城壁周辺には物見櫓が立てられ、衛兵が常駐しているし近くには監視塔がいくつも設けられている。見回りをする衛兵の姿も多い。城壁を越えて不法侵入する方がばかげている。
 城門が見えてきた。いつもとなんら変わらない……と思った矢先、おや、と俺の心の中で何かが違和感を訴えた。
 いつも居るであろう衛兵の姿がない。
 巨大な木製の門の前には必ずといっていいほど衛兵が両脇に突っ立っているのにも関わらず、突っ立ってる場所には誰の姿もなかった。これじゃ誰でも入って大丈夫ですよといってるようなもんではないか。
 妙だな……心の中がざわつく。
 しかし何が妙なのか分からない。もしかしたらただ単に見張りの交替の時間帯でたまたま姿が見えないだけかもしれない。そう自分で納得させようとしても何故か心にひっかかる。今までこんな事がなかったから?
 俺が居ない間に何かあったのだろうか……山賊の襲撃があったのか? それともドラゴンが襲ってきたりでも? 嫌な考えばかりが頭をよぎる。
 しかし……辺りは特に襲撃にあったような様子はない。血溜まりが地面にある訳でもないし、城壁が崩れ落ちている様子もない。前に見たホワイトランとなんら変わりは無い。景色だけは……ただ在るべき所に在るべき人がいないだけで。
 気にしないほうがいい……そう思い込む事にしよう。俺はホワイトランの正門である木製の大扉に手をかけ、開けようとした。が……
 胸騒ぎがする。この先──この先は城下町じゃないか──に何かよくないものが潜んでる。長年傭兵として、冒険者として培ってきた勘が、この扉の先に自分に害を与えるものがあると察知している。
 扉の取っ手に手をかけたものの、引くことを躊躇ってしまう。だが俺は──その先に何があるのか確かめたく、次の瞬間には扉を開けていた。
 大丈夫だ。大丈夫だ。何も問題はない。この町が襲われたりする筈なんてない。
 その考えは間違っていなかった。唯一つ間違っている点──襲われた相手が山賊ではなかった──を除いて。

 扉を開け、ホワイトラン城下町に入った直後。
 周辺の空気が一瞬にして変わったのを俺は見逃さなかった。
「…………?」
 門の前に待機しているであろう衛兵の姿はやはりなく。
 辺りを歩く市民の姿はちらほら見かける……が、その彼らの視線が全て、扉を開けて入ってきた俺に注がれていた。
 しかしその視線はいつも俺を見かけた時に向けてくれる友好的なそれとは違い、敵に向ける視線……驚愕、敵対心、猜疑心をむき出しにしているのだ。
 あまりの変貌に思わず俺は腰にさしてある剣の位置を確かめてしまう。……何なんだ? この異様な雰囲気は? 
 その時、遠巻きで俺を見ていた市民の間を掻き分けて衛兵が数人、こちらに向かって走ってきた。俺の目前に止まるやいなや、こちらに向けて指をびしっ、と指し、
「ジュリアン、だな?」
 威圧的な言い方で俺の名前を呼び捨てる。何だその態度は? 俺は一応ホワイトランの従士だぞ?
「……そうだけど。一体どうしたんだ? 衛兵の姿はないし町の人まで俺を変な目で見──」
 言い終わる前に衛兵はさっと俺を囲み、淀みなく腰にさした剣を抜いてこちらに切っ先を向けた。
「お前はホワイトランとその市民を恐怖に陥れた。罪を償ってもらおう」
 ──は? 
 頭の中で今衛兵が言った言葉を反芻させてみる。けれど……全くもって意味が分からない。
 罪? 償う? 俺は今までウインターホールドに居たんだぞ?
「ちょっと待てよ。何のことだかさっぱり──」
 反論しようと手を上げた時、衛兵の一人がこちらが攻撃してくると勘違いしたのか手にした剣で突いてきた。切っ先は俺の左手を掠め、直後に傷口から鮮血が溢れ出す。
「刃向ったら次は命をもらうぞ!」
 刃向うも何もこちらは剣すら抜いてないじゃないか。
「俺が一体何をやったと言ってるんだ? 罪状を言え!」
 手を一方的に切られるわ、一方的に罪を償え言われるわ、俺の言い分くらい聞け!
 すると衛兵は何を馬鹿な事を、というような嘲る態度を見せてきた。ますますもって腹が立つ。睨みつけてやると、囲んでいる衛兵の一人がとんでもない事を口にした。
「はぁ? お前自分がしでかした事を忘れた、などといわないだろうな? お前は数人の男を引き連れて器物損壊、窃盗、横領、強奪、強姦。市民に対してありとあらゆる残虐行為を行った。逮捕しない訳ないだろうが? 従士という身分にしてもその罪は重く、首長バルグルーフもお前を罪人として捕らえよと命じておられる。大人しく我々に捕まり罪を償うことだ。刑期を終えるまでな」
 ……何だって?

 闇が帳となって世界を覆いつくす前。
 俺を囲む衛兵。遠巻きでこちらを見つめる市民。
 辺りから発せられる異様な敵対心に気圧され、俺は何も言えずにその場に立ち尽くしていた──。

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