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SkyrimとFallout4・76の二次創作メインブログです。 たまにMODの紹介も。
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04.19.16:21

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  • 04/19/16:21

06.05.23:04

この道の向こう側で、

 ──行くのか、同じ道を。
 同じ道を辿って、彼を探すことを願っても。
 同じ道を辿るということは、即ち汝もまた、彼の者と同じモノにならぬとも限らん事。
 それでも汝は行くのか? ──ミラークを止めるために?
 それとも──ミラークと同じ道を辿るために?

「違う。」
 と、──言える事は、今だけかもしれない。
 彼と違う点がいくつもある。俺は今を生きる生者、彼はかつての時を生きた亡者──にしてはありえないほどはっきりとした姿をしてはいるけれど。
 共通しているのは彼も俺もその身に龍脈を持ち、彼等の魂を力に変えられるということ。そしてそれは、人々にとって尊敬と畏怖の対象でもある事。
「……分かるか? ジュリアン、と言ったな。まだ若いドヴァーキンよ。
 私はその黒い本と関わるべきではないと思っておる。邪悪で、自然に反するものだ。ミラークがかつて竜教団に居たというのは知っているが、どう見てもそれは竜教団のものではない。禍々しいものを感じるのだ。それがミラーク聖堂に、そして本の中でお前はミラークに会ったのだろう? ……どうにもその本がミラークに手を貸しているのは間違いないだろう。そしてその本の中でミラークを探しに行くというのなら、お前は用心しなければならない。彼と同じ色に染まっては、我々には手も足も出せなくなるからだ」
 フリアの父、みね歩きのストルンはそう──俺に諭すようにゆっくりと話し始めた。
 スコール村の人々をミラークの呪縛から解放した翌日、彼の元を訪ねた際にこちらから切り出したのだ。黒い本の装丁を見せて、「この本について知っていることはないか」と。
「俺はミラークと同じ色になんか染まらないさ。何故そう思うんだ?」
 聞き返すと、彼はじっと俺の目を覗き込んだ。威圧的ではないが、逸らす事の出来ない彼の視線に心の内まで読まれてしまうのでは、と思ってしまう。
「……ジュリアンとやら、お前は我々と同じノルドだな、しかしノルドとて人間だ、全ての者が善人ばかりではない。悪さをする者だっている。それは当たり前の事だ。
 ヒトは得てして弱い生き物。生きてるうちに魔が差す事が何度もあるだろう。──お前は今まで感じた事はなかったのか? “ドヴァーキンの力を持ってすれば、どんな事だって出来る”と?」
 思わない筈がないだろう。最初は戸惑いこそすれ、それが他の人には無い、俺だけが持っている強大な力だったら──それを正しく使えと誰が言う? 俺しか使えないこの力を、自分だけの為に使ったっておかしくもなんとも無い。
「……ああ、思ったことはあるさ、何度もな」
「なら再び問いかけよう、ミラークがもし、お前の力と自身の力があれば、世界を支配する事も叶わない願いではなくなる、と言ったら? それでもお前はミラークと同じ道を辿らないと言い切れるのか?」
 畳み掛けるように問いかけてくるストルン。彼は悪気があって言っている訳じゃないのは分かっている。試しているのだ、ミラークはそれだけ厄介な敵なのだろう、人々を操って自身の聖堂を復活させようとしている時点で、俺にはまだ彼のような力は備わっては居ないのだから。
「俺は彼とは違うさ。……同じ道の先に何があっても、俺はミラークと同じようにはならない。彼を止められるのは俺だけだ。俺が彼と同じになっちまったら、この島の人たちはどうなっちまう? いや、ソルスセイムだけじゃない、いずれタムリエル全土にまでミラークの手が伸びるのは自明の理だ。同じ道を辿りこそすれ、同じようにはならないさ。守るべきものがあるからな」
 相手の目を見返すように見つめ、そう……俺の言った言葉に、賛同してくれたかどうかは分からない。
 けれどストルンはそれ以上俺に問いかけてはこず、岩を全てミラークの術から開放させていけば、人々の呪縛も解けるだろうと言ってくれた。それが彼の復活を少しでもずらす事ができるだろう、と。
 ならばまずは島全体に散らばっている岩の開放からだな。俺はそう心に留めて、礼を述べて立ち去ろうとした。
「村の人達を助けてくれてありがとう。……気をつけてね」
 と、フリアが俺を見送るように扉までついてきてくれたので、
「ああ、あの時は世話になっちまったな。借りは必ず返す。ミラークを倒すって事で」
 冗談のように聞こえたのか、それとも頼もしく見えたのかは分からないが、フリアはくすっと笑ってくれた。

 ストルンとフリアの家を出てから気づいた。セラーナが居ない。
 辺りを見回しても、スコール村独特の分厚い毛皮を被った人たちが行き来するだけで、細身の彼女の姿がどこにも見当たらない。
「あれ? セラーナ……どこ行ったんだ?」
 ついさっきまで俺と一緒にストルンの話を聞いていた筈なのだが……傍らに立ってた気がするのが、今は居ないのが奇妙に思えて、こちらの感情を不安にさせてくれる。
 とりあえず探してみるか、と村の入り口まで歩いていく途中に、ちら、と見慣れた黒い服が視界に飛び込んできた。そちらに顔を向けてみると、岩壁すれすれで突っ立っている彼女が目に飛び込んでくる。
「セラーナ! そんな所で何やってるんだよ?」
 駆け寄ってみるものの、セラーナは俺の声に反応もせず、ただじっとしていただけだった。スコール村は山間の中腹辺りにある村のため、気温は寒く、ほぼ一日中、雪が降り続いている。勿論今もそうだった。晴れた日には遠くまで絶景が拝めるかもしれないが、雪が降っている今は灰色の空とうっすら麓の辺りまでしか見る事が出来ない。
「どうしたんだよ、セラーナ。こんなところにじっとしてると、風邪ひいちまうぜ?」
 言いながら彼女の肩にそっと手を乗せると、驚くほど冷たかった。彼女はフードとくっついたマントを身に着けてはいたが、やや薄手で寒冷地に向いていない。俺は自分の身につけていた外套をはずして彼女にふわりと掛けてやった。が、相変わらず顔をこちらに向けてきやしない。……俺何か怒らせるような事したか?
「──何故、話の途中で出てったんだ?」
 質問を変えてみた。……しばし、雪がさらさらと落ちる静かな音しか聞こえてこなかったが、
「……同じ道を、行くんですの?」
 何の話をしているのか数秒間頭の中で考えあぐねたが、ストルンと話してた事か、とようやく気がついた。
「止めるには、それしか今のところ手段がなさそうだしな」
 そう──今のところは、だ。彼は実体を持っていない以上、この世界に降りる手段が今のところ無いのは確かだ。実体があればあの時──ドラゴンソウルを奪われた時──セラーナ達にも見られていてもおかしくないし、斬りかかっていったのに剣で斬れなかった理由にもなる。
 即ち、ミラークはあの世界──ハルメアス・モラのアポクリファだ──でしか影響力を持てない……と言うことになる。今の時点では。
 何もしなかったら、ミラークは力を復活させていずれこの世界にやってくるだろう。そうなる前に阻止できるとしたら、アポクリファに行くしかない。──黒い本を開いて、あのおぞましい世界へ身を投じなければならないのだ。
「……私が一緒に行けないのを分かって言ってるんですわよね?」
 勿論。「それがどうかしたのか?」と、当然聞き返すと、彼女は何度か頭を振ってからきっ、と俺を睨み付けながらこちらを向いた。真っ赤な瞳がぎらぎら燃えるように輝いていて、睨み付けられている事も忘れて綺麗だな、と素直に思ってしまった自分がおかしかった。
「どうかしたのか、って、わからないんですの? あなたが道を踏み外してしまってもそれを正せる人が居ないって事ですのよ? それに……本の中で死んでしまっては、私は本の中に入れないから探す事もできやしませんわ」
 ちょっと待てよ。「俺がミラークの側につくとか、アポクリファの世界で死んでしまうとか本気で思ってるんじゃないだろうな? セラーナ?」
 渡したマントが飛ばないように両手で端を握り締め、セラーナは言葉に詰まった様子で何度か口をぱくぱくさせた後、
「……私は、私を守ると誓ったジュリアンが居なくなるのを許せないだけの事でしてよ、勝手に死んだり勝手に鞍替えされるのも困るんですの。ジュリアンが腑抜けになった時、私が言った事を忘れないで欲しいですわ」
 必死で誤魔化している様子ではあったが、彼女が何を言いたいのかはすぐに分かった。
「……本の中に自分も行けたら、って思ってるんだろ?」
 助け舟を出してやると、やや逡巡した後、「ええ、そう思ってくれても構いませんでしてよ」とそんなつもり無い様子たっぷりで言いのけるセラーナ。言い方はどうあれ、俺を心配してくれているのだ、と思うと彼女の気遣いが嬉しかった。
「ありがとな、セラーナ。……俺も一緒に行けたら、って思うよ。いくら屈強な戦士でも、あの世界に行けば精神狂いかけるぜ。だから出てきた途端俺は倒れちまったしな」
 アポクリファの世界は誰でも行ける場所ではない。ハルメアス・モラに認められた者でしか入る事は許されないだろう。だからセラーナが黒い本を開いたとしても、何も起こらないしアポクリファの中へ入る事もできない。でもそれは逆に、俺にはチャンスなのだ。オブリビオンの世界でミラークと対峙できれば、他の者を巻き込まずに済む。ソルスセイムの人々も、セラーナも──
「……大丈夫さ、俺は変わらない。死にもしない。ミラークと同じ道を辿る事で、彼の弱点や倒せる手段が見つかるかもしれない。そう考えれば俺にとってはチャンスだ。この島を、タムリエルを、そして君を守る事を忘れたりはしないさ。約束するよ、セラーナ」
 肩をそっとつかんで、抱き寄せる。びっくりするほど小柄で華奢な体に、無骨でがっちり装備している俺の身体なんかに当たったら怪我するんじゃないかとさえ思ってしまう。
「……本の中に、私も入れたら一番いいんですけれど」
 今になって、ぽつりと本音を洩らすセラーナがおかしかった。余程俺が居なくなったら困るのだろうか。そう思うと悪い気はしない。
 暫くお互いを暖めるかのように、俺とセラーナは村のはずれで静かに抱きあっていた。
 それが後にとんでもない事に発展するという事も知らずに──

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 ちょっと難産な上に三回くらい書き直した話ですorz
 最初は岩を開放する戦闘シーンからと思ってたんですけど長すぎてダレてしまい、次はその途中から、でもダレてしまって今回ので何とか、って感じですが続きモノを匂わせてますけど・・・(汗
 
 話変わって明日はコミケ当落発表日です。
 受かっててほしいなあ。受かれば勿論スカイリムとSFIIIの新刊二冊出す予定です。スカイリムの話はもう決まってますけど、またドヴァ×セラ的なのになるかもしれません。若干シリアス目です。決して第三者の本を読んで触発されたわけではないのでご安心を。
 受かっても落ちてもこの場では発表しますので、宜しくです。

 では今回も長くなりましたのでこの辺で書き逃げ(おいw
 すいませんどんどんブログの話がドヴァ×セラ的なのにエスカレートして本当すいません汗焦
 
 え? ゲームどうしたって? ぜんぜんやってないのでこれから久々にプレイしにいってきますw

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