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SkyrimとFallout4・76の二次創作メインブログです。 たまにMODの紹介も。
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03.28.22:07

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  • 03/28/22:07

08.17.00:15

Taken.

 人間は時として、夢の続きを現実に見ている錯覚に陥ることがある。
 それはおそらく、脳の中で勝手にそう決め付けているだけであって、本来ならばそんな事ある筈が無い、ある訳が無いと思い込み、否定する。
 でもそれは現実を否定している訳ではない──夢を否定しているのだ。夢は醒めれば現実になんら影響は無い、と──

「でも、そうじゃないとしたら?」


 その瞬間まで俺は“そこ”に居たという事を覚えていなかった。
 だから夢だと思った、夢の中に居る自分が夢を見ていると自覚していたのだ。そういう夢を見る事もあると、以前誰かが言っていたような気もする。
 しかし。
「……ってぇ……二日酔いかよ」
 重い瞼を開いて、辺りを見回そうと頭を振った瞬間、ずきりと痛む頭の疼き。思わず顔をしかめ、頭に手を当てる。勿論そんな事で痛みが治まる筈も無い。
 ずきずきと疼く頭を抱えた状態なんて久しぶりだった。はて、俺は昨日そんなに飲んだりしただろうか、などと記憶を探るも夢の中でそれもおかしな話だ。
 荷袋に疾病退散の薬がある筈だったが、荷袋そのものを抱えていない自分に再び顔をしかめる。夢なのに、何故こうも頭が痛むのか不思議だった。夢なら痛みなぞ一瞬で取り除けるだろうに。
 ……仕方なく薬を諦め、痛む頭をなだめつつようやく辺りを見回してみる、が、藍色よりさらに黒く塗りつぶした空と、そのおかげで先がよく見えない街道が伸びている場所に俺は一人で突っ立っていた。誰かいやしないかと背後を振り向くも、誰の姿もない。
「セラーナ……」
 いつも傍らに居る彼女が居ないだけで、背後が一層寂しく感じられるのは……気のせいか。
 やはり夢だ、さっさと目覚めてくれないものか、と思ったと同時に──道の先にぼう、と光が浮かび上がった。一筋の光とはこういう事を言うのだろう。導くようにこちらを照らしているその光は、今の俺にとっては何も無い漆黒の海を星の灯りで船を動かす船長と同じく、俺はその光に導かれている気さえして……足が自然に光へ向かっていた。
 その場に留まる事だって出来た。しかし留まっていたとしてどうする? 何故自分がココにいるのか──夢の世界だとしても、だ──分からないまま暗闇の中で一人、留まるのは居心地が悪かったし、導くかのように差し込む光を無視するのもこれまた居心地が悪かった。この世界が夢だろうが現実だろうがなんにせよ、現状が分からない以上、従うに越したことは無い。
「歩いているのにどんどん遠ざかっていくとかはないよな……」
 ごちりながら歩き進めるが、そんな事はなく自分は確かに歩いてその光に近づきつつあった。辺りが真っ暗なため距離感が全く掴めないが、導く光が大きくなるにつれ、近づいているのは分かった。……が、次の瞬間。
「つっ……! なんだ、頭がさっきよりも痛く……!」
 ずきんずきんと脈打つように頭痛が痛みを増してきたのだ、一歩進むごとに。まるで──その光に近づくな、と脳が訴えているかの如く。
 頭の痛みで足はふらつき、酔っ払いのようにふらふらとした足取りでも俺は歩くのを止めなかった。近づくのをやめろと言われても今はあの光に縋るしかなかった。いつ光が消えるかもしれない……そうと思えば足を止めている暇なぞなかったのだ。
 はぁはぁと息を弾ませながら、俺は光の輝く場所まで歩き……ついにその輝きが放たれている場所まで後一歩。思わず俺はその光に手を伸ばした……それなのに。
「……え?」
 光は確かにそこで輝いていた──俺を導くように。……けど、違うのだ。その光が悪いんじゃない。光っているものが……
「黒い、本……」
 どくん、どくん、と脈打つように輝いていたものは、本の表紙に描かれてある禍々しい魔方陣のような紋章を輝かせていた──巨大な黒い本だった。
 その本を開けばデイドラの王子のオブリビオンへと“連れ込まれ”る──
「なんで、こんな所に……?!」
 その瞬間、ぶわっと一気に俺の周りを覆っていた黒い世界が開けた。まるで俺の周りを覆っていた黒い布が一気に剥がれ落ちたように。
 そこに現れたのは、薄緑色の空、どこか崩れた本の山で出来た尖塔、黒く塗りつぶされた禍々しい形で出来ている建物の中、足元には敗れ落ちた書類が散乱した──アポクリファ。ハルメアス・モラのオブリビオン。
 周りを見渡している暇は無かった。輝く本がどす黒い光を輝かせて勝手にその身を開いたのだ。風もないのに勝手に開き──開いたページから音も無く現れた触手が、光に触れようと伸ばしていた俺の手に巻きついてきた。
「なっ……離せ!」
 無理な話だった。本を開けば必ず俺をその世界へと連れ込むその本に抗う事など不可能に近い──ひどく痛む頭痛が何故光に近づくにつれ痛みを増していったのかが今になってはっきり分かった。危険を訴えていたのだと──けど、もう遅い。
 触手はさらに俺の首へと周り、本の中へと引っ張る。
「嫌だ、俺は──俺はまだ死にたくない! セラーナ! セラーナぁぁっ!!」
 叫びがアポクリファの静寂な空気を打ち破るも、それはほんの一瞬で──俺の身体は本の中へと引きずり込まれていった。

“最早お前は我の手中にあり。お前の心もソルスセイムの人々も、何人たりとも逃れる術はないのだ”


『ジュリアン、起きて』

 はっ、とする。
 長い時間、息を止めていたようで息苦しかった。ぜいぜいと息を弾ませつつ、深呼吸を何回かするうちに肺が落ち着いた……後に周りを見渡す。
 見慣れた天井だった。ソルスセイム島のレイブン・ロックにある俺の家として提供されたセヴェリン邸の寝室。レイブン・ロックの住居はどれも地下に穴を掘って居住区を構える構造になっているため、天井がスカイリムの建造物に比べると若干、高い。なのでベッドに横たわると天井までが高く感じられて、最初は落ち着かなかった……などととりとめのない事を考えてしまう。
「ジュリアン、起きましたの? ……ずいぶんうなされていたようですわね」
 聞きなれた声。俺は上半身だけをベッドから起き上がらせると、寝室の扉を開けてセラーナが入ってきた所だった。手には洗面器を抱えており、それをサイドテーブルに置くと、中に水と一緒に浸していた布を硬く絞って俺に手渡ししてくれた。
「……そんなに、うなされてたのか?」
 鸚鵡返しのように聞き返すと、彼女は返事をする代わりに肩をすくめて見せ、
「ええ、何度も呻き声をあげてましたわ。苦しそうに……よほど悪い夢を見ていたのではありませんでして?」
 こちらを気遣うような視線だったので、俺は努めて笑ってみせた。……内心は全く笑える状況ではなかったが、彼女を心配かけさせたくはない。
「ああ……ちょっとな。いつもの夢さ。……この島に居るだけで、俺はミラークに監視されてるのかもしれないな」
 彼女から渡された布で汗を拭う。ひんやりした布で火照った身体を冷やすのは気持ちよかった。薄手のチュニックは汗でじっとり濡れているため、やむなく脱いで上半身のみ肌をさらしたが、セラーナは意に介さない様子で黙ってこちらを見ていた。……言えないな、夢で彼女の名前を叫んでたなんて。
「確かに、この島の人たちはミラークによって塔や神殿を再建させようと操られておりますものね……でも不思議ですわ、何故ジュリアンまで操られてしまうのかが」
 考える仕草をするセラーナ。彼女の言う通り、おかしいといえばおかしかった。毎晩ではないが、寝て次の朝、気づけば塔の作業に携わる自分に気づいた事が幾度となくあったのだ。我に返れば手を止める事が出来るのが住人たちとは違うにしろ、それが何度もあって、俺自身嫌気がさしていた。ミラークと力の差をまざまざと見せ付けられている気がして。
 そして夢にも出てきた黒い本も、だ。このソルスセイム島でしか影響力を持たない事も分かった。スカイリムに一度戻ったとき、気になって本を開いたのだが、例の触手は現れるどころか何も起きなかったのだ。
 それは即ち、この島でミラーク、そしてハルメアス・モラが何らかの力を張っているという事──
「そうだな。…とりあえず、ストルンが教えてくれたように、俺達はまず塔を元に戻す事からやるべきだろう、そうすれば島の住民も正気に返る。ミラークの影響力も少しは減ると言ってたしな。その頃には俺も……操られたりする事がなくなるかもしれないし」
 一通り汗を拭い終わり、布を再び水に浸す。彼女が再度絞ろうとするのを手で制した。
「余計な心配させちまったかな? ……でももう大丈夫だ。ありがとう、セラーナ」
 お礼を言うと、彼女は何も言わずふっと口元に笑みを浮かべてくれた。こういう時、何も追随してこない彼女の性格が俺は好きだった。俺が言うまで聞いてはこない──それは使い方によっては相手を騙す事も可能だろう、しかし俺とセラーナは長い間苦楽を共にした仲間……だ、俺が隠し事をしていてもそれは彼女にとって必要ない事かいずれ時が来たら言うことのどちらかであって、セラーナはその時まで待っていてくれるのを俺は知っていた。
 さすがにもう一度眠る気にはなれず、俺はベッドから起き上がった。下半身も汗でズボンが濡れているが、さすがに今ここで脱ぐわけにはいかない。
 地下なため窓もないから外の様子は分からなかったが、まだ夜なのは間違いなかった。セラーナに上の暖炉に行こうと提案し、寝室から出る。
 セラーナに気取られまいと、必死に笑顔を作ってはいたが、内心引っかかるものがあった。
 夢ではない、問題はあの時──意識を失った後に聞こえた、ミラークの“声”だった……。
 
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 ご無沙汰してました、やっと前に告知していた話「Taken」をぼちぼち上げていくことができそうです。何で原稿から開放されたのにまた創作やってるんだよって言われたらゲームより絵や話を描くのが楽しくてしょーがなくなっちまったせいでw としか言いようがないです><w

 今回の話は冒頭からまぁばればれですが、今回のテーマはミラークのミエナイチカラの話です。なんでどばきんさんはあの島で寝ると何をしなくても塔のカンカンに参加しているのかが不思議でしょうがありません(後々理由が分かるのかもしれませんが俺はまだ進めてないので分かりませんw)セラーナ同様吸血鬼だったらカンカンに参加しなくてもいいんでしょうけど・・
 どうも調べると長時間寝ると起きるぽい? 違ったらすいませんw

 あと若干分かる人にはわかるであろう、某ゲームの影響をちょろっと受けてます。夏コミ原稿描いてる最中、Steamサマーセールで買った某ゲームにはまってスカイリムできない分そっちで埋めてた(ォィ)んですが、セラーナの冒頭のセリフなんて100%バレバレですね、ごめんなさい。話は全然違いますが(当たり前だ)。

 人間てのは目で見える恐怖より見えない恐怖のが恐怖度を倍増させるようです。そういう見えない力をミラークさんは何度かゲーム中でも使ってますけど、そういうのを怖がる・・いや、畏怖するといった方がいいか、どばきんさんがどーなるか自分でも全然分かってませんが最後までお付き合いできれば幸いです。そんな長い話ではないと思いますが。

 ではまた次回ブログ更新日に。
 原稿から脱稿してすぐの二次創作開始ですが、また次のコミケまでぼちぼちだらだらやっていくのでどうぞよろしくお願いします。合間にプレイ日記も書きますw

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